ルーターの使わない機能|総務省が挙げる6つとUPnP・DMZの扱い

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「Wi-Fiルーターの設定を見直しましょう」と言われて管理画面を開いたものの、知らない名前の項目が並んでいて手が止まった。そんな経験はないでしょうか。

実は、この話のもとになっている総務省の資料は、「どれも危ないから全部切りなさい」とは書いていません。書いてあるのは「利用しない機能は無効に」という、条件のついた話です。

つまり使っているなら、切らなくてよい。判断が要るのは「自分は使っているのか」のほうです。

この記事では、総務省が挙げている6つの機能を1つずつ見ながら、切ってよいものと切ると困るものを分けていきます。あわせて、身に覚えのない設定が入っていないかの確かめ方と、管理画面を開いても項目が見つからない理由も解説していきます。

ルーターの「使わない機能」とは何のことか

「使っていない入り口が、開いたまま」というタイトルの図。濃紺の横長のルーターの前面に、四角い穴が横一列に並んでいる。ほとんどは濃紺で塗りつぶされているが、1つだけ水色の枠で開いており、その下から水色の矢印が指している。左寄りの穴の下に「ふさがっている」、開いた穴の下に「開いている」と書かれている。右にはスマートフォンが1本の線でつながっている。

Wi-Fiルーターには、ふだん使っていない機能がいくつも入っています。買ってきて電源を入れ、スマートフォンをつないだだけの家でも、機能そのものは中に用意されています。

総務省は、家庭向けの資料一般利用者が安心して無線LANを利用するために(自宅Wi-Fi利用者向け簡易マニュアル・令和7年2月版)で、こう書いています。

Wi-Fiルーターにはさまざまな機能があります。どの機能も適切に利用すれば便利なものですが、誤った設定をしてしまうと攻撃に悪用される危険があります。利用しない機能は無効に設定するようにしましょう。

ここで見落とされやすいのが、「利用しない機能は」という書き出しです。使う予定があるなら、有効のままでかまわない、と読めます。

先に結論
  • 使っている機能は、切らなくてよい
  • 判断が要るのは「自分は使っているか」のほう
  • 機能の名前はメーカーごとに違うので、まず「探す」ところから始まる

いま管理画面を開いている方は、次の4つだけ先に見てください。それぞれの理由はこのあと説明します。

  1. UPnPを探す。6つのうち、買ったときから有効になっていたのはここだけでした(調べた2社では)
  2. 「VPNパススルー」という項目は、総務省が言うVPN機能とは別物です。名前が似ているというだけで触らず、「同じ「VPN」でも、中身が違うことがある」を読んでから判断してください
  3. 自動設定機能(かんたん接続ボタン)は、設定ではなく押す行為が引き金です。家族や来客が押していないかを考えます
  4. 残る4つ(VPN機能・DDNS機能・管理画面への外部接続・DMZ機能)は、自分で設定した覚えがなければ動いていません。ただし身に覚えのない設定が入っていないかは見ます(外から有効にされることがあります)

では、なぜ使っていない機能を無効にするのでしょうか。玄関にたとえると分かりやすくなります。使っていない勝手口が開いたままになっているようなもので、通る人がいなくても、開いていること自体が入り口になります。

同じ資料は、設定を見直さないまま使うと何が起きるかを、中古のルーターを例にした筋書きで書いています。

Aさんは、自宅用としてWi-Fiルーターを中古で購入しました。利用にあたって特にWi-Fiルーターの設定変更などは行わず、自宅のLANポートに接続し、Wi-Fiルーターに記載の暗号化キーを入力することで利用を始めました。

数日後、〇×社へのサイバー攻撃について警察から連絡がありました。サイバー攻撃の容疑者としてAさんが疑われているとのことです。

調査した結果、AさんのWi-Fiルーターが悪意をもった第三者に乗っ取られて犯罪行為に利用されたことが分かりました。Aさんの疑いは晴れましたが、Aさんは調査への協力で多くの時間と労力を割く結果となりました。

盗まれるのではなく、自分の家の回線が、他人への攻撃の足場に使われるという筋書きです。疑いは晴れても、調べに付き合う時間は戻ってきません。

⚠ この例で資料が挙げている原因は「中古で購入したのに初期化をせずに、そのままの設定で利用してしまったこと」です。使わない機能の話とは別ですが、設定を見ないまま使うと何が起きるかを示す例として引きました。

同じ資料は、もう1つ別の理由も挙げています。

また、第三者にWi-Fiルーターを乗っ取られてしまった場合、継続的に攻撃ができるように一部の設定を変更されてしまうことがあります。不要な機能を無効に設定するのみでなく、機能の設定が不正に変更されていないか、定期的に確認しましょう。

こちらは「自分で設定した覚えがなくても、変わっていることがある」という話です。だから一度確かめて終わりではなく、ときどき見る、という書き方になっています。

では「ときどき」とはどのくらいでしょうか。調べたかぎり、総務省も警視庁も頻度は書いていません。だからこの記事でも月数は書きません。代わりに、見るきっかけで考えるほうが続きます。

  • ファームウェアを更新するとき(どのみち管理画面を開きます)
  • 中古で手に入れたとき
  • 家族や業者が設定を触ったあと

⚠ ただし上の3つに当てはまらなくても、ときどきは見ます。きっかけが無いまま起きることがあるからです。理由と、そこで何を見ればいいのかは「見覚えのない機能を有効にしたのは、自分とはかぎらない」で説明します。

なお、この資料が家庭向けに挙げているセキュリティ対策は全部で5つあり、そのうちの5つ目「設定を定期的に確認しよう」の中に、今回の話が入っています。5つ全体は別の記事にまとめています。

総務省が挙げている使わない機能6つ

「6つの向きは、2通りに分かれる」というタイトルの図。中央に濃紺のルーターがあり、左から4本の矢印が1点に集まってルーターに向かい、右へは2本の矢印が広がって出ていく。矢印はすべて同じ濃紺で、色ではなく向きだけで分かれている。左下に「外とやりとりする4つ」、右下に「家の中で使う2つ」と書かれている。

6つが載っているのは、先ほどの「3-5 Wi-Fiルーターの設定を定期的に確認しよう」という節の中です。6つのために章が立てられているわけではなく、「利用しない機能」の例として並んでいます。

まず顔ぶれを見てください。

資料での呼び名ひとことで言うと
VPN機能外出先から自宅のネットワークに入れるようにする
DDNS機能自宅に、外から呼べる名前をつける
インターネットからWi-Fiルーター(管理画面)への接続機能外出先からルーターの設定画面を開けるようにする
自動設定機能ボタンを押すだけで機器をWi-Fiにつなげるようにする
UPnP家の中の機器が、必要な通り道を自動で用意する
DMZ機能外から届いた通信を、特定の1台にまとめて渡す

並べてみると、多くは外とやりとりするための機能だと分かります。ただし6つのうち2つは、家の中で使う機能です。

以下では、6つを「ふだんの使い方で出番があるか」で2つに分けて見ていきます。切ってよいかを判断するとき、いちばん効く分かれ目だからです。この分け方はこの記事の整理で、資料が分類しているわけではありません(資料は6つを並べて挙げているだけです)。

ふだんの使い方では出番がない4つ(VPN・DDNS・管理画面・DMZ)

1つ目はVPN機能です。資料はこう説明しています。

通信の暗号化に利用する機能です。本機能が有効になっていると自宅の外からWi-Fiルーターを経由してインターネットに接続できるようになるため、第三者によるWi-Fiルーターを踏み台とした攻撃に悪用される可能性があります。設定が無効になっているかだけでなく、見覚えのないVPNアカウントが増えていないかも確認するようにしましょう。

ここで言っているのは、ルーター自身が入り口になるタイプの機能です。この点はあとで大事になるので、覚えておいてください。

先に注意(管理画面を開いている方へ)

管理画面に「VPNパススルー」という項目があっても、それはここで言っているVPN機能ではありません。名前は似ていますが、向きが逆の別物です(NECの機種で確認した例です)。

在宅勤務で会社のVPNにつないでいる方は、この項目を触ると影響が出ることがあります。理由は「同じ「VPN」でも、中身が違うことがある」で説明します。

2つ目はDDNS機能です。

動的に変動するグローバルIPアドレスが割り当てられている場合でも、Wi-Fiルーターに固定のドメイン名で接続できるようにする機能です。この機能が有効になっていると、永続的に同じドメイン名で接続できるようになるため、インターネットからのアクセスが容易になり、攻撃者に悪用される可能性があります。

自宅の住所にあたる番号は、ふつう定期的に変わります。DDNSは、そこに変わらない名前をつけて、外から呼べるようにする機能です。呼びやすくなるのは、こちらにとっても、外の誰かにとっても同じという説明になっています。

3つ目はインターネットからWi-Fiルーター(管理画面)への接続機能です。

外出先などからインターネット経由でWi-Fiルーターの管理画面へ接続できるようにする機能です。攻撃者によって外部からWi-Fiルーターの設定を変更するために悪用される可能性があります。

設定画面は、ふつう家の中からしか開けません。この機能は、その扉を外にも向ける、というものです。

4つ目はDMZ機能です。

外部からの通信を特定の機器に転送する機能です。外部にWebサーバを公開する際などに利用することがあります。DMZ設定をした機器はインターネット側から見えるため、適切な対策を取らないと攻撃を受ける危険性が高まります。

当サイトの別記事では、DMZを「その1台だけ壁を丸ごと外す」操作と説明しています。ポート開放との違いも含めて、次の記事で扱っています。

家庭でも出番がある2つ

残りの2つは、外とやりとりするための機能ではありません。家の中の誰か、あるいは家の中の機器が使うもので、そのぶんふだんの家庭でも出番があります

5つ目は自動設定機能。ボタンを押すだけでWi-Fiにつなげる、あの機能です。

対象のボタンを押すことで、無線接続やSSID(ネットワーク名)、暗号化キーなどの設定を自動で行うことができ、簡単に端末をWi-Fiルーターに接続できる機能です。暗号化キーを変更していたとしても本機能を用いることで接続が可能となるため家に人を招く場合などは注意が必要となります。

パスワードを変えても、ボタンを押せる人はつなげてしまうという点が、ほかの5つと性格が違うところです。この機能だけを詳しく扱った記事があります。

6つ目はUPnP(ユーピーエヌピー)です。

ネットワークに接続された機器同士が相互に認識しあえるようにする機能です。UPnPはネットワークに接続している機器は信頼できるものという前提に機能しており、認証を行っていないため、攻撃者に悪用される可能性があります。

ネットワークにつながっている機器は信頼できる、という前提で動くという説明です。家の中の機器が「この通り道を開けて」と頼めば、ルーターは確かめずに開けます。この6つのなかで、UPnPだけは扱いが違います。次の「6つは同じ扱いではない」で説明します。

6つは同じ扱いではない|初期から有効な機能と、そうでない機能

「買ったときから有効だったのは1つ」というタイトルの図。同じ大きさの白いスイッチが6つ横一列に並んでいる。左端の1つだけレバーが上に上がって水色に光っており、その下に「UPnP」「調べた2社では」と書かれている。残りの5つはレバーが下に下がっている。

6つを並べて見ると身構えてしまいますが、全部を疑う必要はありません。買ったままの状態で動いているものと、自分で設定を入れないと動かないものが混ざっているからです。

まずUPnPです。メーカーの資料を2社ぶん当たったところ、どちらも買ったときから有効になっていると書かれていました。

バッファロー製ルーターのUPnP機能は、工場出荷時状態で有効になっています。

本商品の設定は、工場出荷状態で有効になっていますので、パソコン側でUPnP機能の設定をすることで利用できます。

上がバッファローのよくあるご質問、下がNECのAterm WG2600HP3のマニュアルです。調べた2社では、どちらもUPnPは最初から有効でした。ほかのメーカーや機種がどうなっているかは確かめていないので、ここでは2社の話として書いています。

⚠ ただしどちらの資料も、同じページに例外を書いています。回線のつなぎ方によっては無効になる、という但し書きです。詳しくは後半の「そもそも項目が出てこないことがある」で見ます。

では残りはどうでしょうか。5つのうち4つは、有効・無効の設定より前に、使う人が中身を入れないと動きません。

機能動かすために自分で入れるもの
VPN機能接続用のアカウント(資料も「見覚えのないVPNアカウント」の確認を求めている)
DDNS機能サービスへの登録と、自宅につける名前
管理画面への外部接続外から開くことを許可する設定
DMZ機能通信を渡す相手のIPアドレス

たとえばDMZは、バッファローの案内でも「DMZのアドレスを設定し、[設定]をクリックします」という手順になっています。渡す相手を書かないかぎり、機能として成立しません

残る1つ、自動設定機能だけは別です。これは設定を入れる機能ではなく、ボタンを押す行為そのものが引き金になります。買ったその日から押せる状態にあり、資料も「暗号化キーを変更していたとしても本機能を用いることで接続が可能となる」と書いています。

つまり「自分は何も設定していないから関係ない」が当てはまらない唯一の機能です(この機能だけを扱った記事でも、押せる人=つなげる人になると書いています)。

ここから言えること

自分で設定した覚えがまったくないなら、動いている可能性があるのはUPnPと、押されたかもしれない自動設定機能のボタンです。残りの4つは、誰かが中身を入れないかぎり動きません。

ただし「誰か」は自分とはかぎりません。中古で買った、家族が設定した、業者に設定してもらった。そしてもう1つ、自分でも家族でもない相手がいます。

見覚えのない機能を有効にしたのは、自分とはかぎらない

「2つの資料が指している場所」というタイトルの図。濃紺の丸が6つ横一列に並び、細い濃紺の輪が6つ全部をまとめて囲んでいる。その内側で、右寄りの3つだけを水色の輪が重ねて囲んでいる。左上に「総務省が挙げる6つ」、右下に「警視庁が挙げる3つ」と書かれている。

ここまでは「入れたのは自分か、身近な誰か」という前提で書いてきました。ところが外から入れられることがあります

警視庁は2023年に、家庭用ルーターの不正利用に関する注意喚起を出しています。

今回確認された手法は、一般家庭で利用されているルーターを、サイバー攻撃者が外部から不正に操作して搭載機能を有効化するもので、一度設定を変更されると従来の対策のみでは不正な状態は解消されず、永続的に不正利用可能な状態となってしまう手法です。

攻撃者のほうが、機能を有効にしてくるという話です。だから「自分で設定した覚えがない」は、そのままでは安心の理由になりません。

そのうえで警視庁は、確認する項目を名指ししています。

見覚えのない「VPN機能設定」や「DDNS機能設定」、「インターネット(外部)からルーターの管理画面への接続設定」の有効化がされていないか確認する。

VPN機能設定に見覚えのないVPNアカウントが追加されていないか確認する。

この3つは、総務省が挙げている6つのうちの3つと同じです。2つの資料が別々に、同じ場所を指しています。

2つの資料の関係

総務省は「利用しない機能は無効に」と、6つを挙げています(使う側の話)。

警視庁は、見覚えのない有効化がされていないかを確かめるよう求め、3つを挙げています(入れられる側の話)。

重なっている3つ(VPN機能・DDNS機能・管理画面への外部接続)が、まず見るところだと言えます。

中古で買ったとき・見覚えのない設定があったとき

機能が有効になっていた場合や、中古で買った場合について、総務省の資料は具体的な手順を挙げています。

これらの使わない機能が有効になっていた場合や、Wi-Fiルーターを中古で購入した場合などは、

・Wi-Fiルーターを初期化し、その後に不要な設定を無効とする

・ファームウェアを最新のものに更新する(5ページ参照)

・パスワードを変更する(4ページ参照)

といった対策を行いましょう。

順番に意味があります。先に初期化して、それから不要な設定を無効にする。前の持ち主が入れた設定ごと消してから、あらためて見直す、という流れです。

ここでためらうのは、初期化すると何が消えるのか分からないからだと思います。NECは初期化の説明でこう書いています。

初期化をすると、管理者パスワードや暗号化キーなどの設定も初期値に戻りセキュリティが低下します。本商品をより安全にお使いいただくため、初期化後に必ず再設定してください。

暗号化キーとは、Wi-Fiにつなぐときのパスワードのことです。出荷時の値に戻るので、自分でパスワードを変えていた家では、機器をつなぎ直すことになります。スマートフォン、テレビ、ゲーム機、プリンター。数えてから取りかかってください。

⭐ 一方で、同じページはファームウェアは戻らないとも書いています(「お客様がバージョンアップしたバージョンのままとなります」)。更新した分は無駄になりません。

何が戻るかは機種によって違います。上はNECの1機種の説明なので、初期化の前にお使いの機種の案内を見てください。管理画面のパスワードが戻ったあとに何が起きるかは、次の記事にまとめています。

使わない機能を無効にする前に、使っていないかを確かめる

「切る前に、使っているかを確かめる」というタイトルの図。左に大きな水色の疑問符があり、そこから濃紺の太い矢印が2本、右上と右下へ分かれている。右上の矢印の先にはレバーが上がった水色のスイッチがあり「使っている → そのまま」、右下の矢印の先にはレバーが下がった濃紺のスイッチがあり「使っていない → 切ってよい」と書かれている。

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。資料が求めているのは「使わない機能を無効に」であって、「危ないから切れ」ではありません。

裏返すと、使っている機能を切ってしまうと、今できていたことができなくなります。切る前に、次の4つに心当たりがないかを確かめてください。

  • 外出先から、自宅のパソコンや録画機器につないでいる(VPN機能・DDNS機能・管理画面への外部接続)
  • ゲーム機で対戦や協力プレイをしている、テレビ電話を使っている(UPnP)
  • 特定の1台に外からつなぐ必要があって、以前に設定した(DMZ機能)
  • 家族や来客が新しい機器をつなぐときに、ボタンを押して設定している(自動設定機能)

どれも心当たりがなければ、それらは「使わない機能」です。1つでも当てはまるなら、それはあなたが使っている機能なので、資料が言う無効化の対象ではありません。

UPnPを切ると困る場合がある

6つのなかで、いちばん判断が要るのがUPnPです。調べた2社では最初から有効になっているうえに、実際に使われることがあるからです。

NECのAterm WG2600HP3のマニュアルは、UPnPの使いみちをこう書いています。

UPnP(ユニバーサル・プラグアンドプレイ)機能を利用すると、テレビ電話などをご利用になることができます。NATによるIPアドレスやポート番号の変換を気にすることなく、UPnP機能対応アプリケーションを複数のパソコンから同時にご利用いただけます。

ポート開放の記事でも、ゲーム機の通信がうまくいかないときの対処として、UPnPが有効かどうかを最初に確かめるようすすめています。手で通り道を開けるより安全だからです。

矛盾ではありません

「無効にしましょう」と「有効か確かめましょう」は、逆のことを言っているように見えます。しかし資料の条件は「利用しない機能は」でした。

ゲームやテレビ電話で使っているなら、UPnPはその家にとって利用している機能です。切る対象ではありません。

使っていないと判断して切ったあとで、ゲーム機の通信がうまくいかなくなったら、同じ画面で戻せばたいてい元に戻ります。切ったことを覚えておくことのほうが、切るかどうかより大事かもしれません。

⚠ それでも決めきれないときは、そのままにしておいて構いません。資料が求めているのは「利用しないなら無効に」であって、判断できないものを急いで切ることではありません。

管理画面で機能が見つからないとき(名前が違う・そもそも無い)

「同じ機能が、3つの名前で出てくる」というタイトルの図。中央に水色の歯車があり、細い線で左・右・下の3枚の白いカードにつながっている。左のカードのそばに「ダイナミックDNS機能」、右のカードのそばに「バッファロー・ダイナミックDNS」、下のカードの中に「iobb.net」と書かれている。

ここまで読んで管理画面を開いても、資料に出てくる名前がそのまま並んでいることは、まずありません。これは読者の探し方が悪いのではなく、資料自身が注記していることです。

※9 インターネットからルーター(管理画面)への接続機能はメーカーによって機能名が異なります。

※10 自動設定機能はメーカーによって機能名が異なります。

そこで、メーカーの資料を実際に当たって、呼び名を突き合わせました。機種によって違うので、調べた機種を書いておきます(NEC=Aterm WG2600HP3、アイ・オー・データ=WN-DX1167R、バッファロー=よくあるご質問の記載)。

資料での呼び名メーカーの資料での呼ばれ方
DDNS機能NEC=ダイナミックDNS機能/バッファロー=バッファロー・ダイナミックDNS/アイ・オー・データ=iobb.net
自動設定機能NEC=らくらく無線スタートほか/バッファロー=AOSS/WPS(※)/アイ・オー・データ=WPS
UPnPNEC=UPnP機能/バッファロー=UPnP(アイ・オー・データは未確認)
DMZ機能NEC=DMZホスト機能/バッファロー=DMZ(アイ・オー・データは未確認)
VPN機能NEC=VPNパススルー機能(中身が違います。下記)/バッファロー・アイ・オー・データは未確認
管理画面への外部接続NEC=目次に見当たらず/アイ・オー・データ=外出先からは開けないと明記(下記)/バッファローは未確認

「未確認」と書いた組み合わせは「その機能が無い」という意味ではなく、今回の調べ方では確認できなかったという意味です。
(※)AOSSという呼び名は、アイ・オー・データのQ&Aが他社の対応するボタンとして挙げているものです。

もうひとつ、同じメーカーの中でも道順が違います。バッファローのよくあるご質問は、UPnPの場所を4通りの設定画面に分けて案内しています。

機種やファームウェアバージョンによっては異なる名称が表示される場合があります。

この記事で操作手順を書かないのは、そのためです。1社の中だけで4通りあるものを、1つの手順で説明することはできません。管理画面の開き方そのものは、次の記事で扱っています。

表に自分のメーカーが無いときの調べ方

上の表は3社ぶんです。ほかのメーカーをお使いなら、自分で突き合わせることになります。操作の手順は機種で違うので書けませんが、調べる道すじは同じです。

  1. STEP

    機種の名前(型番)を調べる

    本体に貼られたシールや、管理画面のトップに書かれていることが多いです。「WSR-」「WX」「WN-」などで始まる英数字がそれにあたります。

  2. STEP

    メーカー名と型番で、マニュアルを探す

    「メーカー名 型番 マニュアル」で検索します。多くのメーカーが、紙の説明書より詳しいものをWebで公開しています。

  3. STEP

    目次で「UPnP」「DMZ」を探す

    この2つは英字の略語がそのまま入っていることが多いので、目印になります(NECの「DMZホスト機能」のように語が足されることもあります)。見つかったら、その近くにDDNSやVPNの項目も並んでいることが多いです。

この記事の表も、この道すじで作りました。メーカーのマニュアルは、多くがWebで公開されています

同じ「VPN」でも、中身が違うことがある

とくに注意が要るのがVPNです。名前は同じでも、向きが逆の機能が並んでいることがあります。

資料が言っているのは、前に見たとおり「自宅の外からWi-Fiルーターを経由してインターネットに接続できるようになる」機能、つまりルーター自身が入り口になるものでした。

いっぽう、NECのAterm WG2600HP3のマニュアルで「VPN」とつく項目はVPNパススルー機能で、説明はこうです。

本商品は、IPsec(IP Security)またはPPTP(Point to Point Tunneling Protocol)によるVPN通信に対して、パススルー機能を搭載することにより、これらのVPN通信を通過させることができます。

ルーター自身が入り口になるのではなく、通信を通すだけの機能です。同じマニュアルは、使いみちの1つ目にこう書いています。

例えば、自宅のIPsec機器からインターネット経由で会社のネットワークにアクセスしたり

「VPNと書いてあるから切る」は危ない

この機能は、自宅から会社のVPNへ出ていくときに通り道になります。在宅勤務で会社につないでいる方が、名前が似ているというだけでこの項目を触ると、会社につなぐ通信に影響が出るおそれがあります。

項目名が似ているというだけで切らず、その項目の説明を読んでから判断してください。

そもそも項目が出てこないことがある

探しても見つからないとき、原因が読者の側にないこともあります。実際に見つけたものを3つ挙げます。

1つ目は、ルーターの動作モードによって項目ごと消える場合です。バッファローはDMZの案内でこう注記しています。

Wi-FiルーターがAPモード(ブリッジモード)の場合は[ルーターセキュリティー(セキュリティー)]の項目は表示されません。

家に機器が2台ある構成では、後ろの1台をブリッジモードにしていることがあります。その場合、見つからないのが正常です。どちらの機器の画面を開くべきかは、次の記事にまとめています。

2つ目は、メーカーが「外からは開けない」と案内している場合です。アイ・オー・データのWN-DX1167Rの詳細ガイドは、設定画面の開き方の説明のたびに、次の注記を繰り返しています。

※ 本製品にWi-Fi接続しておいてください。外出先から設定画面は開けません。

資料の6つのうち「管理画面への外部接続」については、この機種ではメーカーが「外からは開けない」と案内していることになります。

3つ目は、サービスそのものが終わっている場合です。NECのAtermには外から自宅へアクセスするためのホームIPロケーション機能がありますが、マニュアルの冒頭に「本サービスは2024年9月30日に終了」と書かれています。

ここまでの3つとは別に、見つかっても、接続方式によって有効・無効が変わることがあります。NECはUPnPについて、transixモード・v6プラスモード・IPv6オプションモードから動作モードを変更した場合は無効になると書いています。バッファローも同じ回答の中で、WAN側がIP Unnumberedに設定されているときはUPnP機能は無効になり、PPPoEマルチセッションを使っているときはデフォルトの接続先にのみ有効だと断っています。アイ・オー・データのiobb.netには「リピーターモードおよびIPv6インターネット接続時はご利用いただけません」という注記があります。

つまり同じ機種でも、契約している回線のつなぎ方で状態が変わります。人の家の状態を自分の家に当てはめられない、ということでもあります。

まとめ

この記事では、ルーターの「使わない機能」について、総務省が挙げている6つを1つずつ見ながら、切ってよいかの判断のしかたを解説しました。

最初にお伝えした「切ってよいものと切ると困るもの」を、6つぶん並べておきます。

機能ふだんの家では
VPN機能出番がない(外出先から自宅につないでいる家は除く)。ただし見覚えのない有効化がないかは見る(警視庁)
DDNS機能同上
管理画面への外部接続同上
DMZ機能出番がない。渡す相手のアドレスを入れていなければ動いていない
自動設定機能ボタンでつないでいる家では使っている。押せる人=つなげる人になる
UPnPゲーム機やテレビ電話を使う家では使っている。切ると影響が出ることがある

そのうえで、押さえておきたいのは次の5つです。

  • 資料が求めているのは「利用しない機能は無効に」。使っている機能は切る対象ではない
  • 調べた2社で買ったときから有効だったのはUPnP自動設定機能はボタンを押す行為が引き金で、残る4つは、アカウントや相手のアドレスを自分で入れないと動かない
  • ただし入れたのが自分とはかぎらない。中古・家族・業者に加えて、攻撃者が外から有効にすることがある(警視庁)。見覚えのない設定があれば、初期化してから見直す
  • 機能の名前はメーカーごとに違う。同じメーカーでも設定画面が4通りある
  • 名前が同じでも中身が違うことがある。「VPNパススルー」は、外から入られる機能ではなく、会社のVPNへ出ていくときなどに通り道になるもの

総務省の5つ全体、ボタンの機能、ポート開放、いま何がつながっているかの確認は、次の記事で扱っています。

参考: 一般利用者が安心して無線LANを利用するために(総務省・PDF)

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