スマホでメッセージを送ったり、動画を見たり、会社でファイルを共有したり。
これらは「ネットワーク」があって成り立っています。ただ、ひとくちにネットワークと言っても、家のWi-Fiも、会社の社内ネットワークも、インターネットも、全部ネットワークです。
だから「ネットワークが遅い」「ネットワークにつながらない」と言われても、それがどこの話なのかがわからないと、調べようがありません。
この記事では、ネットワークという言葉が指す範囲を整理して、自分がいま話しているのはどこなのかがわかる地図を作ります。個々の用語は深入りせず、それぞれの記事へ案内する形にしました。
目次
ネットワークとは──機器をつないで、情報をやり取りできるようにしたもの

ネットワークとは、複数のコンピュータや機器をつないで、情報をやり取りできるようにしたものです。
大事なのは、この定義に規模も場所も入っていないことです。パソコンとプリンターを1本のケーブルでつないだだけでも、条件を満たしていればネットワークです。
つまり「ネットワーク」は、大きさの違うものを全部まとめて呼べてしまう言葉です。そのため、この言葉が出てきたときはどの範囲を指しているのかが、言葉だけでは決まりません。
- 家の中のWi-Fiだけが遅い
- 家から外に出る回線が遅い
- 相手のサービス側が混んでいる
どれも「ネットワークが遅い」と言えてしまい、直し方は3つとも違います。
どれなのかを絞る最初の一手は、「ほかの人も遅いか」「有線でも遅いか」の2つを確かめることです。自分だけ・無線だけなら家や会社の中、全員なら外に出る先が疑わしくなります。
そこから先の確かめ方は、次の記事にまとめてあります。
ネットワークの種類は、つながっている範囲の広さで分かれる

よく並べて紹介される4つを、範囲の狭いほうから並べると次のようになります。

この図に出てくるのは3つだけです。4つ目のVPNは範囲の名前ではないので、並べられません(理由は後述します)。
| 呼び方 | つながっている範囲 | だれが用意するか |
|---|---|---|
| LAN | 家の中、会社のフロアなどひとつの建物の中 | 自分(または自社) |
| WAN | 本社と支社など離れた場所どうし | 通信事業者 |
| インターネット | 世界中 | だれのものでもない |
| VPN | —(範囲ではありません。下記) | — |
家や会社の中だけ──LAN
ひとつの建物の中など、限られた範囲でつないだネットワークです。自宅のWi-Fiも、会社のフロアのネットワークもここに入ります。
この範囲は自分の持ち物です。だから機器を足したり、つなぎ方を変えたりできますし、逆に調子が悪いときに自分で調べられるのもこの範囲です。
離れた場所どうしを結ぶ──WAN
東京本社と大阪支社のように、離れたLANどうしを結ぶためのネットワークです。
建物と建物のあいだにケーブルを自分で引くわけにはいかないので、ここは通信事業者が用意したものを借りることになります。範囲が広がると、そこはもう自分の持ち物ではなくなる——これがLANとの違いです。
WANは拠点が複数ある会社の話です。事務所が1か所だけなら、社内がLANで、そこから先はインターネットになります。
家庭も同じです。毎月払っている光回線は、WANではなく「インターネットへ出るための回線」だと考えてください。
世界中がつながった先──インターネット
世界じゅうのネットワークが相互につながったものです。特定のだれかが持っているわけではなく、共通の決まりに従っている限り、どこからでも参加できる形になっています。
「社内ネットワークとどこが違うのか」は、実は厳密な定義が決められています。その定義と、ページが表示されるまでの流れは次の記事にまとめました。
VPNだけは、範囲ではなく「使い方」の名前
この4つは並べて紹介されることが多いのですが、VPNだけは種類の軸が違います。LAN・WAN・インターネットが「どこまでつながっているか」を表すのに対し、VPNは多くの場合インターネットという外の道を通りながら、社内ネットワークの続きのように使うという使い方の名前です。
ここを並列だと思っていると、「VPNはLANより広いのか狭いのか」といった答えの出ない疑問にはまります。比べる軸が違うので、比べられません。
ネットワークを動かしている3つの土台

範囲がどれであっても、中で起きていることは共通しています。次の3つは、どの範囲の話をするときも出てきます。
| 土台 | 何をしているか |
|---|---|
| パケット | データをそのまま送らず、小さく分けて運ぶ。届いた側で組み立て直す |
| IPアドレス | どの機器あてかを示す番号。あて先の住所にあたる |
| プロトコル | やり取りの手順を決めた約束事。同じ約束に従う機器どうしだけが話せる |
この3つが揃っているから、メーカーの違う機器どうしでも通信できます。逆に言えば、どれか1つでも食い違うと通じません。
そして、これらを実際に運んでいるのが機器です。事務所や家の壁際にある箱がそれで、ルーターは範囲の境目に立って外とやり取りし、スイッチングハブは同じ範囲の中で機器どうしをつなぎます。つまり機器は、上で見た範囲の「どこに立っているか」で役割が決まります。
ネットワークの何を知りたいかで、次に読む記事が決まる
ここまでが地図です。ここから先は、いま自分が何を知りたいのかで読むものが変わります。
| 知りたいこと | 読む記事 |
|---|---|
| つながっていると、結局なにができるのか | ネットワークでできること |
| ページが表示されるまでに何が起きているのか | インターネットの仕組み |
| 「速い・遅い」は何で決まるのか | 通信速度の単位(bps) / 遅延(レイテンシ) |
| アドレスの「名前」の部分は何なのか | ドメイン |
| 要求する側と応える側の役割分担 | クライアントサーバモデル |
| 安全に使うために気をつけること | インターネットセキュリティ |
| 役割を段に分けた考え方(OSI参照モデル) | OSI参照モデル |
| 遅いとき、どこを見て切り分けるか | 速度テストの結果の見方 / WEB会議が重いとき |
| 送るときだけ遅い、相手に届かない | 上り(アップロード)速度 |
| ファイルが大きすぎて送れない | データ圧縮 |
| つながらないとき、どう調べればいいか | ネットワークトラブルの調べ方 |
まとめ
ネットワークとは、複数の機器をつないで情報をやり取りできるようにしたものです。この言葉には大きさの条件が入っていないので、家のWi-Fiから世界中のインターネットまで、全部が同じ名前で呼ばれます。
だから話をするときは、まず「どの範囲の話か」をはっきりさせることが役に立ちます。自分の持ち物であるLANの中なのか、事業者から借りているWANなのか、その先のインターネットなのか。調べられる範囲も、直せる範囲も、そこで変わります。
そしてVPNだけは範囲の名前ではなく使い方の名前なので、他の3つと並べて大小を比べないでください。







