ルーターの設定を保存・復元する方法|戻らない設定と、戻せない機種

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ルーターを初期化しようとして、手が止まったことはないでしょうか。「押したら、いままでの設定が全部消えて、またやり直しですよね?」と。

実は、いまの設定をまるごとファイル1つに保存しておける機種があります。初期化したあとで、そのファイルを読み込ませれば、多くの設定はまとめて戻ります。NECが「初期化する前に設定内容を保存し、初期化後に復元することをお勧めします」と書いているくらい、ふつうの手です。

メーカーはこれを「バックアップ」「保存&復元」「設定ファイル」などと呼びます。呼び方がばらばらなので、この記事では、保存したファイルのことを「控え」と呼びます

ただし、この控えには落とし穴が3つあります。復元しても戻らない設定があること、別の型番のルーターには読み込ませられないこと、そして戻してはいけない場面があることです。

この記事では、保存と復元のやり方どこを開けばよいのか(メニューの名前がメーカーでばらばらです)、何が戻って何が戻らないのか買い替えのときに使えるのかを、メーカー6社と総務省の資料をもとに解説していきます。

先にひとつ、身もふたもないことをお伝えします。設定の保存は管理画面に入れないとできません。つまり、管理者パスワードが分からなくなってから読んでも間に合わない話です。まだ困っていない今のうちに読んでおくのが、この記事のいちばん良い使い方です。

📌 中古で手に入れた機器を、いま手元に持っている方へ。あなたは順番が逆になります。先に初期化するのが出発点です。理由は「設定を復元してはいけない場面がある」で説明します。

ルーターの設定は、まるごと保存できることがある

「設定は、ファイル1つになって手元に落ちる」というタイトルの図。左に濃紺のルーター、右にノートパソコンが置かれ、あいだを1本の矢印が右向きに伸びている。パソコンの手前に、角を折った白い書類が1枚重なって立っている。ルーターの下に「ルーターの中の設定」、書類の下に「保存すると1つのファイルになる」と書かれている。

ルーターの設定というと、SSIDやパスワード、プロバイダの接続情報など、画面をあちこち開いて入れていくものです。これを1つずつ書き写すのは大変ですよね。

この記事で見た6社(NEC・バッファロー・TP-Link・ASUS・アイ・オー・データ・NTT東日本/西日本)の機種には、いずれもそれを一括でファイルに書き出す機能がありました。NECはAterm WG2600HP3 のユーザーズマニュアルで、こう説明しています。

Wi-Fi接続に必要な情報やファームウェアのバージョンなど、本商品の装置情報を確認できます。また、本商品を初期化する場合などに、設定内容を保存し復元することができます。

操作としては、管理画面のボタンを押すと、パソコンのダウンロードフォルダにファイルが1つ落ちてくるだけです。あとはそれを消さずに置いておきます。

落ちてくるファイルの名前は、たとえば次のようなものです。

メーカー資料に出てくるファイル名の例
NEC(Aterm)20180620_config.bin
NTT東日本(PR-500MI)「(保存した年月日)-(時分)_(機種名).config」の組み合わせで自動生成
ASUSSettings_ZenWiFi AX.CFG
アイ・オー・データconfig.dlf

末尾の .bin .config .CFG .dlf は、どれも機器が読むための形式で、文書ソフトやメモ帳で開くようには作られていません。ダブルクリックして開こうとせず、そのまま置いておいてください。

ですから、控えは「前はどう設定していたか」を読み返すためのメモにはなりません。あくまで機器に戻すためのものです。

保存の手順は、6社ともこの4つ

押す場所の名前は違いますが、やることは6社ともほぼ同じでした。

  1. STEP

    管理画面を開く

    パソコンやスマートフォンのブラウザから、ルーターの設定画面にログインします。機器が2台あってどちらを開けばよいか分からないときは、そのリンク先を先に見てください。

  2. STEP

    保存のメニューを探す

    「メンテナンス」「管理」「システム」といった親メニューの中に入っています。名前はメーカーで違うので、「設定を保存する場所は、メーカーで呼び名が違う」の表で自分のメーカーを探してください。

  3. STEP

    保存のボタンを押す

    ボタンの文字は「ファイルへ保存」(NEC)「ファイルに保存」(NTT)「バックアップ」(TP-Link)「保存」(アイ・オー・データ)などです。押すと、ふだんファイルを落とすフォルダにファイルが1つ増えます。

  4. STEP

    置き場所を覚えておく

    NECの説明書も「復元する際に保存したファイルを選択しますので、保存場所を忘れないようにしてください」と書いています。⚠ あわせて、管理者パスワードを紙に控えておいてください(理由は「保存しても、復元で戻らない設定がある」で説明します)。

過去の控えも残したいときは、ファイル名を変えてから保存します。NECは「別のファイル名に変更するなどして保存してください」として、20180620_config.bin のように日付を頭に付ける例を挙げています。

保存できるかどうかは、管理画面を開けば分かる

とはいえ、ルーターの機種は膨大にあります。カタログに大きく書かれる類のものでもないので、自分のに付いているかを知るいちばん早い方法は、設定画面を開いて、それらしいメニューがあるか見にいくことです。

⚠ ここで最初の関門があります。設定画面に入るには管理者パスワードが要ります。これが分からないと、保存という手そのものが使えません。

もうひとつ、先に手元に用意しておくものがあります。機種の名前(型番)です。この記事のあとの話は「同じ型番かどうか」で分かれるので、これが分からないと先へ進めません。型番は本体に貼られたシールか、管理画面のトップに書かれていることが多く、「WSR-」「WX」「PR-」「WN-」「Archer」「RT-」などで始まる英数字がそれにあたります。

この関門は、メーカーの資料も同じ言い方で書いています。ASUSのルーターの設定を保存/復元する方法にある一文です。

ユーザー名やパスワードを忘れてしまった場合は、ルーターを工場出荷状態に戻して再度設定を行ってください。

控えを取るのではなく、初期化からやり直してください、という案内です。もういま分からなくなっている方は、先に次の記事を見てください。

「保存しておきましょう」と言っているのはメーカー自身

控えを取るのは、慎重すぎる人がやることではありません。メーカーの説明書のほうが先に勧めています。

NECは初期化するのページの「<初期化を行う前に>」という見出しの下で、こう書いています。

設定値を初期化すると、今までに設定した内容は消去されます。初期化する前に設定内容を保存し、初期化後に復元することをお勧めします。

同じことは、ファームウェアの更新の前にも勧められています。NECのファームウェアをバージョンアップするページには「バージョンアップをしても、設定した内容はそのまま保存され、バージョンアップ前の設定でご使用になれます。」とあり、そのすぐあとの<バージョンアップを行う前に>という見出しの下に、次の一文が置かれています。

念のため、現状の設定値を保存しておくことをお勧めします。

設定は残ると書いたうえで、それでも控えを勧める。これがメーカーの立ち位置です。更新そのものの話は次の記事にまとめています。

設定を保存する場所は、メーカーで呼び名が違う

「同じ機能なのに、メニューの名前がそろっていない」というタイトルの図。同じ大きさの白い枠が横に3つ並び、その中に濃紺の横線が7本ずつ入っている。それぞれ1本だけが水色で、水色の位置は3つとも違う高さにある。下に「探す場所は、メーカーで違う高さにある」と書かれている。

この機能を探すとき、いちばんつまずくのが名前です。「バックアップ」という語で画面を探しても、その言葉がどこにも無い機種があります。

実際に6社の資料を開いて、メニューの呼び名を並べてみました。

メーカー資料に書かれているメニューの場所
NEC(Aterm)「メンテナンス」-「設定値の保存&復元
NTT東日本・西日本(ホームゲートウェイ)「メンテナンス」-「設定値の保存&復元
バッファロー[管理設定]-[保存/復元]、または[管理]-[設定管理/再起動
TP-Linkシステムツール > バックアップ&復元(機種により「詳細設定 > システム > バックアップおよび復元」など)
ASUS管理 > 復元/保存/アップロード設定(アプリは「設定 > システム設定 > 設定のバックアップ」)
アイ・オー・データシステム設定 > バックアップ

同じことをする機能なのに、メニューの名前に「バックアップ」という語を使っているのは3社だけです。NECとNTTは「保存&復元」、バッファローは「保存/復元」や「設定管理」と呼んでいます。

⚠ ややこしいのは、TP-LinkとNTTは、説明文のほうでは「バックアップファイル」と書くことです。ばらついているのは、あくまで画面に出るメニューの名前のほうだと思ってください。

探すときに見る語

管理画面の中で、次のどれかが並んでいる場所を探します。

  • 保存復元(この2つが並んでいたら、まずそれです)
  • 設定値設定ファイル設定管理
  • バックアップアップロード
  • これらが入っている親メニューは、「メンテナンス」「管理」「システム」「システムツール」のどれかであることが多いです

なお、パソコンを使わず、スマートフォンのアプリから保存できる機種もあります。ただし置き場所が変わることに注意してください。ASUSはアプリでの保存について「アプリには最大10個までの設定を保存することができ、最大数を超過した場合、設定は古いデータから順に上書きされます」とし、さらに「復元は、アプリに保存された設定ファイルからのみ行うことができます。アプリでは外部ファイルから設定を復元することはできません」と書いています。アプリで取った控えは、アプリからしか戻せないということです。

同じメーカーの中でも、画面が何種類かある

やっかいなことに、ばらついているのはメーカーの間だけではありません。

TP-Linkはルーターの設定を保存・復元するにはの冒頭で、こう断っています。

機種によって設定画面が異なり、概ね3つの種類があるのでご利用のルーターと見比べて近い画面の設定を行ってください。

そして実際に、3つの画面でたどる道が全部違います。

画面の種類(TP-Link)たどる道
TL-WR~シリーズや Archer C20/50/55システムツール > バックアップ&復元
Wi-Fi 5対応の Archer シリーズや AX6000/AX50詳細設定 > システムツール > バックアップおよび復元
Wi-Fi 6対応ルーターや Archer C80詳細設定 > システム > バックアップおよび復元

バッファローも同じで、Wi-Fiルーターを替える場合の設定手順(同じ型番の機種への変更)には、[管理設定]-[保存/復元]から入る画面と、[詳細設定]→[管理]-[設定管理/再起動]から入る画面の両方が載っていて、「設定画面の色、デザインは機種によって異なる場合があります。類似しているものを選択してください」と添えられています。

NECも、機種をまたいだ現在のAtermの設定情報を保存したいというQ&Aで「設定手順は、機種によって異なります。」と断ったうえで、機種のリストから選ばせる形をとっています。3社とも、1つの手順では説明しきれないと自分で書いているわけです。

ですから、「メーカー名で検索したのに、書いてある場所と自分の画面が違う」のはよくあることです。上の語を手がかりに、似た場所を探してみてください。

見当たらなかったときに、手で書き留めておくもの

探しても見当たらなかった場合は、一括で保存する代わりに、次の項目を紙かメモに残しておきます。初期化のあとに入れ直すのは、だいたいこれだけです。

  • Wi-Fiの名前(SSID)と暗号化キー。自分で変えている場合は、本体のシールの値と違うので必ず控える
  • 接続ユーザー名とパスワード(プロバイダから届いた紙に書かれているもの)
  • 管理者パスワード。これは控えを取れる機種でも別に残す必要があります
  • 自分で足した設定があれば、その画面を開いて写真を撮っておく(機器ごとに固定のアドレスを割り当てている、外から入れるように穴を開けている、など)

保存しても、復元で戻らない設定がある

「戻ってくるものと、戻ってこないもの」というタイトルの図。左に角を折った白い書類、右に濃紺のルーターが置かれ、あいだに丸が横一列に5つ並んでいる。書類側の白い丸2つは水色の縦棒にせき止められ、ルーター側の濃紺の丸3つにはそれぞれ右向きの矢印が付いている。書類の下に「控え」、白い丸の下に「戻らないもの」、濃紺の丸の下に「戻るもの」と書かれている。

復元の手順も、骨格は6社で同じ

先に、戻すときの流れを見ておきます。骨格は6社でほぼ同じで、下のSTEP1とSTEP3は、いちばん条件のきついNTTの機器の注意書きに合わせた安全側の順番です。

  1. STEP

    パソコンをLANケーブルでつなぐ

    NTT東日本のPR-500MIの機能詳細ガイドが、有線でつなぐよう指示しています(理由は「名指しされている例外(NTTの機器の場合)」で説明します)。⚠ これは6社に共通する指定ではありません。ASUSは「コンピューターとASUSルーターをWi-FiまたはLANケーブルで接続します」として無線も認めています。ただし有線でつなげるなら、そうしておくほうが安全です。

  2. STEP

    保存のときと同じメニューを開き、控えのファイルを選ぶ

    ボタンは「参照」「ファイルを選択」などです。ここで型番が違うファイルを選ばないようにしてください(理由は「買い替えで設定を引き継ぐには|控えが使えるのは同じ型番だけ」で説明します)。

  3. STEP

    復元を実行する(NTTの機器はここでパスワードを聞かれる)

    「設定値の復元」「復元」「設定操作実行」などのボタンです。NTTの機器では、この画面で保存した時点の機器設定用パスワードの入力を求められます。

  4. STEP

    再起動を待ち、戻ったかを確かめる

    機器が自動で再起動します。⚠ この間は電源を切らないでください。NTTは「フラッシュメモリへの書き込み中に電源を切ると、本商品が動作しなくなります」と書いています。ASUSは復元にかかる時間を「約60秒ほど」としています。

原則はぜんぶ戻る。そのうえで、例外が名指しされている

では、戻すと何が戻ってくるのか。NTT東日本のPR-500MIのガイドは、まずこう書いています。

これまでに設定した各種内容は、すべて本商品のフラッシュメモリ内に、ユーザ設定として保存されています。

そして同じページの離れた場所(「お知らせ」の欄)に、こうあります。

設定内容はすべて復元された設定ファイルにより上書きされます。

つまりNTTの機器では「原則はぜんぶ戻る」作りです。プロバイダの接続情報も、LAN側のアドレスの設定も、この「すべて上書き」に含まれると読めます。だからこそ数分の作業に価値があります。

問題は、その原則に例外が名指しで並べてあることです。ここを読まないまま初期化すると、戻したのに直っていない、という形でつまずきます。

名指しされている例外(NTTの機器の場合)

控えを戻せば全部が元どおり、とは限りません。

NTT東日本のホームゲートウェイ XG-100NE の機能詳細ガイドは、お知らせとしてこう書いています。

機器設定用パスワード、IPアドレス通知設定は復元されません。

DHCPv4サーバ設定、無線ネットワーク名(SSID)、事前共有キー(PSK)、WEPキー、無線ネットワーク名(SSID)の隠蔽(ANY接続拒否)、ファームウェアの更新種別は復元されない場合があります。復元後に設定内容を確認してください。

読み飛ばしそうな一文ですが、意味は重いです。無線ネットワーク名(SSID)と事前共有キー(PSK)は、Wi-Fiの名前とパスワードのことです。それが「復元されない場合があります」と書かれています。

つまり、控えを戻したのに、スマホがWi-Fiにつながらないということが起こりえます。NTT東日本のPR-500MIのガイドも同じ項目を挙げていて、さらにこう書いています。

保存内容を復元する場合は、本商品とパソコンをLANケーブルで接続して復元してください。無線接続の場合、本商品を交換した際にSSID・暗号化などが一致しないため、通信できなくなる可能性があります。

機器を入れ替えたときは、新しい機器のWi-Fiの名前と暗号化キーが元と違うので、無線でつないだパソコンからは途中で連絡が取れなくなる、という話です。だから有線でつなぐ——これは資料を読まないと分からない部分でした。

ここまでの「戻らない項目」は、NTTの機器のガイドに書かれているものです。NECは管理者パスワードなどを挙げているだけで、バッファロー・TP-Link・ASUS・アイ・オー・データの各ページには、戻らない項目の記載がありませんでした。だからといって「他社なら全部戻る」とは言えないので、どのメーカーでも、復元したあとにWi-Fiの名前とパスワードだけは自分で確かめてください。NTTの資料も「復元後に設定内容を確認してください」と書いています。

管理者パスワードの扱いは、メーカーで正反対

「控えとパスワードの関係は、メーカーで正反対」というタイトルの図。角を折った白い書類が横一列に3枚並んでいる。1枚目は水色の鍵が書類の外の左下に置かれ、2枚目は書類の中央に鍵の形の穴が開いていて、3枚目は水色の鍵が書類の中に描かれている。それぞれの下に「控えに入らない(NEC)」「控えを開ける鍵(NTT)」「控えに入る(ASUS)」と書かれている。

控えの中に管理者パスワードが入るのか入らないのかは、メーカーによって考え方が正反対でした。実際に読んでみると、3つの型に分かれます。

メーカー控えとパスワードの関係起きること
NEC(Aterm)控えに入らない復元してもパスワードは戻らないので、初期化後は自分で設定し直す
NTT東日本・西日本
(XG-100NE / PR-500MI)
控えからは復元されないが、控えを開ける鍵として要る復元のときに、保存した時点のパスワードを聞かれる。思い出せないとファイルが使えない
ASUS既定では入る(外す選択肢もある)外した版を戻すと、元のパスワードではログインできなくなる

NECは、さきほどの設定内容を確認・保存・復元するのページにこう書いています。

管理者パスワードなど、装置を識別/管理するための情報は、保存と復元の対象にはなりません。

一方でNTT東日本のPR-500MIのガイドは、まったく別の作りです。

「設定値の復元」を行うとき、その設定値の保存時に設定されていた機器設定用パスワードが必要となります。機器設定用パスワードはお客様にて厳重に管理してください。

そのパスワードが分からないと、控えがあっても戻せないということです。しかも必要なのは「いまのパスワード」ではなく「保存したときのパスワード」です。あいだで変えていたら、古いほうが要ります。

なぜそうなるのかは、同じNTTでもXG-100NEのガイドにだけ書かれています。「ファイルは、自動的に機器設定用パスワードを使用してデータを暗号化し保存されます」——控えそのものが、そのパスワードで鍵をかけられているわけです。

そしてASUSは逆で、既定では控えの中にパスワードが入っています。保存のボタンの横にあるチェックボックスを入れると、パスワードを解除した版が保存されますが、その版についてこう注意しています。

パスワードが解除された設定ファイルをアップロードすると、以前設定していた元のパスワードでルーターにログインすることはできません。

デバッグ用途で使用する場合除き、パスワードを解除した設定ファイルをルーターにアップロードしないでください。

どれかが間違っているのではなく、機種ごとに設計が違うだけです。だからこそ、自分の機種の説明書を1回だけ読む価値があります。読むのは「保存&復元」のページの下のほう、注意書きが並んでいるところです。

どの型でも、管理者パスワードは自分で控えておく

3つの型を見比べると、共通していることが1つあります。管理者パスワードだけは、この控えでは守れないということです。

  • NECの型では、そもそも控えに入らない。初期化のあとに新しく決め直すことになる
  • NTTの型では、控えを開ける鍵そのものなので、忘れたら控えごと使えない
  • ASUSの型では、入ってはいるが、扱いを間違えると入れなくなる

ですから、設定を保存するときは管理者パスワードを別に書き留めておくのがセットです。⚠ Wi-Fiにつなぐときの暗号化キーとは別物なので、混同しないでください。2種類のパスワードの違いと、変えたあとの控えの残し方は次の記事にまとめています。

買い替えで設定を引き継ぐには|控えが使えるのは同じ型番だけ

「控えが入る先は、同じ型番の機器だけ」というタイトルの図。左に角を折った白い書類が立ち、右に大きさの違うルーターが2台、上下に並んでいる。書類から出た上の矢印は大きいほうのルーターに届き、下の矢印は濃紺の縦の棒に止められている。上のルーターの上に「同じ型番」、書類の下に「控え」、下のルーターの下に「別の型番」と書かれている。

「古いルーターの設定を保存しておいて、新しいルーターに入れれば引っ越しが楽になるのでは」と考えたくなります。残念ながら、買い替え先が別の型番なら、その使い方はできません(まったく同じ型番に買い替える場合だけは別で、そのときは控えがそのまま使えます)。

ここでいう控えは、その機器自身から取り出した控えのことです。別の機器から持ってきた控えは、次のとおり受け付けてもらえません。調べた3社が、それぞれ別の言い方で同じことを書いています。

メーカー資料の書き方
バッファロー異なる型番のWi-Fiルーターへ変更する場合は、旧機種の設定ファイルを読み込ませることはできません
ASUS設定ファイルは同一モデルでのみ使用することができます
NTT東日本・西日本(XG-100NE)設定値を復元するときは、他機種のバックアップファイルを指定しないでください。正しく復元できません

ASUSは例まで添えていて、「ASUS ZenWiFi XT9でエクスポートした設定ファイルは、同じASUS ZenWiFi XT9でのみインポートすることができます」と書いています。同じメーカーの同じシリーズでも、型番が違えばだめ、ということです。

⚠ この記事で引いた TP-Link と NEC のページには、この点について書かれていませんでした。書かれていないことを「できる」の根拠にはできないので、少なくとも「別の型番でも使えるはず」と思って買い替えの計画を立てないほうが安全です。

買い替えのときに使うのは、別の機能

では買い替えのときはどうするのか。設定ファイルとは別に、引っ越し専用の機能が用意されています。ただし移る範囲がまったく違います。

バッファローのWi-Fiルーターを買い替えたらどうすればよいですかは、新旧の組み合わせで場合分けしています。

新しい機器との組み合わせ引き継げるもの
同じ型番設定ファイルで引き継げる(一部の旧機種を除く
異なる型番(下の行を除く)引き継げない。プロバイダ情報などを入れ直す
異なる型番で、無線引っ越し機能に対応。かつ古いほうがWPS対応SSIDと暗号化キーだけ。インターネット接続の設定は引き継がれない
異なる型番で、無線引っ越し機能に対応。ただし古いほうがWPS非対応引き継げない

「無線引っ越し」という名前から、設定が丸ごと移るように聞こえますが、無線引っ越し機能を利用して、Wi-Fiルーターの設定を引き継ぐ方法にはこう書かれています。

無線引っ越し機能で引き継ぐことのできる設定は、無線の設定(SSIDと暗号化キー)のみです。

インターネット接続の設定は引き継がれませんので、新しく設置するWi-Fiルーターに設定する必要があります。

同じ性格の機能は他社にもあります。NECの「Wi-Fi設定引越し」は、Wi-Fi設定を変更しないで親機を本商品に入れ替えるのページで、移るのは「ネットワーク名(SSID)、暗号化モード、暗号化キー」だと書かれています。アイ・オー・データの「Wi-Fi設定コピー機能」も、画面で見るマニュアルで「既存の無線LANルーターの無線設定情報(SSIDと暗号キー)を、本製品の[Copy SSID]にコピーする機能です」と説明しています。

3社とも、移るのはWi-Fiの名前とパスワードまでです。そして3社とも、古いほうの機器がWPSに対応していることを条件にしています(WPSは、ボタンを押して機器どうしをつなぐしくみです。ボタンの名前はメーカーで違い、「らくらくスタート」「AOSS」などとも呼ばれます。⚠ ただしバッファローは「AOSSボタンが搭載されていても、WPSに対応していないものもあります」と断っているので、ボタンの名前だけで判断しないでください)。

⚠ アイ・オー・データの機能には、さらに「Wi-Fi設定コピー機能は2.4GHz帯のみ対応です。5GHz帯の無線設定情報はコピーできません」という制約が付いています。同じ性格の機能でも、移る範囲はメーカーで違うということです。

もう少し広く運べる機能もあります。バッファローの「スマート引っ越し」は、対応機種同士であればプロバイダの接続情報まで運べます。ただしこちらも万能ではありません。

スマート引っ越しでも運ばれないもの

バッファローのスマート引っ越しの特集ページにある注記です。

同一機種かつ同一ファームウェアバージョンの間で引っ越しする場合は、表中の項目以外も含めたすべての設定項目(ユーザー名、パスワードを除く)が引っ越しされます。

いちばん条件のよい組み合わせでも、ユーザー名とパスワードは除かれます。NECが、管理者パスワードなどは保存と復元の対象にならないと書いているのと同じ側です。

移らないものは、紙のほうを先に探しておく

スマート引っ越しのような仕組みが使えないときは、インターネット接続の設定は入れ直しになります。バッファローの無線引っ越しの案内も、作業に入る前の準備として次のように書いています。

設定前に、インターネットご契約時にプロバイダーより送付された資料・ハガキ(※)を用意してください。

※ 接続ユーザー名(プロバイダーによっては接続ID、ログインアカウント、認証IDなどと記載されています)とパスワードが記載されているもの

接続ユーザー名(接続ID、ログインアカウント、認証IDなどとも書かれます)とパスワードが載っている紙です。これが見つからないと、控えの有無にかかわらず新しいルーターがつながりません。買い替えを考えはじめた時点で、先に探しておくのがおすすめです。

設定を復元してはいけない場面がある

控えがあると、つい何でも戻したくなります。でも戻さないほうがよい場面があります。

これはメーカーもはっきり書いています。NTT東日本のXG-100NEのガイドの一文です。

ご契約の電話番号が変更・追加・削除になった場合、変更・追加・削除以前に保存した設定ファイルは使用しないでください。設定内容が正しく復元できない場合があります。

PR-500MIのガイドでは、これがもう少し広く「ご契約を変更された場合、変更前に保存した設定ファイルは使用しないでください」となっています。控えは、取った時点の状況とセットだということです。状況が変わったら、その控えは古い地図になります。

中古で手に入れた・見覚えのない設定があったとき

「消すために初期化したなら、戻さない」というタイトルの図。上下に同じ組み合わせが並び、上は書類から矢印がルーターに届いていて、下は同じ矢印の途中に水色の丸と斜線の禁止の印が重なっている。上の矢印の上に「設定を残したい初期化」、下の禁止の印の下に「消すための初期化」と書かれている。

もう1つ、性格の違う場面があります。そもそも「いまの設定を消すために」初期化するときです。

総務省の自宅Wi-Fi利用者向け 簡易マニュアル(令和7年2月版)には、中古のルーターをめぐる脅威シナリオが載っています。

Aさんは、自宅用としてWi-Fiルーターを中古で購入しました。利用にあたって特にWi-Fiルーターの設定変更などは行わず、自宅のLANポートに接続し、Wi-Fiルーターに記載の暗号化キーを入力することで利用を始めました。

数日後、〇×社へのサイバー攻撃について警察から連絡がありました。サイバー攻撃の容疑者としてAさんが疑われているとのことです。

調べた結果、そのルーターは第三者に乗っ取られていた、という話です。資料はこの原因を、「Wi-Fiルーターを中古で購入したのに初期化をせずに、そのままの設定で利用してしまったこと」と書き、対策の1つ目に「中古でWi-Fiルーターを入手した場合には利用前に初期化を行う」を挙げています。

ここで、この記事の話とつながります。前の持ち主の設定を消すために初期化したのに、その前に取った控えを戻したら、消したかったものが戻ってきます。初期化の意味が消えてしまう、ということです。

📌 中古で手に入れた方は、順番がふつうと逆になります。前の持ち主の管理者パスワードは分からないのがふつうなので、控えを取る場面がそもそもありません。いきなり初期化して、そこから自分で設定する——これが出発点です。

初期化したあとに何のパスワードで入るかは、メーカーで違います。本体のシールに書かれた文字列で入る機種と、初期化のあとにその場で自分で決め直す機種があります。後者にあたるのは、NTT東日本・西日本のホームゲートウェイと、アイ・オー・データの一部の機種です。どちらの型かは、次の記事にまとめています。

自分の古いルーターから取った控えを、中古で買った機器に入れることもできません。型番が違えば読み込めないからです(「買い替えで設定を引き継ぐには|控えが使えるのは同じ型番だけ」のとおり)。同じ型番だった場合は読み込めますが、そのときも初期化を先に済ませてから入れてください。順番を逆にすると、上書きされない例外の項目(Wi-Fiの名前や暗号化キーなど)に、前の持ち主の設定が残ることがあります。

ここは正直に書いておきます。総務省の資料は「中古なら初期化」とは書いていますが、復元については何も書いていません。「中古では復元してはいけない」と書いてある資料は見つかりませんでした。上の説明は、総務省の推奨とNTTの注意書きを重ねた読み方です。

「消すための初期化」と「やり直すための初期化」を分ける

面白いことに、NECの説明書にはこの2つが同じページに並んで書かれています

NECの説明書に書かれていること勧めていること
初期化する前に設定内容を保存し、初期化後に復元することをお勧めします復元する
管理者パスワードがわからない場合や本商品がうまく動作しない場合、今までとは異なった使いかたをする場合は、本商品を初期化してはじめから設定し直すことをお勧めしますはじめから設定し直す

矛盾しているように見えますが、そうではありません。初期化する理由によって、あとの手が変わるだけです。

迷ったときは、「いまの設定を消したくて初期化するのか、それとも設定はそのままでいいのか」を自分に聞いてみてください。

初期化する理由控えを戻すか
設定は変えたくない。作業(ファームウェアの更新、機器の入れ替えなど)のために一度消えるだけ戻してよい
中古で手に入れた。前の持ち主の設定が入っている戻さない。消すために初期化している
見覚えのない設定があった。乗っ取られたかもしれない戻さない。同じ理由
動きがおかしいので初期化するまず戻さずに様子を見る。設定が原因なら、戻した時点で不具合ごと戻る。直っていれば、そのまま手で設定し直すほうが確実(NECもこの場合は「はじめから設定し直す」側に置いている)。⚠ 直らなければ、控えを戻して元の状態に帰ることもできる
契約(回線や電話番号)が変わった戻さない。NTTが名指しで止めている

控えが「逃げ道」になるのは、設定を残したくて初期化する場合だけです。ファームウェアの更新や、同じ型番への入れ替えがそれにあたります。中古で手に入れたときや、乗っ取りを疑って初期化したときは、逃げ道ではなく消したかったものを戻す道になってしまいます。

取ったあとの控えは、どこに置いておくか

控えの置き場所について、各社の資料は「保存場所を忘れないようにしてください」(NECの設定内容を確認・保存・復元するのページ)以上のことを書いていません。ただし、扱いを決めるための手がかりはあります。

  • NTTの機器の控えは、機器設定用パスワードで暗号化されている(XG-100NEのガイド)。中身をそのまま読まれる心配は小さい
  • ASUSの控えは、既定ではパスワードが入っている。暗号化されているかどうかは書かれていないので、置き場所は自分で選ぶほうが安全です
  • この記事で見た他の4社(NEC・バッファロー・TP-Link・アイ・オー・データ)のページには、暗号化についての記述がありません。書かれていないことを「暗号化されている」の根拠にはできないので、他人が触るパソコンの共有フォルダなどには置かないでおきます
  • パソコンを買い替えるときは、控えも一緒に運ぶ。ダウンロードフォルダに置いたままだと、パソコンごと消えます

逆に、中古で手に入れた機器で気をつけるべきことは、初期化だけではありません。使わない機能が有効になったままのことがあるので、そちらは次の記事にまとめています。

まとめ

この記事では、ルーターの設定を保存・復元する方法と、その控えでは埋まらない部分を解説しました。

  • この記事で見た6社の機種では、設定をファイル1つに保存できた。初期化の前や更新の前に保存しておくよう、メーカー自身が勧めている
  • メニューの呼び名がそろっていない。「バックアップ」で探して見つからないときは、「保存」「復元」「設定値」「設定管理」を手がかりにする。同じメーカーの中でも画面が何種類かある
  • NTTの機器では、戻すと原則はぜんぶ戻る。資料が「設定内容はすべて復元された設定ファイルにより上書きされます」と書いている。プロバイダの接続情報も含まれると読める
  • ただし例外が名指しされている。NTTのホームゲートウェイでは、Wi-Fiの名前(SSID)とパスワード(PSK)が「復元されない場合があります」と書かれている。復元後は必ず確かめる(NECが管理者パスワードを挙げているほかは、戻らない項目の記載が無いので、どのメーカーでも確かめる)
  • 復元は、LANケーブルでつないだパソコンから行う。機器を入れ替えたときは無線だと途中で連絡が取れなくなる(NTTの記述)。作業中は電源を切らない
  • 管理者パスワードの扱いはメーカーで正反対。NECは控えに入らない、NTTは控えを開ける鍵、ASUSは既定で入る。どの型でも、パスワードは自分で別に控えておく
  • 控えは同じ型番にしか戻せない(バッファロー・ASUS・NTT の XG-100NE が明記)。買い替えで使うのは別の機能で、3社(バッファロー・NEC・アイ・オー・データ)とも移るのはWi-Fiの名前とパスワードまで。しかも古いほうの機器がWPSに対応していることが条件。接続情報まで運べるスマート引っ越しにも対応機種の条件がある
  • 消すために初期化したなら、戻さない。契約が変わったときは NTT が名指しで止めている。中古で手に入れたとき・見覚えのない設定があったときは、初期化の目的そのものが「消すこと」なので、戻すと打ち消してしまう(こちらは資料の推奨を重ねた読み方)

控えを取るのに必要な時間は数分です。まだ何も困っていない今日のうちに、管理画面を1回開いてみてください。そこに「保存」のボタンがあるかどうかを見るだけでも、いざというときの手が1つ増えます。

管理画面の開き方、パスワードが分からなくなったとき、更新の前後の扱い、買い替えの判断は、次の記事で扱っています。

参考: 設定内容を確認・保存・復元する(NEC・Aterm WG2600HP3 ユーザーズマニュアル)

参考: Wi-Fiルーターを買い替えたらどうすればよいですか/新しいWi-Fiルーターに設定を引き継ぐことはできますか(バッファロー)

参考: ルーターの設定を保存・復元するには(TP-Link 日本)

参考: [WiFiルーター] ルーターの設定を保存/復元する方法(ASUS 日本)

参考: メンテナンス-設定値の保存&復元(NTT東日本・XG-100NE 機能詳細ガイド)

参考: 現在のAtermの設定情報を保存したい(NEC・機種別の手順の入口)

参考: 無線LANルーター 画面で見るマニュアル(アイ・オー・データ)

参考: 自宅Wi-Fi利用者向け 簡易マニュアル(総務省・PDF)

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