データ圧縮とは?可逆・非可逆の違いと見分け方をわかりやすく解説

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資料をメールで送ろうとしたら、「ファイルのサイズが大きすぎます」と表示されて送れなかった。

「圧縮すればいいと聞いてZIPにしてみたけれど、ほとんど小さくならなかった…」——そんな経験はありませんか?

実はデータの圧縮には性質の違う2種類があり、写真や動画にはZIPがほとんど効きません。

この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、2種類の圧縮の違いと、手元のファイルがどちらなのかを見分ける方法までを解説していきます。

いま送れずに困っている方のために、先に結論だけ書いておきます。

  • 圧縮には元どおりに戻せるもの戻せないものの2種類があります
  • 写真・音楽・動画はすでに圧縮された状態で保存されているので、ZIPにしても小さくなりません
  • 小さくならないファイルは、クラウドに置いてリンクで渡すのが早道です

データ圧縮とは?ファイルが小さくなる仕組み

データ圧縮の考え方の図解。同じ内容をより短い書き方に置き換えて、データの量を減らす様子。

データ圧縮とは、中身をなるべく保ったまま、データの量を減らすことです。

たとえば「あああああああああああ」という文字の並びは、「あが11個」と書けばずっと短く表せます。伝えている内容は同じなのに、必要な量だけが減りました。

コンピューターの中でも、これと同じことをしています。同じ並びの繰り返しを見つけて、短い書き方に置き換えているのです。

これは中身が1文字も変わらないやり方です。ですが実は、中身を少しだけ捨てて、もっと小さくするやり方もあります。この2つの違いが、この記事のいちばん大事なところです。

その前に一つだけ。データの量が減れば、ネットワークを流れる量も減ります。通信速度が同じなら、送り終わるまでの時間はそのぶん短くなります。

この「データの形を変えて送る」仕事は、ネットワークの世界ではプレゼンテーション層の役割として整理されています。文字コードや画像形式の変換と、同じ仲間の話です。

圧縮には2種類ある(可逆圧縮と非可逆圧縮)

可逆圧縮と非可逆圧縮の違いの図解。可逆は元のデータに完全に戻せるが、非可逆は捨てた情報が戻らない。

ひとことで圧縮といっても、元どおりに戻せるものと、戻せないものがあります。

可逆圧縮非可逆圧縮
元に戻せるか完全に戻せる戻せない
減らせる量ほどほど大きく減らせる
おなじみの形式ZIP、PNGJPEG、MP3、MP4
向いているもの文書、表計算、プログラム写真、音楽、動画

どちらが使われるかは、私たちが選ぶより先にファイルの種類ごとにほぼ決まっています。順に見ていきましょう。

可逆圧縮 — 元どおりに戻せる

可逆圧縮(かぎゃくあっしゅく)は、元のデータに完全に戻る圧縮です。1文字も1画素も欠けません。

折りたたみ傘のようなものだと考えてください。畳んでかばんに入れても、開けば元の傘に戻ります。

おなじみのZIPが、この仲間です。Windowsなら右クリックから作れて、開くときはダブルクリック。この「元に戻す」操作を解凍(展開)と呼びます。

ZIPが元どおりに戻るのは、規格そのものでそう決められているからです。画像ではPNGがこちら側で、仕様を決めているW3Cは、PNGの設計目標のひとつに「情報をすべて保つこと」を挙げています。

減り方は中身しだいで、数割ほど。このあと見る非可逆のような劇的な減り方はしませんが、そのかわり何も失われません。

文書や表計算、プログラムは、1文字でも変わると意味が壊れてしまいます。こうしたファイルは、可逆圧縮でなければ扱えません。

非可逆圧縮 — 戻せないかわりに、大きく減らせる

非可逆圧縮(ひかぎゃくあっしゅく)は、一部の情報を捨てて軽くする圧縮です。捨てた分は、もう戻りません。不可逆圧縮とも呼ばれます。

絵から、遠目には気づかないほど細かい描き込みだけを消していくようなものです。ぱっと見は元と同じですが、消した線は二度と描き戻せません。

捨てるのは人が気づきにくい情報です。写真なら隣り合う色のわずかな差、音楽なら大きな音にかき消されて聞こえない小さな音、動画なら前のコマとほとんど同じ部分、といったところから順に間引かれます。

そのかわり、減らせる量が桁違いです。Bluetoothでイヤホンに音楽を送るときは、元の音を4分の1以下まで削っています。この「どこまで削るか」を決める方式がコーデックです。

なお、写真でおなじみのJPEGは非可逆ですが、規格そのものには元に戻せる方式も含まれています。ふだん目にする写真のJPEGは非可逆、と考えておけば十分です。

ZIPで圧縮しても小さくならないファイルがある

すでに圧縮された写真や動画をZIPにしても小さくならない理由の図解。空気を抜いた袋を、もう一度圧縮袋に入れる様子。

冒頭の「ZIPにしたのに小さくならない」の答えは、ここにあります。

写真も音楽も動画も、保存された時点ですでに圧縮されているからです。

空気を抜いた圧縮袋を、もう一度圧縮袋に入れるようなものです。抜くべき空気が、もう残っていません(ただし写真の場合、抜けた空気を入れ直すことはできません)。

これは非可逆にかぎった話ではありません。PNGのように可逆で圧縮されたファイルも、すでに圧縮済みなのでZIPではあまり縮まないのです。

WordやExcelも、実はすでにZIPで固められている

意外かもしれませんが、Word・Excel・PowerPointのファイルは、それ自体がZIPの入れ物です。マイクロソフトも、これらを「ZIPをもとにした形式」として挙げています。

ですから、30MBのパワーポイントをZIPにしても、29MBにしかなりません。「文書ならZIPが効くはず」と考えていると、ここで裏切られます。

資料そのものを軽くしたいときは、中に貼った写真を縮めるのが効きます。画像を選んで「図の形式」タブから「画像の圧縮」を開き、「この画像だけに適用する」のチェックを外して解像度を選べば、資料内の写真をまとめて縮められます。

拡張子で見分ける

手元のファイルがどちら側かは、拡張子(ファイル名の末尾)でだいたい見分けられます。

  • ZIPにしても縮まない(すでに圧縮済み):.jpg .png .heic .mp3 .mp4 .mov .pdf、そして .docx .xlsx .pptx
  • ZIPがよく効く(まだ縮む余地がある):.txt .csv .log、プログラムのファイル

「元に戻せるか」で分けると、.txt .csv .zip は可逆、.jpg .mp3 .mp4 は非可逆です。画像だけは両方あり、PNGは可逆・JPEGは非可逆と覚えてください。

では、縮まないファイルをZIPにまとめる意味はないのでしょうか。そんなことはありません。

  • 何十個のファイルが1つにまとまる(送る側も受け取る側も手間が減る)
  • フォルダの分け方を、そのままの形で渡せる

ZIPは「小さくする道具」であると同時に、「まとめる道具」でもあるのです。

圧縮すると画質や音質が落ちるのはなぜ?

非可逆圧縮を繰り返すたびに画質が段階的に落ちていく様子の図解。編集して保存し直すほど情報が減っていく。

捨てる量を増やすほどファイルは小さくなり、そのぶん画質や音質は落ちます。写真を保存するときに「画質」を選べるソフトがありますね。あれはどこまで捨てるかを選んでいるのです。

保存し直すたびに劣化が積み重なる

気をつけたいのは、非可逆で圧縮されたファイルを開いて編集して保存し直すたびに、また削られることです。

コピー機でとったコピーを、またコピー機にかける。それを繰り返すうちに文字が薄れていくのに似ています。一度削られた情報は、あとから高画質で保存し直しても戻りません。

保存し直すたびに情報が減っていく様子 同じファイルを並べた図。元のファイルには情報が5本ぶん入っているが、開いて保存し直すたびに4本、3本、2本と減っていく。一度削られた情報は、あとから保存し直しても戻らない。 保存し直すたびに、情報は減っていく 元のファイル 1回目 2回目 3回目 一度削られた情報は、あとから高画質で保存し直しても戻らない

何度も手を入れる写真や資料は、元のファイルを別に残しておくと安心です。

圧縮しても送れないときは?大きいファイルの渡し方

大きいファイルの渡し方の比較図解。メール添付には上限があり、クラウドに置いてリンクを送れば大きなファイルも渡せる。

圧縮しても小さくならなかったときは、メール以外の渡し方に切り替えます。

メールに添付できるのは25MBまで

GmailもOutlook.comも、添付できるのは25MBまでです。

ただし会社のメールや、メールソフト経由で送るときは、もっと小さいことがあります。10MB前後で弾かれることも珍しくありません。自分の会社の上限は、情報システムの担当者に聞くのが確実です。

上限を超えたときの逃げ道は、サービス側にも用意されています。

  • Gmail:25MBを超えると、添付が自動でGoogle ドライブのリンクに置き換わります
  • Outlook.com:OneDriveに置いたファイルなら、2GBまで添付できます
  • Outlook(従来版のアプリ):「このメッセージを送信するときに大きな画像のサイズを変更する」を選ぶと、写真を自動で縮めて送れます

クラウドに置いてリンクで渡す

いちばん確実なのは、ファイルをクラウドに置いてそのリンクを送る方法です。マイクロソフトも、大きいファイルはこの方法をすすめています。相手のメールボックスを圧迫しない利点もあります。

使うサービスが変わっても、やることは同じです。

  1. STEP

    ファイルをクラウドに置く

    OneDrive・Googleドライブ・Dropboxなど、会社で使っているものでかまいません。

  2. STEP

    「共有」または「リンクを取得」を押す

    このとき、リンクを開ける人の範囲を選ぶ画面が出ます。社外の方に渡すなら、ここを必ず確認してください。

  3. STEP

    出てきたリンクをメールに貼る

    ファイルそのものは送らないので、添付の容量制限にかかりません。

写真そのものを軽くしたいときは、圧縮ではなく画像のサイズ(縦横の大きさ)を小さくするのが確実です。これも元には戻せないので、先ほどと同じように元のファイルは別に残しておきましょう。

まとめ

この記事では、データ圧縮について、2種類の違いから見分け方、送り方までを解説しました。

あらためて要点をまとめると、次のとおりです。

  • 圧縮には可逆(元に戻せる。ZIP・PNG)と非可逆(戻せない。JPEG・MP3・MP4)がある
  • 写真や動画がZIPで小さくならないのは、すでに圧縮されているからWord・Excel・PowerPointも中身はZIPなので同じ
  • 非可逆のファイルは保存し直すたびに劣化が積み重なる。元データは別に残す
  • 小さくならないときは、クラウドに置いてリンクで渡す

ファイルが小さくならないのは、操作を間違えているからではありません。すでに小さくなっているのです。そう分かれば、次の一手に迷わなくなります。

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