「その資料、共有フォルダに入れておいて」と毎日のように言われるのに、その共有フォルダがどこにあるのか、説明できますか?
「Zドライブって何?」「NASって、ファイルサーバーと何が違うの?」「サーバーに置いておけば、もう安心なんだよね?」
実は、共有フォルダの中身は、あなたのパソコンの中ではなく、ネットワークの先にあるコンピューターに置かれています。ファイルの置き場所を、ネットワークを通してみんなに貸すコンピューターが「ファイルサーバー」です。
小さな事務所や家庭では、NAS(ナス)という箱がその役をします。ただし、ファイルサーバーに置いただけでは守られないものがあります。
この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、ファイルサーバーの仕組みとNASとの違い、自分の会社の共有フォルダの置き場所の確かめ方、そして控えの置き方を、Microsoftやメーカー、警察庁の案内をもとに解説します。
ファイルサーバーは、ファイルを保存しておき、ネットワークにつながったパソコンから使えるようにするコンピューターです。誰がどのフォルダを開けるかも、ファイルサーバーの側で決めています。
NASは、ファイルを置いて共有することに絞った箱です。小さな事務所や家庭には、メーカーもNASを勧めています。
自分の共有フォルダの置き場所は、エクスプローラーで見分けられます。アドレス欄をクリックして「\\」(「¥¥」に見えることもあります)で始まればネットワークの先のコンピューター、OneDriveの雲の印やGoogle ドライブのフォルダならクラウドです。
ファイルサーバーに置いただけでは、消したファイルは戻らず、ランサムウェアに暗号化されることもあります。ディスクを組み合わせて備える仕組み(RAID)があっても同じです。控えは、ファイルサーバーとは別の場所に、いくつか前の状態まで残しておきましょう。
目次
ファイルサーバーとは?会社の「共有フォルダ」の置き場所

ファイルサーバーは、ファイルを保存しておき、ネットワークにつながったほかのパソコンやスマートフォンから使えるようにする機器です。NASのメーカーのバッファローは、ファイルサーバーを「コンピューターやスマートフォンなどがネットワークを通してつながる機器で、この機器に保存されたファイルやデータを、ネットワークを介して使えるようにするもの」と説明しています(ファイルサーバーとは? NASとの違いや活用法をわかりやすく解説(バッファロー))。
会社の資料室にたとえてみましょう。自分の机の引き出し(自分のパソコン)ではなく、みんなが使う資料室に書類を置いておけば、誰の席からでも取りに行けます。その資料室にあたるのがファイルサーバーで、共有フォルダは資料室の棚の1つです。
共有フォルダを開くとき、ネットワークの先のコンピューターを見ている
共有フォルダを開くと、自分のパソコンの中のフォルダと同じように中身が並びます。でも、実際にはファイルの中身が、社内のLANを通ってファイルサーバーとのあいだを行き来しています。
このやり取りの決まりごとが、SMB(Server Message Block:サーバー メッセージ ブロック)です。Microsoftの説明では、ファイルを共有する側を「SMB サーバー」、共有フォルダにつなぐ側を「SMB クライアント」と呼びます。ネットワーク ドライブを割り当てたり、「\\server\share」のような形のアドレスを開いたりすると、パソコンのSMB クライアントがファイルサーバーにつなぎます(Windows および Windows Server の SMB ファイル共有とは(Microsoft))。
頼む側(クライアント)と、頼まれて応える側(サーバー)に分かれるのは、Webサイトやメールと同じ形です。サーバーの考え方そのものは、こちらの記事で解説しています。
誰がどのフォルダを開けるかも、ファイルサーバーが決めている(アクセス権)
「営業部のフォルダは開けるのに、経理部のフォルダは開けない」ということはありませんか?
これは、ファイルサーバーの側で、誰がどのフォルダを使えるかを決めているからです。この決まりを「アクセス権」と呼びます。バッファローは「ファイルサーバーは、特定のユーザーだけが利用できるようにアクセス権限を設定できます。」と説明しています(ファイルサーバーとは?(バッファロー))。
アイ・オー・データも、NASの共有フォルダはユーザーやグループごとに使える人を決められ、他部署からはアクセスできないフォルダーや個人専用のフォルダーを作れる、と案内しています(ビジネスNAS入門|NASとは何か(アイ・オー・データ))。開けないフォルダがあって困るときは、自分のパソコンをいじらずに、ファイルサーバーを管理している人に頼みましょう。
ファイルサーバーとNASの違い|小さな事務所や家庭はNASで置ける

「ファイルサーバー」と「NAS」は、どちらもファイルを置いて共有するためのものです。違いは、どこまでの機能を持たせるかと、管理にどれだけ手間がかかるかにあります。
NASとは?ファイルを置くことに絞った箱
NASは、Network Attached Storage(ネットワーク アタッチト ストレージ)の略です。簡単に言うと、ネットワークにつなぐハードディスクのことです。バッファローは、NASを「有線・無線ネットワークに直接接続するHDDで、ファイルサーバーとして活用する専用機器のことです。」と説明しています(【用語説明】NAS(バッファロー))。
NASとファイルサーバーの関係の言い方は、メーカーで少し違います(バッファローは「NASはファイルサーバーの一種であり、本来は並列に比較するものではありません。」(ファイルサーバーとは?(バッファロー))、アイ・オー・データはNASを「ハードウェアを指す用語」としています(NASとファイルサーバーの違いは?(アイ・オー・データ)))。どちらの言い方でも、NASは「ファイルを置いて共有する」役を、買ってきた箱1台で引き受けるものです。
資料室のたとえで言えば、建物の一角を資料室に改装するのではなく、鍵つきの書庫を1台買ってきて置くイメージです。
本格的なファイルサーバーとNAS、どちらを選ぶか
バッファローとアイ・オー・データの説明を並べると、違いは次のとおりです。
| 比べる点 | 本格的なファイルサーバー | NAS |
|---|---|---|
| 管理 | 専門的な知識が要る | 専門的な知識がなくても管理できる |
| アクセス権・セキュリティ | 細かく設定でき、強化しやすい | 一般の利用には十分だが、細かな設定は難しいことがある |
| 使う人数 | 規模に合わせて性能を上げられる | 使う人が増えると遅くなりやすい。商品ごとに推奨の同時接続台数がある |
| 導入 | 機器とソフトをそろえ、設計と運用に手間とコストがかかる | 買ってきて説明書どおりに設置・設定すれば使える |
(出典: ファイルサーバーとは?(バッファロー)の比較表と、NASとファイルサーバーの違いは?(アイ・オー・データ))
バッファローは、「小規模なオフィスや家庭にファイルサーバーを導入する場合は、NASをファイルサーバーとして使用することをおすすめします。」としています(ファイルサーバーとは?(バッファロー))。家族の写真をまとめて置く使い方や、小さな事務所での書類の共有が、メーカーがNASを勧めている場面です。
誰かのパソコンを置き場にすると、電源が切れたら開けない
ファイルサーバーやNASが無くても、ふつうのパソコンのフォルダを共有して、置き場にすることはできます。Microsoftも、Windows 11 などのパソコンは、ほかのパソコンの共有につなぎながら、自分でも共有フォルダを置けると説明しています(SMB ファイル共有とは(Microsoft))。
ただし、そのパソコンの電源が切れていれば、ほかの人は開けません。アイ・オー・データは、パソコンにつないだハードディスクを共有するやり方について「DASが接続されたパソコンの電源が入っていなければ、他のパソコンから接続できない」と書き(DASはパソコンに直接つなぐ外付けハードディスクのこと)、オフィスの困りごとの例に「担当者が帰宅してしまったので、ファイルにアクセスできない」を挙げています(ビジネスNAS入門|NASとは何か(アイ・オー・データ))。
みんなが毎日使うファイルなら、誰かのパソコンではなく、いつも電源が入っている置き場(NASやファイルサーバー)に移しておくほうが安心です。
共有フォルダはどこにある?ファイルサーバーかクラウドかを見分ける

いつも開いている共有フォルダが、社内のファイルサーバーやNASにあるのか、クラウドにあるのかは、エクスプローラーの見え方でおおよそ分かります。共有フォルダを開いて、上のアドレス欄と、左の一覧を見てみましょう。
アドレスが「\」で始まれば、ネットワークの先のファイルサーバーかNAS
共有フォルダを開いたら、エクスプローラーの上のアドレス欄の、空いているところをクリックしてみてください。Microsoftも、OneDriveのファイルのパスの長さを調べる手順の中で、アドレス バーを選ぶとフル パス(場所を表す文字の並び)が表示される、と案内しています(ファイル パスの長さ制限とは何ですか?(Microsoft))。
その文字が「\\fileserver\共有」のように、記号2つで始まっていたら、そのフォルダはネットワークの先のコンピューターにあります。日本語のWindowsでは、この「\」が「¥」(円記号)に見え、「¥¥fileserver¥共有」のように表示されることもあります。
この形をUNC(Universal Naming Convention:ユニバーサル ネーミング コンベンション)パスと呼びます。Microsoftの説明では、UNCパスはネットワーク上のものを開くための書き方で、先頭の「\\」のあとにサーバーの名前、「\」で区切って共有の名前が続きます。サーバーの名前の代わりに、IPアドレス(数字の並び)が入ることもあります(Windows システムのファイル パス形式(Microsoft))。
「¥」については、Microsoftも、日本語のWindowsで使う文字の表では、「\」の位置に円記号が入っていると説明しています(Character Sets Used in File Names(Microsoft・英語))。「¥¥」で始まっていても、同じ意味です。
「\\」の先は、ファイルサーバーやNASのことが多いですが、誰かのパソコンの共有フォルダのこともあります(「\\localhost」なら自分のパソコンです)。どの機器かまで知りたいときは、サーバーの名前を控えて、管理している人に聞きましょう。
「Z:」のようなドライブの文字でも、中身はネットワークの先のことがある
会社によっては、共有フォルダを「Zドライブ」「Sドライブ」のように、ドライブの文字で開くことがあります。これは「ネットワーク ドライブの割り当て」という設定です。
Microsoftは、ネットワーク ドライブを割り当てれば、毎回ネットワーク ドライブを探したり、ネットワーク アドレスを入力したりする必要なく、エクスプローラーから開けると説明しています。割り当てるときは、ドライブの文字を選び、[フォルダー]の欄にフォルダーのパスを入れます(ネットワーク経由のファイル共有(Microsoft))。
つまり、Zドライブの中身も、実際はネットワークの先にあることがあります。割り当てた先がどこかは、割り当てた人(会社なら管理している人)に聞くのが確実です。
OneDriveやGoogleドライブの印なら、クラウドに置いている
共有フォルダが、エクスプローラーの左の一覧で雲の印のついたフォルダの下にあるなら、それはOneDrive(Microsoftのクラウド)と同期しているフォルダです。会社のSharePoint(Microsoftのファイル共有のサービス)を同期している場合は、組織の名前がついたフォルダの下に出ます(エクスプローラーで同期されたファイルを操作する(Microsoft))。
ファイルの横の印でも見分けられます。Microsoftの説明では、青い雲の輪郭は「オンラインでのみ利用可能」なファイル、人のアイコンは「他のユーザーと共有されている」ファイルやフォルダの印です(OneDrive アイコンの意味は?(Microsoft))。
Google ドライブを使っている会社なら、パソコン版のGoogle ドライブを入れると、エクスプローラーに「Google ドライブ」のフォルダができ、その中に[マイドライブ]や[共有ドライブ]が並びます(パソコン版 Google ドライブを使用する(Google))。
クラウドの置き場の考え方はクラウドストレージの記事で、身のまわりのどれがクラウドかの見分け方はクラウドの記事で解説しています。
なお、アドレスが「\\」で始まる社内のファイルサーバーの奥で、中身をクラウドに預けている会社もあります。社内のファイルサーバーの使い勝手を変えないまま、中身をクラウドに預ける仕組みです。自分の会社がどちらに当たるかは、管理している人に聞きましょう。
いまのファイルサーバーをクラウドへ移す話が出ているなら、移し先の2通りの道と、アドレスやアクセス権のようにそのまま移らないものを、先に確かめておきましょう。
ファイルサーバーに置いただけでは、データは守られない

「サーバーに置いてあるから安心」と思っていませんか?
ファイルサーバーやNASは、ファイルを置いて共有するための場所です。ファイルを置いただけで、別の場所に控えができるわけではありません。中のファイルを消せば消えますし、壊れれば開けなくなります。
RAIDでディスクを組んでいても、消したファイルは戻らない
NASやファイルサーバーには、何台かのハードディスクを組み合わせて、1台が壊れてもデータを失わないようにする仕組みを持つものがあります。これをRAID(レイド)と呼びます。
では、RAIDがあればバックアップは要らないのでしょうか。バッファローは、「RAID対応ならバックアップは不要」と考える人がいることにふれて「しかしその考え方は、間違っています。」と書いています。そのうえで、こう説明しています(RAID(レイド)だからって過信は禁物!(バッファロー))。
冗長性のあるRAIDだとしてもデータを誤って削除してしまったり、ウィルス感染、ファイルの破損等によるデータの損失は一般のパソコンや外付けHDDと同じリスクで常に存在しています。
2冊のノートに同じことを同時に書いておくようなものです。1冊をなくしても、もう1冊が残ります。でも、消しゴムで消せば、2冊とも同じように消えます。
アイ・オー・データも、「RAID1/5/6は内蔵ハードディスクが1-2台故障した場合でもデータが失われない技術ですが、同じ製品内であるため、故障の内容によってはデータが失われる可能性があります。」として、本体や電源の故障でもデータを開けなくなることがあると書いています(RAIDってバックアップじゃないの?(アイ・オー・データ))。
共有フォルダのファイルを消してしまったら
消してしまっても、すぐにあきらめることはありません。戻せるかどうかは、ファイルサーバーやNASの設定と、控え(バックアップ)があるかで決まります。
NASには、消したファイルをしばらく取っておく「ごみ箱」の機能を持つものがあります。バッファローとアイ・オー・データのNASの一部の機種では、ごみ箱の機能を有効にしてあれば、消したファイルは共有フォルダの中の「trashbox」というフォルダに移り、そこから元の場所へ戻せます(ごみ箱機能を使用したい(バッファロー)・誤って削除したファイルを復元したい(アイ・オー・データ))。パソコンのごみ箱ではなく、NASの共有フォルダの中にあるごみ箱です。
ただし、アイ・オー・データは、LAN DISKの一部の機種について「出荷時設定ではごみ箱機能は無効になっています。」としています(ごみ箱機能について(アイ・オー・データ))。バッファローも、ごみ箱の機能に対応するのは一部の機種だとしています(ごみ箱機能を設定できますか(バッファロー))。使えるのは、対応する機種で、共有フォルダごとにこの機能を有効にしてあった場合だけです。
ごみ箱が無くても、控えを取っていれば、控えから取り出せます。アイ・オー・データは、ごみ箱を使っておらず控えも取っていない場合について「一度削除したファイルの復元はできません。」としています(誤って削除したファイルを復元したい(アイ・オー・データ))。
会社の共有フォルダなら、自分であれこれ試す前に、管理している人に次のことを伝えて、戻せるかを聞きましょう。
- 消したファイルの名前
- そのファイルが入っていたフォルダ(アドレス欄の文字)
- 消した日時(上書き保存して前の内容が消えたなら、そのこと)
ランサムウェアは、つながっている共有フォルダまで暗号化することがある
ランサムウェアは、警察庁の説明では「端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価(金銭又は暗号資産)を要求する不正プログラム」です(ランサムウェア被害防止対策(警察庁))。
暗号化されるのは、感染したパソコンの中だけではありません。IPA(情報処理推進機構)の2017年の資料は、感染したパソコンが開ける場所、つまり共有しているフォルダや、ファイルサーバーの中でそのパソコンが書き込める場所まで、暗号化が及ぶことがあると図で示しています。パソコン1台の感染でも、ファイルサーバーのファイルまで暗号化され、組織の運営に大きな影響が出ることがある、としています(ランサムウェアの脅威と対策(IPA・PDF))。
アイ・オー・データも、ランサムウェアは「同一ネットワーク上の共有フォルダー(NASやファイルサーバー)内のデータを勝手に暗号化」すると説明しています(RAIDってバックアップじゃないの?(アイ・オー・データ))。
IPAの同じ図は、パソコンの中のクラウドと同期するフォルダのファイルと、その同期で上書きされるクラウドの側のファイルも、影響が及ぶ範囲に入れています。共有フォルダがOneDriveなどのクラウドにあっても、同期でつながっていれば、安心とは言い切れないわけです。
しかも、控えまでやられることがあります。警察庁は「ランサムウェアによりバックアップデータも暗号化されてしまう事例が多数確認されています。」としています(ランサムウェア被害防止対策(警察庁))。2025年(令和7年)に被害にあった企業・団体への調べでは、バックアップから戻せたかを答えた99件のうち、79件が戻せませんでした。戻せなかった理由の回答72件のうち、48件が「バックアップの暗号化・消去」でした(令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について(警察庁・PDF)の統計編)。
感染が疑われるときに最初にやることは、ウイルスに感染したかもしれないときの初動の記事で扱っています。
控えは、ファイルサーバーとは別の場所に置く
だからこそ、ファイルサーバーの中身の控え(バックアップ)を、ファイルサーバーとは別の場所に取っておきます。バッファローは、バックアップはデータを別の記録媒体に複製することで、「決して元のデータを他の記録媒体に移動することではありません。」と書いています(バックアップ(データの複製)の重要性(バッファロー))。
置き場所と取り方で気をつけることは、次の4つです。
- つなぎっぱなしにしない: バッファローは「同じパソコンに接続された記録媒体へのバックアップ(複製)の場合にはウイルスや誤操作の場合にはデータ消失の恐れがあります。」としています。IPAも、バックアップに使う外付けハードディスクなどは、バックアップのときだけつなぐよう勧めています。警察庁は、ネットワークから切り離してオフラインで保存するなど、暗号化されないように備えることを勧めています
- いくつか前の状態まで残す: アイ・オー・データは、何回か前の控えを残しておけるやり方(世代管理)なら、ランサムウェアの対策や、誤って消したり上書きしたりしたデータを戻すことに使えるとしています(RAIDってバックアップじゃないの?(アイ・オー・データ))
- 同期は控えにならない: アイ・オー・データは、NASどうしを同期させるやり方では、元のNASでデータを消すともう1台からも消え、ランサムウェア対策にならないとしています(RAIDってバックアップじゃないの?)。OneDriveやSharePointと同期したフォルダも、オンラインのみのファイルを消すと、すべてのデバイスとクラウドから消えます(ごみ箱から戻せる期間はあります)(エクスプローラーで同期されたファイルを操作する(Microsoft))
- 戻せるかを確かめる: IPAは、問題なく元に戻せるかを定期的に確かめるよう勧めています。アイ・オー・データも、バックアップでエラーが出ていないかを定期的に確かめるよう案内しています
(出典: バックアップ(データの複製)の重要性(バッファロー)・ランサムウェアの脅威と対策(IPA・PDF)・ランサムウェア被害防止対策(警察庁)・RAIDってバックアップじゃないの?(アイ・オー・データ))
NASには、つないだ外付けハードディスクへ、決まった時刻に自動で控えを取る機能を持つものがあります(RAID(レイド)だからって過信は禁物!(バッファロー))。そのまま使うと、つなぎっぱなしの控えになります。
アイ・オー・データは、NASの側で設定しておけば、控えのハードディスクにパソコンからは読み書きできず、控えを取るときだけ書き込める状態にできる、と案内しています(RAIDってバックアップじゃないの?(アイ・オー・データ))。IPAは、控えに使う装置を複数用意することも勧めています。自動の控えを使うなら、こうした設定ができるかを説明書で確かめ、つながっていない控えをもう1つ持っておくと安心です。
NASの保守契約も、中身まで守るとは限りません。たとえば、バッファローの法人向けNASの保守契約の条項は「対象製品に記録されているデータの管理保全については、お客様の責任によって行うものとします。」としています(オンサイト保守パック 保守契約条項(バッファロー))。保守契約で何をしてもらえるかは、こちらの記事で詳しく見ています。
古いNASやファイルサーバーが、Windows 11 で開けなくなることがある

パソコンを替えたり、Windowsを更新したりしたら、NASの共有フォルダが開けなくなった、ということがあります。バッファローのよくある質問にも「WindowsをアップデートしたらNASに接続できなくなりました」という問いが載っています(Windows 11 でNAS(LinkStation/TeraStation)に接続できません(バッファロー))。
古い通信のやり方(SMB1)や、パスワードなしの接続が止められている
原因の1つは、パソコンの側が、安全でないつなぎ方を断るようになったことです。Microsoftの説明から、主なものを3つ挙げます。
- 古い通信のやり方(SMB1): SMBのいちばん古い版です。Windows 11 は、新しく入れた状態ではSMB1を含みません。SMB1にしか対応していない古いNASには、つながらなくなります(SMBv1 が既定でインストールされていない(Microsoft))
- パスワードなしの接続(ゲスト): ユーザー名とパスワードを入れずにつなぐやり方です。Windows 11 Pro では、SMBのゲストでの接続が既定で許可されなくなりました(Enterprise・Education などのエディションは、以前から許可していません)(SMB セキュリティ強化(Microsoft))
- やり取りへの署名(SMB署名): やり取りが途中で書き換えられていないかを確かめる仕組みです。Windows 11 の 24H2 からは、Enterprise・Pro・Education のエディションで署名が必須になりました。署名を受け付けない機器の共有フォルダには、つながりません(SMB 署名動作の制御(Microsoft))。Microsoftは、署名が必須になったことで、ゲストでの接続とうまく合わなくなることがあるとも書いています(ゲスト ログオンを有効にする方法(Microsoft))
バッファローも、自社のNASについて「Windows 11 24H2以降、ゲストユーザーによるアクセスが制限されるようになりました。」と告知しています(Windows 11でNAS(TeraStation、LinkStation)に接続できない場合の対処方法について(バッファロー))。
パソコンの設定を戻す前に、NASのメーカーと管理者に確かめる
ネットで探すと、パソコンの設定を変えてSMB1やゲストの接続を元に戻す手順が見つかります。でも、それはパソコンの守りを外す操作です。
Microsoftは、SMB1について「SMBv1 を再インストールしないことを強くお勧めします。」と書き、ランサムウェアなどに関わる既知の問題があるとしています(SMBv1 が既定でインストールされていない(Microsoft))。ゲストの接続については「安全でないゲスト ログオンを有効にしないでください。」(ゲスト ログオンを有効にする方法(Microsoft))、署名については「サードパーティ製のサーバーの問題を回避するために SMB 署名を無効にすることはお勧めしません。」(SMB 署名動作の制御(Microsoft))としています。
Microsoftが勧めるのは、機器の側を直すことです。SMB1にしか対応していない機器は、製造元に新しいソフトウェアを求め、ゲストでしかつなげない機器は、新しくするか交換するよう勧めています(SMBv1 が既定でインストールされていない・ゲスト ログオンを有効にする方法(どちらもMicrosoft))。
バッファローも、Windows 11 の 24H2 で開けないときは、「パソコンからアクセスするユーザーをNASに登録してください。」と案内し、そのユーザー名とパスワードをWindowsに登録する手順を載せています(Windows 11 でNASに接続できません(バッファロー))。パスワードなしでつなぐのをやめて、NASに利用者を作る方向です。
会社のNASやファイルサーバーなら、自分でパソコンの設定を変えずに、まず管理している人に知らせましょう。すでに業者などに開けるようにしてもらったなら、何を変えたのか(NASに利用者を作ったのか、パソコンの側の守りを外したのか)を聞いておきます。家庭のNASなら、型番でメーカーのよくある質問を探し、新しいソフトウェアが出ているか、利用者を作る手順があるかを確かめます。
まとめ
この記事では、ファイルサーバーの仕組みとNASとの違い、共有フォルダの置き場所の確かめ方、そして置いただけでは守られないものを解説しました。
- ファイルサーバーは、ファイルを置いて、ネットワークの先のパソコンから使えるようにするコンピューター。誰がどのフォルダを開けるか(アクセス権)も、ファイルサーバーの側で決めている
- NASは、ファイルを置いて共有することに絞った箱。小さな事務所や家庭には、メーカーもNASを勧めている。誰かのパソコンを置き場にすると、そのパソコンの電源が切れたら開けない
- アドレス欄をクリックして、「\\」(「¥¥」に見えることもある)で始まれば、ネットワークの先のコンピューター。Zドライブのような文字でも、中身はネットワークの先のことがある。OneDriveの雲の印・組織の名前のフォルダ・Google ドライブのフォルダなら、クラウド
- RAIDがあっても、消したファイルは戻らない。会社の共有フォルダで消してしまったら、自分で試す前に管理している人へ。NASのごみ箱(対応する機種で、有効にしてあれば)か、控えから戻せることがある
- ランサムウェアは、感染したパソコンが書き込める共有フォルダや、クラウドと同期するフォルダまで暗号化することがあり、つないだままの控えも一緒にやられることがある
- 控えは、ファイルサーバーとは別の場所に、つなぎっぱなしにせず、いくつか前の状態まで残す。同期は控えにならない。ときどき戻せるかを確かめる
- Windows 11 で古いNASが開けなくなったら、パソコンの守りを外す前に、管理している人とNASのメーカーの案内を確かめる。すでに開けるようにしてもらったなら、何を変えたかを聞いておく
社内に詳しい担当者がいない会社では、「管理している人」は外部の業者のこともあります。次のことを聞いておきましょう。
- 共有フォルダの置き場所(社内のファイルサーバーかNASか、クラウドか。どの機器か)
- 控えはあるか。どこに、いくつ前の状態まで、どのくらいの間隔で取っているか
- 控えはつなぎっぱなしか。パソコンから書き込めない設定になっているか
- 控えから戻せるかを、最後に試したのはいつか
- NASのごみ箱の機能は有効になっているか
- 保守契約は、どこまでしてくれるか(中のデータは含まれるか)
- Windows 11 で開けるようにしたとき、何を変えたか
共有フォルダは、毎日使うのに、どこにあるのかを意識しにくい場所です。置き場所と控えの場所を一度確かめておけば、消してしまったときや、パソコンを替えたときにも慌てずに済みます。







