マンションのインターネット無料|契約者は誰か、遅いとき誰に言うか

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「インターネット無料」「インターネット完備」と書かれた部屋に住んでいます。入居した日にLANケーブルを挿したら、それだけでつながりました。

ありがたいのですが、困るのは調子が悪いときです。夜になると遅い、急につながらない。そういうとき、どこに言えばいいのかが分かりません。申し込んだ覚えも、契約書を受け取った覚えもないからです。

実はこの型の部屋では、インターネットの契約が2つの層に分かれています。建物ぜんぶをまとめた契約と、部屋ごとの契約です。前者の相手は建物の持ち主や管理組合(またはこれらに代わる立場の人)で、入居者は出てきません。そして後者を自分が持っているかどうかが、建物によって違います

この記事では、その2つの契約の関係、自分の部屋がどちらの型かを確かめる手がかり遅いときの言い先、自分で別の回線を引けるのか、そして引っ越すときにやることまでを、事業者が公開している約款と重要事項説明をもとに整理します。

最終的な答えは、あなたの建物の資料の中にあります。この型のサービスは条件が建物ごとに違うため、一般論では決まりません。この記事が案内できるのは、その資料がどこにあるかと、そこで何を見ればよいかまでです。

「インターネット無料」の部屋には、契約が2つある

「契約は2つある」と題した図。左に「事業者」とラベルの付いた横長の箱があり、そこから2本の線が右へ伸びている。上の線は窓が並んだ大きな建物につながっていて「建物ぜんぶの契約」、下の線は小さな四角い部屋につながっていて「部屋ごとの契約」とラベルが付いている。
先に結論

1. 契約は2つの層に分かれています。建物の設備についての契約は、事業者と建物の持ち主または管理組合のあいだにあります。部屋の利用についての契約は、事業者と入居者のあいだにあります。

2. 後者を自分が持っているかどうかは、建物によって違います。会員登録が要る建物と、要らない建物があります。

3. その違いは、実際の権利の差になります。たとえば「8日以内なら契約をやめられる」という制度が使えるかどうかが、ここで分かれます。

建物ぜんぶの契約と、部屋ごとの契約

マンション全体にインターネットを入れているサービスの規約を読むと、契約が2つの名前で呼び分けられています。全戸一括型のサービスを提供しているつなぐネットコミュニケーションズは、UCOM光 レジデンス ISP会員規約で用語をこう定めています。

8 ISP契約 対象物件において、区分所有者、賃借人その他の利用権を有する居住者、または入居者が、本サービスの利用に関して当社と締結する契約

9 設備設置契約 本サービスを提供するために、当社と集合住宅の所有者、マンション管理組合等が締結する契約

下の「設備設置契約」が、建物ぜんぶの契約です。相手は所有者か管理組合で、入居者は出てきません。上の「ISP契約」が、部屋ごとの契約です。こちらには賃借人入居者という言葉が並んでいます。

水道にたとえると分かりやすいかもしれません。建物の前まで太い本管を引く工事は、建物の持ち主が水道会社と話をして決めます。部屋の蛇口をひねって使うのは住んでいる人です。本管の話に住人は出てきませんが、蛇口の使い方には住人が出てきます。ただし蛇口のほうを誰が契約しているかは、建物によって違います。

部屋ごとの契約を自分が持つかどうかは、建物によって違う

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。入居者が部屋ごとの契約を持つ建物と、持たない建物があります。

同じサービスのご利用の手引きには、入居者からのよくある質問として、そのままの問いが載っています。

Q.12 インターネットの利用に会員登録は必要ですか?

A. お住まいの建物により異なります。別紙で配布の「UCOM光 レジデンスサービス内容とWeb登録のご案内」の「インターネットご利用開始方法」に記載があります。

会員登録が要る建物では、登録が受け付けられた時点であなたが部屋ごとの契約の当事者になります。ISP会員規約が「ISP会員登録の申込をもってISP契約を締結する」と定めていて、契約が成立するのは申込ではなく承諾の時点だからです。登録と契約は一続きになっています。要らない建物では、建物ぜんぶの契約だけで話が済んでいて、あなたはその中で使わせてもらう立場になります。

どちらが良い・悪いという話ではありません。ただあとで効いてきます。困ったときに誰へ言うのか、やめたいときに何をするのか、8日以内にやめられる制度が使えるのか。どれもここで分かれます。

料金は、どちらの契約に付いているかで変わる

「無料」という言葉についても、同じことが言えます。UCOM光 レジデンス契約約款は、サービスそのものをこう定義しています。

4 UCOM光 レジデンス IP通信網を使用して行う電気通信サービスであって、マンションに電気通信回線設備を設置して、当該マンションの全戸、共有部へ一括して提供する電気通信サービスをいい、マンションの各専有部分の料金(個別契約に規定する基本利用料に限ります。)について、契約者が一括して支払を要するサービス

読みにくい文ですが、大事なのは末尾です。部屋ごとの料金のうち基本の利用料について、契約者が一括して支払う、と書かれています。部屋のぶんの料金は消えていません。建物ぜんぶの契約を結んでいる側が、まとめて払っています。

ケーブルテレビのJ:COMも、集合住宅向けのサービスを同じ考え方で説明しています。

J:COM In My Roomとは、J:COM導入物件のうちオーナー様が費用負担をしている物件です。通常よりもお得な料金でインターネット・ケーブルテレビが利用できます。

ここで気をつけたいのは、「無料」ではなく「お得な料金」と書かれていることです。オーナーが費用を負担していても、入居者の負担がゼロになるとは限りません。

「無料」に入っていないことがあるもの

基本の利用料そのもの。UCOM光 レジデンスの重要事項説明は「基本利用料のお支払いが必要な場合(当社からのご案内などでご確認ください)」と書いています。要るのか要らないのかを案内で確かめてほしい、という書き方です。

オプション。メールアドレスの追加、IP電話、速度を上げる追加サービスなどは、申し込んだ人が払います。

部屋に置く機器の場所と電気。同じ会社のISP会員規約は、部屋に機器を置く必要がある場合、「これに必要な場所、設備は、そのISP会員から無償で提供していただきます」「必要な電気は、ISP会員から無償で提供していただきます」としています。金額としては小さいものですが、負担が入居者側にあるという点では同じ話です。

自分のマンションのインターネットが、どの型で入っているかを確かめる

「自分の部屋には、契約がいくつあるか」と題した図。同じ大きさの四角い部屋が横に2つ並び、左の部屋の上には短い縦線が1本、右の部屋の上には2本のびている。左の部屋の下に「契約は1つ」、右の部屋の下に「契約は2つ」とラベルが付いている。

広告に書いてある語(無料・完備・対応)だけでは決まらない

部屋を探すときに見た広告には、「インターネット無料」「インターネット完備」「インターネット対応」といった言葉が並んでいたと思います。

これらの言葉から契約の型を読み取ろうとしても、うまくいきません。同じ事業者の、同じ名前のサービスでも、建物によって型が違うからです。

その証拠が、事業者自身の重要事項説明にあります。「型が違うと、8日以内にやめられるかも変わる」で引用しますが、同じ名前のサービスの中に、入居者ごとに契約する建物と、建物ごとに一括して契約する建物の両方があると書かれています。サービスの名前が同じでも、型は同じではないということです。

会員登録が要るかどうかが、いちばん分かりやすい手がかり

広告の言葉で決まらないなら、何を見ればよいのでしょうか。手元で確かめられるものから挙げます。

見るもの分かること
入居のときに渡された書類に、会員登録の案内があるか登録が要るなら、部屋ごとの契約を自分が持つ型
ユーザーIDやパスワードを受け取ったか同じく、自分の契約がある側。マイページにログインできる
毎月の請求に、インターネットの料金があるかあれば、自分が払っている契約がある
サービスの名前で「建物専用サイト」を検索できるか自分の建物の条件が書かれた場所が分かる

いちばん確実なのは、入居のときに渡された書類を探すことです。「部屋ごとの契約を自分が持つかどうかは、建物によって違う」で引いたご利用の手引きも、答えは別紙で配布される案内に書いてある、としていました。無料だと思って読まずにしまった、という方は多いはずです。

型が違うと、8日以内にやめられるかも変わる

型の違いは、実際の権利の差になります。UCOM光 レジデンスに関する重要事項説明は、初期契約解除についてこう書いています。

●本サービスは初期契約解除制度の対象です。ただし、本サービスの導入につき、入居者ごとの契約ではなく、全戸一括加入方式として建物ごとに一括して契約している場合および契約者が法人の場合には対象外となります。

初期契約解除は、登録証を受け取った日から数えて8日以内なら、利用者の都合でやめられる制度です。ここに書かれているのは、同じサービスでも、建物ごとに一括して契約している型では対象にならないということです。

入居者から見ると不思議に感じるかもしれません。ただ、この制度が守っているのは契約した人です。建物ごとに一括して契約している型では、契約したのは建物の側なので、入居者のところに8日の話が出てきません。

制度そのものの条件は、別の記事にまとめています。

配線の方式とは別の話(LAN配線なら一括、ではない)

もうひとつ、混ざりやすいものがあります。建物の中の配線の方式です。

壁のLANポートにケーブルを挿すだけでつながる建物では、「LAN配線方式だから一括型だ」と考えたくなります。けれども配線の方式と、契約の型は別の軸です。壁のLANポートは配線の方式を示すもので、契約の型を示すものではありません。実際、UCOM光 レジデンスのISP会員規約には、光配線方式を選んだ建物では専有部内にONU機器が置かれる場合がある、と書かれています。光ファイバーが部屋まで来ていても一括型はあります。

配線の方式は速度の上限に効き、契約の型は誰に言うか・何ができるかに効きます。見るところが違うので、分けて考えてください。方式のほうは、こちらにまとめています。

マンションのインターネットが遅いとき、どこに言えばよいのか

「言い先は、建物ごとに違う」と題した図。左の人から右へのびた線が、「建物専用サイト」とラベルの付いた小さな紙を通り、その先で2方向に分かれている。上の線は「事業者の窓口」とラベルの付いた横長の箱に、下の線は「建物を管理している側」とラベルの付いた窓の並んだ建物につながっている。

最初に言う相手は、型で分かれる

まず、はっきりさせておきたいことがあります。部屋ごとの契約を自分が持っている型なら、入居者が事業者に直接言ってかまいません。

つなぐネットコミュニケーションズのISP会員規約は、つながらなくなったときの動きを、こう定めています。まず部屋の中と建物の中の設備を確かめて、原因が事業者側の設備だと分かったら、速やかに連絡する。つまり順番はありますが、連絡する相手として、入居者と事業者が直接つながる形が想定されているということです。

会員登録の要らない型では、自分と事業者のあいだに契約がありません。この場合は建物を管理している側(貸主・管理会社・管理組合)に伝えるのが先になります。どちらの型かで、最初に連絡する相手が変わります。

問題はその先です。連絡先も、どこまで見てもらえるかも、建物によって違います。

窓口は「物件ごとに異なります」と事業者が書いている

UCOM光 レジデンスの重要事項説明には、こう書かれています。

●当社お問い合わせ窓口は、お住いの物件ごとに異なります。お問い合わせフォーム、お電話でのお問い合わせ先は、UCOM光 レジデンス 建物専用サイトをご確認ください。

入居者に配られる手引きの裏表紙にも、同じ案内があります。

お問い合わせフォーム、お電話でのお問い合わせ先は「 UCOM 光 レジデンス 建物専用サイト」をご確認ください。

つまり問い合わせ先は建物ごとに分かれている、と事業者自身が書いているわけです。サービスの名前だけで連絡先を探すと、自分の建物のものに行き着かないことがあります。

建物専用サイトの探し方

入居時の書類にサービスの名前が書かれています。この事業者は、建物名で検索するページを用意しています(重要事項説明にそのURLが載っています)。そこに自分のマンション名を入れると、その建物の連絡先・障害情報・手続きの案内が出ます。

速度や機器の推奨規格も建物ごとに違うため、ご利用の手引きは「建物ごとのご提供速度により、ケーブルや機器の推奨規格が異なります」として、同じページを見るよう案内しています。

どこまでが事業者の担当かは、自分が見られない契約で決まっている

連絡したあとの話もしておきます。事業者がどこまで見てくれるかは、あらかじめ決まっています。ただし決めている書類を、入居者は持っていません

ISP会員規約は、障害が起きたときの対応を定めた条文の最後に、こう付け加えています。

4 本条に定める事項について、設備設置契約に特段の定めがある場合には、その内容が適用されます。

「設備設置契約」は、建物ぜんぶの契約でした。相手は所有者か管理組合です。つまりどこまでが事業者の担当かは、あなたが当事者ではない契約で決まっていることになります。

建物側の契約約款にも、同じ考え方が出てきます。設備の所有区分と保守区分は「個別契約に規定します」とされていて、建物ごとに取り決められています。

決まっているのは担当の範囲だけではありません。ISP会員規約の別記には、こうあります。

2.設備設置契約により、対象物件ごとにISP会員にて選択できるコースが決まります。

自分が何を選べるかまで、建物ぜんぶの契約で決まっているということです。速いコースが用意されている建物と、そうでない建物があります。

担当の切れ目は、もっと身近なところにもあります。手引きのよくある質問には、他社のメールが使えないときの答えとして、こう書かれています。

※他社のプロバイダーのメールについてのご質問は、当社サポート窓口ではご案内することができません。あらかじめご了承ください。

言ってはいけないという話ではなく、答えを持っている相手が別にいるということです。相談する前に、これが誰の担当の話なのかを一度考えておくと、たらい回しを減らせます。

Wi-Fiは、どこからが自分の側か

もうひとつ、担当が切れやすいところがあります。Wi-Fiです。

壁のLANポートや、部屋に置かれたモデム・ONUなど、そこまでの機器は事業者が用意する側です(どこで切れるかは建物ごとに違い、借りている機器なら退去のときに返します)。そこから先を無線で飛ばすWi-Fiルーターについて、UCOM光 レジデンスのご利用の手引きは「無線・有線問わずルーターのご利用に特定の機器の推奨はございません」としたうえで、DHCP接続に対応していれば使える、と書いています。どれを選ぶかは入居者の側、という前提です。

事業者からWi-Fiの機器を借りている場合も、範囲は限られています。ISP会員規約の別記には、こうあります。

10.当社より本サービスに付随して、別途無線LAN(Wi-Fiを含む)の機器を提供、貸与する場合、ISP会員は、当社が各住戸内の全ての場所への伝搬を保証するものではないことを予め容認のうえ、利用するものとします。

部屋の隅まで電波が届くことは約束されていない、と書いてあるわけです。

ですから、連絡する前に有線でつないでも同じかどうかを確かめておくと話が早くなります。有線でも遅いなら建物や回線の側、無線のときだけ遅いなら部屋の中の置き場所や機器の側、という切り分けの手がかりになるからです。

無線のときだけ遅いと分かったら、置き場所のほうを先に見直せます。

言う前に手元でそろえておくもの

連絡するときに、次のことが分かっていると話が早く進みます。

  • 建物名と部屋番号(窓口が建物ごとに分かれているため、最初に聞かれます)
  • いつから、どの時間帯に起きるか(夜だけなのか、一日中なのか)
  • 有線でも起きるか(無線だけなら、部屋の中の話かもしれません)
  • ほかの機器でも起きるか(1台だけなら、その機器の話かもしれません)
  • 測った速度と、測った時刻(「遅い」だけより、数字があるほうが調べてもらいやすくなります)
  • 同時につないでよい台数を超えていないか

速度の測り方と、結果の読み方は別の記事にまとめています。

同時につないでよい台数は、とくに見落とされがちです。同時に接続できる台数の上限が決められていることがあり、しかもその数は建物によって違います。ご利用の手引きは「同時接続数を超えての利用はできません」としたうえで、台数は別途配布される案内に書いてあるとしています。

ISP会員規約のほうには、具体的な数字が書かれています。

7.接続端末台数は5台までとします。ただし、設備設置契約において「マンション全戸一括マルチタイプ」を選択している場合、接続端末台数は20台まで、「Five.A」を選択している場合は、10台までとします。

5台のところも、10台のところも、20台のところもあります。そしてどれになるかを決めているのは、ここでも建物ぜんぶの契約でどのタイプを選んだかです。自分の建物がどれなのかは、入居時に配られた案内(「Web登録のご案内」)で確かめてください。

家族が増えたり、テレビやゲーム機をつないだりして、いつのまにか上限に届いていることがあります。「急に1台だけつながらなくなった」ときは、まずここを疑ってください。

自分でインターネットの回線を引き直せるのか

「決めるのは自分ではない」と題した図。左の人から右へのびた線が、「持ち主・管理組合」とラベルの付いた濃紺で塗りつぶされた縦長の板に当たって止まっている。板の右には離れたところに「別の回線」とラベルの付いた箱があり、線は届いていない。

建物のインターネットが遅く、どうしても改善しないとき、自分で別の回線を引きたくなります。結論から言うと、引けることもありますが、決めるのはあなたではありません。

決めるのは自分ではない(貸主か、管理組合か)

回線を新しく引くと、建物に手を入れることになります。そのため事業者の側も、あらかじめ承諾を得るよう案内しています。NTT東日本は「フレッツ 光クロス」の提供条件で、こう書いています。

建物が集合住宅・テナントビルの場合は、配管設備などの構築や使用にあたり、あらかじめマンション・ビルオーナー、管理組合さまの承諾を得ていただく必要があります。

ソフトバンクも、引っ越しの手続きの事前準備のところで「賃貸の場合、工事内容により、大家さんや不動産管理会社の許可が必要な場合があります」としています。

賃貸なら貸主や管理会社、分譲なら管理組合が、承諾する側になります。先に相談する相手は、回線の会社ではなく建物の側だと考えてください。

⚠ ここで引いたのは、NTT東日本の「フレッツ 光クロス」という個別のサービスの提供条件と、ソフトバンクの引っ越し手続きの案内です。ほかの回線や会社でも同じ条件になるかどうかは、それぞれの提供条件を見てください。ただしこの2社は、どちらも建物の側に確かめてほしいという、同じ向きの案内をしています。

引けても、建物ぜんぶの契約は残る

承諾が得られて自分の回線を引けたとしても、もとから入っている建物のインターネットが止まるわけではありません。ここでも型で分かれます。

部屋ごとの契約を自分が持っている型なら、その契約は自分で解約できます(締切と機器の返却については、退去の話のところで扱います)。基本の利用料を払っていたのなら、その分は止められます。

一方、建物ぜんぶの契約のほうは残ります。建物の側と事業者のあいだの契約なので、あなたが使わなくなっても関係がありません。家賃や管理費が下がるかどうかは、あなたと貸主のあいだの話になり、下がるとは限りません。

つまり新しい回線の料金は、いまの負担に上乗せされることがあると考えておくのが安全です。工事の承諾を相談するときに、この点もあわせて聞いておくとよいと思います。

引っ越すとき・退去するとき、インターネットはどうなるのか

「退去のときも、型で分かれる」と題した図。同じ大きさの四角い部屋が横に2つ並び、左の部屋の中は空で、下に「返すものがない」とラベルが付いている。右の部屋の中には水色のランプが1つ付いた小さな機器が置かれていて、下に「借りている機器がある」とラベルが付いている。

インターネット無料の物件は退去のときも手続きが要らないので楽だ、と紹介されているのをよく見ます。それが当てはまる建物と、当てはまらない建物があります。

「手続きは要らない」とは限らない

部屋ごとの契約を自分が持っている型では、その契約をやめる手続きが要ります。重要事項説明は、解約の方法と期限をこう定めています。

●本サービスの解約は、マイページ(https://mypage.ucom-r.ne.jp)にて受け付けます。解約しようとする月の前月21日から解約しようとする月の20日まで(例:4月30日で解約をする場合、3月21日から4月20日まで)にお手続きください。毎月20日までの解約受付は当月の末日に解約、毎月21日から末日までの解約受付は翌月の末日の解約となります。

締切があります。20日を過ぎて申し出ると、解約されるのは翌月の末日です。退去日に合わせたいなら、引っ越しの日取りが決まった時点で動くほうが安全です。

借りている機器がある場合は、返却も伴います。同じ重要事項説明は、「VDSL方式」と「G.Fast方式」で機器を借りている場合について「本サービス解約時には同レンタル機器を1カ月以内に所定の方法にてご返却いただきます」とし、返さないときは「亡失違約金としてモデム、1台あたり8,000円(課税対象外)」を支払うとしています。

メールアドレスを使っていた場合も注意が要ります。事業者のよくある質問は、解約後はメールアドレスが削除されるため継続して利用できない、としています。解約より先に、そのアドレスで受け取っている連絡の宛先を移してください。

何をどう移すかは、こちらにまとめています。

建物の側の契約が終わると、部屋の契約も終わる

逆の向きの話もあります。自分は何もしていないのに、使えなくなることがあります。

ISP会員規約には「当社は、対象物件における設備設置契約が解除された場合、当該対象物件に係るISP契約を解除します」という条文があります。建物ぜんぶの契約が終われば、部屋ごとの契約も自動的に終わるということです。

J:COMも、集合住宅向けサービスの重要事項説明で同じことを、もう少し詳しく書いています。

オーナーさまが集合住宅のプランを変更または解除された場合、お客さまが利用しているサービス内容やご利用料金などを同条件で継続できない場合があります。その場合、集合住宅のプラン変更または解除後にお客さまがご利用いただけるサービスのいずれかへ変更手続きをいただければサービスをご継続いただけますが、お手続きがされない場合、J:COMからお客さまへ事前通知の上、お客さまの契約を解除させていただきます。

ここには入居者の打ち手が書かれています。建物の側の契約が変わっても、終わっても、そのあとに使えるサービスへ自分で変更手続きをすれば、使い続けられる場合がある、ということです。そして手続きをしなければ、通知のうえで契約は終わります

ただし同じ項には続きがあり、不利益がなくよりよい条件のサービスがあるなら自動的に切り替える、ともしています。⚠ 自動で切り替わるのは建物側のプランが変更されたときだけで、終わる場合には及びません。いずれにしても届いた通知を読んで、自分で手続きが要るのかを確かめるのが要るところです。

建物のオーナーが変わったり、管理組合が別の事業者に切り替えたりしたときに、こういう通知が届きます。無料で使えていたぶん、届いた封筒を見落としやすいところです。

まとめ

この記事では、建物にもともとインターネットが入っている部屋で、契約が誰と誰のあいだにあるのかを整理しました。

  • 契約は建物ぜんぶの契約部屋ごとの契約の2つの層に分かれている。前者の相手は建物の持ち主や管理組合(またはこれらに代わる立場の人)で、入居者は出てこない
  • 部屋ごとの契約を自分が持つかどうかは、建物によって違う。会員登録が要るかどうかが「お住まいの建物により異なります」と事業者自身が書いていて、その登録が契約の成立と一続きになっている
  • その違いは権利の差になる。ある事業者の重要事項説明では、建物ごとに一括して契約している型は初期契約解除の対象外とされている
  • 遅いときは、自分の契約がある型なら事業者に直接言ってよい。ただし窓口は「物件ごとに異なります」とされていて、どこまでが担当かも、自分が当事者ではない契約で決まっている
  • 自分で別の回線を引けるかは、自分の一存では決まらない。この記事で引いたNTT東日本とソフトバンクは、どちらも建物の持ち主や管理会社・管理組合に確かめるよう案内している
  • 退去のときに何もしなくてよいとは限らない。自分の契約がある型では、締切のある解約の手続きと、借りている機器の返却が伴うことがある
  • 逆に、建物の側の契約が変わったり終わったりすると、自分の契約もそれに続く。通知が届いたら、自分で手続きが要るのかを読む

調べる順番としては、入居のときに渡された書類を探すところから始めるのがいちばん早いと思います。事業者は、どちらの型かを別紙の「インターネットご利用開始方法」に書いているとしています。つまりその紙を見れば、自分がどちらなのかが分かります。

書類が見当たらなければ、サービスの名前で建物専用サイトを探してください。窓口も、速度も、手続きも、そこに自分の建物のぶんが書かれています。

参考: UCOM光 レジデンスに関する重要事項説明(つなぐネットコミュニケーションズ・PDF)

参考: UCOM光 レジデンス ISP会員規約(つなぐネットコミュニケーションズ・PDF)

参考: UCOM光 レジデンス ご利用の手引き(つなぐネットコミュニケーションズ・PDF)

参考: J:COMサービスご加入に関する重要事項説明(JCOM・PDF)

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