有線LANが遅いのはなぜ?速度を決めている場所と確かめ方

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「Wi-Fiが不安定だから、LANケーブルでつないでみた。でも、速度はほとんど変わらなかった」。

そんな経験はありませんか。

実は、有線にして確実に変わるのは速さそのものではなく、通信の安定しやすさのほうです。どれだけの速さでつながるかは、ケーブルの両端に何がいるかで決まっています。

しかも、その上限はパソコンの画面で今すぐ確かめられます。契約書を探す必要も、速度テストを何度も回す必要もありません。

この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、有線LANの速度がどこで決まっているのか、いま何Mbpsでつながっているのかの確かめ方、そして100Mbpsで止まっていたときにどこから疑えばいいのかを解説していきます。

有線LANにしたのに、速度が出ないのはなぜ?

有線でつないでも速度が変わらないことを示す図解。ノートパソコンとルーターがLANケーブルでつながれ、その上に速度計が描かれている。

「有線のほうが速い」とよく言われます。これは半分あたっていて、半分外れています。

有線が確実に良くするのは、電波の取り合いが無くなることです。Wi-Fiは1つの電波を順番に譲り合って使うので、混んでいる時間帯や離れた部屋では不安定になります。ケーブルなら、その心配はありません。

いっぽう、どれだけの速さでつながるかは、まったく別の話です。

そのため、Wi-Fiのほうが速い数字が出ることさえあります。有線が100Mbpsで止まっていれば、当然そうなります。

ケーブルを挿した瞬間、パソコンと相手の機器は「では、いくつで話しましょうか」と相談して速さを決めています。この相談の結果が100Mbpsなら、その先は何をしても100Mbpsのままです。

ここで、混ざりやすい2つの「速さ」を分けておきます。ここが混ざったままだと、どこを直せばいいのかが永遠に決まりません。

呼び方何の速さか
つながっている速さ
(リンク速度)
パソコンと、その隣の機器とのあいだで合意した上限
実際に出ている速さ
(実測速度)
インターネットの向こう側とのあいだで実際に出た速さ

前者を決めているのはケーブルと、その両端の機器。後者を決めているのは契約・時間帯の混雑・相手のサーバーなどです。

この記事が扱うのは、上の「つながっている速さ」のほうです。

ここが100Mbpsで止まっていると、契約が1Gbpsでも100Mbpsを超えることはありません。1Gbpsは1000Mbpsのことなので、契約の10分の1で頭打ちになっている計算です。

NTT東日本もフレッツ 光ネクストの提供条件で、「最大100Mbpsを超える通信速度でご利用いただくためには、1Gbpsの通信速度に対応した環境(対応LANケーブル、パソコン端末等)が必要となります」と書いています。

また、同じ提供条件には「最大通信速度は、技術規格上の最大値です」とも書かれています。つまり速度テストの結果は、つながっている速さより少し低い数字になるのがふつうです。「90Mbps前後で止まっている」という症状も、100Mbpsで頭打ちになっている疑いとして読めます。

つまり、契約を疑う前に確かめるべきものが、手元にあるということです。

有線LANの速度は、いちばん遅い1箇所で決まる

太い管が横一直線に伸び、中央より少し右で1か所だけ細くくびれている図解。管の上には白い箱が4つ、等間隔に並んでいる。

1本の太い水道管の途中に、1か所だけ細くくびれた部分があると想像してください。

ほかがどれだけ太くても、流れる水の量はそのくびれで決まります。全体の速さは、いちばん細いところが決めます

有線LANも同じです。回線から自分のパソコンまでに並んでいるもののうち、1つでも古いものが混ざっていれば、そこで頭打ちになります。

上限になりうるのは、主に次の5か所です。

場所何を見るか
① ONU・ルーターの差込口仕様に「10/100/1000」「1000BASE-T」とあるか
② 途中のスイッチングハブ同上。「10/100」だけなら100Mbps止まり
③ LANケーブル傷んでいないか。「CAT5」以前ではないか
④ 壁の差込口と内側の配線壁を通すときだけ遅くないか(触れない)
⑤ パソコン側の差込口同上。ノートパソコンは特に注意

①のONUは、光ファイバーの信号をパソコンが読める形に変える箱のことです。②のスイッチングハブは、差込口を増やすために途中に置く機器で、事務所や家族の多い家でよく使われています。

ここに契約している回線は入れていません。契約の速度は、さきほどの表でいえば「実際に出ている速さ」を決めるものだからです。この5か所より先の話なので、順番としてはあとで確かめます

なお、②③⑤で言う「仕様」は、本体の裏や底面のラベルに書かれていることが多く、そこに無ければ型番を控えてメーカーのサイトで製品ページを開くと載っています。箱や説明書を取っておく必要はありません。

なお、機器のランプの色で見分ける方法を紹介しているページがあります(緑なら1Gbps、橙なら100Mbps、など)。当サイトではこの見分け方をおすすめしていません。ランプの意味は機種ごとに違い、同じ色でも別のことを表す機器があるからです。

次の章で紹介する方法なら、機種に関係なく確かめられます。

見落としやすいのは、パソコン側の差込口

5か所のうち、いちばん見落とされやすいのが⑤です。

最近のノートパソコンには、LANケーブルを挿す口がない機種が増えました。そのため、USBの変換アダプタや、画面と電源をまとめてつなぐドッキングステーションを間に挟んでいる方が多いはずです。

この小さな機材が、上限になっていることがあります。

  • 仕様に「10/100」「Fast Ethernet」とあれば、その機材は100Mbpsまで
  • 「10/100/1000」「Gigabit Ethernet」とあれば、1Gbpsに対応している

会社から貸されたパソコンでは、これらは支給品なので自分では選べません。

それでも、どこが上限になっているかを突き止めておけば、情報システムの担当者に伝える材料になります。「遅いです」と言うより、「パソコン側の差込口が100Mbpsで止まっています」と言えたほうが、話は早く進みます。

いま有線LANが何Mbpsでつながっているか(リンク速度)を確かめる

ノートパソコンの画面に「1000 / 1000 (Mbps)」と表示されている図解。右にはLANケーブルが挿さった差込口があり、点線で画面とつながっている。

ここが、この記事でいちばん大事なところです。

契約書を探す必要はありません。パソコン自身が、いま何Mbpsでつながっているかを知っています。それを見るだけです。

ここでは Windows 11 の画面で説明します。

  1. STEP

    「設定」を開く

    キーボードの Windows キーを押しながら「I」(アイ)を押すと開きます。スタートボタンを右クリックして「設定」を選んでもかまいません。

  2. STEP

    「ネットワークとインターネット」から「イーサネット」を開く

    左側の一覧から「ネットワークとインターネット」を選び、その中の「イーサネット」を開きます。

    イーサネットとは、LANケーブルを使った有線の通信方式の呼び名です。Windowsは有線の接続をこの名前で表示します。

  3. STEP

    「集計リンク速度 (送受信)」の数字を見る

    この項目に出ている数字が、いまつながっている速さです。ここに出ているのは契約の速度ではなく、目の前のケーブルの両端が合意した速さです。

集計リンク速度 (送受信) の読み方

1000/1000 (Mbps) … 1Gbpsでつながっている

100 の側の数字が並ぶ … 100Mbpsで止まっている(この記事の症状)

2500 / 10000 などが出ることもある … その回線と機器に対応している

斜線の左右は、送受信それぞれの速さです。有線LANでは同じ数字が並びます。

この項目が見当たらないときは、別の道からも見られます。キーボードの Windows キーを押しながら「R」を押して ncpa.cpl と入力し、表示された「イーサネット」をダブルクリックすると、「速度」の欄にいまつながっている速さが出ます。こちらは Windows 10 でも同じ場所にあります。

速度テストの数字と、リンク速度は別物

速度テストで「300Mbps」と出たとき、リンク速度が1000/1000なら、その300Mbpsは回線や混雑の話です。ケーブルやハブを買い替えても変わりません。

逆にリンク速度が100/100なら、速度テストの結果は何度測っても100Mbpsを超えません。測り直すだけ時間の無駄です。

有線LANが100Mbpsで止まっていたら、どこから疑うか

100/100と表示されていたら、原因はルーターの差込口から自分のパソコンまでのどこかにあります。

お金のかからないものから順に確かめます。

  1. STEP

    いったん抜いて、挿し直す

    奥まで刺さっていない、爪が折れて浮いている、といった状態でも「つながってはいる」ので気づきにくいものです。カチッと音がするまで挿します。

  2. STEP

    ルーターの別の差込口に挿し替える

    差込口の1つだけが壊れていることがあります。お金も道具も要らないので、ケーブルを買いに行く前に試します。

  3. STEP

    短い別のケーブルで、ルーターと直接つないでみる

    途中のハブ、延長コネクタ、壁の差込口をすべて外して、1本のケーブルだけにします。

    この手順が要る理由があります。画面に出る数字は、パソコンとその隣の機器とのあいだの話です。途中にハブが挟まっていると、パソコンとハブのあいだが1000でも、その先が100Mbpsかどうかは分かりません。間のものを外して初めて、経路全体を1本で確かめられます。

    これで1000/1000になったなら、外したもののどれかが原因です。1つずつ戻していけば、犯人が分かります。

    なお、会社や事務所ではハブを抜くとほかの人も通信できなくなります。人がいない時間に行うか、担当の方に相談してください。

  4. STEP

    それでも100のままなら、両端の機材の仕様を見る

    ルーター側と、パソコン側の差込口です。「10/100」しか書かれていなければ、その機材は100Mbpsまでです。

  5. STEP

    壁の中の配線が疑わしいときは、自分で開けない

    壁の差込口を通したときだけ遅いなら、壁の内側の配線が原因です。ここは自分で触れる場所ではないので、管理会社や工事業者に伝えます。

なぜ「100Mbps」という中途半端な速さで止まるのか

ケーブルの中の線の使われ方を上下に並べて比べた図解。上の1Gbpsでは4組8本すべてが色づき、下の100Mbpsでは4組のうち2組だけが色づいている。

ケーブルが傷んだのなら、そもそもつながらなくなりそうなものです。ところが実際は「つながるけれど遅い」という形で現れます。理由は、ケーブルの中身にあります。

LANケーブルの中には8本の細い線が入っていて、2本ずつ4組の対になっています。

1Gbpsの通信(1000BASE-T)は、この4組すべてを同時に使います。ケーブルメーカーのエイム電子は、伝送方式の解説で「1ペアの信号線で250Mbpsのデータの送受信を同時に行い、さらに4ペア同時に送受信を行います」と説明しています。250Mbpsを4組ぶん束ねて1Gbpsにしている、ということです。

いっぽう100Mbpsの通信(100BASE-TX)は、2組しか使いません。同じ解説には「1ペアの信号線を100Mbpsの送信、1ペアの信号線を100Mbpsの受信に割り当て、残る2ペアは使用していません」とあります。

つまり、傷んでいるのが1Gbpsでしか使わない側の線であれば、100Mbpsの通信はそのまま成立してしまうのです。

ケーブルを挿すと、両端の機器はまず互いの対応状況をやりとりします。ネットワーク機器メーカーのアラクサラネットワークスは法人向けスイッチのマニュアルで、この仕組みを「伝送速度および,全二重および半二重モード認識およびフローコントロールについて,対向装置間でやりとりを行い,接続動作を決定する機能」と説明しています。オートネゴシエーションと呼ばれる働きです。

そのやりとりで4組すべてを使う通信が成立しなければ、2組で足りる100Mbpsのほうでつながることがあります。故障ではなく、通じるほうが選ばれた結果です。

なお、この症状に対して「パソコンの設定で速度を1Gbpsに固定すればよい」という手順を紹介しているページがあります。おすすめしません。

1Gbpsの通信は、いま見たオートネゴシエーションが前提になっているからです。アラクサラネットワークスは同じマニュアルで「1000BASE-Tを使用する場合は全二重のオートネゴシエーションだけとなります」と書いています。さらに、設定が食い違ったときについては「伝送速度,および全二重および半二重モードが相手装置と不一致の場合,接続できないので注意してください」ともあります。

原因がケーブルや機材の側にあるなら、設定をいじっても直りません。むしろ、つながらなくなることがあります。

「CAT5」と書かれたケーブルは、本当に100Mbpsまでなのか

ケーブルの側面には「CAT5」「CAT5e」「CAT6」といった表示があります。この表示についてはLANケーブルの種類と特徴にまとめてあります。

よく「CAT5なら100Mbpsまで」と書かれています。ところが、資料によって書いてあることが違います

  • ケーブルメーカーのパンドウイットは「LANケーブルの規格が『Cat5(カテゴリ5)』以前の場合には、対応できる通信速度が100Mbpsに限られます」
  • 機器メーカーのアラクサラネットワークスは「100BASE-TXまたは1000BASE-Tを使用する場合,接続ケーブルはカテゴリ5以上で8芯4対のツイストペアケーブル(UTP)を使用してください」

後者は、カテゴリ5を1Gbpsの対象に含めています。

ただ、どちらが正しいかを決める必要はありません。打ち手が同じだからです。

CAT5と書かれたケーブルは、規格の上では通るとしても、何年前のもので、どう扱われてきたかが分かりません。パンドウイットは同じページで、耐用年数は約30年としつつ「複雑な配線をしていたり、直射日光に当たっている、良く踏む場所に設置しているなど、使用環境が悪い場合は数ヶ月程度で劣化することがあります」とも書いています。

表示を読んで悩むより、別のケーブルに替えてリンク速度が変わるかを見るほうが確実です。数字がその場で答えを出してくれます。

有線LANが原因ではないときの切り分け

切り分けの分岐を示す図解。左のひし形から右へ3本の矢印が伸び、それぞれの先に「夜だけ遅い」「送るとき遅い」「反応が鈍い」と書かれた札が置かれている。

リンク速度が「1000/1000 (Mbps)」と出ているのに遅い場合、まず疑う先が変わります。ケーブルやハブを買い替えても、上限は上がりません。

ただし、次の2つは頭に置いてください。

  • 途中にハブが入っているなら、その先までは分かりません。前の章のSTEP2(直結)を通しておくと確実です
  • まれに、1Gbpsでつながっていてもケーブルの傷みで通信のやり直しが増え、速さだけが落ちることがあります

また、1ギガを超える契約をしているなら、1000/1000 も頭打ちのサインです。NTT東日本はフレッツ 光クロス(10ギガ)の案内で「最大概ね10Gbpsの通信速度でご利用いただくためには、LANポートが10GBASE-TかつLANケーブルがカテゴリ6a以上のLAN環境が必要となります」と書いており、対応する規格として「10GBASE-T/5GBASE-T/2.5GBASE-T/1000BASE-T/100BASE-TX」を挙げています。10ギガの契約でも、機器が古ければ1000で止まるということです。

そのうえで、上限が足りているのに遅いなら、調べる先を変えます。

こういう遅さなら疑う先
夜や休日だけ遅い回線の混雑(接続方式で変わることがある)
送るときだけ遅い上りの上限
数字は出るのに反応が鈍い応答までの時間(遅延)
通話や会議のときだけ乱れる会議アプリまでの経路
集合住宅で、いつも遅い建物の中の配線方式

夜だけ遅いなら、接続方式の違いが効いていることがあります。送るときだけ遅いなら上り(アップロード)速度、反応の鈍さが気になるなら遅延(レイテンシ)の話です。通話や会議のときだけ乱れるならWEB会議が重いときの切り分け、集合住宅にお住まいなら建物内の配線方式が上限を決めていることがあります。

いずれも、リンク速度を先に見ておけば回り道せずにたどり着けます

自分では直せない場所もある

壁の内側の配線と、会社の設備は、自分で手を出す場所ではありません。

それでも、この記事の手順を通しておけば「どこまでは自分で確かめて、どこから先が分からないのか」を言葉にできます。

「パソコンとルーターを短いケーブルで直結すると1000/1000になりますが、壁の差込口を通すと100/100になります」。ここまで伝われば、あとは相手の仕事です。

まとめ

この記事では、有線LANが遅いときに速度を決めている場所と、その確かめ方を解説しました。

  • 有線にして良くなるのは安定しやすさで、速さの上限は別に決まっている
  • 上限になるのはいちばん遅い1箇所。回線・ルーター・ハブ・パソコン側のどれか
  • Windows 11 の「集計リンク速度 (送受信)」を見れば、いまの速さがその場で分かる
  • 100/100ならルーターから自分のパソコンまでの経路、1000/1000ならその外側。先にここを見れば調べる先が決まる

「有線にしたのに遅い」と感じたら、まず数字を1つ見てください。契約を見直すのは、そのあとで間に合います。

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