無線LAN(Wi-Fi)の電波干渉とは?原因の調べ方と対策

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Wi-Fi(無線LAN)が「なぜか急に遅くなる」「つながりにくい」という経験はありませんか?

実はその原因のひとつは「電波干渉」かもしれません。

ただ、対策を試す前に確かめておきたいことがあります。本当に電波干渉が起きているのかです。

置き場所を変えても、チャンネルを変えても直らない。そういうときは、そもそも原因が別のところにあります。Windowsのコマンドを1つ実行すれば、近所の無線LANがどのチャンネルを使っているかが分かるので、確かめてから手を打てます。

この記事では、干渉しているかを確かめる手順から始めて、原因と対策の順に説明します。「5GHzに変えたのに切れる」という場合の理由も、最後に扱います。

Wi-Fi(無線LAN)の電波干渉とは?

左右から向かい合う電波の弧と「!」マークのイラスト

Wi-Fiの電波干渉とは、Wi-Fiの電波が他の電波の影響を受けて、インターネットの接続が不安定になったり、速度が遅くなったりする現象です。「混線」「競合」と呼ばれることもあります。

なお、他人の通信を狙って邪魔する「妨害電波」は電波法で禁じられています。家庭で起きるのはそういうものではなく、誰も悪くない、意図しない重なりです。

Wi-Fiでは、主に2.4GHz帯と5GHz帯の電波が使われています(新しい機器では6GHz帯も使えます。規格ごとの違いは後半のリンク先で扱います)。

これらの周波数帯は、電子レンジやBluetooth機器など、他の家電製品でも使われているため、電波同士が干渉してしまうことがあるんです。

電波干渉が起こると、以下のような問題が発生します。

  • インターネットの速度が遅くなる。
  • 接続が不安定になる。
  • 接続が途切れる。

干渉は「故障」ではなく、はじめからそう決まっている

電波干渉が起きると「ルーターが壊れたのでは」と思いがちですが、そうではありません。Wi-Fiが使っている電波は、ほかの無線と分け合う前提で割り当てられています。

総務省の電波利用ポータル「小電力データ通信システム(無線LAN等)」は、無線LANに割り当てられた周波数についてこう書いています。

無線LANは2.4GHz帯、5GHz帯及び6GHz帯の周波数を使用しており、いずれも他の無線システムと周波数共用して運用することを前提に利用(諸外国もほぼ同周波数帯を使用)しています。

つまり、「ぶつかることがある」のは仕様であって、異常ではないということです。同じ資料は、5GHz帯が気象レーダーと周波数を共用していることにも触れています。

だからこそ、やることは「干渉をゼロにする」ではなく「重なりの少ない場所に移る」になります。以降の対策はすべてこの考え方です。

まず、本当に干渉しているのかを調べる

虫めがねと3つの項目が線でつながったイラスト

Windowsのパソコンがあれば、近所の無線LANがどのチャンネルを使っているかを自分で見られます。コマンドプロンプトで次の1行を実行するだけです。

このコマンドは今の状態を表示するだけで、設定は何も変えません。安心して実行してください。ただし家のWi-Fiにつないでいるパソコンで実行してください(会社のパソコンで実行しても、見えるのは会社の周りの状況です)。

近所の無線LANを一覧で見る
netsh wlan show networks mode=bssid

同じ netsh には、いま自分がつないでいるWi-Fiの電波の強さを数字で出すコマンドもあります。混み具合と強さは別の話なので、切り分けるときはあわせて見てください。

コマンドプロンプトの開き方が分からない場合は、こちらの記事で先に確認してください。

同じチャンネルに何台集まっているかを見る

実行すると、電波が届いている範囲の無線LANが1つずつ並びます。見るのは Band(2.4GHzか5GHzか)と Channel(チャンネル番号)の2行です。

⚠ Band の行が出るのは Windows 11 です。Windows 10 では出ないので、Channel の番号で見分けてください(1〜13なら2.4GHz帯、36以上なら5GHz帯)。

netsh wlan show networks mode=bssid の実行結果を端末風に描いた図。近所のWi-Fiが SSID ごとに並び、それぞれの Band が 2.4 GHz、Channel が 10 と表示されている

この図は筆者の環境で実行した結果です。名前(SSID)は6つでしたが、機器の数で数えると14台ありました。1台のルーターが2.4GHz帯と5GHz帯を別々に出したり、メッシュのように複数台で1つの名前を出したりするので、名前の数より機器の数のほうが多くなります。

そのうち2.4GHz帯を使っていたのは9台で、7台が同じ「10番」のチャンネルに集まっていました(残りは1番と9番が1台ずつ)。

この状態なら、10番を避けて空いている番号に移すだけで改善が期待できます。逆に、もし近所の機器が全部バラバラの番号を使っていたなら、チャンネルを変えても効果は薄いと分かります。だから先に見るのです。

混み具合が数字で出ることもある

機器によっては、同じ一覧に Bss Load という項目が出ます。見るのは1行だけで、Channel Utilization(使用率)のかっこの中のパーセントです。その無線LANの周りで、電波がどれくらいの時間ふさがっているかを表しています。

同じコマンドの実行結果で、Bss Load の Channel Utilization が 28(10 %)、Connected Stations が 3 と表示されている図

この例は 28 (10 %) と出ています。前の数字(28)は 0〜255 で表した内部の値で、それをパーセントに直したものがかっこの中です。つまり使用率10%なので、この機器の周りはまだ余裕があると読めます。

ただしこの項目はすべての機器が出すわけではありません。上の実測でも、14台のうち出ていたのは1台だけでした。出ていなければ、チャンネル番号の集まり方で判断します。

スマホでも調べられる?(Androidはできる・iPhoneはできない)

Androidのスマートフォンなら、アプリで近所の無線LANとチャンネルを一覧できます(「Wi-Fiアナライザー」などの名前で探すと見つかります)。見る項目はコマンドと同じで、周波数帯とチャンネル番号です。

⚠ iPhoneでは、App Storeのアプリから近所の一覧を見ることは基本的にできません(Appleがアプリに開放している機能の範囲外のためです)。iPhoneしか手元にない場合は、この章を飛ばして次の対策から試してください。置き場所の見直しは、調べなくても効果があります。

電波干渉の原因

干渉の原因は、大きく3つに分けられます。

  • 家電やBluetooth機器と同じ周波数帯を使っている
  • 近所の無線LANとチャンネルが重なっている(混線・競合)
  • 壁や家具に電波が遮られている

家電やBluetooth機器と同じ周波数帯を使っている

電子レンジ、コードレス電話、Bluetooth機器など、2.4GHz帯の電波を使う家電製品は、Wi-Fiと干渉する可能性があります。

Bluetoothについては、総務省の同じ資料が「Bluetoothは2.4GHz帯を使用する国際的な無線規格」と説明しています。ワイヤレスイヤホンやマウスを使っているなら、その電波もWi-Fiと同じ帯に乗っているということです。

電子レンジを回すと動画が止まる、という症状に心当たりがあれば、この干渉を疑ってみてください。2.4GHz帯だけの話なので、5GHz帯に移せば電子レンジの影響は受けません。

近所の無線LANとチャンネルが重なっている

近くに複数のWi-Fiルーターがあると、電波同士が干渉しやすくなります。特に、マンションやアパートなどの集合住宅では、この問題が起こりやすいです。

先の実測で「7台が同じチャンネル」だったのは、まさにこの状態です。1軒ずつが正しく設定していても、隣同士で同じ番号を選べば重なります。誰も悪くないのに遅くなる、というのがこの原因の厄介なところです。

壁や家具に電波が遮られている

壁や家具などの障害物は、Wi-Fiの電波を遮ったり、反射させたりします。Wi-Fiルーターの設置場所によっては、電波が届きにくくなったり、干渉を受けやすくなったりすることがあります。

これは厳密には「干渉」ではなく電波が弱いだけのことも多いのですが、症状(遅い・切れる)は同じに見えます。切り分けは、ルーターのすぐ近くで試して直るかどうかです。近くで快適なら、干渉より距離と障害物の問題です。

無線LANの電波干渉の対策

プレゼンテーションする人達

調べた結果に合わせて選んでください。①はいま手を動かすだけでできます。②〜④は、調べた結果が当てはまるときに効きます。

  • ① 置き場所を変える … 調べなくてもできる
  • ② 空いているチャンネルに変える … 同じ番号に何台も集まっていたとき
  • ③ 5GHz帯に移す … 電子レンジやBluetoothと重なっているとき
  • ④ メッシュWi-Fiにする … 電波そのものが届いていないとき

① Wi-Fiルーターの置き場所を変える

Wi-Fiルーターは、できるだけ高い場所に設置し、障害物の少ない場所に置くようにしましょう。

また、家電製品から離して設置することも重要です。特に電子レンジ・テレビの裏・金属の棚の中は避けてください。設定をいじらずに済むので、まずこれから試してください。

⚠ ただし、どこへ動かせるかは回線の口からのケーブルの長さで先に決まっています。動かせる範囲の確かめ方と、その範囲を広げる手はWi-Fiルーターの置き場所にまとめました。

なお、コンセントに挿して使うホームルーターは、外から電波を受け取る仕事も兼ねているので、置き場所の決め方が少し変わります。

② 空いているチャンネルに変える

Wi-Fiルーターは、複数のチャンネルを使って通信しています。チャンネルを変更することで、他のWi-Fiルーターとの干渉を避けることができます。

設定はルーターの管理画面から行います。メーカーによって呼び方は違いますが、「無線設定」や「Wi-Fi詳細設定」の中に「チャンネル」という項目があります。

⚠ 管理画面を開いたことがない場合は、先にこちらの記事で開き方を確かめてください。本体に貼られたシールに、開くためのアドレスとパスワードが書かれています。

どの番号を選ぶか

2.4GHz帯のチャンネルは、隣だけでなく前後4つほどまで電波が重なります。そのため、完全に重ならないのは1番・6番・11番の3つだけです。この中から、多くが集まっている番号からできるだけ離れたものを選びます。

先の実測(10番に7台・9番に1台・1番に1台)なら、10番と9番から最も離れた1番が候補です。1番にも1台いますが、7台と重なるより1台と重なるほうが空いています。

「自動」の設定があるなら、まずそれを試すのが手軽です。ただし自動は電源を入れ直したときに選び直す機種が多いので、効かなければ手動で固定するほうが確実です。

③ 5GHz帯のWi-Fiを使う

5GHz帯は2.4GHz帯に比べて電波干渉の影響を受けにくい周波数帯です。家電やBluetoothと帯が違うので、そちらの影響は受けません。

Wi-Fiルーターとデバイスが5GHz帯に対応している場合は、5GHz帯を使うように設定しましょう。多くの機器では、接続先の名前(SSID)のどこかに「A」または「a」(5GHz)、「G」または「g」(2.4GHz)が入っています。末尾のこともあれば途中のこともあります(例: aterm-xxxxxx-a、Buffalo-A-1234)。

ただし5GHz帯にも弱点と制約があります。次の章で扱います。

④ メッシュWi-Fiを導入する

メッシュWi-Fiは、複数のWi-Fiルーターを連携させて、家全体にWi-Fiの電波を届けるシステムです。

これは干渉というより「電波が届いていない」側の打ち手です。広範囲に切れにくいWi-Fi環境を作れるので、広い家や、壁が多くて電波が届かない部屋がある場合に効きます。

5GHzでも干渉する?切れる・遅いときの原因

「5GHzにすれば解決」と書かれていることが多いのですが、5GHz帯にしても切れる場合があります。理由は3つです。

1分ほど止まるのは仕様で、故障ではない

5GHz帯の一部は、気象レーダーと同じ周波数を使っています。そのため、Wi-Fiルーターにはレーダーを見つけたら電波を止めるか、チャンネルを変える仕組みが義務づけられています。DFSと呼ばれる機能です。

総務省の電波利用ポータルは、DFSをこう説明しています。

5.3GHz帯及び5.6GHz帯において、気象レーダーが存在していることを検知するために、同周波数帯を使用する無線LANの親局(アクセスポイント)に搭載が義務づけられている機能。レーダーを検知した場合は自動的に停止又はチャネルを変更する機能が備わっています。

5.3GHz帯又は5.6GHz帯チャネルでの運用開始前に60秒間レーダーで使用されていないことを確認し、運用中も連続的にレーダー波が存在していないか検知することとなっています。

つまり、5GHz帯で通信が一瞬切れたり、つなぎ直しに1分近くかかったりするのは、この仕組みが働いた結果のことがあるということです。故障でも設定ミスでもありません。

頻度は場所によります。空港や気象レーダーの近くでは起こりやすく、そうでなければ気づかないことも多いです。

5GHz帯も混み始めている

5GHz帯が空いていたのは、対応する機器が少なかったからです。いまは事情が変わりつつあります。

先の実測でも、5GHz帯を使っていた5台は全部が同じ「36番」のチャンネルでした。2.4GHz帯より台数は少ないものの、集まり方は同じです。5GHzにしたから安心、とは言えません。

ちなみに36番は、上で説明したレーダーの確認が要らない帯(5.2GHz帯)のチャンネルです。総務省の資料でも、DFSが必要なのは5.3GHz帯と5.6GHz帯だけとされています。

5GHz帯は壁や床に弱い

5GHz帯は障害物に弱く、2.4GHz帯より届く範囲が狭いという性質があります。ルーターから離れた部屋や、階が違う場所では、かえって遅くなることがあります。

この場合は5GHzに固執せず、その部屋だけ2.4GHzを使う、という使い分けが現実的です。周波数帯ごとの向き不向きは、先に挙げた「2.4GHzと5GHzの違い」の記事で詳しく扱っています。

それでも直らないときは、干渉ではないかもしれない

ここまでの対策を試しても変わらないなら、原因は電波の重なりではありません。次のような症状なら、疑う先が変わります。

  • 夕方から夜だけ遅い(朝はふつう)… 電波ではなく回線の混み合いが疑われます
  • ルーターのすぐ横でも遅い … 電波の重なりではなく、回線か機器の側
  • 特定の機器だけ遅い … その機器の設定や対応している規格

時間帯で変わる場合、電波の混み合いは夜に近所の利用が増えるぶんの影響もありますが、回線そのものが混む時間帯でもあります。切り分けの手順はこちらの記事にまとめています。

まとめ

Wi-Fi(無線LAN)の電波干渉は、インターネットの速度低下や接続の不安定さを引き起こす原因となります。

  • 対策の前に netsh wlan show networks mode=bssid で近所のチャンネルを見る
  • 同じ番号に集まっていたら、離れた番号(1・6・11など)に変える
  • 電子レンジやBluetoothの影響なら、5GHz帯に移せば避けられる
  • 5GHz帯でも切れることはある。総務省は、5.3GHz帯・5.6GHz帯の親機にレーダー検知時に停止・変更する機能(DFS)が義務づけられていると説明している

電波を分け合うことは、総務省の資料が「前提」と書いているとおり、はじめから決まっている条件です。ゼロにはできませんが、重なりの少ない場所に移ることはできます。まずは一覧を見て、自分の家がどの状態かを確かめてみてください。

参考: 小電力データ通信システム(無線LAN等)|総務省 電波利用ポータル

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