WANとは?仕組みと種類|事業者が用意している外側のネットワーク

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ルーターの背面や、インターネットの契約書類に「WAN」という3文字が出てきます。

読み方は「ワン」。LANと並べて説明されることが多い言葉ですが、LANと大きく違う点があります。その設備は自分の持ち物ではなく、手を入れることができないということです(どの回線を契約するかは選べます)。

この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、WANとは何を指しているのか、いまの日本の家庭や会社では何がWANになっているのかを解説していきます。

WANとは? 建物の外に広がるネットワーク

雲と地球のアイコンを中心に、4台のパソコンが線でつながっている広域ネットワークの線画イラスト(WANとはの節の扉絵)

WANとは、Wide Area Network(ワイド・エリア・ネットワーク)の略です。日本語では「広域ネットワーク」と呼ばれます。

離れた場所にあるネットワークどうしを結ぶ、広い範囲のネットワークのことを指します。

「広い」がどのくらいかというと、街から街、県から県、国から国という規模です。建物の中で完結するLAN(構内ネットワーク)と対になる言葉として使われます。

いちばん身近なWANは、インターネットです。世界中のネットワークがつながってできた、地球上でもっとも大きなWANといえます。

LANとの境目がどこにあるのかは、こちらで扱っています。

WANは誰が用意しているのか

机やモニターの並ぶオフィスで、3人がノートパソコンや資料を見ているイラスト(WANは誰が用意しているのかの節の扉絵)

WANという言葉を理解するうえで、範囲の広さより役に立つ見方があります。誰が用意して、誰が直しているかという見方です。

家の中のLANは、自分で作ったものです。ルーターを買い、ケーブルを挿し、Wi-Fiの名前を決めました。だから調子が悪ければ、自分で挿し直したり買い替えたりできます。

WANは違います。電柱の上を通る線も、道路の下に埋まっている線も、その先にある交換設備も、すべて通信事業者が敷いて、事業者が保守しているものです。

ですから、WAN側で起きた不具合に対して私たちができるのは、状況を確かめて連絡することだけです。逆にいえば、WAN側だと分かった時点で、自分で何時間も調べる必要はなくなります

どこまでが自分の側で、どこからが事業者の側なのか。その境目は、ルーターの背面にある穴として目に見える形で存在しています(上で紹介した記事で扱っています)。

WANの種類 — 家庭のWANはいま何でできているのか

赤色と灰色の2つの書類を、虫めがねで見比べているイラスト(家庭のWANの種類を見比べる節の扉絵)

家庭から外へ出ていく道には、いくつか種類があります。契約するときに選んでいるのは、この部分です。

種類何を使って外とつながるかいまの位置づけ
光回線(FTTH)光ファイバー固定回線の主流
モバイル回線携帯電話の電波スマートフォンのほか、ホームルーターでも使われる
ケーブルテレビ回線テレビ用の同軸ケーブルテレビとまとめて契約している家庭で使われる
衛星回線人工衛星ほかの回線が届きにくい場所や、船舶などで使われる
ADSL電話線提供が終了した(下記)

いまの主流は光回線(FTTH)

総務省の令和7年版 情報通信白書によると、「2024年末の固定系ブロードバンドの契約数は4,699万」で、その内訳を示す図表ではFTTH(光回線)が4,090万契約となっています。

固定回線の契約のうち、9割近くが光回線という計算になります。家の壁から外へ出ていく線は、いまはほとんどが光ファイバーです。

線を引かないWANもある(モバイル回線)

スマートフォンが外とやり取りするとき、線は使っていません。携帯電話の電波で基地局まで飛ばし、その先は事業者の設備を通っていきます。これもWANです。

コンセントに挿すだけで使えるホームルーターも、同じ仕組みで外とつながっています。工事が要らないのは、家の外に線を引く作業が発生しないからです。

ADSLは、すでに終了している

電話線を使ってインターネットにつなぐADSLは、長いあいだ家庭の主役でした。いまは選べません。

NTT東日本は2023年4月の報道発表で、「フレッツ・ADSL」について「2025年1月31日(金)に本サービスの提供を終了いたします」と告知しました。

終了の日付は東西で違います。NTT西日本は同じ日の報道発表で、「フレッツ光」提供エリアでの提供を2023年1月31日に終了したうえで、未提供エリア等についても「2026年1月31日(土)をもって、サービス提供を終了いたします」としています。新規の申し込み受付は、東西とも2023年7月末で終わりました。

数のうえでも、役割を終えたことがはっきり出ています。先ほどの白書の図表で、電話線を使う回線(DSL)の契約数は2018年の182万から、2024年末には4万まで減りました。

古い解説を読むときの注意

ネットワークの解説記事には、WANの種類としてADSLを挙げているものがまだ残っています。書かれた時期が古いだけで、間違いだったわけではありません。

ただし、これから契約する回線を選ぶときの参考にはなりません。いつ書かれた記事かを確かめるクセをつけておくと、こうした食い違いに気づけます。

会社のWANは、拠点と拠点を結ぶ

ここまでは家庭の話でしたが、WANという言葉が本来の意味で使われるのは、会社のネットワークの場面です。

「WAN=インターネット」なのか

解説によって「WANはインターネットのこと」とも「WANとインターネットは別物」とも書かれていて、迷うところです。これは同じ言葉が2つの場面で使われているためです。

家庭で言うWAN … ルーターの外側、つまりインターネット側を指すことがほとんど(ルーターの「WAN」の穴もこの意味)

企業で言うWAN … 拠点どうしを結ぶ回線を指し、インターネットを通らない専用の網であることも多い

どちらが正しいという話ではありません。どちらの場面の話なのかで読み分けてください。

本社と支店、店舗と本部、工場と事務所。離れた拠点にあるLANどうしを結んで、1つの社内ネットワークのように使えるようにするのが、企業でいうWANです。

結び方にはいくつかの方式があり、専用の回線を借りるもの、通信事業者の網を通すもの、インターネットの上に暗号化した通り道を作るもの(VPN)などがあります。銀行のATMが本部のシステムと通信できるのも、こうした仕組みがあるからです。

いずれの方式でも、契約するのは会社で、線や設備を持っているのは通信事業者です。

ただし、壁のLANポートの先がすぐ事業者になるわけではありません。その先にはまだ、会社が用意した配線やスイッチ、ルーターが続いています。そこを抜けたところから事業者の領域です。

オフィスで働く一人ひとりから見れば、どちらも自分では触れない場所です。ただし頼む相手が違います。会社の設備なら情報システムの担当者、そこから先なら担当者を通して事業者へ、という順になります。小さな会社で担当者がいなければ、その役を誰かが引き受けることになります。

WANについて、自分でできること・できないこと

頭上にはてなマークを浮かべて考え込んでいる人物のイラスト(自分でできること・できないことの節の扉絵)

WANは事業者の領域なので、できることは限られます。それでも、何もないわけではありません。

自分でできること
  • 契約する回線の種類を選ぶ(光回線か、モバイル回線か)
  • 回線への入り方(PPPoEかIPoEか)の見直しを申し込む
  • 事業者が出している障害情報・工事情報を確認する
  • 不調がWAN側かLAN側かを切り分けて、連絡先を選ぶ
自分ではできないこと
  • 事業者側の機器や線に手を入れる
  • 契約している以上の速さを出す
  • 障害が直るのを早める

2つめの「回線への入り方」は、聞き慣れない方も多いところです。同じ光回線でも、事業者の網に入る方式が2通りあり、夜だけ極端に遅くなる家では、こちらの見直しで改善することがあります。

ただし、「速くならないから解約する」と決める前に、遅さの原因が本当にWAN側なのかを確かめるほうが先です。家の中の機器や配線が上限になっていることは、実際によくあります。

会社の回線だと、連絡先を選ぶところがもう少し複雑になります。回線・プロバイダ・社内の機器で持ち主が違うためで、その分け方は会社のネットが遅いと言われたときの連絡先の決め方にまとめました。

まとめ

  • WANは建物の外に広がる、離れた場所どうしを結ぶネットワーク。インターネットはその最大のもの
  • 用意して保守しているのは通信事業者。自分では手を入れられない
  • いまの家庭のWANは光回線が主流(固定回線4,699万契約のうちFTTHが4,090万)。ADSLはNTT東西とも提供を終了した(東日本は2025年1月末、西日本は一部エリアで2026年1月末)
  • 会社のWANは拠点どうしを結ぶもの。専用線・事業者の網・VPNなどの方式がある
  • 不調のとき大事なのは、それがWAN側の話かどうかを見分けること

WANは、ふだん意識しないまま毎日使っている部分です。自分の手が届かない領域がどこから始まるかを知っておくと、困ったときに時間を無駄にせずに済みます。

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