ネットワークスイッチとは?初心者でもわかる基本と選び方

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インターネットを快適に使えるようになって「便利だな」と思う一方で、家の中に増えていく謎の機械たち。

特に「ネットワークスイッチ」という言葉を耳にしたとき、「それって何?必要なの?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ネットワークに詳しくない方でも理解できるよう、ネットワークスイッチの基本から選び方まで、わかりやすく解説します。

ネットワークスイッチとは?

ネットワークスイッチ

ネットワークスイッチとは、複数のパソコンやスマホ、プリンターなどの機器をインターネットに接続するための「分配器」のような役割を果たす機器です。

ネットワークスイッチは、1本のネットワークケーブルを複数に分岐させ、多くの機器をネットワークに接続できるようにします。

一般的に家庭やオフィスに提供されるインターネット回線は1本ですが、接続したい機器が複数ある場合、この1本を「分ける」必要があります。

たとえば、リビングにあるルーターから1本のケーブルしか出ていないけれど、パソコン、テレビ、ゲーム機など複数の機器をインターネットに接続したい場合に役立ちます。

ネットワークスイッチは、複数の機器をインターネットに「有線接続」するために必要な「分岐装置」だと考えれば理解しやすいでしょう。

ネットワークスイッチとルーターの違い

ネットワークを使う人

ネットワークスイッチとルーターは似ているように見えますが、役割が異なります。

ルーターはインターネットと家庭内ネットワークを「つなぐ」装置であり、ネットワークスイッチは家庭内の機器同士を「つなぐ」装置です。

ルーターにはIPアドレスを割り当てる機能やセキュリティ機能がありますが、ネットワークスイッチにはそれらの機能はなく、単純にデータの「中継」を行います。

ルーターは「街と家をつなぐ玄関」、ネットワークスイッチは「家の中の廊下や部屋をつなぐ扉」のようなものです。

基本的には「まずルーターがあり、必要に応じてネットワークスイッチを追加する」という構成になります。

ルーターとネットワークスイッチの違いについて、もう少し詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にして下さい。

ネットワークスイッチは本当に必要?導入すべきシーンとは?

インターネットで動画を視聴する人

ネットワークスイッチはネットワークを構成する機器としてとても重要ですが、不要な場合もあります。

では、ネットワークスイッチは、どんな場合に必要なのでしょうか?

ネットワークスイッチが必要なケース

全ての家庭にネットワークスイッチが必要というわけではありません。

ネットワークスイッチが必要なのは、主に「有線接続したい機器が多い」場合です。

Wi-Fiだけで十分な家庭もありますが、安定した通信や高速通信を求める場合は有線接続が優れています。

オンラインゲームを快適にプレイしたい、4K動画をストリーミングしたい、リモートワークで大容量ファイルを頻繁にやり取りするなどの場合は有線接続が望ましいです。

接続したい有線機器の数がルーターのLANポート数を超える場合や、ルーターから遠い場所にある機器も有線接続したい場合に、ネットワークスイッチの導入を検討するとよいでしょう。

スイッチにはたくさんの機能を持ったタイプもありますが、ハブとしての機能がほしいだけならスイッチングハブを選ぶとよいでしょう。

Wi-Fiと比較したときの有線接続のメリット

なぜ有線接続にこだわる必要があるのでしょうか。

有線接続はWi-Fiに比べて「安定性」と「速度」に優れています

Wi-Fiは壁や家具などの障害物や、電子レンジなどの電波干渉によって通信品質が低下することがあります。

オンライン会議で突然フリーズする、大容量ファイルのダウンロードに時間がかかるといった問題は、有線接続により大幅に改善されることが多いです。

安定した高速通信が必要な機器は有線接続し、移動しながら使うスマホやタブレットはWi-Fiで接続するというハイブリッドな環境が理想的です。

ネットワークスイッチの選び方 – 初心者向けガイド

虫眼鏡

ネットワークスイッチと言っても機能が様々で、価格もピンキリです。

初心者の方は何を基準に選ぶべきかわからないと思いますので、選ぶ基準になるいくつかの項目を紹介します。

ポート数で選ぶ – 必要十分な数を見極める

ネットワークスイッチを選ぶ際、最も重要なのはポート数です。

ポート数は接続できる機器の数を意味します(5ポートなら5台の機器を接続可能)。

少なすぎると足りなくなり、多すぎると無駄になるため、現在の機器数+将来の拡張性を考慮して選びましょう。

現在3台の機器を接続予定で、将来的にもう1〜2台増える可能性があるなら、5〜8ポートのモデルが適切です。

家庭用なら5〜8ポート、小規模オフィスなら8〜16ポートが一般的です。

速度規格で選ぶ – 「Gbps」の意味を理解する

ネットワークスイッチには速度の規格があります。

現在の主流は「1Gbps(ギガビット)」と「10Gbps」です。

1Gbpsは一般家庭向け、10Gbpsは大容量データを扱うプロ向けや将来性を重視する場合に選ばれます。

通常のインターネット利用、動画視聴、オンラインゲームなら1Gbpsで十分です。

4K/8K動画の編集・共有や、大規模なデータバックアップを行う場合は10Gbpsを検討する価値があります。

初心者の方は予算を抑えた1Gbpsモデルから始めるのがおすすめです。

管理機能の有無 – 「マネージド」と「アンマネージド」

ネットワークスイッチには「マネージド」と「アンマネージド」の2種類があります。

アンマネージドは設定不要で使える簡易タイプ、マネージドは詳細設定が可能な高機能タイプです。

一般家庭ではアンマネージドで十分ですが、セキュリティや通信の優先度設定などの細かい制御が必要な場合はマネージドを選びます。

「接続するだけで使いたい」なら安価なアンマネージド、「特定の機器の通信を優先させたい」などの要望があればマネージドを検討します。

ネットワークの知識がない方は、まずはプラグアンドプレイ(接続するだけで使える)のアンマネージドタイプから始めるのが無難です。

特殊機能による分類 – 特定目的のスイッチ

高機能タイプになると様々な機能が用意されています。

初心者の方や、よくわからないという方には不要なので、機能の無い安価なタイプを選びましょう。

QoS(Quality of Service)対応スイッチ

オンライン会議など、重要な通信を優先的に扱いたいなど、通信の重要度に応じて優先順位をつけたい場合はQoS(Quality of Service)の機能が付いているタイプを選びましょう。

VLAN(Virtual LAN)対応スイッチ

物理的な接続にとらわれず、仮想的にLANを分割する機能が欲しい場合は、VLAN(Virtual LAN)の機能が付いているタイプを選びましょう。

PoE(Power over Ethernet)対応スイッチ

PoE対応であれば、ネットワークケーブルを通じて電力も供給できるスイッチです。

IPカメラや無線アクセスポイントなど、電源の確保が難しい場所に設置する機器に便利です。

監視カメラシステム、広域Wi-Fi環境、IP電話システムなどに使用されます。

一般的なスイッチより2〜3割高価です。

配線を簡素化したい場合や、電源のない場所に機器を設置したい場合に役立ちます。

レイヤー2スイッチとレイヤー3スイッチ

レイヤー2スイッチ、レイヤー3スイッチというのは、OSI参照モデルのどのレイヤーまで処理できるかによる分類です。

レイヤー2スイッチはMACアドレスベースの転送、レイヤー3スイッチはIPアドレスによるルーティングも可能です。

レイヤー2は一般的なネットワーク環境、レイヤー3は複数のサブネットを持つ大規模なネットワークで使用されます。

レイヤー3はより高価です。

複数のサブネットを接続する必要がある場合や、ルーターの負荷を分散したい場合はレイヤー3スイッチを検討しましょう。

産業用スイッチ

過酷な環境下での使用を想定した耐久性の高いスイッチです。

防塵・防水性能や広い動作温度範囲、耐振動性などに優れています。

工場、屋外設置、車両、船舶などで使用されます。

一般的なスイッチの数倍の価格になることもあります。

特殊な環境での使用や、高い信頼性が求められる場面で選択されます。

おすすめのネットワークスイッチ – 家庭用からビジネス用まで

オフィス

ネットワークスイッチの購入が初めてという方でもイメージしやすいよう、おすすめのネットワークスイッチについて説明します。

初心者向け・家庭用おすすめモデル

ネットワーク初心者の方には、次のような条件のモデルがおすすめです。

家庭用には「5〜8ポート、1Gbps、アンマネージド」のモデルが適しています。

必要十分な機能を備え、価格も手頃で、設定不要で使えるからです。

主要メーカーでは、バッファロー、TP-Link、エレコムなどの製品が人気です。

特に初心者向けモデルは1,500〜5,000円程度で購入できます。

レビューや評判を参考にしつつ、保証期間や日本語サポートがあるモデルを選ぶと安心です。

コストパフォーマンスと信頼性のバランス

当然ですが、価格だけで選ぶべきではありません。

安すぎるモデルには注意が必要です。

安価なモデルは故障率が高かったり、熱問題があったりすることがあります。

知名度の低いメーカーの激安モデルよりも、少し価格が高くても主要メーカーの標準モデルの方が長く安定して使えることが多いです。

ネットワーク機器は「家の中の道路」のようなもの。

多少投資しても信頼性の高いものを選ぶことで、快適なネットワーク環境を長く維持できます。

まとめ

ネットワークスイッチは、複数の機器をインターネットに安定して接続するための重要な機器です。

特に有線接続の恩恵を受けたい場合には、適切なネットワークスイッチの選択が重要になります。

初心者の方は「ポート数」「速度規格」「管理機能の有無」の3点を押さえて選ぶことをおすすめします。

基本的な接続は難しくなく、多くの場合「接続して電源を入れるだけ」で使えるようになります。

この記事を参考に、あなたの家庭やオフィスに最適なネットワーク環境を構築してみてください。

快適なネットワーク環境は、日々のインターネット利用をストレスフリーにし、テレワークやオンラインエンターテイメントをより楽しいものにしてくれるでしょう。

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