ネットワークインフラとは?構成要素を家と会社の実物でたどって解説

4 min 1,176 views

「ネットワークインフラ」という言葉は、会社の資料や求人票、工事の案内などで見かけます。

いかにも専門家の領域という響きですが、指しているものは特別ではありません。いま手元の端末がインターネットにつながっているなら、そのための設備が、すでにあなたの家や職場にあります。それがネットワークインフラです。

この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、ネットワークインフラとは何を指すのか、自分の家や職場では具体的にどれがそれにあたるのかを、実物をたどりながら解説していきます。

ネットワークインフラとは? 通信を成り立たせている設備一式

光る地球のアイコンの周りに、サーバーラックとブラウザの画面が線でつながっているイラスト(ネットワークインフラとはの節の扉絵)

ネットワークインフラとは、パソコンやスマートフォンが通信できるようにするための、設備と取り決めのまとまりのことです。インフラは「インフラストラクチャー(基盤)」の略で、道路や水道と同じように「その上で何かが動くための土台」を意味します。

道路があるから車が走れるのと同じで、ネットワークインフラがあるから、メールも動画も地図アプリも動きます。ふだん意識しないのは、うまく動いているあいだは姿が見えないからです。

逆にいえば、つながらなくなったときに探すことになるのが、この設備たちです。だから「どれがそれか」を知っておくと役に立ちます。

ITインフラとの違い

よく似た言葉に「ITインフラ」があります。こちらはもっと広く、情報システムを動かすための土台ぜんぶを指します。

言葉指すもの
ITインフラサーバー、ストレージ(保存する装置)、そこで動くソフト、そしてネットワークまで含めた土台ぜんぶ
ネットワークインフラそのうち「つなぐ」部分。回線・配線・電波と、通信する機器

つまり、ネットワークインフラはITインフラの一部です。求人票や社内の資料で2つが並んでいたら、広いほうと、そのうちの通信を担う部分と読み分けてください。

家の中のネットワークインフラを、実物で数えてみる

段の上でノートパソコンを使う3人と、赤い線でつながれた図や時計、棒グラフが描かれたイラスト(家の設備を数える節の扉絵)

抽象的な話は置いて、家の中を外から順にたどってみます。光回線を引いている家なら、次のように並んでいます。

  1. STEP

    壁の差込口(光コンセント)

    外から引き込まれた回線が、家の中に顔を出す場所です。ここまでが通信事業者の受け持ちです。

  2. STEP

    光回線終端装置(ONU)

    光の信号を、機器が扱える電気の信号に変える箱です。事業者から借りているものです。

  3. STEP

    ルーター

    1本の回線を家じゅうの機器で分け合えるようにする機器。ここから内側が自分の領域です。

  4. STEP

    LANケーブルと、Wi-Fiの電波

    機器まで信号を運ぶ道です。線で運ぶか、電波で飛ばすかの違いだけで、役割は同じです。

  5. STEP

    パソコン・スマートフォンなどの機器

    設備を使う側です。ここは「インフラ」には含めないのがふつうです。

この並びの上から4つが、家のネットワークインフラです(5つめのパソコンやスマートフォンは、設備を使う側なので含めません)。トラブルのときに上流から順に見ていくのは、この並びをたどっているわけです。

ただし、この4つがそろわない家もあります。マンションで電話線やLANケーブルを使う配線方式なら、光コンセントもONUも別のものに置き換わります。コンセントに挿すだけのホームルーターなら、最初の2つがなくなって1台だけになります。

それでも「外とつながる部分」「中で配る部分」「機器まで運ぶ部分」の3役がそろっているという点は、どの家でも変わりません。

ネットワークインフラの構成要素は3つ

虫めがねから3本の線が枝分かれし、それぞれ箇条書きの記号につながっている線画アイコン(3つに分けて整理する節の扉絵)

数えたものを役割で分けると、次の3つになります。会社の設備でも、規模が変わるだけで分類は同じです。

解説によっては「ハードウェア・ソフトウェア・伝送媒体」という分け方も使われます。言い方が違うだけで、指しているものはほぼ同じです(伝送媒体=下の①、ハードウェア=②、ソフトウェア=②を動かす部分と③)。当サイトでは、家の中の実物と対応づけやすい下の3つで説明します。

① 道になるもの(回線・ケーブル・電波)

信号が通る道そのものです。家の外は光ファイバーや携帯電話の電波、家の中はLANケーブルとWi-Fiの電波が担当します。

ここが細いと、どんなに良い機器を買っても速くなりません。速さの上限は、いちばん細い場所で決まります

② 交通整理をするもの(ルーター・スイッチなど)

道が交わる場所に置かれ、データをどちらへ流すかを決める機器です。家庭ではルーター1台が兼ねていることが多く、会社ではスイッチや無線アクセスポイントが加わって段が増えます。

③ 取り決め(プロトコル)

3つめは、目に見えません。機器どうしが同じ手順で話すための約束ごとです。

住所の付け方(IPアドレス)、名前から住所を調べる方法(DNS)、機器に住所を配る方法(DHCP)などがこれにあたります。線と機器がそろっていても、この取り決めが噛み合っていなければ通信は成立しません。

家の中の機器に「192.168…」で始まる番号が割り当たっていて、外から見える番号とは別になっているのも、この取り決めの働きです。

設備の一覧というと①と②だけを思い浮かべがちですが、③が欠けると何も動きません。設定でつまずくトラブルの多くは、ここが合っていない状態です。

会社のネットワークインフラは、家の延長にある

オフィスのネットワークも、部品は家と同じです。違うのは人数のぶんだけ段が増えることと、途中に管理する人がいることです。

 家庭会社
外との出入り口ルーター1台ルーター(+ファイアウォールなど)
中で配る機器ルーターが兼ねるスイッチが1〜数段入る(人数で決まる)
電波を出す機器ルーターが兼ねる天井などに専用の機器(人数が増えると複数)
面倒を見る人自分情報システムの担当者

「ネットワークインフラの構築・運用」という言葉が求人や資料に出てくるときは、たいていこの会社側の設備を指しています。

誰が用意して、誰が面倒を見ているのか

ピンク色で「IMPORTANT」と書かれたスタンプのイラスト(持ち主の線引きの節の扉絵)

設備を数えたあとに効いてくるのが、この線引きです。

持ち主で分かれる

事業者のもの … 外の線、壁の光コンセント、借りているONU

自分のもの … 買ったルーター、LANケーブル、つないでいる機器

⚠ ルーターは借りていることもあります。回線とセットで貸し出されるホームゲートウェイがそれで、この場合は毎月の利用料に含まれ、買い替えもできません。

この線は、ネットワークの言葉でいえばWAN(外の広いネットワーク)とLAN(建物の中のネットワーク)の境目にあたります。

不具合が起きたとき、原因が自分の側にあるなら手を動かせます。事業者の側なら、連絡して待つのが最短です。どちらなのかを見分けることが、設備を知る実用的な値打ちだといえます。

会社では、それが仕事になっている

家庭ではこの面倒を自分で見ますが、会社では担当する人がいます。求人票や社内の資料で「ネットワークインフラの構築・運用」と書かれているのは、この仕事のことです。

  • 設計 … 何人が使うか、どこに何を置くかを決める
  • 構築 … 機器を入れて、配線して、設定する
  • 運用・保守 … 動いているかを見張り、壊れたら直し、機器を新しくしていく

会社でネットワークの不調を伝えるときは、この人たちが「どの設備の話か」を絞れる形で伝えると早く進みます。「つながらない」だけでなく、いつから・どの範囲が・有線か無線かを添えてください。

もっとも、社内に担当がいない会社もあります。その場合は、何がどこにあるのかを自分たちで1枚にまとめるところから始めることになります。

壊れたら直す役を、保守契約で外に頼んでいる会社もあります。その約束で何が決まっているのかは、保守契約の記事にまとめました。

まとめ

  • ネットワークインフラは、通信を成り立たせている設備と取り決めのまとまり。特別な場所ではなく、自分の家にもある。ITインフラのうち「つなぐ」部分にあたる
  • 光回線の家なら光コンセント・ONU・ルーター・ケーブルと電波の4つ。マンションの配線方式やホームルーターでは、最初の2つが別のものに置き換わる
  • 構成要素は①道 ②交通整理をする機器 ③取り決め(プロトコル)の3つ
  • 会社の設備も部品は同じで、人数のぶんだけ段が増える
  • 設備には持ち主の線がある。自分の側か事業者の側かで、次にすることが変わる

ネットワークインフラという言葉は大きく聞こえますが、中身は数えられる数の設備です。名前と並び順が分かれば、調子が悪いときにどこを見ればいいかも見えてきます。

関連記事