IaaSとは?SaaS・PaaSとの違いと、自分で見る範囲

4 min 715 views

社内システムの相談を受けたとき、あるいはクラウドの提案を聞いたときに「IaaS」という言葉が出てきた――そんなところでしょうか。

ひと言でいうと、これまで買って置いていたサーバーを、借りる形に置き換えたものです。契約して構築するのは社内の担当者かベンダーなので、ご自身で契約する場面はまず来ません。名前の意味と、話が出たときに聞けることが分かれば十分です。

この記事では、IaaSの意味を説明したうえで、自分たちで見る範囲はどこまでなのかを、よりどころになる定義に戻って確かめます。「借りる範囲がいちばん広い」とだけ言われても、線がどこにあるのかは分からないからです。

IaaSとは? サーバーを買う代わりに借りる形

「IaaS INFRASTRUCTURE AS A SERVICE」と書かれた帯の左に、雲・ノートパソコン・サーバー機器の丸いアイコンが並んでいるイラスト(IaaSとはの節の扉絵)

IaaSとは「Infrastructure as a Service」の略で、読み方は「イアース」または「アイアース」です。日本語にすると「サービスとしてのインフラ」となります。

ここでいうインフラとは、サーバーや保存領域、ネットワークといった土台のことです。

たとえば、会社でホームページを公開したいとします。以前なら、自社でサーバーを買い、置き場所と回線を用意する必要がありました。IaaSでは、その一式を必要なぶんだけ借ります。

借りた先の機械が実際にどこにあるのかは、こちらの記事で扱っています。

IaaSとSaaS・PaaSの違い ― 自分で見る範囲はどこまでか

中央の雲を囲むように、家・店・ビル・空調・サーバーなどの四角いタイルが立体的に並んでいるイラスト(IaaSの管理範囲の節の扉絵)

IaaSは「利用者が管理する範囲がいちばん広い」と説明されます。では、その範囲はどこで終わるのでしょうか。

その線がどこにあるのかは、よりどころになっている定義に書かれています。アメリカの国立標準技術研究所(NIST)が2011年9月に出した文書「The NIST Definition of Cloud Computing」(SP 800-145)は、IaaSをこう説明しています。

利用者に提供されるのは、処理・保存領域・ネットワークをはじめとする基本的な資源を自分で配置することであり、その上でOSやアプリケーションを含む任意のソフトウェアを実装して動かせる。利用者は、その下にあるクラウドの基盤を管理も制御もしないが、OS、保存領域、自分が配置したアプリケーションについては自分で決められる。またネットワークについても、選ばれた一部の機器(たとえばホストのファイアウォール)を限られた範囲で制御できることがある。(原文: The capability provided to the consumer is to provision processing, storage, networks, and other fundamental computing resources where the consumer is able to deploy and run arbitrary software, which can include operating systems and applications. The consumer does not manage or control the underlying cloud infrastructure but has control over operating systems, storage, and deployed applications; and possibly limited control of select networking components (e.g., host firewalls).)

注目したいのは、「利用者は、その下にあるクラウドの基盤を管理も制御もしない」という一文です。これはSaaS・PaaS の説明にも同じ言い回しで出てきます(SaaS・PaaS ではこのあとに「ネットワークであれ、サーバーであれ…」と続きます)。

つまりIaaSでも、機械そのものや置き場所は自分では管理も制御もしません。範囲がいちばん広いといっても、下限があるということです。

とくに見落とされやすいのがネットワークです。定義は「選ばれた一部の機器を、限られた範囲で」としか書いていません。ホストのファイアウォールが例に挙がっているだけで、ネットワーク全体を自由に組めるとは書かれていません。

自分たちで見ることになるのは、その上に載せるもの――OS、保存したもの、動かすソフトです。「全部」ではなく「OSから上」と考えると、話がずれません。

この線がSaaS・PaaS ではどこに動くのかは、こちらで並べています。

IaaSにすると、何が変わるか

買って持つ場合と比べると、次のように変わります。

メリット
  • 機械を買わずに済むので、はじめの出費が小さい
  • 足りなくなったら増やせる(減らすこともできる)
  • 機械の置き場所・電源・故障の交換を持たなくてよい
デメリット
  • OSから上は自分たちで見ることになる(更新・設定・守り)
  • 決めることが多いぶん、見る人と手間が要る
  • 使った量で料金が変わるため、月々の額が読みにくい

メリットとデメリットは、同じことの裏表です。自分たちで決められる範囲が広いということは、決めなければならないことも多いということになります。

IaaSの名前が出てくる場面

IaaSとして提供されている代表的なものは、次の3つです。

名前提供元
Amazon Web Services(AWS)Amazon
Microsoft AzureMicrosoft
Google CloudGoogle(メールや文書のGoogle Workspace とは別のサービスです)

いずれも会社ごと契約するもので、個人で申し込む場面はまずありません。

名前を見かけるのは、たいてい次のような場面です。

こんなときに出てくる

社内システムの入れ替えの説明を受けるとき
「サーバーを買わずにIaaSで」という言い方をされます。買う代わりに借りる、と読み替えれば通じます。

障害の連絡を受けるとき
止まったのが借りている土台の側なら、直すのは事業者なので復旧を待つことになります。その上に載せたものなら、自社の担当者かベンダーが動く話です。

費用の話が出るとき
買い切りではないので、使い続けるかぎり毎月かかります。使う量を減らせば下げられます。

まとめ

IaaSは、サーバーや保存領域といった土台を、買わずに借りる形でした。

  • 買って置いていた機械を、必要なぶんだけ借りる形に置き換えたもの
  • NIST の定義では、IaaSでも利用者はその下にある基盤を管理も制御もしない
  • 自分たちで見るのは「全部」ではなくOSから上。ネットワークは選ばれた一部だけ
  • ソフトを作らない立場なら、自分で契約する場面はまず来ない

いちばん上の段にあたるSaaSは、名前を知らないまま毎日使っているはずです。

参考: The NIST Definition of Cloud Computing(SP 800-145)(アメリカ国立標準技術研究所・PDF・英語)

参考: NIST によるクラウドコンピューティングの定義(情報処理推進機構による日本語訳・PDF)

関連記事