QoSとは?効く場面・効かない場面とデメリットをわかりやすく解説

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家族が同時にインターネットを使っていると、動画が止まったり、会議の音声が途切れたりすることがあります。

こうしたとき、ルーターの設定に QoS という項目があるのを見つけた方もいるかもしれません。回線の使い道に優先順位をつける機能です。

ただし、QoSは万能ではありません。効く場面と、まったく効かない場面がはっきり分かれます。この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、QoSが何をする機能なのか、そして自分の状況で効くのかどうかを見分けられるように解説していきます。

QoS(Quality of Service)とは?

ノートパソコンの周りにグラフや図表の画面が浮かび、小さな人物たちが作業しているイラスト(QoSとはの節の扉絵)

QoS とは、Quality of Service(クオリティ・オブ・サービス)の略で、通信に優先順位をつけて、大事なものから先に通す仕組みのことです。

道路の交通整理に似ています。車の数が道路の広さを超えると渋滞が起きますが、そのとき救急車を先に通すのが優先制御です。道路が広くなるわけではありません。通す順番を変えているだけです。

たとえば家族4人が同時に使っているとします。1人が大きなファイルをアップロードしていると、その通信が回線を占領し、別の人のオンライン会議の音声が途切れることがあります。QoSを設定しておくと、会議の音声を先に通し、ファイルの送信を後回しにするといった調整ができます。

ここを間違えない

QoSは回線を速くする機能ではありません。手持ちの回線の中で、配分を変える機能です。

そのため、同時に走っている通信が1つしかないのに遅い、という状況では効果がありません。

⚠ 「1人で使っているから関係ない」とは限りません。1台でも、クラウドへの同期を走らせながら会議をすれば取り合いは起きます。人数ではなく、同時に動いている通信の数で考えてください。

QoSでできること

机に座り、モニターで猫の動画を見ている人物のイラスト(QoSでできることの節の扉絵)

優先順位をつけることで、次のような調整ができます。いずれも同時に複数の通信があるときに意味を持ちます。

オンライン会議やIP電話の音声を優先する

音声は、少しでも届くのが遅れると会話として成立しなくなります。優先度を上げておくと、ほかの通信が混んでいるときでも先に通されます。

音声が途切れる原因は「遅い」ことよりも、届く間隔がばらつくこと(ジッター)と、途中で取りこぼされること(パケットロス)にあります。QoSは、混雑した機器の中で音声を先に通すことで、どちらも起きにくくする方向に働きます。

ただし、ひかり電話のように固定電話の番号をそのまま使うタイプは、はじめから音声が優先される作りになっています。この場合、自分でQoSを設定する場面は少なくなります。

動画が途中で止まるのを減らす

動画は少し先まで貯めながら再生しているため、音声ほど遅れに弱くはありません。それでも、家族の誰かが大きなダウンロードを始めたときに、画質が落ちたり止まったりするのを減らせます。

オンラインゲームの反応を安定させる

ゲームは、送るデータの量は多くありませんが、反応の速さが重要です。ほかの通信の後ろに並ばされると、その待ち時間がそのまま操作の遅れになります。優先しておくと、この待ち時間を減らせます。

特定の通信の使いすぎを抑える

逆の使い方もあります。大量のデータをやり取りする通信に上限を設けて、ほかの通信の邪魔をしないようにする方法です。バックアップや大きなファイルの同期などが対象になります。

QoSの種類

虫めがねから3本の線が枝分かれし、それぞれ箇条書きの記号につながっている線画アイコン(QoSの種類の節の扉絵)

やり方は大きく2通りあり、それぞれ効き方が違います。家庭用ルーターでは、どちらか、または両方が使えます。

帯域制御 — 使える量に上限を決める

特定の機器や通信に対して、「ここまで」という量の上限を決める方法です。1台が回線を占領するのを防げます。

ただし、上限を決めるということは空いているときも制限がかかるということです。誰も使っていない時間帯でも、その機器は上限までしか出せません。

優先制御 — 順番を入れ替える

通信の種類に応じて順番をつけ、優先度の高いものから先に送り出す方法です。混んでいないときは全員がふつうに通れるので、こちらのほうが無駄がありません。

家庭用ルーターで「ゲーム優先」「動画優先」といった設定が用意されているのは、たいていこの方式です。

どちらを使うか(有線と無線での効き方の違い)

困っているのが「特定の1台が回線を食いつぶす」ことなら帯域制御、「大事な通信だけ守りたい」なら優先制御です。

もうひとつ、知っておくと迷いが減ることがあります。Wi-Fiの区間では、別の仕組みが働いています。無線には WMM(IEEE 802.11e にもとづく仕組み)というものがあり、音声・映像・通常・低優先の4つに分けて電波を出す順番を調整します。

ここで大事なのは、受け取る側の機器が対応していないと効かないということです。ルーター側だけを設定しても、古いパソコンやプリンターには届きません。有線でつないだ機器に比べて、無線は思ったとおりに効かないことがあると考えておいてください。

なお、これらはルーターの設定画面から有効にします。項目の名前や場所は機種ごとに違うので、手順はお使いのルーターの説明書やメーカーのサポートページで確かめてください。当サイトでは、機種によって変わる画面の手順は扱いません。

QoSが効く場面と、効かない場面

人物がボードの前で図を指し示している線画アイコン(効く場面と効かない場面の節の扉絵)

ここがこの記事でいちばん大事なところです。QoSはルーターが自分の手持ちの帯域を配分する仕組みなので、配分しても足りない状況では何も解決しません

状況QoSは効くか
家族が同時に使うと、会議や動画が乱れる効く。まさにこのための機能
1台が大きなダウンロードを始めると、他が止まる効く
自分1人しか使っていないのに遅い効かない。配分する相手がいない
夜になると家じゅうが遅くなる効かないことが多い。原因が家の外にある場合、家の中で順番を変えても届く量は増えない
有線が100Mbpsで止まっている効かない。機材が上限を決めている
受け取る側(下り)が重い効きにくい。下記のとおり、確実に効くのは自分が送り出す側

とくに間違えやすいのが、下から2つめの「夜だけ遅い」です。この症状は、家の外(事業者の設備)が混んでいることが原因の場合があり、そのときはQoSでは改善しません。回線への入り方を見直すほうが効くことがあります。

「機材が上限を決めている」場合も同じです。QoSを設定する前に、どこで止まっているのかを確かめるほうが近道になります。

最後の行の「受け取る側(下り)」については、もう少し説明が要ります。

上り(送る側)のほうが確実に効く

ルーターが順番を決められるのは、これから送り出すデータです。自分の家から外へ出ていく通信(上り)は、ルーターの中で並べ替えてから送り出せます。

いっぽう、外から入ってくるデータ(下り)は、ルーターに届いた時点ですでに順番が決まっています。手元で並べ替えても、混み合った区間はもう通り過ぎた後です。

そのため、機種によっては上り方向にしか設定項目が無いことがあります。「設定したのに動画の止まりが直らない」というときは、この違いが理由かもしれません。

QoSのメリット・デメリット

QoSには、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット
  • 混んでいるときに、大事な通信だけを守れる。
  • 快適なインターネット利用ができる。
  • 特定の通信の優先制御が可能になる。
  • 回線を増やさずに、いまの契約のままで改善できる。
デメリット
  • 設定が難しい場合がある。
  • 設定を誤ると逆効果になる可能性がある。
  • 優先しなかった通信は、そのぶん遅くなる。
  • 原因が家の外にあるときは効果がない。
  • ルーターに機能が無いことがある(購入前に確認が要る)。
  • 送り出す側(上り)ほどには、受け取る側(下り)に効かない。

3つめの「優先しなかった通信は、そのぶん遅くなる」は見落とされがちです。QoSは順番を入れ替えているだけなので、誰かを先に通せば、誰かは後になります。家族で使っている回線なら、この点を共有しておくと後の不満になりません。

設定を誤ると逆効果になる、というのも同じ理屈です。よく使う通信を後回しに設定してしまうと、かえって遅く感じることになります。変更したら、しばらく使ってみて元より良くなったかを確かめてください。

まとめ

  • QoSは、通信に優先順位をつけて大事なものから先に通す仕組み。回線が太くなるわけではない
  • 方式は帯域制御(量に上限)と優先制御(順番を入れ替え)の2通り
  • ✅ 効くのは同時に複数の通信が取り合っているとき(人数ではなく通信の数)
  • ⛔ 効かないのは1人しか使っていないのに遅い/夜だけ遅い/機材が上限になっているとき
  • 優先した裏で後回しになる通信がある。設定したら、良くなったかを確かめる

「遅い」と感じたとき、いきなり設定を触るより、取り合いが起きているのか、そもそも足りていないのかを見分けるほうが先です。QoSが役に立つのは前者の場合だけです。

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