LANケーブルは、パソコンやテレビをルーターにつなぐための線です。家電量販店の売り場には見た目のよく似たものが何種類も並び、値段も数百円から数千円までさまざまです。
違いは、パッケージに書かれた「CAT(カテゴリ)」の数字にあります。この数字が、そのケーブルが何Gbpsまで通せるかを表しています。
「Wi-Fiが不安定なので有線にしたい」という理由で探している方も多いはずです。その目的なら、有線にする効果はあります。速くなるとは限りませんが、電波の乱れが無くなるぶん途切れにくくはなります。
いっぽう「遅いのを速くしたい」という目的だと、買い替えても変わらないことがあります。速さの上限を決めているのが、ケーブルではなく別の場所だったときです。
この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、LANケーブルの種類の見分け方と、家庭で買うときにどれを選べばよいかを解説していきます。
Wi-Fiの不安定さを解消したい … 買ってよい。有線にすれば電波の影響は受けなくなる
いま使っているケーブルに「CAT5」とだけ書いてある/10年以上前のもの … 買い替える価値がある
機器の箱や仕様に「10/100」とある … ケーブルを替えても変わらない(その機器が100Mbpsまで)
迷ったら … CAT6A。長さは実際の道のりを測ってから
目次
LANケーブルの違いは「カテゴリ」の数字で決まる

LANケーブルは、パッケージや側面に「CAT5e」「CAT6」のように印字されています。数字が大きいほど、速い通信に対応します。
| カテゴリ | 通せる速さ | どんなときに選ぶか |
|---|---|---|
| CAT5e | 1Gbps | 1Gbpsの回線ならこれで足りる |
| CAT6 | 1Gbps | CAT5eよりノイズに強い |
| CAT6A | 10Gbps | 迷ったらこれ。将来10Gbpsの回線に変えても使える |
| CAT7 | 10Gbps(表示上) | ⚠ 下記の注意を読んでから |
| CAT8 | 40Gbps | データセンターなどの業務用。家庭では出番がない |
いま家庭で使われている回線は1Gbpsが中心なので、CAT5e でも足ります。CAT6A を勧めるのは、値段の差が小さく、あとで回線を速くしたときにそのまま使えるからです。
「CAT7」と書かれたケーブルには注意が要る
数字が大きいほど良さそうに見えるので、CAT7 を選びたくなります。ところが、家庭用として売られている「CAT7」のLANケーブルは、規格どおりのものではありません。
理由は、先端のプラグにあります。日経クロステックの2019年の記事は「カテゴリー7の規定では、『TERA』『GG45』『ARJ45』といったRJ-45とは別のプラグを使うことになっている。RJ-45を採用したカテゴリー7は規格上存在しない」と書いています。この点は、いまも変わっていません。
私たちが見慣れている、カチッとはまる四角いプラグが RJ-45 です。家庭用のパソコンやルーターの差込口はこの形なので、規格どおりのプラグを備えた CAT7 ケーブルは、そもそも挿せません。
そこで各社は、RJ-45 のプラグを付けたものを「CAT7」として売っています。つまり店頭にある CAT7 は、規格でいう CAT7 とは別のものだということです。
同じ記事によると、こうした製品を販売しているバッファローは「規格通りのプラグは汎用性が低いため、ユーザーが使いやすいRJ-45を採用している」(同社広報担当)と説明しています。売る側も承知のうえで、使いやすさを優先しているということです。
挿せばふつうに使えます。壊れたり、遅くなったりするわけではありません。
ただし、規格どおりの性能が出ているわけでもないので、CAT7 だから速いという理由で高いものを選ぶ意味は薄いということになります。同じ値段なら CAT6A を選ぶほうが確実です。
もうひとつ。店頭の CAT7 はシールド付き(STP)であることがほとんどです。シールドについては後の節で触れますが、家庭では持ち味を発揮できないため、この点でも選ぶ理由になりません。
家庭で買うLANケーブルは、ほかに何を見て選ぶか

カテゴリのほかにも、選ぶときに見る点がいくつかあります。
長さ — 余らせすぎず、100mを超えない
まず、届く長さが要ります。機器のあいだをまっすぐ測った長さではなく、壁や家具を回り込む実際の道のりで考えてください。
目安は次のとおりです。ただし、実際に測ってから買うのがいちばん確実です。
- ルーターのすぐ横に置く機器(テレビ・レコーダーなど)… 1〜2m
- 同じ部屋の中で、机まで引く … 3〜5m
- 隣の部屋まで、壁ぎわを回して引く … 10m前後
上限もあります。有線LANは1本あたり100mまでを前提に作られており(速い規格ほど短くなり、CAT8の40Gbpsは30mまで)、それを超える長さでは通信が保証されません。家庭で届かなくなることはまずありませんが、長すぎるケーブルは束ねると絡まるので、必要な長さより少し長い程度が扱いやすくなります。
形状 — 通す場所で選ぶ
| 形状 | 特徴 | 向いている場所 |
|---|---|---|
| ふつうの丸型 | いちばん多い形。基本はこれ | とくに、長く引くときやノイズの多い場所 |
| フラット(平たい) | 薄い | カーペットの下、ドアのすき間 |
| スリム(細い) | 径が細く曲げやすい | 機器の裏の狭いところ |
構造 — 単線とより線
中の銅線の作りに2種類あります。単線は太い線を1本ずつ使ったもので、長く引くのに向きます。より線は細い線を撚り合わせたもので、柔らかく取り回しやすい代わりに長距離では不利です。
家庭で数メートルをつなぐ範囲では、どちらでも困りません。壁の中を這わせるような長い配線をするときだけ、単線を選びます。
シールド(UTP・STP)— 家庭ならUTPで足りる
外からのノイズを防ぐ金属の膜が入っているものを STP、入っていないものを UTP と呼びます。
STP は工場のように電気的なノイズの多い場所で使うものです。家庭やふつうのオフィスでは UTP で足ります。STP は正しく接地(アース)しないと本来の効果が出ないため、選べば安心というものでもありません。
そのほか、パッケージで見かける表示
- 爪折れ防止 … プラグの爪が折れにくい作り。抜き差しの多い場所で役に立つ(折れると抜けやすくなる)
- 難燃性 … 燃え広がりにくい素材。建物内に長く敷設するときの選択肢
- 防水 … 屋外や水回りに通すとき用
- RJ-45 … 先端のプラグの規格の名前。家庭用のLANケーブルはこの形で統一されているので、どれを買っても挿せます(上の CAT7 の話は、この形が CAT7 の規格には合っていない、という別の問題です)
ケーブルを買い替えても速くならないことがある

冒頭でお伝えしたことに戻ります。速さの上限は、経路のいちばん遅いところで決まります。
パソコンとルーターのあいだには、ケーブルのほかに、パソコン側の差込口・途中のハブ・ルーター側の差込口があります。このどれかが 100Mbps までの対応だった場合、ケーブルだけを CAT6A に替えても 100Mbps のままです。
買いに行く前に、いま何Mbpsでつながっているかを確かめておくと無駄がありません。確かめ方と、100Mbpsで止まっていたときにどこから疑うかは、こちらにまとめています。
逆に、ケーブルの買い替えが効くのは次のような場合です。
- 使っているケーブルに「CAT5」とだけ書かれている(CAT5e ではない)。⚠ 規格上は1Gbpsが通るとする資料もあるが、経年と扱われ方が分からないので替える価値がある
- いつ買ったか分からない古いケーブルが混じっている
- ケーブルが折れ曲がっている、被覆が破れている、家具の脚で踏まれている
よくある質問
Q
LANケーブルとイーサネットケーブルは違うものですか?
A
店頭では同じものを指しています。「イーサネット」は通信のしかたを決めた規格の名前で、その規格で使うケーブルなので「イーサネットケーブル」とも呼ばれます。
Q
カテゴリの数字が大きいケーブルに替えれば、速くなりますか?
A
いま使っているケーブルが上限になっている場合だけ速くなります。契約している回線・パソコン側の差込口・途中のハブのほうが遅ければ、そちらが上限のまま変わりません。
Q
フラットケーブルは、ふつうのケーブルより性能が落ちますか?
A
規格どおりに作られた製品であれば、表示されているカテゴリのぶんの性能が出ます。ただし薄くするために線の並べ方が違うので、長く引くときや、ノイズの多い場所では丸型のほうが無難です。カーペットの下を数メートル通す用途なら問題ありません。
Q
LANケーブル以外に、ネットワークで使うケーブルはありますか?
A
あります。家の外から引き込まれている光ファイバーがそれで、こちらは光を通す線です。ほかに、ケーブルテレビで使う同軸ケーブルもあります。ただし、これらは事業者が用意するもので、自分で選んで買うものではありません。
まとめ
- LANケーブルの違いは「CAT」の数字。1Gbpsの回線なら CAT5e で足り、迷ったら CAT6A
- ⚠ 店頭の「CAT7」は規格どおりのものではない(RJ-45 プラグを採用したCAT7は規格上存在しない)。使えるが、高い金額を払う理由にはならない
- 長さは道のりで測る。上限は1本100m
- 形状(丸・フラット・スリム)は通す場所で選ぶ。構造とシールドは、家庭ならどちらでも困らない(UTPで足りる)
- 買い替えても速くならないことがある。上限を決めているのがケーブル以外の場所だったとき
ケーブルは安いものですが、買う前に「いま何で止まっているのか」を確かめるほうが、結果的に近道になります。






