インターネットセキュリティとは?公的機関が挙げる最低限の対策

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インターネットは、今や私たちの生活に欠かせないものになりました。

でも、便利な反面、危険も潜んでいることを知っていますか?

まるで家の鍵をかけ忘れるように、セキュリティ対策を怠ると、ウイルス感染や個人情報流出などの被害に遭ってしまうかもしれません。

この記事では、インターネットセキュリティの基礎知識と、誰でもできる簡単な対策方法をわかりやすく解説します。どんな脅威が問題になっているかも、何から手を付ければよいかも、公的機関が毎年まとめてくれています。それをそのまま見ていきます。

⚠ この記事は個人・家庭で使う人に向けたものです。会社の何十台をまとめて見る立場の方は、別の資料が要ります。

あなたの大切な情報や機器を守るために、ぜひ最後まで読んでみてください。

インターネットセキュリティってどんなもの?

インターネットセキュリティについて考える人

インターネットセキュリティとは、インターネットを利用する際に起こる様々な危険から、あなた自身やパソコン、スマートフォンなどを守るための対策のことです。

インターネットセキュリティはどんな危険から守ってくれるの?

「危険」と一口に言っても、どれが問題になっているのかは、公的機関が毎年まとめています

IPA(情報処理推進機構)が発表している情報セキュリティ10大脅威 2026の、個人向けの10項目が次のものです。前年に社会的な影響が大きかった脅威の候補を IPA が選び、約250名の選考会が投票して決めたものです。

右の列は、2016年以降でこの一覧に何回入っているかを表します。

「個人」向け脅威(五十音順)取り扱い
インターネット上のサービスからの個人情報の窃取7年連続10回目
インターネット上のサービスへの不正ログイン11年連続11回目
インターネットバンキングの不正利用4年ぶり8回目
クレジットカード情報の不正利用11年連続11回目
サポート詐欺(偽警告)による金銭被害7年連続7回目
スマホ決済の不正利用7年連続7回目
ネット上の誹謗・中傷・デマ11年連続11回目
フィッシングによる個人情報等の詐取8年連続8回目
不正アプリによるスマートフォン利用者への被害11年連続11回目
メールやSNS等を使った脅迫・詐欺の手口による金銭要求8年連続8回目

ここで大事なのは、IPA はこの10項目に順位を付けていないことです。組織向けの一覧には1位から10位まで番号が振られていますが、個人向けは五十音順で並べたうえで「全てに十分な注意、対策が必要」と書かれています。

並べて眺めると、10のうち5つは、名前そのものに「不正利用」か「金銭」が入っています(バンキング・クレジットカード・サポート詐欺・スマホ決済・脅迫)。数えてみると、お金とアカウントに関わる項目が半分を占めます。

この記事では、この中でも言葉としてよく聞く4つを取り上げます。

  • ウイルス感染
  • 個人情報流出
  • フィッシング詐欺
  • ネットいじめ

ネットバンキングとスマホ決済は、この4つには入れていません。手口としては上の一覧のとおり続いていますが、やることは同じです。この記事の後半にあるパスワードの節が、そのまま銀行とスマホ決済の話になります。

ウイルス感染

パソコンやスマホにウイルスが侵入し、データが壊れたり、動作が不安定になったりする。

気づいた方もいるかもしれませんが、上の10項目に「ウイルス」という語はありません。近いのはスマートフォン向けの「不正アプリ」です。

ただし、無くなったわけではありません。IPA は対策の側で「マルウェア(ウイルスなど、悪いことをするために作られたソフト)の利用」を攻撃の糸口の1つに挙げています。ウイルスは目的というより、上の10項目にたどり着くための手段になっている、と読むのが近いでしょう。

個人情報流出

氏名、住所、クレジットカード情報などが盗まれ、悪用される。

一覧では「インターネット上のサービスからの個人情報の窃取」がこれにあたります。名前のとおり、起きる場所はあなたのパソコンではなく、あなたが登録した先です

つまり、手元をいくら守っても防ぎきれません。できるのは被害が他へ広がらないようにしておくこと——同じパスワードを複数のサービスで使わない、という一点です。1か所が漏れても、そこで止まります。

なぜ手元ではなくサービス側に情報が集まっているのかは、インターネットの成り立ちそのものです。

フィッシング詐欺

本物そっくりの偽サイトに誘導され、IDやパスワードを盗まれる。

一覧の「フィッシングによる個人情報等の詐取」で、8年連続8回目。見た目で見破ろうとすると、いつか間違えます。

では何を見ればよいのか。鍵マークは安全の印ではないで、ブラウザのどこを読むかを解説しています。

確実なのは、届いたメッセージのリンクからは入らないと決めてしまうことです。銀行も配送業者も、いつも使っているアプリやお気に入りから自分で開けば、偽物にはたどり着きません。

ネットいじめ

誹謗中傷や嫌がらせを受け、精神的な苦痛を受ける。

一覧では「ネット上の誹謗・中傷・デマ」で、11年連続11回目。⚠ これは、ソフトを入れてもパスワードを長くしても防げません。この記事の後半で挙げる4つの対策は、どれもここには効きません。

この記事で扱えるのはここまでです。実際に受けている場合は、記録を残したうえで、プラットフォームの通報窓口や公的な相談先に相談してください。

気にしていることと、問題になっている脅威はずれる

書類を守る盾と、チェックの付いた画面、それを操作している人たちのイラスト(なぜ必要なの?の節の扉絵)

対策を考える前に、1つ確かめておきたいことがあります。私たちが気にしていることと、公的機関が問題として挙げている脅威は、同じ並びになっていません

総務省が毎年出している情報通信白書には、利用者がどう感じているかも載っています。令和8年版(p.124)によると、インターネットを利用している人の約7割が、利用時に何らかの不安を感じていました。

その不安の中身は、上位3つがこうなっています(複数回答)。

不安の内容割合
個人情報やインターネット利用履歴の漏洩90.3%
コンピューターウイルスへの感染60.6%
架空請求やインターネットを利用した詐欺55.1%

前の節の一覧と見比べてみてください。不安の2番目は「ウイルスへの感染」ですが、IPA の個人向けの10項目に「ウイルス」の語はありませんでした

この2つは、そのまま比べられるものではありません

白書が測っているのは人が感じている不安、IPA がまとめているのは選考会が選んだ脅威で、そもそも別のものを数えています。「不安が的外れだ」という話ではありません。

並べて言えるのは、気にしていることと、いま多い手口は、必ずしも同じではないということだけです。

だからこそ、対策は「何が怖いか」ではなく手口の側から選ぶほうが確実です。次の節で、公的機関が「最低限」としているものを見ていきます。

インターネットセキュリティの最低限は、公的機関が決めている

南京錠の付いた盾を中心に、スマートフォン・メール・フォルダ・サーバなどのアイコンが六角形に並んだイラスト(対策方法の節の扉絵)

では、具体的にどのような対策をすればよいのでしょうか?

難しい知識や技術は必要ありません。そして、何から手を付けるかを自分で決める必要もありません。公的機関が「最低限これだけは」を示しているからです。

総務省はサイバーセキュリティ初心者のための三原則として、次の3つを挙げています。

総務省 サイバーセキュリティ三原則
  • ソフトウェアを最新に保とう
  • 強固なパスワードの設定と多要素認証を活用しよう
  • 不用意に開かない・インストールしない

IPA のほうは、10の脅威すべてに共通して効くものを「情報セキュリティ対策の基本」として6つ挙げています(個人編ハンドブック p.30)。前の節で見た10項目のそれぞれに「このうちどれを実施するか」が書き添えられている、という作りです。

攻撃の糸口情報セキュリティ対策の基本
ソフトウェアの脆弱性ソフトウェアの更新
マルウェアの利用セキュリティソフトの利用
パスワード窃取パスワードの管理・認証の強化
設定不備設定の見直し(初期設定の確認)
データの暗号化バックアップの取得
ソーシャルエンジニアリング(罠にはめる)脅威・手口を知る

⑤の「データの暗号化」が対策の側でなく攻撃の糸口に並んでいるのは、こちらのデータを勝手に暗号化して人質に取る攻撃のことだからです。だから備えは「バックアップ」になります。

2つを見比べると、どちらにも入っているのは「更新」「パスワード」「手口を知ること」の3つです。IPA の⑥「脅威・手口を知る」と、総務省の「不用意に開かない・インストールしない」は、同じところを別の言い方で指しています。

意外に思われるかもしれませんが、セキュリティソフトは総務省の三原則には入っていません(同省の家庭での対策のページでは「その他意識してほしいこと」の側にあります)。IPA では基本の6つに入っています。どちらかが間違っているのではなく、3つに絞るか6つに広げるかの違いです。

この記事では、家庭で今日からできる4つを取り上げます。

  • ソフトウェアを最新に保とう
  • パスワードを強化しよう
  • 怪しいサイトやメールに注意しよう
  • セキュリティソフトを導入しよう
歯車・南京錠・×印の付いた封筒の3つが近くに並び、盾が1つ離れて置かれた図。前の3つに「この3つが入口をふさぐ」、盾に「入ってきたものを止める」と書かれている

先の3つは入口をふさぐもの、最後の1つは入ってきたものを止めるものです。役割が違うので、どちらも必要です。

ソフトウェアを最新に保とう

総務省の三原則にも IPA の6項目にも入っていて、どちらの一覧でも先頭に置かれているのがこれです(⚠ どちらも一覧の中の優先順位は述べていません)。

ソフトの更新は、機能が増えるだけのものではありません。見つかった欠陥(脆弱性)をふさぐために配られます。攻撃する側はその欠陥を狙うので、更新を先延ばしにしている期間だけ、入口が開いたままになります。

更新のポイント
  • パソコンとスマートフォンの自動更新をオンにしておく。「あとで」を押し続けない
  • アプリも同じ。使っていないアプリは消しておくと、更新の対象そのものが減る
  • サポートが終わった製品は、更新そのものが配られなくなる。総務省は家庭での対策のページでも「サポート切れソフトウェアを利用しない」を挙げている。期限はメーカーのサイトで確認できる

パスワードを強化しよう

パスワードは、あなたのアカウントを守るための重要な鍵です。

推測されにくい、複雑なパスワードを設定しましょう。総務省は安全なパスワードの目安として「理想的には、最低でも10文字以上」を挙げ、覚える必要がある場合は関係のない複数の英単語をつなげ、間に数字を挟む作り方をすすめています。umbrella7piano のような形です(これはそのまま使わないでください)。

パスワードのポイント
  • 誕生日や電話番号など、推測されやすいものは避ける。
  • 同じパスワードを使い回さない。これがいちばん重要
  • 覚えきれないなら、パスワード管理ツールを検討する(総務省・IPA ともこの選択肢を挙げている)
  • 多要素認証——パスワードのほかに、スマホに届く番号や指紋をもう1つ使う仕組み。使えるサービスではできるだけオンにする

ここで、昔から言われてきたことが1つ、変わっています。「定期的に変更する」です。

総務省のページには、見出しからしてこう書かれています——「パスワードを複数のサービスで使い回さない(定期的な変更は不要)」。本文はこう続きます。

なお、利用するサービスによっては、パスワードを定期的に変更することを求められることもありますが、実際にパスワードを破られアカウントが乗っ取られる等のサービス側から流出した事実がない場合は、パスワードを変更する必要はありません。むしろ定期的な変更をすることで、パスワードの作り方がパターン化し簡単なものになることや、使い回しをするようになることの方が問題となります。

変えること自体が悪いのではなく、定期的に変えさせられると、人は覚えやすい形に崩していく——そちらのほうが問題だ、という理由です。同じページでは、米国 NIST(2017年)と内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)も同じ考えを示していると説明されています。

⚠ ただし、会社や学校のように、決まりとして変更を求められる場面はあります。その場合はその決まりに従ってください。ここで言えるのは、自分の判断で管理している私物のアカウントについて、「流出したという知らせが無いのに、日付だけを理由に変える」必要はないということです。

では、いま何をすればいいのか

紛らわしいので、はっきり書きます。いま同じパスワードを使い回している人には、一度だけ変える作業が必要です。

不要なのは「日付を理由にした変更」で、「使い回しを解消するための変更」は別のものです。全部を一度にやらなくてかまいません。お金が動くもの——銀行・クレジットカード・ネット通販——から手を付けてください。

ここで1つ、気をつけることがあります。「流出しました。パスワードを変えてください」というメールのリンクから入らないでください。そのメール自体が偽物のことがあるからです(次の節で扱います)。

知らせを確かめるときは、いつも使っているアプリやお気に入りから自分でサイトに入って、お知らせの欄を見る。これなら、偽物にはたどり着きません。

なお、「パスワードを全部1つのソフトに入れるのは怖い」と感じる方もいるはずです。パスワード管理ツールはスマホの指紋や顔でロックして使うもので、そのロックが要になります。抵抗があるなら、紙に書いて家の中に置くのでも構いません。総務省も、やむを得ずメモに書く場合は鍵のかかる机や金庫などで保管するようにと書いています。

そして IPA のハンドブックは、この先の選択肢としてパスキーを挙げています(「パスキーが利用可能な場合は、極力利用する」)。パスワードのかわりに、スマートフォンの指紋や顔でログインする仕組みです。覚えるパスワードそのものが無くなるので、使い回しも定期変更も関係がなくなります。

怪しいサイトやメールに注意しよう

インターネット上には、ウイルス感染やフィッシング詐欺を目的とした、怪しいサイトやメールが数多く存在します。

安易にクリックしたり、個人情報を入力したりしないように注意しましょう。総務省の三原則でいう「不用意に開かない・インストールしない」、IPA の一覧でいう「脅威・手口を知る」がこれにあたります。

開かないためのポイント
  • メッセージのリンクからは入らないと決めてしまう。用があるなら、いつものアプリやお気に入りから自分で開く
  • アプリは公式ストア以外から入れない。検索で出てきた便利ソフトは、提供元をまず見る
  • 個人情報を安易に入力しない。

IPA の10項目にある「サポート詐欺(偽警告)による金銭被害」も、この仲間です。画面いっぱいに警告と警告音が出て、「サポート窓口」に電話をかけさせる手口で、7年連続で一覧に入り続けています

IPA が挙げている対策は、はっきりしています。突然出てきた警告画面に表示された番号へ、電話をかけない。そして「慌てない、一呼吸して冷静になる」。慌てて電話をかけてしまうことが、この手口の入口だからです。

実際の画面の写真つきの解説が、IPA のページにあります。見たことがない人ほど、先に一度見ておく価値があります。⚠ 画面の閉じ方と、閉じても消えないときの切り分けは、「ウイルスに感染しました」は偽の警告にまとめました。

セキュリティソフトを導入しよう

セキュリティソフトは、パソコンやスマホをウイルスから守るためのソフトウェアです。IPA の6つでは「マルウェアの利用」に対する備えとして挙げられています。

この記事で最後に置いたのは、軽い対策だからではありません。上の3つが「入口をふさぐ」のに対して、これは「入ってきたものを止める」役だからです。IPA は6つを「必ず実施」としており、どれが上とは書いていません。

では、買うべきかどうか。ここでは線引きだけ示します。最初から入っているものが動いていて、思い当たる被害もないなら、まず買わなくて構いません。考えるのは、家族の何台もまとめて管理したい、といった事情が出てきたときです。

スマートフォンについては、この記事では判断しません。機種と、公式ストア以外からアプリを入れるかどうかで事情が変わります。まずは上の3つ目「公式ストア以外から入れない」を守るほうが確実です。

セキュリティソフトのポイント
  • Windows のパソコンには「Microsoft Defender ウイルス対策」が最初から入っています。何も買っていないつもりでも、無防備ではありません
  • 別の製品を買うなら、1つだけにする。同時に2つ動かすとぶつかることがあります
  • 入れたら更新を止めない。中身が古いソフトは、新しい手口を知りません

なお、「入ってくる前に通り道で止める」という考え方の道具もあります。パソコンにもルーターにも入っているファイアウォールがそれです。

まとめ

この記事では、インターネットセキュリティの基礎知識と、誰でもできる簡単な対策方法をご紹介しました。

どんな脅威が問題になっているかは、IPA が毎年まとめています。個人向けの10項目には順位が付いておらず、そのうち5つは名前のうちに「不正利用」か「金銭」が入っていました。

対策のほうも、何から始めるかは決めてもらえます。更新・パスワード・手口を知ること——この3つは、総務省の三原則と IPA の6項目の両方に入っています

そして1つ、昔の常識が変わっています。パスワードの定期的な変更は不要。流出の知らせが無いのに日付だけを理由に変えるより、使い回さないことのほうが大事です。

この記事を閉じたあとにやること

今日のうちに

  1. パソコンとスマホの自動更新がオンになっているかを見る
  2. これから届くメッセージについて、リンクからは入らないと決めてしまう

時間が取れるときに

  1. お金が動くサービス(銀行・カード・通販)のパスワードを、それぞれ違うものにする
  2. その3つで多要素認証が使えるなら、オンにする

インターネットは、正しく使えばとても便利で楽しいものです。危険も潜んでいることを忘れずに、安心安全なネットライフを送りましょう。

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