中古スマホの商品ページを開くと、見慣れない言葉が並んでいます。「Bランク」「利用制限○」「初期化済み」「SIMフリー」——安いのはうれしいけれど、この表示で何が保証されているのかが分からない、という方は多いはずです。
実は、これらの言葉の多くはお店が思い思いに書いているものではありません。中古端末を扱う事業者の業界団体がガイドラインを作っていて、売り場に出すことが求められている項目まで決まっています。
そして、そこには書かれていないこともあります。総務省は中古端末を買うときの注意点として「端末が初期化されていますか?」を挙げていますが、Appleは、初期化されていても前の持ち主のアカウントが残っている端末は、所有権をそのまま引き継がないよう注意しています。
この記事では、ネットワークにくわしくない方でも順番に進められるように、なぜ買う前が最後の機会なのかを押さえたうえで、売り場の表示の読み方・製造番号での照会・前の持ち主のアカウント・自分の回線で使えるかの4つを、総務省・業界団体・端末メーカーの資料をもとに解説していきます。
📌 この記事が扱う「4つ」に、傷や電池の状態そのものは入りません。見た目の傷は、買ったあとでも自分の目で分かるからです。ここで扱うのは、買ってしまうと自分では動かせなくなるものだけです(電池が売り場でどこまで見られているかには、そのなかで触れます)。
目次
中古スマホは、買ったあとでは確かめられないことがある

中古スマホを買うときにいちばん困るのは、買ってから問題が見つかったときに、誰に聞けばよいのか分からなくなることです。
NTTドコモは、自社の「ネットワーク利用制限携帯電話機確認サイト」のよくあるご質問で、はっきりこう書いています。
なお、当該携帯電話機の「ネットワーク利用制限確認結果」については、ネットオークションや中古販売店で購入された方からのお問い合わせにはご回答することができません。お問い合わせは、購入された店舗等へお願いいたします。
ここでいう「ネットワーク利用制限」は、携帯会社が、その端末を自社の回線で使えないように止める仕組みのことです。止められた端末は、中古の売り場で「赤ロム」と呼ばれます。
同じページには、もう1つ重い一文があります。
※一度ネットワーク利用制限を実施した携帯電話機の利用制限解除はいたしませんので、ドコモショップなどの販売店以外で携帯電話機をご購入いただく際には、ご注意いただくようお願いいたします。
(ただし、代金債務の不履行により利用制限を行ったものについては、未払い代金全額のお支払いをドコモが確認した場合、その翌々日中に利用制限解除の対象となります。)
📌 括弧の中に例外が書かれています。未払いの代金を全額支払ったことが確認されれば、解除の対象になります。止められた端末が絶対に戻らない、というわけではありません。
同じことをソフトバンクも「中古携帯電話を利用する際の注意事項」で書いています。「利用制限が実施された携帯電話機の利用制限解除はいたしませんのでご注意ください。」——どちらも、買う前に確かめるよう促していることになります。
auは、ネットワーク利用制限のページで、もっとはっきり書いています。
中古の携帯電話機や譲渡された携帯電話機をご利用になる場合は、契約や取得方法にかかわらず利用制限されている可能性がありますので、お客さま自身で事前のご確認をお願いします。
⚠ 「契約や取得方法にかかわらず」というのが効いています。まっとうなお店で買っても、前の持ち主の事情までは買う側に見えません。だから自分で確かめてください、というのが携帯会社の側の言い分です。
総務省も、中古端末を買うときの注意点のページで、問題があったときの相談先を次のように分けて案内しています。
端末そのものの不具合の場合と、端末と携帯会社の相性の問題の両方が考えられます。購入したときの中古販売業者か、自分が契約をしている携帯会社に問合せをしてみましょう!また、端末によっては、その端末を製造するメーカーが修理に対応している場合もあります。
相談先が3つに分かれているのが、中古ならではのところです。新品を携帯会社の店頭で買っていれば、まずそこへ行けば済みます。中古では「これは店の話か、回線の話か、メーカーの話か」を自分で見分けるところから始まります。
だからこそ、買う前に確かめられるものは、買う前に確かめておく。この記事で扱う4つは、次のとおりです。
| 確かめること | どこを見るか | 自分でできるか |
|---|---|---|
| ① 売り場の表示が何を言っているか | 商品ページ・値札 | 読めばできる |
| ② 止められていないか | 売った携帯会社の確認サイト | 製造番号があればできる |
| ③ 前の持ち主のアカウントが残っていないか | 端末の画面 | 手に取れるならできる |
| ④ 自分の回線で使えるか | 契約先が出している一覧 | 機種名が分かればできる |
この順番には理由があります。①は商品ページを読むだけで終わります。②は番号さえあれば1分で終わります。③は端末に触れるかどうかで手数が変わり、④は機種名を一覧と突き合わせる作業になります。手前から順に見ていけば、無駄足が減ります。
⚠ この4つの外側は書きません。どのお店で買えばよいか、いくらが相場かは扱いません。「中古は買っても大丈夫か」という総論も出しません。判断の材料を渡すところまでが、この記事の役目です。
中古スマホの売り場に並ぶ言葉は、業界の取り決めで意味が決まっている

中古端末を扱う事業者は、一般社団法人リユースモバイル・ジャパン(以下、RMJ)という団体を作っています。総務省は携帯電話ポータルサイトで、この団体の取り組みをこう紹介しています(Q4.中古端末を買うときの注意点は?(総務省 携帯電話ポータルサイト))。
RMJでは、中古販売業者が遵守すべき事項などを取りまとめた「リユースモバイルガイドライン」の公表や、優良事業者であることを認定する「リユースモバイル事業者認証制度」を実施しています。
そのリユースモバイルガイドライン(第三版・令和六年7月・PDF)を読むと、検査のしかたも、売り場での表示のしかたも、かなり細かく決められていることが分かります。売り場の言葉が読めるようになるのは、ここを知ってからです。
⚠ ただし、これは法律ではありません。ガイドラインが及ぶのは、それに沿って商売をしている事業者です。フリマサイトの個人間の取引には及びません。この違いは、この記事のあいだ何度も効いてきます。
「S・A・B・C・J」のランクは、見た目の傷の格付け
商品ページでいちばんよく見るのが、この5段階です。ガイドラインは、外装評価の結果をこの5段階で表すことを求めています。
| 格付(ランク) | ガイドラインの評価基準 |
|---|---|
| S | 未使用品(新品同様の状態) |
| A | 目立つ傷がなく非常にきれいな状態(液晶への傷がなく外装の傷・汚れが微細) |
| B | 細かな傷・薄いかすり傷があり、使用感がある状態(液晶に薄い傷や、外装に微細な傷・汚れ等が多少見受けられる) |
| C | 目立つ傷や擦り傷等があり、明らかな使用感がある状態(液晶に目立つ傷、複数の傷がある。全体的に傷・汚れ・塗装剥がれが目立つ) |
| J | 目に見えてダメージがあり、激しい損傷または破損している状態(液晶を含め全般に傷や打痕や割れ等がある) |
ここで気をつけたいのが、いちばん上の「S」でも「新品」ではないということです。ガイドラインは、はっきり釘を刺しています。
外装評価で Sに相当する端末について、リユースモバイル端末は古物であるため、一度も使用された形跡がなくとも「新品」であると表示することはできないので、消費者に誤解を与えぬよう正しく表示することが求められる。
もう1つ、判定にははっきりした線があります。ガイドラインは「液晶面や正面のガラス割れ・欠け、その他の面のケースの割れおよび目立つヒビ、欠け、凹みがある場合は、その他の面の状態に関わらず格付はC以下とする」としています。割れや欠けがあれば、他の面がどれだけきれいでもC以下ということです。
逆に、「B+」「B-」のような細かい表示は、規格外ではありません。ガイドラインは、Bのうちの上下をさらに分けて表示することを妨げていません。
売り場に出すことが求められている項目は、決まっている
ガイドラインは、販売時に表示することが求められる商品情報を一覧で挙げています。読者にとっては「ここに書いてあるはずのもの」の一覧になります。
- 販売元通信事業者名・メーカー名
- 機種名/型番
- ネットワーク利用制限の判定結果、および、判定△の場合に講ずる措置
- 格付評価結果(外装評価結果に加え、機能評価、安心安全評価の結果も補記する)
- 付属品の有無
- その他不具合情報
- 保証期間(事業者が任意で設定している場合はその旨を記載)
- 商品の価格(税込、税別の表示)
- SIMカードロックの有無
- IMEI番号 ※(製造番号)
ガイドラインには、実際の表示例まで載っています。次は、そこに挙げられている「Aランク(安心安全評価・機能評価でNG無しの場合)」の端末の例です(主な欄だけを抜き出しています)。
| IMEI | (製造番号) | 販売事業者名 | (お店の名前) |
| 機種名 | iPhone 7 32GB Gold | 型番 | A1779 |
| NW利用制限 | ○ | 格付評価 | A |
| 付属品 | なし(本体のみ) | SIMロック | 解除済(SIMフリー) |
| メーカー保証 | - | 当社保証 | 30日 |
📌 ここが読み方の勘どころです。「メーカー保証 -」と「当社保証 30日」が別の欄になっています。中古では、メーカーの保証はもう残っていないことが多く、代わりにお店が自分で付けている保証があるかどうかを見ることになります。
また、商品の表示とは別に、お店の側に認証ロゴマークという目印もあります。RMJは、ガイドラインを守っている事業者を認証する制度を運用しており、認証された事業者は店頭やホームページにロゴマークを掲げられます。ロゴは商品の状態ではなく、お店の運びかたを示す印です。
なお、表示の「メーカー保証」と、携帯会社に月額で払う端末補償は別のものです。壊れたときにそれぞれが何を引き受けるのかは、別の記事で整理しています。
格付けが答えていないこと
ここまでの表示は、よくできています。ただし読者が知りたいことのうち、どこにも書かれていないものがあります。
ガイドラインが求める検査は、安心安全評価・外装評価・機能評価の3つです。機能評価で見るのは、電源が入るか、充電されているか、液晶が点くか、ボタンが反応するか、カメラが写るか、SIMカードを認識するか、Wi-Fiにつながるか——つまりいま動くかどうかです。
販売時に表示することが求められる項目にも、基本ソフト(OS)の更新がいつまで届くかは入っていません。売り場の表示を隅々まで読んでも、そこは分からないということです。
⚠ これは表示のしかたが悪いという話ではありません。更新をいつまで出すかを決めるのは端末のメーカーで、中古のお店が約束できることではないからです。気になる方は、買おうとしている機種名で、メーカーの案内を見ることになります。
なお、更新が止まった機器を使い続けると何が起きるかは、家庭用のWi-Fiルーターを題材に別の記事でまとめています。考え方はスマートフォンでも同じです。
電池(バッテリー)のもちは、どこまで検査されているのか
中古で買うときにいちばん気になるものの1つが、電池のもちだと思います。ここはガイドラインの中に答えがあり、話は3つに分かれます。
1つ目。異常があるかどうかは、機能評価で見られています。検査の項目に、こう書かれています。
充電ランプON・充電状態(バッテリーのパーセント表示が不安定であったり、電池が膨張していたり、充電残量の減りが極端に早いといった症状の有無)
2つ目。最大容量まで見るかどうかは、推奨事項です。「バッテリーの状態を確認できる機能を備える端末の場合には、その状態を確認することが望ましい」——つまり見ていない店があっても、ガイドライン違反ではないということになります。
3つ目。販売時に表示することが求められる項目に、電池の欄はありません。「売り場に出すことが求められている項目は、決まっている」の一覧を数え直すと、電池だけを取り出した欄は無く、「その他不具合情報」に書かれるかどうかは店によります。
📌 ですから「電池のもちがどれくらいか」は、商品ページに書いてあるとは限らない項目です。書かれていなければ、格付やランクからは読み取れません。気になるなら聞く側に回ることになります。
中古スマホの買い方は3つあり、確かめられる範囲が違う
ここまでの話が効くかどうかは、どこで買うかで変わります。総務省は、中古端末の買い方を3つに分けています。
| 買い方 | 表示のよりどころ |
|---|---|
| 中古端末を扱っている携帯会社で買う | その携帯会社の案内 |
| 中古端末を取り扱っている事業者で買う | ガイドラインに沿っていれば、「売り場に出すことが求められている項目」の表示 |
| フリマサイトで個人から買う | 出品者が書いたことだけ |
3つ目について、総務省はこう書いています。
サイトによって、出品者に求められる必須記載事項などが異なります。記載されている出品情報で、下記の「中古端末を購入するときに確認すべき点」の各項目を確認できるか注意しましょう。
つまりフリマでは、確認すべき点が書かれているかどうかから確かめることになります。書かれていなければ、次の「止められていないか」で見るとおり、出品者に聞くところから始まります。
中古スマホが止められていないかは、製造番号で自分でも調べられる

4つのうち、機械がはっきりした答えを返してくれるのはこれだけです。端末には1台ずつ違う番号(製造番号/IMEI)が振られていて、その番号を携帯会社の確認サイトに入れると、止められていないかが分かります。
総務省の案内でも、この確認が先頭に置かれています。
盗難により不正に入手された等の理由でネットワーク利用制限がかかった端末は「赤ロム」と呼ばれています。「赤ロム」は、SIMカードを差し込んでも通話やデータ通信などができないので気をつけましょう。「赤ロム」であるかどうかは、携帯会社のサイトから、端末ごとに割り振られている製造番号で検索できますので確認してみましょう。
照会先は「その端末を売った会社」
ここでつまずきやすいのが、照会先は自分の契約先ではないということです。見るのは、その端末を最初に売った会社のサイトです。総務省は5つの入口を挙げています。
- NTTドコモ
- KDDI(au)
- KDDI(UQ mobile) — UQ mobileは、auの照会ページで調べるよう案内しています
- ソフトバンク
- 楽天モバイル
どの会社が売った端末かは、商品ページの「販売元通信事業者名」に書かれています。ガイドラインが表示を求めている項目の1つ目が、まさにこれです。
「○」は、いつの時点の話なのか
照会すると、○・△・×・-のいずれかが返ってきます。多くの商品ページに書かれているのは「○」でしょう。制限がかかっていない、という意味です。
ただし、これは将来までの約束ではありません。auは、確認サイトの案内にこう書き添えています。
ご確認いただけるネットワーク利用制限の状況はご確認前日での登録状況となります。
NTTドコモも、中古で買った端末について「ネットワーク利用制限の対象でない場合、制限はかかりません」と書いたうえで、こう続けています。
ただし、その後不正に取得された携帯電話機であることが判明した場合は、ネットワーク利用制限がかかる場合があります。
📌 つまり「○」は、調べた時点でのお知らせです。買ったあとに変わることはありうるし、変わったときに問い合わせる先は、「中古スマホは、買ったあとでは確かめられないことがある」で見たとおり買った店になります。
ネットワーク利用制限の「△」は、誰の判定かで意味が変わる
やっかいなのが「△」です。同じ記号を、立場によって別の意味で使っています。売り場で「△」を見たときに驚かないよう、3つ並べておきます。
| 誰が | 「△」について書いていること |
|---|---|
| NTTドコモ | ネットワーク利用制限の対象ではない。通話・通信は問題なく使える |
| ソフトバンク | 「△」や「✕」は、利用制限がかかる原因に該当している可能性がある |
| ガイドライン | ○だけが合格。△・×・-は不合格として、判定結果を注記する |
まず携帯会社の側です。NTTドコモは「△」をこう説明しています。
ネットワーク利用制限の対象ではございません。
※通話・通信は問題なくご利用いただけます。
■ステータスが「△」となる主な携帯電話機は、以下のとおりです。
ドコモの分割払いでご購入いただき、分割払いの期間中である携帯電話機
つまりいまは止まっていません。△になる主な例として、ドコモは分割払いの期間中である端末を挙げています。
ところがソフトバンクは、同じ記号を反対側から説明しています。
また、ネットワーク利用制限携帯電話機の表示結果が「△」や「✕」になっている場合は、以下の項目に該当している可能性があります。
「以下の項目」というのは、不正な取得・虚偽の申告・代金債務の不履行などです。ドコモは「対象ではない」と言い、ソフトバンクは「該当している可能性がある」と言う——読む側からすると、ずいぶん印象が違います。
そしてガイドラインの側は、また別の扱いにしています。
ネットワーク利用制限はないか(○の場合は OK とする。△・×・-の場合はNGとし、判定結果を注記)
検査では○だけが合格で、△・×・-はいずれも不合格として扱われます。不合格の端末は、そのことを表示したうえで「ASIS」や「ジャンク品」として売ることはできる、という決まりです。
携帯会社が答えているのは「いま、この端末に制限がかかっているか」です。ドコモの説明はこの問いへの答えで、△は、かかっていません。
ソフトバンクが書いているのは「なぜその記号になったのか」のほうです。原因の一覧を示し、△や✕はそこに当たっている可能性がある、と言っています。
ガイドラインが決めているのは「そのまま売ってよい状態か」です。○以外は理由を問わず不合格とし、判定結果を注記したうえで「ASIS」や「ジャンク品」として売ることはできる、という決め方をしています。⚠ なぜ○以外をまとめて不合格にするのかは、ガイドラインには書かれていません。
📌 買う側から見ると、△は「いまは使えるが、この先を約束するものではない」と読むのがちょうどよい距離です。だからこそガイドラインは、判定△の場合に講ずる措置まで表示するよう求めています。△の商品を見つけたら、その措置が書いてあるかを探してください。
⚠ 「×」が返ってきたら、その1台については見送る材料になります。ドコモとソフトバンクは、一度実施した利用制限は解除しないと書いています(ドコモは未払い代金の完済が確認された場合を例外としています)。「-」も同じ扱いでよいと思います。ガイドラインが売り場での表示を求めているのは「判定結果」と「判定△の場合に講ずる措置」で、×と-には、それに当たる案内が用意されていないからです。
製造番号(IMEI)が商品ページに無いときは、聞いてよい
照会には製造番号が要ります。手元に端末が無い段階では、商品ページに書かれていなければ、売り手に尋ねるしかありません。
気が引けるかもしれませんが、ガイドラインは、この番号を表示することを求めている側です。省いてよいのは限られた場合だけで、しかもそのときも条件が付いています。
※システム仕様等により、やむを得ない状況においては任意表示とすることができる項目
但し、購入検討もしくは販売時速やかに消費者へ情報提示可能な管理体制を前提とする
「購入検討」の段階で速やかに示せることが前提になっています。つまり買う前に聞かれることを、もともと見込んだ決まりです。遠慮なく尋ねてよい、と読めます。
⚠ フリマの個人出品には、この決まりは及びません。それでも、聞いて答えが返ってこない、あるいは「分からない」と言われる——という反応そのものが、判断の材料になります。そのまま送れる文は「お店や出品者に聞くときは、短い文で足ります」にまとめています。
赤ロムの保証は「望ましい」であって、必ず付くとは限らない
「買ったあとで止められたら」という不安に対して、業界の側にも備えがあります。ただし言葉の強さを取り違えないことが大事です。
まず、保証そのものについてガイドラインはこう書いています。
消費者保護の観点から、商品に関しては、原則、保証をつけて販売することが求められる。
「求められる」ですから、保証をつけること自体は要求事項です。ところが、赤ロムになったときの保証は書き方が違います。
総務省は、確認すべき点を挙げたあとに、こう書き添えています。
なお、下記「中古端末の流通促進に向けた取組」で説明するRMJでは、「赤ロム」を購入してしまった場合に例外なく保証をつけることを推奨しています。
ガイドライン本体の書き方は、次のとおりです。
販売した端末が、販売後にネットワーク利用制限等により利用できなくなる事態(いわゆる「赤ロム」となった事態)に例外なく対処する保証を、動作保証とは別につけることが望ましい。
ガイドラインは、守るべき強さを必須事項・要求事項・推奨事項に書き分けています。赤ロムへの保証も、期間の目安も「望ましい」=推奨事項です。付いていないお店があってもガイドライン違反ではない、ということになります。
もう1つ、動作の保証と、止められたときの保証は別のものだと書かれている点も見落とせません。「保証30日」とだけ書かれていたら、それがどちらの話なのかは商品説明を読むまで分かりません。
保証期間の目安も、格付と結び付けて示されています。
| 格付 | ガイドラインが目安として示す保証期間 |
|---|---|
| S・A・B | 取引日より30日(以上)の設定が望ましい |
| C | 取引日より14日(以上)の設定が望ましい |
| J | 保証の有無を明確に表示する |
📌 ここまでが、この記事で扱う止められていないかの確かめ方です。すでに手元にある端末をどう判定するかは、ポケット型Wi-Fiを題材に3つの関門としてまとめています。照会のしかたはスマートフォンでも同じです。
初期化ずみの中古スマホでも、前の持ち主のアカウントが残っていると使えない

総務省が挙げる確認すべき点のうち、3つ目はこう書かれています。
「初期化」されていない端末は、前に使っていた人のデータやパスワード設定が残っているため、端末を購入しても利用できないといった問題が生じる可能性があります。
ここで多くの方は「じゃあ初期化されていればいいのだな」と読みます。ところが、そうとは限りません。
いまのスマートフォンには、盗まれても第三者に使われないようにする仕組みが入っています。端末が持ち主のアカウントに結び付けられていて、中身を消しても、その結び付きは消えません。
玄関の鍵にたとえると近いかもしれません。家の中の荷物を全部運び出しても、玄関の鍵が前の住人のままなら、新しい住人は入れません。中身を空にすることと、鍵を渡すことは別です。
この仕組みは、中古の売り場でもちゃんと意識されています。ガイドラインの検査項目には、次の行が並んでいます。
アクティベーションロック(iCloud lock・Google lock)は解除されているか
端末とアカウントの紐付けは解除されているか
そして、この結果は販売時に表示することが求められています。ガイドラインに沿うお店で買うなら、ここは店の側で済んでいるはずのものです。逆に言えば、その取り決めが及ばない場所では、買う人が自分で見るしかありません。
iPhoneは「所有者にロックされています」と出る
Appleは、この仕組みをアクティベーションロックと呼んでいます。「探す」をオンにすると自動的に有効になり、次のように働きます。
たとえ持ち主がリモートでデバイスのデータを消去したとしても、第三者が持ち主の許可なしにデバイスを再アクティベートすることはできません。
そのうえでAppleは、買う前にすることを、はっきり書いています。
iPhoneやiPadをAppleやApple製品取扱店以外から購入する場合は、事前に、デバイスが消去されていること、また、以前の持ち主のアカウントに紐付けられたままでないことを確認してください。
ロックがかかっている端末は、iOSまたはiPadOS 15以降を搭載していれば、電源を入れたときに「iPhoneは所有者にロックされています」という画面が出ます。Appleは、その端末について所有権をそのまま引き継がないよう注意しています。
その画面が出ないときの確かめ方も、Appleが手順として示しています。
- STEP
電源を入れて、ロックを解除する
パスコードを聞く画面やホーム画面が出たら、その端末はまだ消去されていません。Appleは、販売店に頼んで完全に消去してもらうよう案内しています。
- STEP
初期設定を始めてみる
ここで以前の持ち主のアカウント情報を求められたら、まだ結び付きが残っています。その場に前の持ち主がいなければ、連絡を取って外してもらうことになります。
- STEP
「こんにちは」の画面が出れば大丈夫
Appleは、この画面が出ていれば新しい持ち主がそのデバイスを利用できる、と書いています。
📌 Appleは、ロック画面が出るとき・消去されていないとき・前の持ち主のアカウントに紐付いたままのときの3つについて、その状態のまま所有権を引き継がないでくださいと書いています。「あとで何とかなる」と考えないほうがよい、というのがメーカー自身の立場です。
Androidの「デバイスの保護」も、初期化では外れない
Googleは、この仕組みをデバイスの保護と呼んでいます。ヘルプにはこう書かれています。
デバイスを設定して、出荷時の設定にリセットされたデバイスを他人が無断で使用しないようにできます。
そして、買う側にとっていちばん効くのが次の一文です。
出荷時の設定にリセットした後でセットアップの際にこの情報を入力できないと、デバイスをまったく使用できなくなります。
保護を外す方法も書かれていて、端末からGoogleアカウントを削除することだとされています。これは前の持ち主にしかできない作業です。
⚠ Androidには、iPhoneのような決まった画面名がありません。Appleは「iPhoneは所有者にロックされています」という画面を名指ししていますが、Googleのヘルプに同じ書き方は出てきません。文言は機種によって違うので、見るのは画面の名前ではなく「前の持ち主のGoogleアカウントを求められるかどうか」です。なお、Googleのヘルプは、この保護のしくみを説明した節に「この手順の一部は、Android 8.1 以降でのみ動作します」という注記を付けています。
⚠ このヘルプページには、AI技術による翻訳が含まれている場合があるという注記が付いています。細かい言い回しに寄りかからず、「アカウントが残っていると、リセット後に使えなくなる」という筋だけを受け取るのが安全です。
買う前に確かめる|手に取れるときと、取れないとき
この項目だけは、端末に触れるかどうかで、できることが変わります。
その前に1つ。売り場の表示のところで出てきた安心安全評価というのが、まさにこの項目を見る検査です。端末のロックが解除されているか、アクティベーションロックが解除されているか、端末とアカウントの紐付けが解除されているか——それを OK か NG かで判定し、結果を売り場に出すことが求められています。
| 場面 | できること |
|---|---|
| 店頭で手に取れる | 「iPhoneは「所有者にロックされています」と出る」の手順で確かめる |
| 通販で、ガイドラインに沿う事業者から買う | 安心安全評価(ロックとアカウントの検査)の結果が出ているかを見る |
| フリマで個人から買う | 出品者に、初期設定の画面まで進めた状態を尋ねる |
3つ目がいちばん頼りない、と感じられたと思います。実際そのとおりで、ここがフリマでいちばん確かめにくい項目です。前の持ち主本人が出品しているとは限らず、その人がアカウントを外せる立場にあるかどうかも分かりません。
その中古スマホが、自分の回線で使えるか

ここまでの3つを通っても、その端末が自分の契約先で問題なく働くかどうかは、まだ別の話です。総務省は、この点を次のように書いています。
自分が契約をしている携帯会社が販売をしているスマートフォンであれば、基本的に、動作保証や対応する周波数帯に問題が生じることはありません。ただし、中古端末をはじめとして、自分が契約をしている携帯会社以外が販売するスマートフォンを利用する場合には、各社が公表している動作確認済端末のページを確認しましょう。
契約先が出している「動作確認済端末」の一覧を見る
各社が、自社の回線で動作を確かめた機種の一覧を公表しています。見るのは自分の契約先の一覧で、端末を売った会社ではありません。ここは照会先と逆になるので、取り違えないようにしてください。
一覧に載っていない機種が必ず使えないわけではありませんが、載っていれば、その会社が確かめたという裏付けがあることになります。中古では、ここを見るか見ないかで安心の度合いがかなり変わります。
探し方は、契約先のサイトで「動作確認済端末」を探すだけです。多くの会社がこの名前で一覧を出しています。
⚠ 商品ページに「SIMフリー」と書いてあっても、この確認は省けません。SIMフリーというのは端末の鍵が外れているという話で、自分の契約先の電波に合うかどうかは別の話だからです。総務省も、契約先以外が売った端末については一覧を見るよう案内しています。
SIMカードのサイズと種類
見落とされがちなのが、差し込むカードそのものの大きさです。総務省はこう書いています。
SIMカードのサイズは「標準(mini)」「micro」「nano」の3種類があり、端末ごとに適用サイズが異なります。機種により対応SIMがあるので、ご購入時は中古ショップにてご確認ください。
サイズが合わなければ、契約先の窓口でカードのサイズ変更を頼むことになります。買う前に分かっていれば、その手間を織り込んで選べます。
また総務省は「中古端末を買うときの注意点」の同じページで、サイズ以外にもSIMの種類が違うものがあるとして、自分が契約している携帯会社に確認するよう案内しています。
海外から入った端末には、技適マークが無いことがある
最後にもう1つ。ここまでは「自分の契約先で使えるか」でしたが、その手前にそもそも日本で使ってよいかどうかという関門があります。日本国内で無線を使う機器には、電波法などの基準に合っていることを示す技適マークが付いています。
ガイドラインは、中古の売り場に流れてくる海外モデルについて、事業者へ次のように注意を促しています。
日本国内において、一部通販サイト等で海外モデルのリファービッシュ品が販売されているケースが見られる。これらの海外モデルには、事前に電波法及び電気通信事業法に基づく基準認証を受けたことを意味する総務省令で定める表示である下図の「技適マーク」(技術基準適合証明及び技術基準適合認定)が付されていない場合がある。
技適マークが付されていない携帯電話端末を日本国内で使用した場合には、法令違反になるおそれがあるので、充分な注意が必要である。
ここに出てくるリファービッシュ品とは、メーカーやその認定修理業者が純正部品で整備し直した端末のことです。ガイドラインは、そうでないものを混同しないよう事業者に促しており、メーカーによる修理を受けられないおそれにも触れています。
マークの在りかについては、総務省が技適マークのQ&Aで確認方法を案内しています。
携帯電話・スマートフォンにも技適マークが付いています。
設定画面に表示する機種が多く、取扱説明書に表示する方法が記載されています。
⚠ 国内の携帯会社が売った端末なら、ここは気にしなくて構いません。気をつけるのは、海外モデルや並行して輸入されたものが売られている場合です。商品ページに「海外版」「グローバル版」といった言葉が出てきたら、そこで一度立ち止まってください。
技適マークを手元で確かめる場所と、マークの横にある番号から総務省の検索で引く手順は、別の記事にまとめています。
同じ「中古の通信機器」でも、家に置くWi-Fiルーターには、ここまでの4つがほとんど当てはまりません。携帯の回線につながないので、ネットワーク利用制限もSIMロックも出てきません。⚠ ただし技適マークは無線を使う機器に共通です。総務省は技適マークのQ&Aで「Wi-Fi(無線LAN機器)にも技適マークがついています」と書いているので、海外モデルを買うときはこちらも同じように見ます。
📌 この記事の確認リストを、そのままWi-Fiルーターに当てないでください。
代わりに効いてくるのが、買ったあとに最初にする初期化です。前の持ち主の設定が残ったまま使うと何が起きるかは、総務省の資料をもとに別の記事でまとめています。
お店や出品者に聞くときは、短い文で足ります
ここまでで「聞いてください」と書いた場面が、いくつか出てきました。知らない相手にメッセージを送るのは気が重いものなので、そのまま使える形で1か所にまとめておきます。
- 製造番号(IMEI)を教えていただけますか。 — 自分で照会するためです。ガイドラインに沿うお店なら、もともと示せるようにしておくことが前提になっています
- 電源を入れたときに「こんにちは」の画面が出る状態でしょうか。 — 前の持ち主のアカウントが外れているかを確かめる言い方です。Android なら「初期設定を進めたときに、前の持ち主のGoogleアカウントを求められませんか」
- 販売元の携帯会社と機種名・型番を教えていただけますか。 — 照会先を決めるためと、自分の契約先の一覧と突き合わせるためです
- 電池の状態は確認されていますか。分かれば最大容量も教えてください。 — ガイドラインが「望ましい」としている確認なので、答えられる店とそうでない店があります
📌 答えが返ってこないこと自体も、判断の材料です。お店なら答えられて当然の内容ですし、個人の出品でも、手元にある端末を見れば分かることばかりです。
まとめ|中古スマホは、買う前が最後の機会
中古スマホの売り場に並ぶ言葉には、業界のガイドラインが決めた意味があります。読めるようになると、何が保証されていて、何が保証されていないかが見えてきます。
買う前に確かめる4つを、もう一度並べます。
- ① 売り場の表示が何を言っているか — 「S・A・B・C・J」のランクは見た目の傷の格付けで、いちばん上のSでも古物なので「新品」とは表示できません。更新がいつまで届くかと電池のもちは、独立した欄としては求められていません
- ② 止められていないか — 照会先は、その端末を売った会社です。製造番号(IMEI)が書かれていなければ尋ねてかまいません。「○」は調べた時点のお知らせで、「△」は会社によって言っていることが違います
- ③ 前の持ち主のアカウントが残っていないか — 初期化ずみでも残っていることがあります。Appleは、その状態の端末について所有権をそのまま引き継がないよう注意しています
- ④ 自分の回線で使えるか — 照会先とは逆に、こちらは自分の契約先が出している動作確認済端末の一覧を見ます
この4つを支えている前提が2つあります。1つは、買ったあとは相談先が3つ(買った店・自分の契約先・メーカー)に分かれること。NTTドコモは、中古で買った人からの照会には回答できないと書いています。もう1つは、ここまでの決まりが及ぶのは、ガイドラインに沿って商売をしている事業者までだということ。赤ロムの保証も「望ましい」=推奨事項で、フリマの個人間の取引には及びません。
4つを順に見ていくと、「この商品はやめておこう」という結論になることもあります。がっかりする話に聞こえるかもしれませんが、買う前なら、何も失わずに引き返せます。
参考: リユースモバイルガイドライン 第三版(リユースモバイル関連ガイドライン検討会・PDF)
参考: リユースモバイル事業者認証制度とは(リユースモバイル・ジャパン)
参考: iPhoneとiPadのアクティベーションロック(Apple)
参考: 他人に無断で使用されないようにデバイスを保護する(Android ヘルプ)
参考: ネットワーク利用制限携帯電話機確認サイト(NTTドコモ)
参考: 中古携帯電話を利用する際の注意事項を確認する(ソフトバンク)
参考: 技適マークのQ&A(総務省)





