WEB会議が重い・音が途切れる原因は?症状別の切り分け方を解説

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「音声が途切れています」と表示された。相手から「聞こえないですよ」と言われた。

あわてて設定画面を開いてみたものの、どこを直せばいいのか分からない——WEB会議では、よくある場面だと思います。

実は、WEB会議が乱れる原因は5か所に分かれていて、そのうち自分で直せるのは一部だけです。

だからこそ、あてずっぽうに設定をいじるより、症状から原因の場所を絞り込むほうが早く終わります。

この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、症状ごとの見分け方と、効果の大きい順の対策を解説していきます。

先に結論だけ書いておきます。

  • WEB会議が使う通信量は、思っているより桁違いに小さいです。光回線なら、契約そのものが原因であることは多くありません
  • 見るべきは、速度テストで大きく出る「下り」ではなく「上り」のほうです
  • 誰の声が乱れるかで、原因が自分側にあるのか相手側にあるのかは、ほとんど判別できます

WEB会議が重くなる原因は5つの場所にある

WEB会議が乱れる原因は5つの場所に分かれる。自分の端末、自分の回線とWi-Fi、インターネットの経路、会議サービス、相手の環境。

WEB会議の音声と映像は、自分のパソコンを出てから相手のパソコンに届くまで、いくつもの場所を通ります。

どこか1か所でも詰まれば、会議は乱れます。まず、その場所を並べてみましょう。

どこ具体例自分で直せるか
① 自分の端末パソコンの負荷、マイク、ワイヤレスイヤホン直せる
② 自分の回線・Wi-Fi電波の弱さ、同居者の利用、上りの混雑直せる
③ インターネットの経路会社のVPN、途中の混雑相談すれば動くことがある
④ 会議サービスサービス側の障害直せない
⑤ 相手の環境相手のWi-Fi、相手のパソコン直せない

注目してほしいのは、下の2つには自分では手が出せないという点です。相手のWi-Fiが弱いせいで声が途切れているとき、こちらがどれだけ設定を変えても直りません。

ですから最初にやるべきは、設定をいじることではなく、原因が自分側にあるのか相手側にあるのかを見分けることです。そしてそれは、症状を見ればだいたい分かります。

症状からWEB会議の原因を絞り込む

症状から原因を絞り込む対応表。自分の声だけが乱れるなら上り、特定の1人だけなら相手、映像だけ荒れるなら通信量、音だけ途切れるなら取りこぼし。

会議中にそのまま引けるよう、症状の側から並べました。

症状疑うところ
相手から「あなたの声が途切れる」と言われる自分の上り、または手元の機材
特定の1人の声・映像だけが乱れるその人の環境の可能性が高い
参加者全員が同じように乱れる自分側(端末・回線・経路)、または会議サービス側
音は普通なのに、映像だけ止まる・粗くなる通信量が足りていない
映像は普通なのに、音だけブツブツ切れる取りこぼしとゆらぎ
会議から何度も落ちるファイアウォールやプロキシ

自分の声だけが届かないなら、疑うのは「上り」

自分が話しているときだけ相手に届かない。これは、送り出す側が細っているサインです。

インターネットの通信には、受け取る向き(下り)と送り出す向き(上り)があります。

動画やWebページを見るときに使うのは、ほとんどが下りです。ところがWEB会議では、自分の声と映像を送り続けます。上りも同じくらい使うのです。

速度テストの結果を見るとき、大きく表示されるダウンロードの数字ばかり見ていないでしょうか。会議で効くのは、その下に小さく出ているアップロードのほうです。

クラウドへの写真のバックアップ、大きなファイルの送信、動画のライブ配信。こうしたものが同時に動いていると、上りは簡単に埋まります。

上りそのものの読み方——なぜ下りより細いのか、いくつあれば足りるのか、何が埋めているのか——は上り(アップロード)速度の記事にまとめています。

全員が乱れるのか、1人だけかを確かめる

複数人の会議なら、これがいちばん手早い切り分けです。声でも映像でも同じように使えます。

特定の1人だけが乱れるなら、その人の環境である可能性が高いでしょう。こちらにできるのは「電波の良いところに移動してみてください」と伝えるくらいです。

ただし自分の下りが細っているときも、よく話す人ほど乱れて見えます。会議サービスは、話している人の音声と映像を優先して届けるからです。何人か試して同じ人だけが乱れるなら、その人の環境と考えてよいでしょう。

反対に参加者全員が同じように乱れるなら、自分側か会議サービス側です。サービス側の障害は各社が稼働状況のページを公開しています(「Zoom Service Status」「Microsoft 365 サービス正常性」などの名前で探せます)。そこに何も出ていなければ、自分側を疑うことになります。

音は平気で映像だけ荒れるなら、通信量が足りていない

Microsoftは、Teamsの公式ドキュメントで「帯域が足りないときは、ビデオの品質よりも音声の品質を優先する」と明記しています。

つまり通信量が足りなくなると、まず映像から犠牲になるのです。Teamsは、会話が成り立つことを最優先に作られています。

この性質は、逆向きにも使えます。

  • 音は普通なのに映像だけカクつく → 通信量が足りていない。回線や混雑を疑う
  • 映像は普通なのに音だけ途切れる通信量の問題ではない。別のものを疑う

2つ目のときに疑うのが、次の項目です。

ロボットのような声は、取りこぼしとゆらぎのサイン

同じドキュメントで、Microsoftは症状と原因の対応も書いています。

  • 動作が重い → 通信量が足りていない可能性
  • 通話が落ち続ける → ファイアウォールやプロキシに止められている可能性
  • ブツブツ切れる、ロボットのような声になるゆらぎか取りこぼしの可能性

取りこぼしはパケットが途中で失われることで、パケットロスと呼びます。音声なら、その一瞬が丸ごと欠けて聞こえます。

ゆらぎは、届くタイミングがばらつくことです。平均は同じでも、ときどき大きく遅れる回線のほうが、会話は聞き取りにくくなります。

「聞こえてはいるのに、聞き取れない」という状態は、たいていこの2つが原因です。回線の速さとは別のところで起きているので、プランを上げても直りません。

何度も会議から落ちるときは、通信そのものが止められている

音が乱れるのではなく、接続そのものが切れて会議から追い出される。これは別の原因です。

Microsoftが挙げているとおり、通していい通信を仕分けるファイアウォールプロキシが、会議の通信を止めていることがあります。

会社から貸与されたパソコンで頻発するなら、自分では直せません。情報システムの担当者に「会議アプリの通信がブロックされていないか」と伝えてください。自宅の機器で起きているなら、ルーターの再起動から試します。

WEB会議に必要な回線速度はどれくらい?

WEB会議が必要とする通信量の比較。音声だけなら0.1Mbps未満、映像つきでも数Mbpsで、契約している光回線とは桁が違う。

「回線が遅いせいでは」と考えて、契約プランを調べ始める方は多いと思います。

その前に、WEB会議が実際にどれだけの通信量を使うのか、各社が公式に示している数字を見てみましょう。

サービス音声だけ映像つきの会議(送り出す側)
Microsoft Teams58kbps2.5Mbps(推奨値)
Zoom60〜80kbps2.6Mbps(グループ・720p)
Google Meet12kbps1Mbps(大規模組織での平均)

出典は各社の公式ドキュメントです(TeamsZoomGoogle Meet)。

kbpsはMbpsの1000分の1です。音声だけの通話なら、多くても0.08Mbps程度しか使っていません

映像つきでも数Mbps。Microsoftは「Teamsは1.5Mbps未満でもHD画質を届けられる」とも書いています。

いっぽう、いまの光回線は100Mbpsや1Gbpsで契約している方がほとんどでしょう。会議が必要とする量とは、桁が違います

「WEB会議には10Mbps以上必要」と書かれた記事も見かけますが、公式の数字はこのとおりです。速度の単位についてはbpsの記事でくわしく解説しています。

ただし、表の数字は送り出す側(上り)の値です。モバイル回線・テザリング・CATVの回線は、規格の上で上りが下りより細くなっています集合住宅のVDSLも同様です。速度テストでアップロードの数字も確かめておきましょう。

目安としては、上り3Mbps・下り4Mbpsを安定して出せていれば、映像つきの会議は足ります(上の表でいちばん大きい数字から見た値です)。

海外のサービスだから遅い? 距離は原因になりにくい

「海外のサービスだから遅いのでは」と思われるかもしれません。筆者の環境から各社のサイトまで往復時間を測ってみたところ、Teamsが8ミリ秒、Zoomが8ミリ秒、Google Meetが16ミリ秒でした(測り方は最後の章で説明します)。

いずれも国内から応答が返ってきている数字です。距離が会議を乱している、とは考えにくいでしょう。

なお、ここで測っているのは各社のWebサイトの入口までで、会議の音声や映像が実際に通るサーバーとは別です。あくまで目安として見てください。

回線の速さ(Mbps)と、往復にかかる時間は別のものさしです。この違いは、次の記事でくわしく解説しています。

WEB会議を安定させる対策(効く順)

WEB会議を安定させる対策を効く順に並べた図。上位4つは、有線接続、上りを空ける、カメラを切る、使っていないアプリを閉じる。

効果の大きい順に並べました。上から順に試して、直った時点でやめて構いません。

「回線が原因とは限らない」と書いたのに、上位が回線まわりなのを不思議に思うかもしれません。契約の太さ(Mbps)と、Wi-Fiのゆらぎや上りの混み具合は別のものです。プランを上げても後者は変わりませんが、つなぎ方を変えれば後者は変わります。

  1. STEP

    有線でつなぐ

    多くの場合、これがいちばん効きます。LANケーブルでつなぐと、ゆらぎが減ります。ケーブルが引けないなら、ルーターに近づく、あるいは5GHzの電波を選んでください。Microsoftも、リアルタイムの音声・映像には5GHz帯のほうが向いていると書いています。

  2. STEP

    上りを空ける

    会議の前に、大きなファイルの送信やクラウドの同期を止めます。同居者がいるなら、動画のアップロードを控えてもらうと確実です。「自分の声が届かない」と言われたときは、まずここを疑ってください。

  3. STEP

    カメラを切る・背景ぼかしを外す

    映像を止めれば、送る量は一気に減ります。前掲の表のとおり、音声だけなら必要な通信量は数十分の一です。背景ぼかしやバーチャル背景はパソコン側の処理を使うので、外すだけで軽くなることもあります。

  4. STEP

    使っていないアプリとタブを閉じる

    会議アプリは、音声と映像をその場で圧縮しながら送っています。パソコンが手一杯だと、その処理が追いつかずに声が途切れます。ブラウザのタブを何十枚も開いていないか、裏で重い作業が動いていないかを見てください。会議アプリ自体を最新版にしておくのも効きます。

  5. STEP

    ワイヤレスイヤホンを有線に替える

    Bluetoothのイヤホンは、音を圧縮して電波で送る分だけ遅れが出ます。その遅れはコーデック(音の圧縮方式)によって変わり、回線とはまったく別のところで起きています。回線をいくら調べても直りません。

  6. STEP

    会社のVPNを通しているなら相談する

    MicrosoftはTeamsの通信をVPNの外へ逃がすこと(スプリットトンネル)を推奨しています。理由は、VPNが多くの場合、リアルタイムの音声・映像を運ぶようには作られていないからです。これは自分では変えられないので、情報システムの担当者に伝えてください。

それでも直らないときは? 回線の状態を数字にして伝える

相談するときに伝える3つの数字。平均の往復時間、最小と最大の開き、損失の割合。

その前に、会議アプリ自身が持っている画面を見てみてください。Zoomには設定から開ける「統計情報」という画面があり、音声・映像・画面共有それぞれの遅延・ゆらぎ(ジッター)・パケットロスを表示できます。会議の最中に開けるので、乱れているその瞬間の数字が見られます

ここまで試しても直らないなら、原因は自分の手が届かない場所にあります。

そのときは、自分の回線がどんな状態なのかを数字にして渡すと、話が早く進みます。使うのはpingというコマンドです。

Windowsなら、スタートメニューで「cmd」と入力してコマンドプロンプトを開きます。Macなら「ターミナル」です。そこに次のとおり打ち込んでください。

自分の回線の状態を20回ぶん測る
ping -n 20 teams.microsoft.com

宛先はふだん使っている会議サービスの名前で構いません。Macでは -n 20 ではなく -c 20 と書きます。

筆者の環境で実行した結果です(応答の行は長いので、最初と最後だけ載せています)。

tmc-g2.tm-4.office.com [52.123.254.158]に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
52.123.254.158 からの応答: バイト数 =32 時間 =11ms TTL=242
52.123.254.158 からの応答: バイト数 =32 時間 =9ms TTL=242
(中略)
52.123.254.158 からの応答: バイト数 =32 時間 =8ms TTL=242

52.123.254.158 の ping 統計:
  パケット数: 送信 = 20、受信 = 20、損失 = 0 (0% の損失)、
ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
  最小 = 8ms、最大 = 11ms、平均 = 8ms

1行目に出るホスト名が、打ち込んだものと違うことがあります(上の例もteams.microsoft.comと打って別の名前が返っています)。これは正常なので気にしないでください。

最後の3行が、伝えるべき数字です。

  • 平均の往復時間 — いつもと比べて大きいか
  • 最小と最大の開き — これがゆらぎにあたります
  • 損失の割合 — これが取りこぼしにあたります

「会議が重いです」と伝えるより、この3つの数字を添えるほうが、担当者は原因にたどり着きやすくなります。

パケットロスとゆらぎは、どこまでなら大丈夫?(国際規格の目安)

測った数字が良いのか悪いのか、判断できないと困ります。ここでも根拠のはっきりした目安があり、国際的な通信規格を決めているITU-T(国際電気通信連合の部門)のG.1010という勧告が、用途ごとの許容量を示しています。

用途取りこぼしの目安
音声の通話3%未満
映像つきの会議1%未満

2001年の勧告で、双方向のテレビ電話を想定した値ですが、いまも通信の品質を語るときの基準として使われています。

注目したいのは、映像つきのほうが厳しいことです。音声は多少欠けても前後から補えますが、映像は崩れがそのまま目に見えてしまいます。

同じ勧告は、口の動きと声のズレは80ミリ秒以内を目標としています。1ミリ秒は1000分の1秒ですから、0.08秒です。ズレに気づかれないための、設計上の目標として置かれた値です。

損失が0%だったなら、少なくとも測った経路では取りこぼしが起きていないことが分かります。

それでも乱れるなら、次に疑うのは最小と最大の開き(ゆらぎ)上りの詰まり、そしてマイク・イヤホン・パソコンの負荷といった手元の側です。この順に見ていってください。

まとめ

この記事では、WEB会議が重い・音が途切れるときに、原因をどう絞り込むかを解説しました。

あらためて要点をまとめると、次のとおりです。

  • WEB会議が使う通信量は、音声だけなら0.06Mbps程度、映像つきでも数Mbps。回線の契約が原因とは限らない
  • 見るのは下りではなく上り。相手に「聞こえない」と言われたときは、まずここを疑う
  • 特定の1人だけが乱れるならその人の環境。こちらでは直せない
  • 音は普通で映像だけ荒れるなら通信量、映像は普通で音だけ途切れるなら取りこぼしとゆらぎ
  • 効く順は、有線 → 上りを空ける → カメラを切る → アプリを閉じる → イヤホンを有線に
  • 会社のVPNを通しているなら、そこが原因のこともある。これは自分では変えられないので情報システムの担当者へ

WEB会議が乱れると、つい設定画面を開きたくなります。でもその前に、誰が・何が乱れているのかを確かめてみてください。それだけで、自分で直せる範囲かどうかの見当がつきます。

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