インターネットで安全に通信したいなら、VPNは欠かせません。
でも「VPNって聞いたことはあるけど、実際どんな仕組みなの?」「通信プロトコルって何?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、VPNの通信プロトコルについて詳しく解説していきます。
目次
VPNとは?

VPNとは「Virtual Private Network(仮想プライベートネットワーク)」の略で、インターネットの中に、自分専用の通り道を作る技術です。カフェのフリーWi-Fiのような、誰が見ているかわからない場所でも中身を守れます。
VPNそのものの説明(何ができるか・どんなときに使うか)は下の記事にまとめてあります。この記事は、その通り道を「どういう決まりで作るか」=プロトコルの話です。
VPNプロトコルとは?

VPNを利用する際に、データのやり取りをどのように行うかを定めているのが「VPNプロトコル」です。
VPNプロトコルは、インターネット上で安全にデータをやり取りするための「約束事」のようなものです。
プロトコルには様々な種類があり、それぞれセキュリティの強度や通信速度、安定性などが異なります。
VPNサービスによって対応しているプロトコルが異なるため、自分の利用目的に合ったプロトコルを選ぶことが重要です。
主なVPNプロトコルの種類

VPNプロトコルには、以下のような種類があります。
- WireGuard
- OpenVPN
- IKEv2(IKEv2/IPsec)
- L2TP/IPsec
- PPTP
WireGuard
いちばん新しく、いま多くのVPNサービスが既定にしているプロトコルです。仕組みが小さく作られているのが特徴で、公式サイトは「IPsecより速く、単純で、無駄がない」と説明しています。Linuxの本体にも組み込まれており、WindowsでもmacOSでもスマホでも使えます。
アプリの設定画面に WireGuard があれば、まずこれで問題ありません。VPNサービスによっては独自の名前(NordLynx など)で呼んでいることもありますが、中身はWireGuardです。
OpenVPN
現在最も広く使われているプロトコルの一つで、セキュリティ強度、速度、安定性のバランスに優れています。
オープンソースで開発されているため、多くの開発者によって改良が続けられており、信頼性が高い点が特徴です。
IKEv2(IKEv2/IPsec)
高速で安定した通信を実現できるプロトコルです。よく見かける「IPsec」とは別物ではありません。仕様書の RFC 7296 は「IKEはIPsecの構成要素」と定めており、アプリの「IKEv2」は IKEv2/IPsec のことを指しています。
特にモバイル端末での利用に適しており、Wi-Fiとモバイルデータ通信の切り替え時にも接続が途切れにくいというメリットがあります。なお Microsoftは、自社のVPNサーバー機能で L2TP と PPTP を推奨せず、代わりに IKEv2 を挙げています。
L2TP/IPsec
L2TPという古い方式にIPsecの暗号化を組み合わせたものです。対応している機器が多く、長く使われてきました。
⚠ 破られているわけではありませんが、いま新しく選ぶ理由はありません。Microsoftは自社のVPNサーバー機能について「L2TPやPPTPの使用は推奨しない。セキュリティ機能が足りないため」と明記しており、Windows Server 2025 からは新規設定の既定から外れました(管理者が必要に応じて有効にすることはできます)。
PPTP
もっとも古くからあるプロトコルで、設定が簡単な点が特徴でした。
⚠ これは選んではいけません。L2TPと違い、暗号を守っているしくみが実際に破られています。2012年に解読ツールが公開され、Appleは2016年にiPhoneとMacの標準機能からPPTPを外しました。Microsoftも推奨しないと明記しています。「対応している」ことと「使ってよい」ことは別で、古い機器の設定画面に選択肢として残っていることがあります。
VPNプロトコルの選び方

⚠ 大前提として、選べるのは契約したVPNサービスが対応しているものだけです。設定画面に無いものは選べません。そのうえで、使い方から選ぶとこうなります。
| あなたの使い方 | 選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| とくにこだわりがない | WireGuard(無ければ OpenVPN) | 多くのサービスが既定にしている。速くて設定も単純 |
| 外出先で移動しながら使う | IKEv2 または WireGuard | Wi-Fiとモバイル通信の切り替えで途切れにくい |
| つながらない・ブロックされる | OpenVPN(TCPモード) | 通常のウェブ通信に紛れやすく、制限をすり抜けやすい |
| 選ばない | PPTP | 暗号のしくみが実際に破られている |
| あえて選ばない | L2TP/IPsec | 破られてはいないが、新しく選ぶ理由がない |
迷ったときは「自動」のままでも構いません。多くのVPNサービスは、そのときつながりやすいものを自分で選ぶようにできています。手で変える価値があるのは、つながらない・遅いといった困りごとが実際に起きたときです。
まとめ
VPNプロトコルは、VPNを使って安全にインターネットに接続するために重要な役割を果たしています。
この記事で紹介したように、VPNプロトコルには様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
持ち帰っていただきたいのは次の3点です。
- 迷ったら WireGuard。無ければ OpenVPN か IKEv2。「自動」のままでも構わない
- PPTP は選ばない(暗号が破られている)。L2TP/IPsec もあえて選ばない。設定画面に残っていても使わない
- プロトコルはVPNサービス側が対応しているものから選ぶ。自分で自由に決められるわけではない



