会社で「イントラ」「社内ポータル」と呼ばれているページを、毎日開いている方は多いと思います。勤怠の打刻、稟議の申請、社内のお知らせ。
あれをまとめてイントラネットと呼びます。会社の中にいる人だけが使える、社内向けのサービスのまとまりのことです。
この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、イントラネットとは何を指すのか、そしてよく一緒に出てくるLANとは何が違うのかを解説していきます。在宅勤務のときに「VPNでつなぐ」よう言われる理由にも触れます。
目次
イントラネットとは? 会社の中だけで使えるネットワーク

イントラネットとは、会社や組織の中だけで使えるネットワークのことです。「イントラ(intra)」は「内側の」という意味で、インターネット(inter=間の)と対になる言葉です。
特徴は、インターネットと同じ技術を、社内に閉じて使っていることです。ブラウザで開く、URLでたどる、といった使い勝手はインターネットと同じですが、社外からは見えません。
会社にあるものでいうと、次のようなものがイントラネットにあたります。
- 社内ポータルサイト … お知らせ・規程・申請書のダウンロード
- グループウェア … 予定表・会議室の予約・社内メール
- ファイルサーバー … 部署の共有フォルダ
- 業務システム … 勤怠・経費精算・販売管理など
いずれも「社内の人だけが見られる」という点が共通しています。
よく混同されますが、社内ポータルはイントラネットの入口にあたる1つのサイトで、イントラネット全体を指す言葉ではありません。上に挙げた4つをまとめたものがイントラネットです。
イントラネットとLANは何が違うのか

どちらも「社内のネットワーク」を指すので混同しやすいのですが、見ている層が違います。
LAN … つなぐ部分。建物の中で機器どうしをつないでいる土台
イントラネット … その上で動くサービス。社内ポータルや共有フォルダなど、社員が実際に使うもの
LANは「つなぐ部分」
LAN(Local Area Network)は、建物の中で機器どうしをつないだネットワークです。LANケーブルやWi-Fiの電波で、パソコン・プリンター・サーバーを結んでいる部分にあたります。
LANがしているのは、大きく2つです。1本の回線を全員で分け合えるようにすることと、機器どうしが直接やり取りできるようにすること。プリンターに印刷を送れるのは後者の働きです。
イントラネットは「その上で動くサービス」
いっぽうイントラネットは、そのLANの上で動いているサービスのまとまりです。社内ポータル、グループウェア、共有フォルダ、業務システム。社員が「使っている」と感じるのは、こちら側です。
言い換えると、LANが無ければイントラネットは動きませんが、LANがあるだけではイントラネットにはならないということです。線をつないだあとに、社内ポータルやグループウェアを用意して初めてイントラネットになります。
表で並べると
| LAN | イントラネット | |
|---|---|---|
| 何を指すか | 機器どうしをつなぐ土台 | その上で動くサービスのまとまり |
| 中身の例 | LANケーブル、Wi-Fi、スイッチ、ルーター | 社内ポータル、グループウェア、共有フォルダ、業務システム |
| 社員から見えるか | ふだんは意識しない | 毎日開いている |
| 家庭にもあるか | ある(家のWi-Fiも LAN) | ふつうは無い |
ちなみに、イントラネットは1つのLANの中に閉じているとは限りません。支店が複数ある会社では、拠点ごとのLANを結んだうえで、全社で同じ社内ポータルを使います。この「結ぶ」部分がWANです。
インターネットとの違い
もう1つよく聞かれるのが、インターネットとの違いです。こちらは層ではなく、誰が入れるかが違います。
インターネットは世界中の誰もが入れる場所で、イントラネットは社員だけが入れる場所です。使っている技術(ブラウザで開く・URLでたどる)は同じなので、画面の見た目だけでは区別がつきません。開けるかどうかが、自分の居場所で決まるのがイントラネットのほうです。
イントラネットがあると、何が変わるのか

使う側から見た利点は、次のようなものです。
- 探す場所が1つで済む … 規程も申請書もポータルにある
- 紙と押印が減る … 申請や承認が画面の中で終わる
- 最新版が1つに保たれる … 共有フォルダのファイルを全員が同じものとして扱える
いっぽう、使う側が困りやすいのは社外から使えないことです。イントラネットは社内に閉じているので、自宅のパソコンからは開けません。
イントラネットは「外から見えない」ことを利点に挙げられますが、それは外から入りにくいというだけです。
社内の1台がウイルスに感染すれば、同じネットワークの中にいる他の機器が狙われることもあります。あやしい添付ファイルを開けば、社内であっても被害は起きます。
そのため、会社によっては社内をさらに部署ごとに区切って、余計な行き来をさせないようにしています。これが VLAN です。
在宅勤務で「VPNでつないで」と言われる理由

ここまでの話が分かると、在宅勤務のときの手順にも説明がつきます。
イントラネットは社内に閉じているので、多くの場合、自宅から社内ポータルのURLを開いても表示されません。会社のネットワークの外にいるからです。
そこで使うのが VPN です。自宅から会社まで、インターネットの上に中身の見えないトンネル(専用の通り道)を1本通し、会社のネットワークの中にいる状態にする仕組みです。VPNでつないだあとに社内ポータルが開けるようになるのは、このためです。
総務省のテレワークセキュリティガイドライン(第5版・2021年5月/PDF)も、この方式を「VPN方式」と呼び、「テレワーク端末が物理的にオフィス内にある場合と同じように業務が可能です。」と説明しています。会社が在宅勤務でVPNを求めるのは、この状態を作るためです。
なお、最近はイントラネットの一部をクラウドのサービスに置き換える会社も増えています。その場合はVPNなしでも社外から使えますが、代わりにIDとパスワード(+二要素認証)で本人確認をすることになります。
自分の会社がどちらなのかは、在宅勤務の案内メールか、情報システムの担当者に聞くのが確実です。VPNを使うよう指示されているなら、社内に閉じたイントラネットがあるということです。
自分の会社のイントラネットを見分ける

「うちの会社にイントラネットはあるのか」と聞かれると、意外と答えにくいものです。次のどれかに当てはまれば、それがイントラネットです。
- 会社のパソコンでしか開けない社内向けのページがある
- 部署の共有フォルダがある(エクスプローラーに表示される「ネットワーク」の場所)
- 在宅勤務のときにVPNでつなぐよう言われている
逆に、全部の業務システムがクラウド(ブラウザでどこからでもログインできるもの)に載っている会社では、社内に閉じたイントラネットを持っていないこともあります。冒頭に挙げた勤怠や稟議も、クラウドのサービスで動いている会社ではイントラネットに含めないのがふつうです。
会社の規模や方針で変わるところなので、はっきりさせたいときは情報システムの担当者に「社内システムは社外からも開けますか」と聞くのが早道です。
まとめ
- イントラネットは、インターネットと同じ技術を社内に閉じて使うサービスのまとまり。社員だけが入れる
- LANとの違いは層。LANはつなぐ部分、イントラネットはその上で動くサービス
- インターネットとの違いは、誰が入れるか。技術は同じで、社員だけが入れるのがイントラネット
- 社員が毎日開いている社内ポータル・共有フォルダ・業務システムが、その中身
- 社外から使えないので、在宅勤務ではVPNで「社内にいる状態」を作る
- ⚠ 「外から見えない」は「安全」とは別。社内の1台が感染すれば、中から広がる
ふだん「イントラ」と呼んでいるものの正体が分かると、なぜ自宅から開けないのか、なぜVPNが要るのかが地続きで見えてきます。






