Wi-Fiの電波強度の調べ方|dBmの見方と「弱い」の境目

11 min 281 views

スマートフォンの画面のすみにある、扇形のアンテナのマーク。3本だったのが2本に減っているのを見て、「電波が弱いのかな」と思ったことはありませんか。

「2本って、困るほど弱いの?」「何本なら安心なの?」。減っているのは見えるのに、それが自分にとってどういう意味なのかは分からない。そんな方も多いはずです。

実は、電波の強さは本数ではなく、数字で読むことができます。しかもWindowsのパソコンなら、アプリを何も入れずに見られます。

ただし、その数字には注意点があります。「いくつ以下なら困る」という線は、誰も引けないのです。

先に結論

電波の強さは dBm(デービーエム) という単位の数字で表されます。マイナスの数字で、0に近いほど強いのが決まりです。

Windowsのパソコンなら、コマンドを1つ実行すれば「%」で表示されます。この%はWindowsが内部で持っている「信号品質」で、Microsoftはそれを0%=−100dBm、100%=−50dBmと定義しています。

ただし「何dBm以下なら困る」という線は引けません。同じ強さでも、まわりの騒がしさで結果が変わるからです。数字は合否を出すためではなく、2か所を比べるために使います

この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、電波強度という数字が何を表しているのか、自分の端末でどうやって見るのか、そしてその数字をどう使えば「困っているのかどうか」を自分で判断できるのかまでを解説していきます。

Wi-Fiの電波強度とは、何を表している数字なのか

電波強度の目盛りを表した図。左から右へ伸びる濃紺の矢印の上に、水色のWi-Fiの電波マークが5つ並んでいて、左端がいちばん小さく、右へ行くほど大きくなっている。図には「マイナスの数字で、0に近いほど強い」「−100dBm 弱い」「−50dBm 強い」と書かれている。

Wi-Fiの電波強度とは、いま自分の端末が受け取っている電波の強さのことです。パソコンやスマートフォンの側で測っている値だと思ってください。

ラジオを思い浮かべると分かりやすいかもしれません。放送局から遠ざかるほど、聞こえてくる音は小さくなっていきます。その「いま届いている音の大きさ」に当たるのが電波強度です。

この値には dBm(デービーエム) という単位が使われます。英語では RSSI(Received Signal Strength Indicator=受信信号強度)と呼ばれ、Androidの開発者向け資料 WifiManager(Android Developers) も「a raw RSSI value, in dBm, usually between -55 and -90」(RSSIの生の値。単位はdBmで、通常は−55から−90のあいだ)と書いています。

RSSIはマイナスの数字。「大きいほうが強い」のはなぜか

最初に戸惑うのがここです。電波強度はふつうマイナスの数字で出てきます。

−50 と −80 なら、強いのは −50 のほうです。0に近いほど強い、と覚えてください。気温でいえば「マイナス5度のほうがマイナス20度より暖かい」のと同じことです。

そしてもう1つ。この目盛りは足し算ではなく掛け算で動きます。数が10減るごとに、電波の量は10分の1になります。

−50dBm と比べて電波の量は
−60dBm10分の1
−70dBm100分の1
−80dBm1000分の1

「−60から−70へ」はたった10の差に見えますが、実際は10分の1になっています。この目盛りの性質は、家のつくりでWi-Fiが弱くなる度合いを扱った記事でも同じ形で出てきます。

アンテナの本数は、機種ごとの目盛りにすぎない

端末によって電波の目盛りが違うことを表した図。ノートパソコン・スマートフォン・タブレットが横に並び、それぞれの上に水色の横棒を積み上げたメーターがある。棒の数は左から3本・5本・4本で、機器の大きさとは対応していない。図には「同じ場所でも、目盛りは端末ごとに違う」「3段階で表示」「5段階で表示」「4段階で表示」と書かれている。

では、画面のアンテナの本数は何を表しているのでしょうか。

結論から言うと、本数の決め方に共通のルールはありません。先ほどのAndroidの資料には、本数を計算する機能について「the system default RSSI quality rating thresholds」(システム既定のRSSI品質評価のしきい値)を使うと書かれています。何段階で表示するかも「Get the system default maximum signal level」(システム既定の最大の信号レベルを取得する)という形で、端末の側が決めることになっています。

同じ「端末ごとに区切る位置が違う」ことを、Apple自身が別の数字で示しています。複数のアクセスポイントを置く環境の設計者に向けた資料で、Macは −75dBm、iPhoneとiPadは −70dBm を境に、別のアクセスポイントを探し始めると説明しているのです。

Appleの資料が書いていること

「Macコンピュータは、RSSIが–75 dBmのしきい値を超えるまで、現在のBSSIDの接続を監視し、維持します。iPhoneおよびiPadデバイスは、受信信号強度インジケータ(RSSI)が–70 dBmを超えるまで、基本サービスセット識別子(BSSID)の接続を監視し、維持します。」

出典: AppleデバイスでのWi-Fiローミングのサポート(Apple)(2026年9月13日確認)

⚠ これは「iPhoneは −70dBm で切れる」という意味ではありません。アクセスポイントが複数ある場所で、乗り換え先を探し始める合図の話です。

その合図のあと、端末がどうやって乗り換え先を選ぶのか(そして、近くに中継機があっても移らないことがあるのはなぜか)は、別の記事にまとめました。

それでも、言っていることははっきりしています。同じメーカーの製品どうしでも、区切る位置が5dBずれているのです。

同じ資料は、測り方の注意もあわせて書いています。「デバイスのアンテナは機種によって異なる」ため、「セルのオーバーラップを測定する際には、ターゲットデバイスを使用することをおすすめします」(電波の重なりを測るときは、実際に使う端末を使うのがいちばんよい)というわけです。

つまり、家族のスマートフォンと本数を見比べて「こっちは3本なのに」と考えても意味がありません。定規の目盛りが違うものどうしを並べているようなものです。

Windowsで電波強度を数字で見る(コマンド1つ)

Windowsが表示する%とdBmの対応を表した図。同じ長さの細長い枠が上下に2本並び、水色の点線3本で上下が結ばれている。上の枠には「0%」「Windowsが表示する%」「100%」、下の枠には「−100dBm」「dBmで言うと」「−50dBm」と書かれている。図の見出しは「同じ1本の目盛りを、2通りに呼んでいる」で、下に「%が20下がるごとに、電波の量は10分の1」と添えられている。

ここからが実際の手順です。Windowsのパソコンなら、何もインストールせずに電波の強さを数字で見られます。

⚠ 手元にWindowsのパソコンが無い方も、この節は読んでおいてください。コマンドの手順だけを飛ばして「%をdBmに直す」から読めば足ります。%をdBmに読み替えるという考え方は、どの端末の数字を読むときにも効きます式そのものはWindowsの%にだけ使えます)。

コマンドプロンプトを開いて、次の1行を実行してください。今の状態を表示するだけで、設定は何も変えません

いま受けている電波の強さを見る
netsh wlan show interfaces

コマンドプロンプトの開き方が分からない場合は、こちらの記事で先に確認してください。

実行すると、いまつないでいるWi-Fiの情報がずらりと並びます。見るのは「シグナル」または「Signal」の行、1行だけです。

⚠ 表示が日本語で出るか英語で出るかは環境によって変わります。どちらの場合も、%が付いている行を探せば見つかります。

⚠ Wi-Fiではなく有線LANでつないでいるパソコンでは、この行は出ません。Wi-Fiにつないだ状態で実行してください。

%をdBmに直す(Microsoftが定義している目盛り)

ここで出てくるのは「87%」のような%の値です。dBmではありません。

ですが、この%が何を意味するのかを、Microsoftが開発者向けの資料ではっきり定義しています。しかも同じ定義が3つの資料に繰り返し書かれています。

Microsoftの資料が書いていること

「ネットワークの信号品質を表すパーセンテージ値。(中略)このメンバーには、0 ~ 100 の値が含まれています。値が 0 の場合は、実際の RSSI 信号強度が -100 dbm であることを意味します。値が 100 の場合は、実際の RSSI 信号強度が -50 dbm であることを意味します。線形補間を使用して、wlanSignalQuality 値の 1 から 99 の RSSI 信号強度値を計算できます。」

出典: WLAN_ASSOCIATION_ATTRIBUTES (wlanapi.h)(Microsoft)(2026年8月25日確認)

「線形補間」というのは、あいだを均等に割るということです。0%が−100dBm、100%が−50dBmで、そのあいだを等分するのですから、次の式で直せます。

%からdBmを出す
dBm = % ÷ 2 - 100

⚠ この式そのものはMicrosoftが書いているものではありません。上に引いた定義(0%が−100dBm、100%が−50dBm、あいだは線形補間)から計算したものです。

表示された%dBmに直すと
100%−50dBm
80%−60dBm
60%−70dBm
40%−80dBm
20%−90dBm

ここで気づくことがあります。%が20下がるごとに、電波の量は10分の1になっているのです。

「80%もあるから十分だろう」と読みたくなりますが、%の見た目は実際の差をかなり小さく見せます。80%と40%は「2倍の差」ではなく、電波の量では100分の1です。テストの点数のような感覚で読まないでください。

⚠ なお、Microsoftはコマンドの解説のほうには表示項目の説明を載せていません。ここで引いたのはWindowsが内部で持っている「信号品質」の定義で、コマンドはそれを画面に出す手段の1つです。

「シグナル90%以上なら良好」と書かれているのは何なのか

電波強度を調べていると、「シグナルが90%以上なら良好」という説明によく出会います。いくつもの解説記事で、同じ言い回しが使われています。

これを、さきほどの式に通してみましょう。90 ÷ 2 − 100 で、−55dBm です。

%のままだと「100点満点の90点」に見えます。ですがdBmに直すと −55dBm%が振り切れる −50dBm まで、あと5しかない場所です。この目安は、目盛りの上端にごく近い値を「良好」と呼んでいることになります。

これが、%をdBmに直しておく意味です。他所で見かけた目安と自分の数字を、同じ物差しの上に並べられます。

⚠ ただしこの記事は、「90%を下回ったら困る」とは言いません。その線がなぜ引けないのかを、次の章で見ていきます。

スマホやMacで電波強度を見られるのか

「パソコンは分かったけれど、普段使っているのはスマホなのだが」と思われたかもしれません。ここはAndroid・iPhone・Macで事情が違います

Androidは読み取れる。iPhoneとMacはAppleが案内していない

Androidでは、アプリがこの数字を読み取れるようになっています。先ほど引いた開発者向け資料が、RSSIをdBmの値としてアプリに渡すと書いているとおりです。「Wi-Fiアナライザー」といった名前のアプリで電波の強さを表示できるのは、このためです。

いっぽうiPhoneとiPadでは、Appleが数字で見る方法を案内していません

Apple純正の「AirMacユーティリティ」で見られる、という情報を見かけることがあります。ですがAppleはこれを電波の強さを見る機能として案内していませんAirMacユーティリティ(App Store)に載っている機能一覧に、電波の強さを測る項目は1つもありません。書かれているのは、Apple製のベースステーション(すでに販売終了した同社のWi-Fi機器)の設定や再起動といった項目です。

電話アプリに決まった番号を入力する方法(フィールドテストモード)を紹介している記事もあります。これについても、AppleはWi-Fiの電波の強さを見る手段として案内していません。本記事で確かめられるのはそこまでで、その画面に何が出るのかも公式には辿れません

Macも同じです。AppleのMacでワイヤレス診断を使用する(Apple)には、問題を分析して結果を出す手順は書かれていますが、電波の強さを数字で見る手順は書かれていません

公式が案内していない手順は、この記事では紹介しません。OSの更新で使えなくなっても、誰も直してくれないからです。

これはアプリの世界でも同じです。日本のメーカーのアプリでも、たとえばアイ・オー・データ機器の「Wi-Fiミレル」は、公式ページにこう書いています。

同じアプリでも、iOS版だけ機能が違う

「※Android版、iOS版では一部機能が異なります。iOS版では電波強度の計測および混雑状況の確認機能は使えません。」

出典: Wi-Fiミレル(アイ・オー・データ機器)(2026年8月25日確認)

Appleだけの話ではありません。このメーカーのアプリでも、iOS版だけこの機能が使えないと明記されています

数字が見られない端末しか無いとき、どうするか

iPhoneしか手元にない、という方も心配はいりません。取れる道は2つあります。

  • Windowsのパソコンを持ち歩いて測る。家の中を移動して数字を見比べるだけなら、これがいちばん確実です
  • 速度で測る。あとで説明するとおり、最終的な判定はどのみち速度で行います。強さの数字はその手前の材料にすぎません

そもそも、電波の強さを測る目的は「いま困っているのか」を知ることです。そこにたどり着けるなら、道は1本でなくてかまいません。

電波強度がいくつなら「弱い」のか — 一本線は引けない

同じ強さの電波でも、まわりの騒がしさで結果が変わることを表した図。同じ大きさの円が2つ並び、どちらの中央にも同じ大きさの水色のWi-Fiの電波マークがある。左の円の中には灰色の小さな点がわずかにあるだけで、右の円の中には点が多数密集している。図には「同じ強さでも、まわりの騒がしさで変わる」「静かな場所」「騒がしい場所」と書かれている。

いよいよ本題です。「−70dBmは弱いのか」「−60dBmなら安心なのか」。ここが知りたくてこの記事にたどり着いた方が多いはずです。

先に答えを書きます。この数字だけで線を引くことはできません

一本線が引けない理由

理由は、電波が届くかどうかを決めているのが強さそのものではなく、まわりの騒がしさとの差だからです。

コンサートホールで人の話し声を聞き取る場面を想像してください。相手の声の大きさが同じでも、静かなホールなら聞き取れて、演奏中なら聞き取れません。電波でも同じことが起きています。

この「まわりの騒がしさ」はノイズフロアと呼ばれ、電波の強さとの差をSNR(信号対雑音比)といいます。ネットワーク機器メーカーのCisco Merakiは、自社のアクセスポイントについてこう説明しています。

同じ−65dBmでも評価が変わる

「たとえば、-65dBmの受信信号は、ノイズ フロアが-90dBm(SNRが25dB)の場所では良いと見なされますが、ノイズ フロアが-80dBm(SNRが15dB)の場所ではそれほど良くないと見なされます。」

出典: 信号/ノイズ比(SNR)とワイヤレス信号強度(Cisco Meraki)(2026年8月25日確認)

まったく同じ −65dBm が、場所によって「良い」にも「そうでもない」にもなる。これが、一本線を引けない理由です。

「では騒がしさも測ればいいのでは」と思われるかもしれません。ところが、同じ資料がこう書いています。「ラップトップに搭載されている標準的なWLANカードは、周囲のノイズ フロアを測定するように設計されておらず」、専用のアダプタが要る、と。

つまり合否を決める側の値を、私たちのパソコンでは手軽に測れません。同じ資料は、専用のアダプタや別のツールを使えば計算できるとも書いていますが、読者が家で確かめるための手段ではありません

公開されている目安は、誰かの都合の目安

それでも「−65dBm以上なら良好」といった目安を見かけます。あれは何なのでしょうか。

調べてみると、数字を公開しているのは親機(アクセスポイント)を売っている側でした。たとえばバッファローは、自社のWi-Fiアクセスポイントについて次の目安を出しています。

2.4GHz5GHz
良好な通信速度が期待できる-65dBm以上-60dBm以上
実用的な通信速度が期待できる-75 ~ -66dBm-70 ~ -61dBm

出典: 無線状況が良好なRSSI(電波強度)はどの程度ですか(Wi-Fiアクセスポイント)(バッファロー)(2024年4月16日更新・2026年8月25日確認)

⚠ ここで大事なのは、この値が「親機の設定画面に出る数字」についてのものだという点です。手順として書かれているのはアクセスポイントの設定画面を開く操作で、そこに出るのは親機が受け取っている子機の電波の強さです。

同じFAQが「スマホなどの小型機器の場合は、ノートパソコンなどと比べて出力が小さいため、RSSIの値は小さくなります」と書いていることが、その証拠です。向きが逆なので、あなたのパソコンが表示する数字にそのまま当てはめることはできません。

そして同じFAQは、こうも書いています。

目安を出している側の但し書き

「注意点として、RSSIの値はノイズ(干渉波)は考慮されていないため、計測して良い値だったとしても、環境によっては充分な速度が出ない場合があります。」

「機器によってもRSSIの値は変るため、使用する端末機器を用いて測定することを推奨いたします。」

目安を出している当人が、良い値でも足りないことがあると書いているのです。そのうえで、実際に使う端末で測ることを勧めています。これは先ほどのAppleの記述と同じ趣旨です。

ですから、こういう数字は親機を管理する人が、自分の機器の側で見るための目安として読んでください。あなたの家の合否を決めるための線ではありません。

では何で判断するのか

答えは単純です。困っているかどうかは、速度で判断します

電波が弱いと何が起きるのかを、Cisco Merakiの同じ資料が説明しています。騒がしさに近い電波はデータが壊れやすく、壊れると送り直しになる。送り直しが電波の順番待ちを増やすので、速度が落ち、遅れが大きくなる

つまり電波の弱さは、最後には速度と遅れという形で表に出てきます。そして速度なら、私たちにも測れます。

同じ資料を読んで「では専用の測定器を用意しよう」と考える道もあります。ですがこの記事は逆の側に立ちます。測れないものは測らずに、測れるもので判断する。道具を増やさずに済むほうを選びます。

そして速度も、1つの値で合否を決めるのではなく、強さと同じように2か所を比べて読みます。ルーターのそばで出る速度に対して、困っている部屋では何分の1になっているか。用途ごとの目安は、速度テストの記事にまとめています。

電波強度を見たあと、何をすれば変わるのか

2か所で電波の強さを測って比べることを表した図。中央に濃紺のWi-Fiルーターがあり、左のノートパソコンへは太い水色の矢印がまっすぐ届いている。右のノートパソコンとのあいだには濃紺の板が1枚立っていて、板の向こう側では矢印が細くなっている。図には「2か所で測って、差を見る」「ルーターのすぐそば」「Wi-Fiルーター」「困っている部屋」と書かれている。

合否が出せないなら、この数字は何の役に立つのでしょうか。

役に立つのは比べるときです。同じ端末で、同じ日に、2か所で測る。1つの値を評価するのではなく、2つの値の差を見るのなら、目盛りが機種ごとに違っても関係ありません。

  1. STEP

    ルーターのすぐそばで測る

    電波の強さを測って、まず基準を取ります。ここがその端末で出せる、いちばん良い値です。

  2. STEP

    困っている部屋で測る

    動画が止まる部屋、会議が途切れる机の上で、同じ端末で強さを測ります

  3. STEP

    同じ2か所で速度も測る

    強さと速度をセットで見ます。判断するのは速度のほうで、強さは理由を教えてくれる材料です。

    ⚠ iPhoneしか手元にない方は、STEP 1・2 を飛ばして速度だけを2か所で測ってください。比べるという考え方は同じです。ただしこのあとの表は1行目だけが使えます。2・3行目を見分けるには強さの数字が要ります。

差の読み方は、この記事の前半でもう見ています。10dB(%なら20ポイント)の差があれば、電波の量は10分の1。覚えておいた目盛りの使いどころは、ここです。

⚠ ただしこれは差の読み方であって、「何dB落ちたら替えどき」という線ではありません。差が大きいと分かったら、次は同じ2か所の速度を見ます。

この4つの数字(強さ2か所と速度2か所)が揃うと、次にやることが決まります。

2か所の結果読み取れること次にやること
そばでも速度が出ない電波の届き方の問題ではない回線や機器のほうを疑う
そばの強さは良く、部屋で大きく落ちる(速度も落ちる)あいだにある壁や床で弱まっている置き場所を変える。届かないなら出どころを増やす(中継機・メッシュWi-Fi)
強さはほとんど落ちていないのに、速度だけ落ちるまわりが騒がしい可能性(多くは近所のWi-Fiとの重なり)近所との電波干渉を調べる

そばは良いのに、部屋で大きく落ちるとき

2行目のように「そばの強さは良いのに、部屋で大きく落ちる」場合、どれくらい落ちるのが当たり前なのかは家のつくりでほぼ決まっています。木造か鉄筋コンクリートかで話が変わるので、こちらもあわせて読んでみてください。

電波は強いのに遅いとき — 速度だけが落ちる場合

3行目は、この記事で見てきたことがそのまま形になった場面です。電波は強いのに遅い——強さは足りているのに速度が出ないなら、疑うのは電波の強さではなく、まわりの側になります。

⚠ ここで、言葉を1つ分けておきます。さきほど「測れない」と書いたのは雑音の量そのもの(ノイズフロア)です。いっぽう同じチャンネルに何台のWi-Fiがいるかは、量とは別に調べられます。量は測れませんが、重なっている相手がいるかどうかは分かるということです。

近所のWi-Fiとチャンネルが重なっていないかは、同じnetshの別のコマンドで調べられます。手順はこちらにまとめています。

まとめ

この記事では、Wi-Fiの電波強度をどこで数字として見るのか、そしてその数字をどう読めばよいのかを、メーカーや開発元の資料をもとに解説しました。

  • 電波強度はdBmという単位のマイナスの数字で、0に近いほど強い。10減るごとに電波の量は10分の1になる
  • アンテナの本数に共通のルールは無い。段数もしきい値も端末が決めていて、Appleの資料ではMacが−75dBm、iPhone・iPadが−70dBmと5dBずれている(ただしこれは乗り換え先を探し始める合図の話)
  • Windowsならnetsh wlan show interfaces%として見られる。Microsoftは0%=−100dBm、100%=−50dBm、あいだは等分と定義しているので、%÷2−100でdBmに直せる(ただしMicrosoftが定義しているのはWindowsが内部で持っている信号品質で、コマンドの表示項目そのものの解説ではない)
  • %の見た目は差を小さく見せる。%が20下がるごとに電波の量は10分の1になるので、80%と40%は「2倍の差」ではなく100分の1
  • よく見かける「シグナル90%以上なら良好」は、式に通すと −55dBm%が振り切れる −50dBm まであと5しかない、目盛りの上端にごく近い値を「良好」と呼んでいる
  • Androidはアプリで読み取れる。iPhoneとMacはAppleが数字で見る方法を案内していないので、この記事では手順を紹介しない(アイ・オー・データ機器の「Wi-Fiミレル」もiOS版だけ電波強度の計測が使えないと公式に明記している)
  • 「何dBm以下なら困る」という線は引けない。決めているのはまわりの騒がしさとの差で、Cisco Merakiは同じ−65dBmが場所によって「良い」にも「そうでもない」にもなると書いている。しかもその騒がしさは普通のパソコンでは手軽に測れない(専用のアダプタや別のツールが要る)
  • 公開されている目安(バッファローの−65dBm以上など)は親機の設定画面に出る数字についてのもので、向きが逆。出している当人も、良い値でも足りないことがある・実際に使う端末で測ってほしい、と但し書きを付けている
  • だから数字は合否を出すためではなく、2か所を比べるために使う。差の読み方は前半の目盛りのままで、10dB(%なら20ポイント)の差なら電波の量は10分の1
  • 判断するのは速度。その速度も1つの値で決めず、強さと同じように2か所を比べて読む。強さはその理由を教えてくれる材料

「2本になった」で不安になる必要はありません。ルーターのそばと困っている部屋、2か所で測って見比べる。それだけで、次に何を試せばいいのかが自分で決められるようになります。

関連記事