メールサーバーとは?初心者向けに仕組みと、設定値が変わる理由

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会社のメールが急に送れなくなった、設定を聞かれた、業者の資料に出てきた――「メールサーバー」という言葉に出会うのは、たいていそんなときです。

この記事では、ITの知識がなくてもわかるように、その言葉が何を指しているのかを説明します。そのうえで、設定の値は自分で決めるものではなく、しかも事業者の都合で変わることがあるという、あまり書かれていない話まで扱います。

ご自身でメールサーバーに手を入れることはまず無いはずなので、自分で見られるところと、人に頼むところの線引きまでを目標にします。

メールサーバーとは? 仕組みは「送る役」と「受け取る役」

開いた封筒と手紙の下に、3つの四角が線でつながっている図(メールサーバーとはの節の扉絵)

メールは、送った相手のパソコンへ直接飛んでいくわけではありません。途中にメールを預かって運ぶ役がいて、それがメールサーバーです。

郵便局をイメージしてください。

あなたが手紙(メール)を書いて投函すると、郵便局(送信メールサーバー)がそれを受け取り、宛先の郵便局(受信メールサーバー)へ届けます。

ここまでは郵便と同じです。⚠ ただし最後のひと区切りだけは違います。メールは家のポストまで配達されるのではなく、郵便局に置かれた自分専用の私書箱に届き、そこへ取りに行く形に近いのです。メールアプリを開いたときに、その「取りに行く」が起きています。

つまりメールサーバーは、私たちのメッセージを確実に届けるための「デジタルの郵便システム」なのです。

送信から受信までの流れ

人物と錠前のアイコンが網の目状につながり、その上をピンクの紙飛行機が飛んでいるイラスト(送信から受信までの流れの節の扉絵)

メールが届くまでには、「SMTPサーバー」(送る役)と「POP/IMAPサーバー」(受け取る役)が連携して働きます。順番に見ると次のようになります。

  1. あなたがメールを作成し「送信」ボタンを押します。
  2. SMTPサーバー(送信サーバー)にメールが送られます。
  3. SMTPサーバーが、宛先のメールサーバーの場所を DNSサーバーに問い合わせます(住所を調べる役です)。
  4. 分かった宛先のメールサーバーへ、メールを転送します。
  5. 受信側のメールサーバーがメールを受け取り、保管します。
  6. 受信者がメールアプリを開くと、POP/IMAPサーバー(受信サーバー)からメールが取得され、受信トレイに表示されます。

つまり「メールサーバー」は1台の機械の名前ではなく、いくつかの役の総称です。トラブルのときに「送れないのか、受け取れないのか」を分けて考えられるのは、役が分かれているからです。

⚠ ただし役が分かれていても、機械が別々とはかぎりません。設定画面で送信用と受信用に同じ名前が書いてあっても、間違いではありません。

この記事で後ほど引く2社でいうと、ぷららは送信も、POPで受信する場合の受信も secure.plala.or.jp(IMAPで受信する場合だけ imap.plala.or.jp)、BIGLOBE は送信もPOP受信も mail.biglobe.ne.jp です。同じこともあれば違うこともある、というのが実際のところです。

SMTP・POP・IMAP・DNS といった名前が何をしているのかは、こちらの記事で1つずつ扱っています。

そのメールサーバーは、誰が用意しているのか

等角の台の上に、雲・サーバーラック・書類・グラフ・@マークが並び、人が作業しているイラスト(誰が用意しているのかの節の扉絵)

ここで、言葉を1つ整理しておきます。「Gmail」や「Outlook.com」は、サービスの名前であって、メールサーバーそのものの名前ではありません

裏でメールサーバーは動いていますが、それを用意して管理しているのは事業者です。利用者はできあがったものを、そのまま使っているだけです。この「できあがったものを借りて使う」形は SaaS(サース)と呼ばれます。名前は覚えなくても構いません。

そのうえで、メールサーバーを誰が用意しているかで分けると、次の3通りになります。

用意のしかた独自のドメイン名自分たちに残る作業
事業者のサービスを
そのまま使う

個人向け:Gmail、Outlook.com
会社向け:Google Workspace、Microsoft 365
会社向けなら使える
(個人向けの無料版では使えない)
会社向けなら、アカウントを配る・止める(管理者だけができる)
個人向けは作業なし
レンタルサーバーを
借りて動かす

ホスティングとも呼ばれる
使えるアカウント作成・容量の割り当て
自社で
メールサーバーを持つ

社内に機械を置く
使える構築・運用・止まったときの復旧

⚠ 表の真ん中の列を見てください。独自のドメイン名(@example.co.jp のような部分)を使うのに、レンタルサーバーが必須というわけではありません。Google Workspace や Microsoft 365 のような会社向けのサービスでも使えます。よくある誤解なので、先に書いておきます。

ただし、ドメイン名そのものは、どの方法でも別に取得しておく必要があります。メールのサービスを契約すれば付いてくる、というものではありません(ドメイン名の契約と、メールの契約は別です)。

上から下へいくほど自分たちで面倒を見る範囲が広がります。どれが優れているという話ではなく、手間をどこまで引き受けるかの違いです。

目安としては、社内にメールサーバーを見られる人がいなければ、いちばん上の形になります。下へいくほど、止まったときに動ける人が社内に要るからです。

なお、ブラウザで使うか、パソコンのメールソフトで使うかは、この3通りとは別の話です。どの用意のしかたでも、たいてい両方できます。ここが効いてくる場面が、あとの節に出てきます。

この分け方は「サーバーを誰が用意しているか」の軸です。「メールアドレスがどこから来たか」(フリーメール・プロバイダ・携帯会社・独自ドメイン)という別の分け方もあり、そちらは「Eメールって何?」の記事で扱っています。角度が違うだけで、どちらが正しいという話ではありません。

「自社で持つ」だけ、残る作業が違う

3つのうち「自社で持つ」だけ、少し補足します。止まったときに直すのも、迷惑メール対策を新しくするのも自分たちです。専門の担当者がいないと、動けなくなります。

逆に言えば、社内に機械が置いてあるなら、社内に見ている人がいるということです。トラブルのときに聞く相手が、社内にいるか社外にいるか――この違いが、あとの節で効いてきます。

設定の値は、自分で決めるものではない

メールソフトを使うときは、サーバーの情報を入力する画面が出てきます。項目はだいたい次のとおりです。

⚠ 1行目の「アカウント名」はログインに使う名前のことで、メールアドレスとは別のIDを指定されることもあります。メールアドレスの @ より前の部分を指して「アカウント名」と呼ぶ場合もあるので、混同しないでください。

設定項目説明
アカウント名(ログインID)多くは自分のメールアドレス
パスワードアカウントのパスワード
SMTPサーバー名送信サーバーのアドレス(例:smtp.gmail.com)
SMTPポート番号通常は587または465
POP/IMAPサーバー名受信サーバーのアドレス(例:imap.gmail.com)
POP/IMAPポート番号IMAPの場合は通常993、POPの場合は995

ここで大事なのは、これらの値は自分で決めるものではないということです。自社でメールサーバーを持っている場合を除けば、契約している事業者が指定した値を、そのまま写すだけです。

では、その「正しい値」はどこに書いてあるのでしょうか。だいたい次のどれかです。

  • 契約したときの書類(「アカウント登録証」などの名前で届いていることが多い)
  • 契約先の公式サイトの「メールソフトの設定」のページ
  • 会社のメールなら、社内でアカウントを配っている担当者

しかも、その値は変わる ―「急に送れなくなった」の原因

設定の手順書にはあまり出てきませんが、事業者の都合で設定値が変わり、変えないとメールが使えなくなることがあります。実際の告知を2社ぶん見てみます。

ぷららは、2025年5月下旬から順次実施しているセキュリティ強化について、こう案内しています。

影響:推奨設定値以外を設定されているとメールの送信・受信ができなくなります

BIGLOBE は、2020年10月14日をもって旧来の設定の提供を終了しました。当時の告知にはこうあります。

BIGLOBEメールのメールサーバ「mail.biglobe.ne.jp」におきましては、互換性の観点から、旧来のメール設定の提供を継続しておりましたが、『迷惑メール対策のさらなる強化』の一環として、2020年10月14日をもちまして旧来のメール設定の提供を終了いたします。提供終了後は、旧来のメール設定ではメールの送受信ができなくなりますので、ご注意ください。

⚠ 日付も内容もそれぞれの会社のもので、業界共通の決まりではありません。ただ、「昨日まで使えていたのに、今日から送れない」の原因がこれである場合があると知っておくと、慌てずに済みます。

ちなみに BIGLOBE は、同じ案内の中でこうも書いています。

また、これを機会にメールソフトから「Webメール」のご利用への切り替えをご検討ください。Webメールを利用すれば、メールの推奨設定の変更を行う必要なく、ブラウザからログインするだけでメールの送受信を行うことができます。

BIGLOBE がここで勧めているのは、ブラウザで使う形なら、そもそも設定値を自分の手元に持たないということです。設定変更のお知らせが来ても、やることがありません。

前の節で「ブラウザで使うかメールソフトで使うかは別の話」と書いたのは、ここに効いてくるからです。

よくあるメールサーバーのトラブルと解決法

3人が電球の絵の描かれた大きなパズルのピースを組み合わせているイラスト(トラブルの節の扉絵)

まず、症状を2つに分けてください。この記事のはじめに書いた「送る役」と「受け取る役」が分かれているので、症状も分かれます

症状まず疑うところ
送れないが、受け取れる受け取る側は動いているので、送信側の設定か送信サーバー
受け取れないが、送れる送る側は動いているので、受信側の設定か受信サーバー
どちらもできないインターネットにつながっているか。つながっているなら、アカウント全体の問題か、送受信を1台でまかなっている場合はそのサーバー側の障害

どちらか片方だけがダメなときは、前の節を先に見てください。「設定値が変わった」という原因は、送信側だけ・受信側だけに起きることがあるからです。

なお、先に書いたとおり同じ機械が送る役と受け取る役を兼ねていることがあるので、両方ダメでも「自分の設定の問題」とはかぎりません。

  • SMTPサーバーの設定を確認する。
  • インターネット接続を確認する。
  • アカウントのパスワードが正しいか確認する。
  • POP/IMAPサーバーの設定を確認する。
  • メールボックスの容量が一杯になっていないか確認する。
  • スパムフォルダを確認する。
  • サーバー名のスペルミスがないか確認する。
  • インターネット接続を確認する。
  • サーバー名の綴りが1文字でも違っていないか。

ここに挙げたのは、自分の手元で確かめられることだけです。プロバイダ側で送信が止められている、といった原因もありますが、それは自分では確かめられないので、次の一手は人に頼むことになります。

ここまでで直らなければ、こちらの手元では解決できません。契約先のサポートか、社内の担当者に引き継いでください。そのとき、出ているエラーメッセージをそのまま伝えると話が早くなります。

メールサーバーのセキュリティ

大きな盾と南京錠の前で、人がノートパソコンを開いて座っているイラスト(セキュリティの節の扉絵)

メールは、個人情報や仕事の内容がそのまま載る道具です。守り方も、事業者が動かしている部分自分の側に残る部分に分かれます。

事業者の側は、迷惑メールをはじく仕組みや、通信を暗号化する仕組みを、こちらの都合とは関係なく新しくしていきます(そのつど告知は出ますが、読み飛ばされがちです)。前の節で見た「設定値が変わる」は、まさにこれが理由でした。ぷららは変更の理由を「セキュリティ強化」、BIGLOBE は「迷惑メール対策のさらなる強化」と書いています。

一方、こちらの側に残るのは次のようなことです。事業者がどれだけ守りを固めても、ここは代わってもらえません。

  • 強力なパスワードを設定し、他のサービスと使い回さない。
  • 2段階認証を有効にする。
  • 暗号化通信(SSL/TLS)を使用する。
  • 不審なメールの添付ファイルを開かない。
  • 公共のWi-Fiでメールをチェックする際は注意する。

並べてみると、どれもアカウントを守る話です。メールサーバーそのものの守りは事業者の側にあり、こちらが手を出せるのは入口の鍵だけ、と考えると分かりやすいと思います。

まとめ

メールサーバーは、メールが届くまでの舞台裏を担っています。

  • 1台の機械の名前ではなく、送る役と受け取る役の総称(機械が別々とはかぎらない)
  • Gmail や Outlook.com はサービスの名前。サーバーを用意しているのは事業者
  • 設定の値は自分で決めるものではなく、契約先が指定したものを写すだけ
  • 調べた2社では、その値が事業者の都合で変わり、変えないと送受信できなくなると案内されていた
  • ブラウザで使う形なら、そもそも設定値を自分の手元に持たない
  • 独自のドメイン名は、レンタルサーバーでも会社向けのサービスでも使える

「急に送れなくなった」ときの動き方は、次の順です。

  1. 送れないだけか、受け取れないだけかを分ける
  2. 自分だけなのか、みんなもなのかを確かめる
  3. 最近、契約先から設定変更のお知らせが来ていなかったか探す
  4. それでも直らなければ、出ているエラーメッセージをそのまま添えて契約先か社内の担当者へ

みんなが同じ症状であれば、こちらの手元では直せません。そこまで確かめて人に渡すのが、いちばん早い解決になります

なお、メールの契約先を変えるときは、いま届いているメールをどうするかが別の問題になります。アドレスをそのまま使えるのか、過去のメールは移せるのか、切り替えの日に届かない時間はあるのかは、こちらにまとめてあります。

契約が終わったあとにデータがどうなるかは、こちらの記事で扱っています。

メールそのものの仕組み、書き方のマナー、そして「サービスを借りて使う」という形は、それぞれこちらにまとめてあります。

参考: メールソフト推奨設定の確認および対処方法(ぷらら)

参考: 【重要】BIGLOBEメール 旧来メール設定の提供終了によるメールソフト推奨設定への変更のお願い(BIGLOBE会員サポート)

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