LINEや仕事のチャットの通知が、アプリを開くまで来ない。会社のWi-Fiにつないでいるときだけ、通知が来ない。そんなことはありませんか?
「通知の設定はオンになっているのに、どうして…」
実は、アプリの会社から届く通知(プッシュ通知)は、アプリがそれぞれ受け取っているのではありません。iPhoneならApple、AndroidならGoogleの配達の仕組みが、スマホとのあいだにつなぎっぱなしにしている接続で届けています。届かない・遅れるときは、その道のどこかで止まっています。
この記事では、ITやネットワークに詳しくない方でもわかるように、通知が届く仕組み、会社や学校のWi-Fiで届かない理由、圏外のあいだに来た通知の行方、省電力で遅れる理由、そして確かめる順番を解説します。
通知は、アプリの会社のサーバーからApple・Googleの配達の仕組みを通り、スマホがつなぎっぱなしにしている接続で届きます。止まる場所は「送る側」「通り道(いまつないでいるネットワーク)」「スマホ自身」の3つです。
特定のWi-Fiのときだけ届かないなら、Wi-Fiを切ってモバイル回線だけで試します。それで届くなら、原因は通り道の側です。会社や学校のWi-Fiなら利用者には直せないので、ネットワークの管理者に、AppleとGoogleが公開している案内を渡します。
何分も遅れて、画面をつけたときにまとめて届くなら、スマホが電池を守るために通信を後回しにしている可能性があります。圏外や電源を切っていたあいだの通知は、あとで全部届くとは限らないので、アプリを開いて確かめます。
目次
スマホの通知は、OSがつなぎっぱなしにしている接続で届く

アプリを閉じていても届くのは、OSが代わりに受け取っているから
アプリを使い終えてほかのアプリに切り替えると、一部のアプリはしばらくして一時停止の状態になります。Appleは、この状態のアプリは「使用中でも起動中でもなく、システムリソースを消費することもありません」と説明しています(iPhone、iPad、iPod touchでアプリを切り替える(Apple))。
止まっているアプリが通知を受け取れるのは、スマホのOS(iPhoneならiOS、AndroidならAndroid)が、アプリに代わって受け付けているからです。宅配便にたとえると、住人(アプリ)が一人ずつ営業所に通うのではなく、マンションの受付(OS)が、全員ぶんの荷物をまとめて受け取っている形です。
Androidの開発者向けの資料は、Googleの配達の仕組みについて「FCM は、クラウドへの単一の永続的な接続を提供します。リアルタイム メッセージングを必要とするすべてのアプリがこの接続を共有できます。」と書いています(Doze とアプリ スタンバイ用に最適化する(Android Developers))。アプリごとに接続を持つより、電池の減りが大幅に抑えられるためです。
iPhoneも、Appleのサーバーとつなぎっぱなしの接続を使います。Appleはネットワーク管理者向けの英語の案内で、APNsを使うにはデバイスが「need a persistent connection to Apple’s servers」(Appleのサーバーとの持続的な接続が必要)と書いています(If your Apple devices aren’t getting Apple push notifications(Apple・英語))。ただし、この案内には、その接続を全アプリで1本にまとめているとまでは書かれていません。
iPhoneはApple(APNs)、AndroidはGoogle(FCM)が配達する
配達の仕組みには名前があります。iPhoneはApple プッシュ通知サービス(APNs)、AndroidはFirebase Cloud Messaging(FCM)です。アプリの会社のサーバーは、通知を直接スマホへ送るのではなく、まずAPNsやFCMに渡し、そこからスマホへ届けてもらいます。
LINEも、ヘルプでこの仕組みに触れています。「端末や通信環境など、LINEアプリ以外の影響を受ける場合があります」と書き、LINE側ではこれらの仕組みを詳しく調べられないと案内しています(通知が届かない/通知音(着信音)が鳴らないなどの問題が発生している(LINE))。LINEのように、アプリの会社でも原因を調べきれないことがあるのは、このためです。
届かない・遅れるとき、止まっている場所は3つ

通知の道を3つに分けると、どこで止まっているかの当たりが付けやすくなります。
| 止まる場所 | 起きること | 見分ける手がかり |
|---|---|---|
| 送る側(アプリの会社) | そもそも送っていない・急がない知らせとして送っている | ほかのアプリの通知は普通に来て、そのアプリだけが設定を変えても遅れる |
| 通り道(いまつないでいるネットワーク) | スマホとAPNs・FCMの接続が通らない・途中で切られる | 特定のWi-Fiのときだけ届かない |
| スマホ自身 | 通知の設定・省電力の設定で止めている・後回しにしている | どのアプリの通知も、画面をつけたときにまとめて届く |
特定のWi-Fiで通知が届かないのは、通り道が接続を通さないから

Wi-Fiにつないだときだけ通知が届かないなら、まず疑うのは通り道です。スマホとAPNs・FCMの接続は、ウェブサイトを見るときとは別の入口(ポート番号)も使い、長い時間つなぎっぱなしにします。この2つの性質が、ネットワークによっては通らないのです。
ただし、どこのWi-Fiでも起きるわけではありません。Googleは「大半のネットワークでは、デバイスがインターネットの他の部分に接続することを制限しません。」と書き、制限をかけるのは一部の組織だとしています(FCM 用にネットワークを構成する(Firebase))。起きやすいのは、会社・学校・お店のように、管理者がいるネットワークです。
会社や学校のWi-Fiは、決まったポートしか通さないことがある
会社や学校のネットワークには、外との出入りを見張るファイアウォールが置かれていることがあります。門番のように、決めた入口(ポート番号)の通信だけを通し、ほかは止めます。
通知の接続が使う入口は、ウェブサイトを見るときの443番だけではありません。Appleは、iPhoneがAPNsと通信するのに「TCP ポート 5223」を使うと書いています(Apple 製のデバイスで Apple プッシュ通知が届かない場合(Apple))。Googleは、Androidの通知のために「5228」「5229」「5230」「443」を開くよう案内しています(FCM 用にネットワークを構成する(Firebase))。
ウェブサイトは見られるのに通知だけが来ない、という食い違いは、ファイアウォールがこれらの入口を閉じているときに起きえます。Appleは、5223番でつながらないときの予備として443番も使うと書いていますが、プロキシを通るネットワークでは条件が付きます。
プロキシを通るネットワークでは、通知の接続が張れないことがある
会社によっては、外へ出る通信をいったんプロキシ(代わりに外とやり取りする中継役)に通します。ここはiPhoneとAndroidで扱いが違います。
Androidの通知の接続は、プロキシを通せません。Googleは「プッシュ メッセージをデバイスに配信する FCM のプロトコルは、ネットワーク プロキシを介してプロキシ処理できません」と書き、スマホからGoogleのサーバーへ直接つながるようにすることを求めています(FCM 用にネットワークを構成する(Firebase))。
iPhoneは、プロキシを通っても届くことがあります。Appleは、443番の接続にはプロキシを使うが「プロキシで復号化せずに通信を中継できる場合に限ります」と書いています(Apple 製のデバイスで Apple プッシュ通知が届かない場合(Apple))。また、「HTTPS通信監視(SSLインスペクション)を行う接続では、Appleサービスは利用できません」とも書いています(エンタープライズネットワークでApple製品を使う(Apple))。中身をのぞいて調べるタイプのプロキシを通ると、iPhoneの通知も止まりうるということです。
つなぎっぱなしの接続が、途中の機器やVPNで切られる
通知の接続は、スマホの側からつなぎに行きます(Appleは、接続は「デバイス側から確立されます」と書いています。エンタープライズネットワークでApple製品を使う(Apple))。会社や家のネットワークの出口にあるNAT(中と外のアドレスを付け替える仕組み)の機器は、中からつないだ通信を表で覚えておき、外からの返事をその表で中へ届けます。覚えておく時間(タイムアウト)には限りがあります。
Googleは、NATなどの機器では「ポート 5228~5230 での接続に 30 分以上のタイムアウトを設定してください」と管理者に求め、そうすると「信頼性の高い接続を提供しつつ、ユーザーのモバイル デバイスの電池消費量を削減できます」と書いています(FCM 用にネットワークを構成する(Firebase))。
VPNを使っているときも、Androidでは遅れが出ることがあります。Googleは「場合によっては、VPN が長時間接続を積極的に切断し、メッセージの欠落や遅延、バッテリーの消耗が原因でユーザー エクスペリエンスが低下することがあります」と書いています(FCM 用にネットワークを構成する(Firebase))。iPhoneのVPNについて、Appleの同じ趣旨の案内は確かめられませんでした。
会社のVPNにつないだときの困りごとを、情報システムの担当者にどう伝えるかは、Web会議を例にこちらで解説しています。
フリーWi-Fiのログイン前は、つながっていても届かない
お店や駅のフリーWi-Fiは、ログイン画面で同意やメールアドレスの登録をするまで、Wi-Fiにはつながっていてもインターネットには出られません。そのあいだは、APNs・FCMとの接続も張れないので通知は届きません。ログイン画面が出ないときの対処は、こちらで解説しています。
Wi-Fiを切ってモバイル回線で届くなら、管理者に伝えること
見分け方は、Wi-Fiを切ってモバイル回線だけにし、同じアプリで通知が来るかを試すことです。モバイル回線なら届くのに、そのWi-Fiでは届かないなら、原因はWi-Fiの側にあります。ファイアウォールやプロキシの設定は、利用者のスマホからは変えられません。
ネットワークの側に置かれたファイアウォールやプロキシは、利用者からは見えないことが多いので、あるかどうかも含めて管理者に聞くのが確実です。
会社や学校のWi-Fiなら、ネットワークの管理者に次のことを伝えます。
- どのWi-Fi(ネットワークの名前)で、どのアプリの通知が来ないか。モバイル回線では来るか
- スマホがiPhoneかAndroidか
- iPhoneなら、Appleの「Apple 製のデバイスで Apple プッシュ通知が届かない場合」(ネットワーク管理者向けの案内)
- Androidなら、Googleの「FCM 用にネットワークを構成する」(ポート・プロキシ・NATのタイムアウト・VPNの案内)
Googleのページにも、APNs経由で通知を受け取る場合は「Apple が指定するポートも開いてください」という注があります。iPhoneとAndroidの両方が使うWi-Fiなら、管理者には2つのページを両方渡します。
管理者が確かめる点を、AppleとGoogleの案内から並べると次のとおりです。
| 確かめる点 | iPhone(Appleの案内) | Android(Googleの案内) |
|---|---|---|
| 通知の接続に使うポート | TCP 5223(つながらないときは443) | TCP 5228・5229・5230・443 |
| プロキシ | 中身を復号しないで中継できる場合に限り、443番の接続で通ることがある | 通せない。スマホからGoogleのサーバーへ直接つながるようにする |
| 中身をのぞく通信監視(SSLインスペクション) | 行う接続では、Appleのサービスを使えない | (案内には見当たらない) |
| NATなどのタイムアウト | (案内には見当たらない) | ポート5228〜5230の接続に30分以上 |
| VPN | (案内には見当たらない) | 長時間の接続を切ると、メッセージの欠落や遅延が起きることがある |
表のとおり、iPhoneとAndroidでは通知の接続に使うポートが違い、プロキシの扱いも違います。そのため、同じWi-Fiで、iPhoneには届くのにAndroidだけ届かないなら、Androidだけが使うポート(5228〜5230)が閉じている、プロキシを通している、といったことが候補になります。NATのタイムアウトとVPNも、Googleが案内しているのはAndroidの側です。iPhoneとAndroidの両方に届かないなら、両方のポートが閉じている可能性があります。どれに当たるかを確かめるのは管理者です。
圏外や電源を切っていたあいだの通知は、あとで全部届くとは限らない

ここからは、3つの場所のどこかで止まる話ではなく、スマホがネットワークにつながっていないあいだの話です。
山や地下で圏外になった、機内モードにしていた、電源を切っていた。そのあいだに来るはずだった通知は、つながったあとにどうなるのでしょうか。ここはiPhoneとAndroidで答えが違います。
届けられなかった通知は、配達の仕組みがしばらく預かる
スマホにすぐ届けられないとき、APNsとFCMは通知をいったん預かり、スマホがつながったら届けます。不在のときの宅配便が、営業所でしばらく保管されるのと同じです。
預かる期間は、送る側(アプリの会社)が決めます。上限は、APNsが30日以内(Appleは「it may store the notification for 30 days or less」と書いています。Sending notification requests to APNs(Apple・英語))、FCMが28日です(Googleは「28 日は FCM が配信を試みるまでにメッセージを保存できる最大期間です」と書いています。メッセージの有効期間を設定する(Firebase))。
逆に、送る側が「すぐ届かないなら要らない」と決めた知らせは、預かられません。Appleは、期間を0にすると「APNs attempts to deliver the notification only once and doesn’t store it.」(1回だけ届けようとし、保存しない)と書き(Sending notification requests to APNs(Apple・英語))、Googleも「ttl の値を 0 にすると、直ちに配信できないメッセージは破棄される」と書いています(メッセージの有効期間を設定する(Firebase))。
iPhoneは、アプリごとに1件しか預からない
iPhoneの場合、APNsが預かる通知はアプリごとに1件です。Appleは「APNs stores only one notification per bundle ID.」と書き、同じアプリに何件も送られたときは「In most cases, the latest notification is stored.」(たいていは最新の1件を残す)と説明しています(Sending notification requests to APNs(Apple・英語))。
つまり、圏外のあいだに同じアプリへ5件の通知が来ていても、つながったあとに届く通知は1件だけ、ということがあります。不在票が1枚しか入らない郵便受けに、新しい不在票が来るたびに差し替わるようなものです。
Androidは、置き換わる知らせと、1件ずつ届ける知らせがある
Androidでは、送る側が知らせの種類を選びます。Googleは、通知として送る知らせは「常に折りたたみ可能」で、まだ届いていなければ新しい知らせで置き換えられると書いています(折りたたみできないメッセージと折りたたみできるメッセージ(Firebase))。
一方、チャットのように1件ずつ届ける知らせは、つながったときにたまっていたぶんがまとめて届きます。ただし上限があり、Googleは「Android の場合、折りたたむことなく保存できるメッセージ数の上限は 100 件です。上限に達した場合は、保存されているすべてのメッセージが破棄されます。」と書いています(折りたたみできないメッセージと折りたたみできるメッセージ(Firebase))。圏外から戻ったときに、通知がどっと届くこともあれば、一部しか届かないこともあります。
通知が来なくても、メッセージはアプリを開けば届いていることがある
LINEのように、通知と、アプリの中に出るメッセージそのものが、いつも同時にそろうとは限らないアプリがあります。LINEのヘルプは、「通知は届いているにもかかわらず、該当するメッセージがトークリストに表示されない場合や表示が遅れる場合」について、対処の手順を案内しています(通知は届くが、該当するトークが存在しない(LINE))。
Googleは、置き換わる側の知らせを「モバイルアプリにサーバーからデータをフェッチさせるための単なる合図」と書き、預かれる上限を超えたときは「アプリサーバーとの完全な同期」を求めることでアプリが対処できると書いています(折りたたみできないメッセージと折りたたみできるメッセージ(Firebase))。圏外のあとで通知が足りないと感じたら、アプリを開いて確かめてください。どこまで取り直せるかはアプリによって違います。
通知が遅れるのは、省電力で通信が後回しになることがあるから

通知が届かないのではなく、何分も遅れて、画面をつけたとたんにまとめて届く。この場合は、スマホが電池を守るために通信を後回しにしている可能性があります。
画面を消して置いておくと、アプリの通信はまとめて後回しになる
Androidには「Doze(ドーズ)」という省電力の仕組みがあります。Googleは「ユーザーがデバイスを電源に接続せず、画面をオフにした状態で一定時間放置すると、デバイスは Doze モードに入ります。」と書いています(Doze とアプリ スタンバイ用に最適化する(Android Developers))。
Dozeのあいだ、アプリはネットワークを使えません。スマホはときどき短い時間だけ目を覚まし(メンテナンスの時間枠)、そのあいだにたまった通信をまとめて通します。しかも「時間の経過とともに、システムはメンテナンスの時間枠のスケジュール設定の頻度を減らします。」と書いています(Doze とアプリ スタンバイ用に最適化する(Android Developers))。郵便受けを見に行く間隔が、夜が更けるほど長くなるイメージです。スマホを動かす・画面をつける・充電器につなぐと、Dozeは終わります。
iPhoneにも、電池の状態を見て通知を届ける仕組みがあります。Appleは、急がない知らせについて、電池の状態などによって「grouped and delivered in bursts」(まとめて一度に届く)ことがあると書いています(Sending notification requests to APNs(Apple・英語))。
急ぎの通知は起こして届けるが、急ぐかどうかはアプリが決めている
省電力のあいだでも、急ぎの知らせはスマホを起こして届けてもらえます。急ぎかどうかを決めるのは、受け取る側ではなく送る側(アプリの会社)です。
同じスマホで、あるアプリの通知はすぐ来るのに、別のアプリだけいつも遅れるなら、送る側が急がない知らせとして送っている可能性があります。これは利用者の設定では変えられません。AppleとGoogleの資料には、次のように書かれています。
iPhoneでは、アプリの会社がAPNsに知らせを渡すときに急ぎの度合いを付けます。Appleは、10を付けると「Specify 10 to send the notification immediately.」(すぐに送る)、5を付けると端末の電力を考えて送ると書いています(Sending notification requests to APNs(Apple・英語))。
Androidも同じ考え方です。Googleは、急がない知らせについて「デバイスが Doze モードの場合は、バッテリーを節約するために Doze モードが終了するまで配信が延期されることがあります。」と書き、急ぎの知らせは、スリープ中のスマホを必要に応じて起こして届けると説明しています(Android メッセージの優先度を設定、管理する(Firebase))。
低電力モード・電池の最適化を切ると何が変わるか
利用者の手で変えられるのは、スマホ側の省電力の設定です。iPhoneの低電力モードについて、Appleは、オンのあいだ「メールの取得:オフ」「アプリのバックグラウンド更新をオフにします」などの機能を止めると書いています(iPhoneやiPadで低電力モードを使ってバッテリーを長持ちさせる(Apple))。Appleのこの一覧に通知は入っていませんが、LINEは、低電力モードやおやすみモード、バックグラウンド通信の有無を見直すと通知が届くようになる可能性があると案内しています(通知が届かない/通知音(着信音)が鳴らないなどの問題が発生している(LINE))。低電力モードが通知を止めるとAppleは書いていないので、切って変わるかを試してみる、という位置づけです。
Androidでは、アプリごとに電池の最適化から外せます。設定の名前と場所は機種によって違い、Googleも、電池の設定の変え方は「デバイスのメーカーのサポートサイトをご覧ください」と案内しています(Android デバイスの電池を長持ちさせる(Google))。1つの例として、LINEはAndroidでの手順を「端末の設定>アプリ>LINEをタップ」「バッテリー>制限なしをタップ」と案内しています(通知が届かない/通知音(着信音)が鳴らないなどの問題が発生している(LINE))。
Androidのバッテリー セーバーも、通信に効きます。Googleは、オンのときは「バックグラウンド アクティビティが制限されたりオフになったりします」と書き、ネットワーク接続やアプリで遅延が生じることがあるとしています(Android デバイスの電池を長持ちさせる(Google))。
また、Googleは「アプリが長期間使用されていない場合」に、Androidが「使用していないアプリからの通知の送信を停止する。」と書いています(Android デバイスで使用していないアプリを管理する(Google))。通知が欲しいアプリは、[使用していないアプリを一時停止する]をオフにしておきます。
ただし、省電力の設定をずっと切っておくと、そのぶん電池の減りは早くなります。アプリごとに外せるもの(電池の最適化・使用していないアプリの一時停止)は、全部のアプリではなく、遅れて困るアプリだけを外すのがおすすめです。外しても遅れるなら、「急ぎの通知は起こして届けるが、急ぐかどうかはアプリが決めている」の側の問題の可能性があります。どのアプリの通知も同じように遅れるなら、まずスマホ側の省電力の設定から見てください。
050アプリのように、電話の着信をプッシュ通知で知らせるアプリも、同じ省電力の設定で着信の知らせが届かなくなることがあります。機種ごとの案内は、こちらでまとめています。
通知が届かない・遅れるときに確かめる順番

ここまでの3つの場所を、手早く確かめられる順に並べると次のようになります。
- STEP
通知の許可と、集中モード・おやすみモードを見る
スマホの設定で、そのアプリの通知が許可されているか、集中モードやおやすみモードがオンになっていないかを見ます。LINEのように、アプリの中にも通知の設定を持つアプリがあるので、そちらも見ます。
iPhoneで「時刻指定要約」を使っていると、要約に含めたアプリの通知は、決めた時刻にまとめて届きます。そのアプリの「通知の配信」が「即時配信」になっているかを見ます。また、Appleは「集中モードを使用すると、気を散らさないように、iPhone上の通知が遅れて届きます」と書いています(iPhoneの通知の設定を変更する(Apple))。省電力のせいだと思う前に、これらを見ておきます。
- STEP
LINEなどのアプリを、強制終了していないか思い出す
LINEは「LINEのアプリを強制終了(iOS、Android)すると通知が遅れたり、届かなくなる場合がありますので、お控えください。」と案内しています(通知が届かない/通知音(着信音)が鳴らないなどの問題が発生している(LINE))。iPhone X以降では、画面の下の中央から上にスワイプして指を止めると、アプリを切り替える画面(アプリスイッチャー)が出ます。ホームボタンのあるiPhoneでは、ホームボタンをダブルクリックすると、最近使ったアプリが出ます。Appleは、アプリスイッチャーでアプリを終了した場合について「アプリによっては、あらためて開いておかないと、実行も新しいコンテンツの確認も行われません」と書いています(iPhone、iPad、iPod touchでアプリを切り替える(Apple)。通知についてではなく、新しい内容を確かめる機能についての説明です)。LINEのように、終了すると通知が遅れると案内しているアプリを終了していたなら、いったん開き直します。
- STEP
ほかのアプリの通知は来ているかを見る
ほかのアプリの通知は普通に来ていて、1つのアプリだけが来ない・遅れるなら、そのアプリの設定か、送る側を疑います。
- STEP
Wi-Fiを切って、モバイル回線だけで試す
モバイル回線なら届き、特定のWi-Fiでだけ届かないなら、通り道の問題です。会社や学校のWi-Fiなら、「Wi-Fiを切ってモバイル回線で届くなら、管理者に伝えること」の内容を管理者に伝えます。
- STEP
省電力の設定から、そのアプリを外す
画面をつけたときにまとめて届くなら、iPhoneは低電力モードを切って試し、Androidはそのアプリを電池の最適化と「使用していないアプリを一時停止する」から外します。LINEは、iPhoneの「省データモード」やAndroidの「データセーバー」を切ることもあわせて案内しています(通知が届かない/通知音(着信音)が鳴らないなどの問題が発生している(LINE))。
- STEP
それでも遅れるなら、アプリの会社に問い合わせる
問い合わせる前に、OSとアプリを最新版に更新し、スマホを再起動してみます。LINEも、ほかの設定を試しても改善しないときの操作として、この3つなどを挙げています(通知が届かない/通知音(着信音)が鳴らないなどの問題が発生している(LINE))。
どのネットワークでも、省電力を外しても、そのアプリだけが遅れるなら、送る側の問題の可能性があります。アプリのヘルプを見るか、問い合わせ窓口に、いつ・どのネットワークで・どのくらい遅れたかを伝えます。学校や会社で契約している連絡アプリなら、急ぎの知らせとして送っているか、届けられなかったときにどのくらいの期間預かる設定にしているかも聞けます。
なお、AppleもGoogleも、通知が何分以内に届くとは約束していません。Appleは、APNsを「best-effort service」(できる限り届けるサービス)と書き(Sending notification requests to APNs(Apple・英語))、Googleも「FCM では通常、メッセージが送信されるとすぐに配信されます。しかし、常にそのように動作するとは限りません。」と書いています(メッセージの有効期間を設定する(Firebase))。大事な連絡を通知だけに頼らない工夫も、あわせて考えておくと安心です。
まとめ
この記事では、スマホの通知が届く仕組み、Wi-Fiで届かない理由、圏外のあいだの通知の行方、省電力で遅れる理由、確かめる順番を解説しました。
- 通知は、アプリの会社のサーバーからApple(APNs)・Google(FCM)を通り、スマホがつなぎっぱなしにしている接続で届く(Androidは、1本の接続を全アプリで共有する)。止まる場所は送る側・通り道・スマホ自身の3つ
- 特定のWi-Fiでだけ届かないなら、ファイアウォールやプロキシが原因のことがある(Androidについては、GoogleがNATのタイムアウトを30分以上にするよう管理者に求めている)。モバイル回線だけで届くかを試し、届くなら管理者にAppleとGoogleの案内を渡す
- プロキシは、Androidの通知の接続を通せない。iPhoneは、中身をのぞかないプロキシなら通ることがある
- 圏外や電源を切っていたあいだの通知は、配達の仕組みが預かる(期間は送る側が決める。上限はAPNs 30日以内・FCM 28日)。iPhoneはアプリごとに1件(たいていは最新)、Androidは、通知として送る知らせは新しいものに置き換わり、1件ずつ届ける知らせは100件まで預かる(超えると全部捨てられる)
- 通知が足りなくても、メッセージそのものはアプリを開くと届いていることがある(どこまで取り直せるかはアプリによる)
- 画面をつけたときにまとめて届くなら、省電力で後回しになっている可能性がある。急ぐかどうかは送る側が決めるので、利用者にできるのは、遅れて困るアプリを省電力の対象から外すところまで
通知が来ないときは、設定をあれこれ変える前に、Wi-Fiとモバイル回線を切り替えて比べてみてください。それだけで、どこで止まっているかの当たりが付きます。



