セキュリティの案内で「ファームウェアを最新にしましょう」と書かれているのを見て、手が止まったことはないでしょうか。
総務省が2026年2月に行った調査では、自宅の無線LANについて答えた957人のうち「ファームウェアがわからない」と答えた人が47%で、選択肢の中で突出して多くなっています。つまり、止まっているのはあなただけではありません。
ファームウェアとは、ルーターの中で動いているソフトウェアのことです。パソコンやスマートフォンにOSがあるように、ルーターにも中身のソフトがあり、ときどき新しいものが配られます。
この記事では、更新しないとどうなるのか、自分のが最新かをどう確かめるのか、自動更新にしてよいのか、更新に失敗したらどうなるのかを、メーカーと公的機関の資料をもとに解説していきます。機種ごとの操作手順は書きませんが、自分の機種で調べる道すじまでは持ち帰れる形にします。
⚠ すでに更新を実行して、ランプの様子が変わったまま戻らない方へ。まず数分は、手を出さずに待ってください(更新中に電源を切ると、直せない壊れ方をします)。それでも戻らないときの手順は、この記事の「失敗したときに何が見えるか、どうするか」にあります。
目次
ファームウェアとは?ルーターの中で動いているソフトウェア

ファームウェア(firmware・ファームウェア)は、機器そのものを動かしているソフトウェアです。NECはAterm WG2600HP3 のユーザーズマニュアルで、こう説明しています。
ファームウェアとは、本商品を動かすソフトウェアのことです。
ファームウェアをバージョンアップすることで、不具合が修正されたり、新機能が使えたりします。ファームウェアは最新のバージョンでご使用ください。
ここで押さえておきたいのは、ファームウェアは「設定」ではないということです。SSIDやパスワードのように自分で決める項目とは別に、機器の土台として動いているものがあり、そちらは自分では書けません。だからメーカーが配ります。
なお、更新のことを何と呼ぶかは資料によって違います。NECとNTT東日本は「バージョンアップ」、バッファローと総務省は「更新(アップデート)」が中心です。⚠ 同じメーカーの中でも両方が使われます(NTT東日本は「バージョンアップ」と書きながら、設定の名前は「アップデート設定」です)。指しているものは同じなので、どちらの語で書かれていても同じ作業だと思ってください。
わからない人が多数派、という前提から始める
冒頭の47%は、総務省の令和7年度 無線LAN利用者実態調査(概要版)で公表されている数字です。日常的に無線LANを使っている人が対象で、自宅の無線LANについて答えた957人に、ファームウェアの更新をどうしているかを聞いた結果が、次のようになっています(表の「FW」は資料の表記のままで、ファームウェアのことです)。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| FWがわからない | 47% |
| 家族等任せ・不明 | 20% |
| 自動更新 | 12% |
| 更新しない(提供なし) | 7% |
| たまに更新 | 5% |
| 更新しない(その他) | 5% |
| 定期的に更新 | 4% |
何らかの形で更新していると答えた人(自動更新・定期的に更新・たまに更新)を足すと21%です。残りの79%は、していないか、分からないということになります。
⚠ この調査はWebアンケートの回答割合で、被害の件数ではありません(調査期間 2026年2月16日〜26日・マクロミル社モニタ)。「79%の家庭が危ない」という意味ではなく、自分の家がどうなっているかを把握していない人が多数派、という読み方をしてください。
ファームウェアの更新でしか直せないものがある

更新の理由は「新しい機能が使えるから」ではありません。弱点がふさがれるからです。
更新でふさげるのは「見つかった弱点」
総務省は家庭向けの資料一般利用者が安心して無線LANを利用するために(自宅Wi-Fi利用者向け簡易マニュアル・令和7年2月版)で、こう書いています。
Wi-Fiルーターのファームウェア(ソフトウェア)に脆弱性が生じたときは、メーカーから更新版が提供されます。ファームウェアを最新のものに更新(アップデート)してセキュリティを保ちましょう。
脆弱性(ぜいじゃくせい)は、同じ資料の注記で「プログラムの不具合や設計上のミスが原因となって発生するサイバーセキュリティ上の欠陥」と説明されています。作ったときには気づかれず、あとから見つかる穴のことです。
設定を直しても、初期化しても、直らないものがある
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。設定をどう変えても直らない穴があります。
わかりやすい例が、Wi-Fiの暗号化方式です。同じ総務省の資料は、現在主流の「WPA2」について、次のように書いています。
WPAより堅牢な現在主流のセキュリティ方式。KRACKsという脆弱性が発見されたが、KRACKsに対処するファームウェアを各ベンダーが配布しているため、ファームウェアを最新のものに更新することで安全に利用することが可能。
読み替えるとこうなります。「WPA2を選んであるから安全」ではなく、「WPA2を選んだうえで、更新してあるから安全」。設定画面でWPA2にチェックを入れる操作では、この穴はふさがりません。
初期化も同じです。警視庁は家庭用ルーターの不正利用に関する注意喚起で、見覚えのない設定があったときの対処をこう案内しています。
見覚えのない設定があった場合、ルーターの初期化を行い、ファームウェアを最新に更新した上、ルーターのパスワードを複雑なものに変更する。
「初期化を行い、ファームウェアを最新に更新した上」と、2つが並んでいます。初期化だけでは足りない、と読めます。
ルーターの話ではありませんが、わかりやすい実例があります。ベルギーのKU Leuven COSICの研究チームが2026年1月に公表した、Bluetoothのイヤホンなどのアクセサリで見つかった脆弱性「WhisperPair」(CVE-2025-36911)です。
公式サイト(英語)のよくある質問には、ペアリングの解除や初期化で直るのかという項目があり、答えはいいえです。初期化はそれまでの登録を消せるが、根本の問題は直らない、機器のファームウェアを更新する必要がある、と書かれています。
使う人の側でできる操作は、この種の穴には届きません。作った側が直したものを受け取るしかない、という形です。
Bluetooth機器の更新については、次の記事で詳しく扱っています。
ただし「更新すれば安全になる」ではない
逆向きの注意も1つ。更新でふさがるのはすでに見つかって、直されたぶんだけです。まだ見つかっていない穴は、最新にしていても残っています。
ですから更新は「これで安心」の到達点ではなく、わかっているぶんを取りこぼさないための作業だと考えてください。パスワードを変える、使わない機能を切る、といったほかの手と足し算になります。
自分のルーターのファームウェアが最新かを確かめる(バージョンの見方)
「管理画面で確認しましょう」で終わっている案内が多いのですが、その前に確かめておくことがあります。
まず、自分で更新する機器かどうか
回線の契約でレンタルしている機器(ホームゲートウェイやONU)は、事業者の側で自動更新するように作られていることがあります。
たとえばNTT東日本のホームゲートウェイ RX-600MI / PR-600MI は、機能詳細ガイドに次のように書かれています。
自動更新時間は、初期値で01:00〜05:00のいずれかの時間帯に設定されます。
さらに、工場出荷状態で起動したときも最新のファームウェアがあれば自動的に更新される、とも書かれています。借りている機器については、こちらから何もしていなくても更新されていることがあるわけです。
実際にそう運用された記録も公開されています。NTT東日本は2024年9月、ホームゲートウェイの脆弱性に対応したファームウェアの提供についてのお知らせで、こう書いています。
本機器の初期設定では自動アップデートとなっておりますが、手動アップデートに変更しているお客さまにおいてはご自身でアップデートをしていただく必要がございます。
なお、当該アップデートはすでに99%以上の対象機器に適用済みです。(9/26時点未適用数:約360台)
⚠ ただし、この裏返しも書かれています。手動に変えている場合は、自分でやることになります。借りている機器だから安心、とは言い切れません。
一方、家電量販店で買ったWi-Fiルーターは、自分で確かめる側になります。家に機器が2台ある場合は、どちらの話なのかを先に決めてください。
見分け方は難しくありません。自分で買った覚えがあるかどうかです。
- 回線の工事のときに置いていかれた機器(光コードがささっている箱)=借りている側。NTT東日本の機器のように、事業者の側で自動更新するように作られていることがある
- 自分で買ってきた機器(箱や保証書がある)=自分で確かめる側
- どちらか分からないときは、本体に書かれている型番でメーカーを調べる(このあとの「機種の名前(型番)を調べる」と同じ作業です)
2台あって、どちらの設定画面を開けばよいか迷う場合は、次の記事で扱っています。
更新の項目名は3社とも同じ。見つからないのは「自動更新」のほう

ルーターの設定画面(管理画面)を開いたら、まず「ファームウェア更新」という項目を探します。この項目名は、3社とも同じでした。違うのは、その中にある「自動更新」の設定の名前のほうです。
| メーカー | 自動更新の呼び名 | 画面での場所 |
|---|---|---|
| NEC(Aterm) | メンテナンスバージョンアップ | 「メンテナンス」-「ファームウェア更新」(設定は「詳細設定」-「その他の設定」) |
| バッファロー | ファームウェア自動更新機能 | 「詳細設定」-「管理」-「ファームウェア更新」 |
| NTT東日本(ホームゲートウェイ) | アップデート設定 | 「メンテナンス」-「ファームウェア更新」 |
やっかいなことに、同じメーカーの中でも変わります。バッファローは自動更新機能の案内の中で、こう断っています。
機種やファームウェアバージョンによっては異なる名称が表示される場合があります。
この記事では、ボタンを押す順番までは書きません(機種が違えば画面も違うため)。上の表に書いたのは「どのメニューの下にあるか」までです。そこから先は、自分の機種の説明書へたどり着く道すじを置いておきます。上の表もこの順で作りました。
- STEP
機種の名前(型番)を調べる
本体に貼られたシールや、管理画面のトップに書かれていることが多いです。「WSR-」「WX」「PR-」などで始まる英数字がそれにあたります。
- STEP
メーカー名と型番で、マニュアルを探す
「メーカー名 型番 マニュアル」で検索します。多くのメーカーが、紙の説明書より詳しいものをWebで公開しています。
- STEP
目次で「ファームウェア」か「バージョンアップ」を探す
この2語のどちらかは、たいてい目次に出てきます。見つかったページに、確認のしかたと、更新中の注意が一緒に書かれていることが多いです。
なお、管理者パスワードがわからないと管理画面そのものに入れません。そこで止まってしまう場合は、先にそちらを解いてください。
最新かどうかは、自分で調べなくてよい(機器の側で確かめられる)
ここでつまずきやすいのが、画面に出たバージョン番号を、何と比べれば「最新」と言えるのかです。メーカーのサイトで最新版を調べて、手元の番号と見比べる——そう思うと、急に面倒に見えます。
ところが、その比較は機器の側がやってくれます。NECのマニュアルは、更新の画面についてこう書いています。
現在のファームウェアバージョンと最新のファームウェアバージョンが表示されます。
新しいほうがあれば、更新のボタンを押すだけです。同じだったときのことは、補足にこう書かれています。
「最新のファームウェアバージョン」と「現在のファームウェアバージョン」が同じ場合は、ここで終了です。
同じなら、それが「最新である」の答えです。番号を書き写してどこかと照合する必要はありません。
NTT東日本のホームゲートウェイも、機器の側で確かめられます。「メンテナンス」-「ファームウェア更新」の画面で[更新確認]をクリックすると、最新のものがあるかを手動で確認できる、と書かれています。バッファローのオンラインバージョンアップの案内でも、更新の画面に更新可能なファームウェアの一覧が出る形になっています。
「毎月見る」「半年に1回」といった目安は、調べたかぎりメーカーの資料にありませんでした。代わりに書かれているのは、機器の側が知らせる仕組みのほうです。
NTT東日本のホームゲートウェイ(RX-600MI / PR-600MI のガイド)は、1日1回サーバーと通信して最新版の有無を自動で確認し、新しいものがあれば設定画面の「ファームウェア更新情報」欄にメッセージを出します。電話機をつないでいる機器では、受話器を上げたときの音が変わって知らせる、とも書かれています(手動更新にしている場合)。
つまり頻度を自分で決めるより、「知らせてくれる設定になっているか」を一度見ておくほうが確実です。自動更新を有効にできる機種なら、その一度で済みます。
サポート期限が切れていたら、更新という手そのものが無い
探しても更新が出てこない場合、機種が古い可能性があります。総務省の簡易マニュアルは、サポート期限についてこう書いています。
世の中のWi-Fiルーターにはサポート期限が設定されているものがあります。この期限を過ぎるとそのWi-Fiルーターに関する問い合わせやファームウェアの更新などの対応がされなくなってしまいます。その場合、新たな脆弱性が発見されても対策されないため、サイバー攻撃を受けるリスクが高まります。
先ほどの調査で「更新しない(提供なし)」と答えた人が7%いました。更新をしていないのではなく、配られていないという状態です。
警視庁も同じ趣旨で、サポートが終了したルーターは買い替えの検討を、と案内しています。期限そのものの調べ方と、買い替えの判断は次の記事にまとめています。
ファームウェアの自動更新は有効にしてよいのか

結論から書くと、総務省は有効にすることを勧めています。
新しい機種では自動更新が可能となっていることも多いため、自動更新設定※6を有効にしておくことを推奨します。
引用にある「※6」は、自動更新機能などが出荷時から搭載されているルーター(DLPA推奨Wi-Fiルーター)もある、という注記です。
ただ、実際に3社の資料を読むと、この「有効にする/しない」は2択ではありませんでした。
「重要な更新のみ」を選ぶと、セキュリティ以外は入らない
バッファローがこの案内で対象にしている機種の設定画面には、4つの選択肢が並びます。同社の案内から並べます(機種によっては括弧内の別名で表示されます)。
| 選択肢 | 説明 |
|---|---|
| 重要な更新のみ行う | セキュリティーに関わる脆弱性の対応など、重要な更新があった場合、ファームウェアを自動的にダウンロードして適用(更新)します |
| 常に最新版に更新する | 新しいファームウェアがリリースされると、自動的にダウンロードして適用(更新)します |
| 更新せずに通知のみ行う | 新しいファームウェアがリリースされたときに、設定画面に通知します。適用(更新)は行いません |
| 更新しない | 新しいファームウェアがリリースされても、設定画面への通知や適用(更新)は行いません |
上の2つはどちらも「自動」ですが、入ってくるものが違います。「重要な更新のみ行う」を選んでいる場合、セキュリティに関わらない更新は自動では入りません。
NECも同じ考え方でした。同社のファームウェアをバージョンアップするのページによると、Aterm WG2600HP3 の自動更新は「メンテナンスバージョンアップ」という名前で、この機種では工場出荷状態で有効(ON)になっています。そして対象を、こう限定しています。
「重要な更新」とは、当社が本商品の機能を提供するうえでソフトウェアのバージョンアップが必須と判断した場合(例えばセキュリティ上の不具合を改善するソフトウェアの更新など)を示します。
そしてもう一方向。NTT東日本のホームゲートウェイの設定は「自動更新」と「手動更新」の2通りですが、そのどちらにしていても、入ってくる場合があると書かれています。
緊急を要するファームウェアが提供された場合は、ファームウェア更新種別の設定に関わらず、ファームウェア更新が行われることがあります。
3社を並べると、呼び方は違います——NECとバッファローは「重要な更新」、NTT東日本は「緊急を要するファームウェア」。それでもセキュリティに関わる更新だけを別扱いしている点は、3社に共通しています。
自動にしても全部が入るとはかぎらず、切っても緊急のものは入ることがある。スイッチのONとOFFの間に段階がある、という理解のほうが実物に近いようです。
ですから「自動更新にしてあるから何もしなくてよい」とは言い切れません。設定を見るときは、ONかOFFかだけでなく、どの段階が選ばれているかまで見てください。
自動にすると起きること(切れる・通信量)
自動更新には代償もあります。NECはメンテナンスバージョンアップ機能に関する許諾についてで、こう書いています。
メンテナンスバージョンアップ機能が開始されると、本商品が再起動するため、それまで接続していた通信が切断されます。また、従量制課金契約の場合、ソフトウェアダウンロードによる通信費用や、パケット通信量超過による速度制限が発生する場合があります。
つまり更新が始まると、そのとき使っている通信が一度切れます。バッファローも同じ趣旨で、更新時刻は機器を使っていない時間帯に設定することを勧めています。NTT東日本のホームゲートウェイは、その理由までは書いていませんが、初期値が深夜(01:00〜05:00のいずれか)になっています。
- 気づかないうちに、重要な更新が入る
- 調べに行く手間が要らない
- 更新のたびに機器が再起動し、通信が切れる
- 従量制の契約では、ダウンロードのぶんの通信量がかかる(NECの記述)
- タイミングを自分では選べない
在宅勤務のオンライン会議や、夜間の録画・ダウンロードのように「この時間は切れると困る」ものがある家では、更新の時間帯を指定できるかどうかを見ておくと安心です。
ファームウェアを更新するときに気をつけること
手動で更新する場合の注意は、3社ともほとんど同じことを書いています。
⚠ 先に1つだけ。更新に失敗すると、復旧に時間がかかります。バッファローの案内では、復旧の最初の手順が「電源を切って30分待つ」です(この節の「失敗したときに何が見えるか、どうするか」で扱います)。在宅勤務中など、切れると困る時間帯は避けてください。
更新中に電源を切らない(見分け方はランプ)

更新は、機器の中身を書き換える作業です。途中で電源が落ちると、書き換えが中途半端なところで止まります。NECのバージョンアップのページの表現がわかりやすいので引用します。
バージョンアップ中は、絶対に本商品の電源を切らないでください。
本商品が正常に動作しなくなる可能性があります。
では「いま更新中かどうか」はどう分かるのか。3社ともランプで示すと書いていました。
| メーカー | 更新中のランプ(資料の記述) |
|---|---|
| NEC(Aterm WG2600HP3) | POWERランプが橙点灯 |
| バッファロー | POWERランプが橙色に点滅、または白と橙色に交互に点滅 |
| NTT東日本(ホームゲートウェイ) | アラームランプが赤点灯し、初期状態ランプが橙点灯 |
NTT西日本のガイドにも同じ記述があります。⚠ ただし色も光り方も、この3つでばらばらです。ランプについても同じで、バッファローは別の案内では「DIAGランプが赤色点滅」と書いています。この表は「更新中はランプの様子が変わる」ことを示すためのもので、自分の機種に当てはめるものではありません。何色になるかは、自分の機種の説明書で確かめてください。
では「どれくらい待てばいいのか」。ここは機種で変わりますが、バッファローは自社の手順の中で、目安を1つだけ書いています。
Wi-Fiルーター本体のランプが点滅し、更新が開始されます。ランプ状態が落ち着くまで約5分お待ちください。
⚠ これは同社の、この案内が対象にしている機種についての数字です。ほかのメーカー・ほかの機種が同じとはかぎりません。それでも「数分は待つもの」という感覚は持てます。1〜2分でランプが戻らないからといって、電源に手を伸ばさないでください。
また、機種によっては、更新中に残りの秒数が画面に表示されます(NECのマニュアルの画面例)。設定画面を開いたまま更新した場合は、そちらが目安になります。
失敗したときに何が見えるか、どうするか
⚠ ここで見るランプは、「更新中」を示すランプとは別のものです。更新中はさきほどの表のランプが光り、更新が終われば消えて、ふだんの表示に戻ります。戻らないことが、失敗の合図です。⚠ 十分に待ってもふだんの表示に戻らないなら、失敗の可能性があります(バッファローの案内では約5分が目安ですが、機種で変わります)。判断がつかないときは、電源を切らずにメーカーか回線事業者に相談してください。
NTT東日本・西日本のガイドには、こんな見出しがあります。
-バージョンアップが終了しても、電源ランプが緑点灯しない-
バージョンアップの途中で本商品の電源を切るなどの原因で、バージョンアップに失敗しています。
バッファローもアップデートに失敗したときの案内で、まずランプを見るように書いています。そのうえで、次の順で試すよう案内されています。⚠ これはバッファローの機種についての案内です(ほかのメーカーでも順序の考え方は同じですが、手順そのものは各社の案内を見てください)。
- STEP
ネットワーク機器とルーターを再起動する
ONUなどの機器とルーターの電源をOFFにし、30分待った後にONにします。入れる順番はインターネット側(パソコンから遠い機器)からで、1台入れたら2〜3分待ち、ランプが正常になってから次に進みます。
- STEP
ルーターの初期化を行う
ただし初期化すると設定が消えるため、インターネットの再設定が必要になります。
- STEP
改善しなければ、修理に出す
同社は「実施後に改善が見られない場合は、Wi-Fiルーターのハードウェアが故障しています」として、修理センターへの送付を案内しています。
⚠ 連絡先は、その機器が誰のものかで変わります。自分で買った機器ならメーカーの修理窓口、回線の契約で借りている機器なら回線事業者の窓口です(借りている機器を自分で修理に出すことはできません)。
⚠ 上の「ルーターの初期化を行う」に進む場合は、インターネットの再設定に契約書類が要ります。接続用のIDとパスワードが手元にあるかを、初期化する前に確かめてください。
なお、「設定を直しても、初期化しても、直らないものがある」で書いたとおり、初期化では穴は塞がりません。ここで初期化が出てくるのは目的が違うからです。穴を塞ぐためではなく、中途半端に書き換わった設定を工場出荷の状態に戻して、機器がもう一度起動できるようにするために使います。
更新すると設定は消えるのか、初期化すると更新は戻るのか

更新をためらう理由として多いのが「今の設定が消えるのでは」「失敗したら元に戻せないのでは」という不安です。この2つは、向きが逆の心配なので分けて見ます。
まず設定のほう。NECのバージョンアップのページには、こう書かれています。
バージョンアップをしても、設定した内容はそのまま保存され、バージョンアップ前の設定でご使用になれます。
⚠ ただし、これは Aterm WG2600HP3 のマニュアルの記述です。しかも同じマニュアルが、更新の手順の前にこうも書いています。
<バージョンアップを行う前に> 念のため、現状の設定値を保存しておくことをお勧めします。
NTT東日本のガイドとNTT西日本のガイドも、どちらも「バージョンアップする前に現状の設定値を保存しておくことをお勧めします」と書いています。
つまり NECもNTTも、「設定は残る」と書いたうえで、それでも控えを取ることを勧めているということです。設定を保存できる機種なら、更新の前にやっておくのがいちばん確実です。
その控えの取り方と、戻したときに何が戻って何が戻らないのかは、次の記事にまとめています。
次に、ファームウェアのほう。初期化のページにはこう書かれています。
初期化しても、お客様がバージョンアップした本商品のファームウェアは、お客様がバージョンアップしたバージョンのままとなります。
2つを合わせると、設定とファームウェアは別の層だとわかります。更新しても設定はそのまま、初期化しても更新は残る。つまり更新は積み上がっていく一方通行の作業で、「戻すために初期化する」はファームウェアには効きません。
そして層が分かれているからこそ、設定をいくら直しても、ファームウェアの側にある穴は塞がりません。「設定を直しても、初期化しても、直らないものがある」で見たのは、このことです。
- その機器は借りたものか、買ったものかを決めた
- 本体のシールなどで型番を控えた
- 設定画面で「ファームウェア更新」の項目を見つけた
- 現在のバージョンと最新のバージョンが同じことを確認した(違えば更新した)
- 自動更新の設定がどうなっているかを見た(有効なら、どの段階かも)
- サポート期限が切れていないかを確かめた
⚠ 「ファームウェア更新」の項目が見つからなければ、機種の説明書を探す合図です。バージョンが同じなら、更新の作業そのものは要りません(残りは、次に困らないための確認です)。
まとめ
この記事では、ルーターのファームウェア更新について、更新しないとどうなるのか・自分のが最新かをどう確かめるのか・自動更新にしてよいのか・失敗したらどうなるのかを解説しました。
押さえておきたいのは次の7つです。
- まず、その機器が借りているものか買ったものかを決める。借りている機器は事業者が自動で更新していることがあるが、手動に変えていれば自分でやることになる
- 設定を変えても初期化しても直らない穴がある。総務省はWPA2のKRACKsについて「ファームウェアを最新のものに更新することで安全に利用することが可能」と書いており、警視庁も初期化と更新を並べて案内している
- 最新かどうかは、自分で調べなくてよい。調べた3社とも、機器の画面から確認できる(NECは現在と最新のバージョンを並べて表示、NTT東日本は[更新確認]、バッファローは更新の画面に出る更新可能なファームウェアの一覧)
- 自動更新のONとOFFの間に段階がある。NECとバッファローは「重要な更新」、NTT東日本は「緊急を要するファームウェア」と呼び方は違うが、セキュリティに関わる更新だけを別扱いしている点は3社に共通している
- 更新中は電源を切らない。更新中はランプの様子が変わるが、色も光り方も機種で違うので、自分の説明書で確かめる
- 更新しても設定は残り、初期化しても更新は戻らない(NECの記述)。更新と設定は別の層にある。⚠ ただしNECもNTTも、それでも更新前に控えを取ることを勧めている
- サポート期限が切れていたら、更新という手そのものが無い。そのときは買い替えの検討に移る
管理画面の開き方、更新以外のセキュリティ対策、使わない機能の扱い、機器が2台あるときの見分け方は、次の記事で扱っています。
参考: 一般利用者が安心して無線LANを利用するために(総務省・PDF)







