LANとは?どこまでが自分のネットワークかをわかりやすく解説

4 min 5,385 views

いまこのページを、家のWi-Fiで読んでいるとします。そのとき、あなたの手元の端末はすでにLANの中にいます

LANは、機器を買ってきて構築する特別なものではなく、ルーターをつないだ時点で家の中にできあがっているものです。

この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、LANとは何を指す言葉なのか、自分の家ではどこからどこまでがLANなのか、そして「LANは速くて安全」という説明をどこまで信じてよいのかを解説していきます。

LANとは? 建物の中でつながっている範囲

1台のパソコンから枝分かれして2台のパソコンにつながっている、小規模なネットワークの線画イラスト(LANとはの節の扉絵)

LANとは、Local Area Network(ローカル・エリア・ネットワーク)の略です。日本語では「構内ネットワーク」と呼ばれます。読み方は「ラン」です。

自宅やオフィス、学校など、限られた範囲の中で機器どうしをつないだネットワークのことを指します。

「限られた範囲」というのは、だいたい1つの建物の中だと考えてください。家なら家1軒、会社ならフロアや建物1つぶんです。それを超えて街や国をまたぐ広いネットワークは、LANではなくWAN(広域ネットワーク)と呼び分けます。

自分の家では、どこからどこまでがLANなのか

机や本棚、観葉植物が並ぶオフィスの一室を斜め上から見たイラスト(どこまでがLANかの節の扉絵)

言葉の意味だけではぼんやりしているので、実物で線を引いてみます。

家の中のLANの範囲

ルーターより内側が、すべてLANです。

Wi-Fiでつないでいるスマートフォン、パソコン、テレビ、ゲーム機、スマートスピーカー。ケーブルでつないでいるプリンターやレコーダー。これらは全部、同じLANの中にいます。

ルーター自身は、内でも外でもありません。内と外にまたがって置かれ、あいだのやり取りを取り次いでいる機器です。

意外に思われるかもしれませんが、Wi-Fiでつないでいる機器もLANの一部です。「LAN=ケーブルでつなぐもの」という印象がありますが、電波でつないでいるものは無線LANと呼ばれ、こちらもLANです。

一度、家の中でネットにつながっているものを数えてみてください。スマートフォン、パソコン、テレビ、ゲーム機……と数えていくと、思ったより多いはずです。その全部が、1つのLANの中にいます。

そして、そのLANの出口に立っているのがルーターです。ルーターの向こう側から先は、もう自分の持ち物ではありません。

LANを作っている機器は3種類

LANの中には、役割の違う機器が3種類あります。

  • ルーター … 外との出入り口。1本の回線を家じゅうで分け合えるようにする
  • ハブ(スイッチングハブ) … LANケーブルの差込口を増やす。届いたデータを宛先の機器だけに渡す
  • 無線アクセスポイント … Wi-Fiの電波を出す

家庭では、この3つをWi-Fiルーター1台が兼ねていることがほとんどです。「ハブを買った覚えがない」のは、ルーターの背面に並んだLANの穴がその役目をしているからです。差込口が足りなくなったときに、はじめてハブを足すことになります。

LANがあると何ができるのか

4人が色とりどりの大きなパズルのピースを組み合わせているイラスト(LANでできることの節の扉絵)

LANを作る目的は、大きく2つに分けられます。

① 1本の回線を、家じゅうの機器で分け合える

ふだんいちばん恩恵を受けているのは、こちらです。

契約している回線は1本しかありません。それなのに、家族4人がそれぞれのスマートフォンで別々の動画を見られます。LANが1本の回線を分け合う仕組みを作っているからです。

この分け合いを実際に取り仕切っているのはルーターで、機器ごとに家の中だけで通じる番号(プライベートIPアドレス)を配り、外とのやり取りを取り次いでいます。

② 機器どうしが、直接やり取りできる

もう1つは、インターネットを経由せずに、家の中の機器どうしでやり取りできることです。

  • パソコンやスマートフォンから、離れた部屋のプリンターで印刷する
  • スマートフォンの画面や動画を、テレビに映す
  • レコーダーで録った番組を、別の部屋のテレビやタブレットで見る
  • 家族で使うファイル置き場(NAS)に、写真をまとめて保管する

どれも、同じLANの中にいる機器どうしだからできることです。外出先のスマートフォンから家のプリンターで印刷できないのは、そのスマートフォンが家のLANの外にいるからです。

有線LANと無線LAN、2つのつなぎ方

二手に分かれた道の前で人が立ち止まり、頭上に電球が浮かんでいるイラスト(有線LANと無線LANの節の扉絵)

LANの中での機器のつなぎ方は、2種類あります。どちらか一方ではなく、1つの家の中に両方が混ざっているのがふつうです。

 有線LAN無線LAN(Wi-Fi)
つなぐものLANケーブル電波
向いている機器動かさないもの(デスクトップパソコン、テレビ、ゲーム機)持ち歩くもの(スマートフォン、ノートパソコン、タブレット)
置き場所ケーブルが届く範囲にかぎられる電波が届けばどこでもよい
通信の安定まわりの影響を受けにくい壁や他の電波の影響を受けることがある

有線LAN

LANケーブルで機器とルーターをつなぐ方法です。線を挿す手間はありますが、途中に電波の乱れが入らないぶん、通信が安定しやすくなります。

ただし、ケーブルなら必ず速いというわけではありません。古い規格のケーブルや、古い機器の差込口が混じっていると、そこで頭打ちになります。

無線LAN(Wi-Fi)

電波で機器とルーターをつなぐ方法です。線が要らないので置き場所を選ばず、いまは家庭のLANの大部分がこちらになっています。

そのぶん、電波が届く範囲では誰でも受け取れる状態にあります。だからWi-Fiにはパスワード(暗号化キー)が設定されていて、知らない人がつなげないようになっています。

「LANは速くて安全」をそのまま受け取らない

赤色と灰色の2つの書類を、虫めがねで見比べているイラスト(LANは速くて安全かを確かめる節の扉絵)

LANの説明では、たいてい「高速で安定していて、セキュリティも高い」と書かれています。当サイトでは、この言い方をおすすめしていません。どちらも条件つきだからです。

速さは、いちばん遅いところで決まる

かつては外につながる回線が細かったので、家の中のほうが速いのが当たり前でした。その時代の説明が、いまも残っています。

現在は、外の回線が1Gbps(1000Mbps)という家も珍しくありません。いっぽうで、家の中の有線LANが100Mbpsで止まっていることがあります。古いケーブルや古い差込口が1か所でも混じっていると、そこが上限になるからです。

つまり「LANだから速い」とは限らず、速さは経路のいちばん遅いところで決まります。遅いと感じたときに家の中を疑えるかどうかで、原因にたどり着く早さが変わります。

守っているのは、LANではなくルーター

「LANの中だから安全」という言い方も、正確ではありません。

たしかに、家の中の機器は外から直接名指しされにくくなっています。ただしそれは、LANを作ったからではありません。IPv4という従来の方式で外に出ている場合、ルーターがアドレスを付け替えている(NATと呼ばれる仕組み)ことの副産物としてそうなっています。しかも守っているのは通信の向きだけで、中身の良し悪しまでは見ていません。

新しいIPv6で外に出ている家では、この付け替えが起きないことがあります。その場合は別の仕組みが守りを受け持つので、「LANの中だから安全」とは、なおさら言えません。

自分から外へ出ていく通信は、ふつうに通ります。だからLANの中にいても、あやしい添付ファイルを開けば被害は起きますし、家族の1台がウイルスに感染すれば、同じLANの中にいる他の機器が狙われることもあります。

覚えておきたい線引き

LANは、速さと安全を約束する仕組みではありません

機器どうしをつないで、1本の回線を分け合うための土台です。速さは使っている機材で決まり、守りはルーターやセキュリティ対策ソフトが受け持ちます。

まとめ

数人が大きな電球を囲んで見上げているイラスト(まとめの扉絵)
  • LANは建物の中でつながっている範囲のネットワーク。ルーターより内側が全部LAN
  • Wi-Fiでつないでいる機器もLANの一部(無線LAN)
  • できることは2つ。1本の回線を分け合うことと、機器どうしが直接やり取りすること
  • 「LANは速い」は条件つき。速さは経路のいちばん遅い場所で決まる
  • 「LANは安全」も条件つき。守っているのはルーターの仕組みであって、LANそのものではない
  • LANを作っているのはルーター・ハブ・無線アクセスポイントの3種類。家庭ではWi-Fiルーター1台が兼ねている

LANという言葉を覚えること自体が目的ではありません。自分の家のどこまでが自分の領域なのかが分かると、調子が悪いときに手の出しどころが見えてきます。

カテゴリー:
関連記事