光回線を引くと、壁のそばに小さな箱が置かれます。家によっては、2つ並んでいます。
「ネットがつながらない」と言われて見に行ったものの、どちらを触ればいいのか分からない——そんな経験はないでしょうか。
実はONU(オーエヌユー)とは、光を電気に変えるための箱のことです。日本語では光回線終端装置と呼ばれます。
そしてこの2つの箱は、役割が違うだけではありません。持ち主も違います。ここを知っているかどうかで、困ったときの動き方が変わります。
この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、ONUとルーターの違い、家にある箱の見分け方、そして困ったときにどちらを触るのかまでを解説していきます。
先に結論だけ書いておきます。
- ONUの仕事は光と電気の変換だけ。インターネットを家じゅうに配るのはルーターの仕事です
- 見分けるならささっている線を見ます。壁から細い線が直接入っているほうがONUです
- 箱が1台しかないなら、両方の機能を持つホームゲートウェイかもしれません
- ONUは借り物、ルーターは自分の持ち物。だから壊れたときの連絡先が違います
- 市販のWi-Fiルーターを買い足すときは、上にある箱が何かでスイッチの位置が決まります
目次
ONU(光回線終端装置)とは?光と電気の「通訳」

ONUは Optical Network Unit(オプティカル ネットワーク ユニット)の略で、日本語では光回線終端装置と呼ばれます。
いかめしい名前ですが、やっている仕事はひとつだけです。光の点滅を電気の信号に変え、電気の信号を光の点滅に変える——それだけです。
いわば通訳です。外から来るのは光の言葉、家の中で使われているのは電気の言葉。そのままでは話が通じないので、あいだに立って訳しています。
なぜ訳す必要があるのかというと、家まで来ている線が光ファイバーだからです。ガラスの糸の中を光が走っていて、パソコンやスマホが扱う電気の信号とは別物なのです。
その光が家に入ってくる差込口を光コンセントといいます。NTT東日本は、屋外から引き込んだ光ファイバーに直接つながる「光回線専用のコンセント」だと説明しています。電気のコンセントとは別物です。
ONUが壁ぎわに置かれているのは、このためです。光コンセントにつなぐ必要があり、しかも電源も要るので、置き場所は光コンセントとコンセントの両方が届く範囲に限られます。
この光コンセントとONUを結んでいる細い線、これが光ファイバーです。
そして反対側、ONUから出ていくのはLANケーブルです。ここから先は、もう電気の世界になります。
ONUとルーターは何が違う?「変える係」と「配る係」

ここからが本題です。ONUとルーターは、どちらも「インターネットにつなぐための箱」に見えますが、やっていることはまったく違います。
ひとことで言えば、ONUは形を変える係、ルーターは配る係です。
ONUの仕事 — 変換する(1本を1本のまま渡す)
ONUがするのは変換だけです。届いた光を電気に直して、そのまま次の機器へ渡します。
受け取ったものを、そのまま次へ渡すだけ。複数の機器へ配る仕組みは持っていません。ですからONUだけでは、パソコンを1台つなぐのが精一杯です。Wi-Fiも飛びません。
実際、ONU本体にLANケーブルの差込口が1つしかない機種は珍しくありません。
ルーターの仕事 — 家じゅうに分ける(1本を何台にも)
いっぽうルーターは、その1本を家じゅうに分ける係です。
スマホ、パソコン、テレビ、ゲーム機——同時に何台つないでも混ざらないように、どのデータをどの機器に渡すかを仕分けています。交通整理をしていると思ってください。
そのためにルーターは、家の中の機器にIPアドレスという番号を配っています。宛先が分かるから、仕分けができるわけです。
Wi-Fiの電波を飛ばしているのも、たいていこのルーターです。
ONUとモデムの違い — 相手にしている信号が違う
もうひとつ、よく似た言葉にモデムがあります。
こちらは電話回線などのアナログの信号とデジタルの信号を変換する機器で、ADSLやケーブルテレビの回線で使われます。変換するという役目はONUと同じですが、相手にしている信号が違います。
3つを並べると、こうなります。
- ONU — 光と電気を変換する(光回線)
- モデム — アナログとデジタルを変換する(電話回線・ケーブルテレビ)
- ルーター — 変換はせず、1本を家じゅうに分ける
光回線の家に置かれるのはONUです。モデムとONUが同時に置かれることはありません。回線の種類が違うからです。
どっちがONU? 家にある箱の見分け方

では、目の前にある箱がどちらなのか。いちばん確実なのは、ささっている線をたどることです。
- 壁の光コンセントから、細い線が直接ささっている箱 → ONU(またはホームゲートウェイ)
- その箱からLANケーブルでつながっている箱 → ルーター
光ファイバーの線は、LANケーブルより細く、コネクタも小ぶりです。壁から出てきて最初にたどり着く箱が、光を電気に変えている箱だと考えてください。
ランプの色や型番で見分ける方法もありますが、ランプの名前も色も機種によって違います。線をたどるほうが間違えません。
箱が1台しかないなら「ホームゲートウェイ」かもしれない
「うちには1台しかない。足りていないのでは」と思った方、ご安心ください。
ONUとルーターの機能をまとめて1台にした機器があり、ホームゲートウェイと呼ばれます。ひかり電話を使っている家庭では、電話の機能も同じ箱に入っています。
おもしろいのは、事業者の呼び方です。NTT東日本はレンタル機器の返却案内で、機器を「単体型回線終端装置(ONU)」と「ひかり電話ルーター(ホームゲートウェイ)」に分けて呼んでいます。わざわざ「単体型」と書いてあるのは、単体でない型——つまり一体型があるからだと読み取れます。
なお、マンションなどで建物の配線方式が違うと、置かれるのがVDSL宅内装置という別の機器になることもあります。同じ返却案内に、この機器も並んでいます。
逆に、箱が2台あっても2台とも事業者から渡されたものということがあります。ルーターにも、事業者が貸し出しているものがあるからです。
迷ったときの目安はかんたんです。自分で買った覚えがなければ、それは借り物だと考えてください。次の章で、この違いが効いてきます。
ONUが故障したらどこに連絡する? 借り物と持ち物の違い

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。
2つの箱には、役割よりも大きな違いがあります。持ち主が違うのです。
多くの場合、ONUは契約している回線事業者から提供される(借りる)ものです。家電量販店の棚には並んでいませんし、利用者が自分で用意する必要もありません。
それがはっきり分かるのは、解約するときです。NTT東日本は、回線を解約したお客さまに返却キットを送り、着払い伝票で機器を返してもらう仕組みを用意しています。返却の対象は次のとおりです。
- 単体型回線終端装置(ONU)
- ひかり電話ルーター(ホームゲートウェイ)
- VDSL宅内装置
- ブロードバンドルーター、無線LANカード、電話機 など
付属の電源アダプタやスタンドまで対象に入っています。最初から最後まで、事業者の持ち物だということです。この一覧にブロードバンドルーターや無線LANカードが並んでいるのが、さきほどの「ルーターにも借り物がある」の根拠です。
いっぽう、あなたが家電量販店で買ってきたWi-Fiルーターは、あなたの持ち物です。好きな機種に買い替えられますし、解約しても返す必要はありません。
なお、借りている機器の料金の扱いは事業者やプランで違います。月額に含まれることも、別にかかることもあるので、気になるときは請求の内訳で確かめてください。
連絡先は、持ち主で決まる
持ち主が違うということは、面倒を見る人が違うということです。
- ONU・ホームゲートウェイ(借り物)→ 回線の契約先。毎月の請求が来ている会社です
- 事業者から借りているルーター(借り物)→ 同じく、借りている先
- 自分で買ったWi-Fiルーター(持ち物)→ 買った機器のメーカー
NTT東日本の場合、「インターネットやひかり電話が使えない」「インターネットが度々切れる・不安定」といった症状があれば、レンタル機器の交換を申し込めるようになっています。借りている側が自分で修理を手配する必要はありません。
「ネットの調子が悪い」と電話をかける前に、どちらの箱の話なのかを決めておくと、たらい回しが減ります。原因の切り分けは、機器の切り分けから始まるのです。
ONUとルーターの再起動 — 正しい順番と待ち時間

つながらなくなったときは、①箱の問題かどうかを確かめる → ②再起動する → ③直らなければ連絡する、の順に進みます。
その前に — 本当に箱の問題かを確かめる
箱に手を伸ばす前に、ひとつ確かめてください。つながらないのは、その1台だけですか。それとも家じゅうですか。
スマホやパソコンは問題なくつながっているのに、テレビだけが見られない——そういうときは、原因は箱の外側にあります。箱の電源を抜きに行っても直りません。
家じゅうのどの機器もつながらないなら、いよいよ箱の出番です。あわせて、契約している事業者が障害情報を出していないかも見ておくと、無駄足を踏まずに済みます。
機器ごとの切り分けは、Wi-Fiが繋がらないときの記事でくわしく扱っています。
電源を入れる順番は「ONU → ルーター → 端末」
電源を入れ直すときには、順番があります。NTT東日本は、電源を入れるときはONU・モデム → ルーター → パソコンなどの端末の順に、切るときはその逆にするよう案内しています。
ルーターは、ONUの向こう側にある事業者の設備とやりとりをして、インターネットにつながります。だから、外に近いほうから順に立ち上げると覚えておくとよいでしょう。
NTT東日本の案内をもとに、補足を添えると次のとおりです。
- STEP
パソコンなどの機器の電源を切る
末端から順に止めていきます。パソコンだけでなく、テレビやゲーム機など、つながらなくて困っている機器も含めてください。スマホは電源を切らなくても、Wi-Fiをいったんオフにしておけば十分です。
- STEP
ルーターとONUのコンセントを抜く
本体のボタンではなく、電源のコンセントを抜きます。箱が1台しかない家(ホームゲートウェイ)なら、その1台だけで構いません。
- STEP
10秒以上たってから、コンセントを差す
すぐに差し直さず、10秒以上待ちます。差す順番は前述のとおり、ONUが先、ルーターが後です。
- STEP
パソコンなどの機器の電源を入れる
最後に端末を戻します。ここまでやっても直らないなら、原因は自分の手が届く範囲の外にあります。連絡先は持ち主で決まります。借り物の箱なら、毎月の請求が来ている会社へ。自分で買ったWi-Fiルーターなら、そのメーカーへです。
Wi-Fiルーターを買い足すときの設定(ブリッジ/APモード)
最後に、Wi-Fiルーターを買い足すときの話をしておきます。
すでにルーターの役目をする箱がある家に、市販のWi-Fiルーターを足すとどうなるでしょうか。配る係が2台並ぶことになります。ホームゲートウェイの家でも、事業者から借りたルーターがある家でも同じです。
Wi-Fiルーターを作っているバッファローは、「Wi-Fiルーターの上位に設置されている機器にルーター機能が搭載されている場合、親機のルーター機能はOFFにする(ブリッジ設定にする)必要があります」と案内しています。上位の機器の例として、プロバイダーから借りている機器(モデム、光回線終端装置など)を挙げています。
ただし、身構える必要はありません。バッファローの製品では、AUTOの位置にしておけば、上に何がいるかを自動で判別してくれます。手で切り替えるのは、AUTOのままでは接続の設定ができないときです。
ちなみに、この「配る係が2台」の状態を二重ルーターと呼び、必ず遅くなるかのように書かれていることがあります。ただ、バッファローの公式な説明が挙げているのは、速度ではなく機能の変化です。
同社の説明によれば、ブリッジにした側では、機器に番号を配る役目や、通信を選り分ける役目が使えなくなります。どちらが配る係なのかを、はっきりさせておきましょうという話なのです。
実際にスイッチを切り替える手順や、開通した日の配線そのものは、別の記事にまとめました。
まとめ
この記事では、ONUとルーターの違い、家にある箱の見分け方、そして困ったときにどちらを触るのかを解説しました。
あらためて要点をまとめると、次のとおりです。
- ONUは光回線終端装置。仕事は光と電気の変換だけで、Wi-Fiは飛ばさない
- 1本を家じゅうに配るのはルーターの仕事。役割がはっきり分かれている
- 見分けるなら線をたどる。壁から細い線が直接入っているほうがONU
- 箱が1台ならホームゲートウェイ(一体型)のことがある
- ONUは借り物、ルーターは持ち物。だから壊れたときの連絡先が違う(自分で買った覚えがなければ借り物)
- Wi-Fiルーターを買い足すときのスイッチは、上にある箱が何かで決まる(多くはAUTOで足りる)
次に壁ぎわの箱を見たとき、どちらがどちらなのか、そして自分がどこまで手を出していいのかが分かるはずです。




