動画のデータ量はなぜ大きい?1時間で何GBかと画質で変わる理由

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スマホで撮った動画を送ろうとしたら、ファイルが大きすぎて添付できない。ZIPにしてみたのに、ほとんど小さくならない。そんな経験はありませんか?

「動画って、どうしてこんなに大きいの?」「1時間の動画は、結局何GBなの?」

実は、動画は1秒のあいだに何十枚もの絵を並べたものです。データ量は、「1枚の絵の大きさ × 1秒の枚数 × 時間」で決まります。

しかも、いま手元にある動画は、大きさを縮めたあとの姿です。縮めなかった場合の計算では、フルHD・30fps の動画は1時間で数百GB(約336〜672GB)にもなります。YouTube がアップロードに推奨する値なら、これよりずっと小さく済みます。それは、圧縮という仕組みがあるからです。

この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、動画のデータ量が決まる仕組みと、画質別に1時間で何GBになるかの目安、回線や通信量への影響を解説していきます。

先に結論

動画のデータ量は、解像度・フレームレート(1秒のコマ数)・時間の掛け算で決まります。

1080p・1時間の目安は約3.6GBです(YouTube のアップロード推奨から換算)。換算式は「Mbps × 0.45 = 1時間のGB」です。

動画は圧縮されているので、ZIP にしてもほとんど縮まず、小さくしたいときは画質を見直します。

最初の計算表は、圧縮の効果を知るためのものです。目安だけ知りたい方は、飛ばしても後は読めます。縮める前の数字は、圧縮の節でもう一度示します。

ZIP で縮まない理由は「圧縮済みだから、ZIP にしても縮まない」、通信量の目安は「スマホの通信量(ギガ)は、1時間の目安で減っていく」、送る時間の見積もりは「動画を送る時間は、データ量を回線の速さで割って見積もる」で読めます。

動画のデータ量は、解像度・コマ数・時間の掛け算で決まる

データ量が「解像度」×「フレームレート」×「時間」の掛け算で決まることを示す図。タイトルは「データ量は、掛け算で決まる」。左から、青い点が格子状に並んだ枠(解像度・1コマの細かさ)、少しずつずれて重なった5枚の枠(フレームレート・1秒に何コマか)、ストップウォッチ(時間・動画の長さ)が、×でつながって並んでいる。

動画は、パラパラ漫画と同じしくみです。静止画(1コマ。専門用語ではフレームと呼びます)を1秒に何十枚も切り替えて、動いているように見せています。

そのため、データ量を決める数字は、次の3つです。

  • 解像度:1コマの細かさ。画面を作る小さな点(画素・ピクセル)が縦横に何個あるかで表します。フルHD(1080p)は横1,920×縦1,080個です
  • フレームレート:1秒に何コマ使うか。単位は fps(frames per second)で、30fps なら1秒に30コマです
  • 時間:動画の長さ

では、実際に計算してみます。前提は、フルHD(1920×1080)・30fps・1画素を赤・緑・青の各8ビット(合計24ビット)で持つ、とします。縮める前の、いわば「素の状態」の動画です。

求めるもの計算結果
1コマの画素の数1,920 × 1,080約207万個(2,073,600個)
1コマのデータ量207万個 × 24ビット ÷ 8約6.2MB
1秒のデータ量約6.2MB × 30コマ約187MB
1分のデータ量約187MB × 60秒約11.2GB
1時間のデータ量約11.2GB × 60分約672GB

1MB=1,000,000バイト、1GB=1,000MB として計算しています。

1秒あたりのデータ量を、回線の速さの単位で言い直すと約1,493Mbps、つまり約1.5Gbpsです。bps・Mbpsは、1秒に何ビット運べるかを表す単位です。

色の持ち方を変えると、この数字も変わります。色の情報を間引く4:2:0(YouTube のヘルプがアップロードに挙げている形式)で8ビットなら、1画素あたり平均12ビットなので、1秒あたり約746Mbps、1時間で約336GBです。

どちらの前提でも、1時間で数百GB。スマホやパソコンに保存する動画が、そんな大きさでないことは、皆さんの手元の動画がよく知っているはずです。

動画のデータ量は圧縮で小さくしてある|だから ZIP で縮まない

「圧縮で、百分の1から二百分の1ほどに」という図。左に12枚重なった大きな枠の束(縮める前・1時間 約336〜672GB)、右に2枚重なった小さな枠の束(圧縮後(1080p)・YouTube のアップロード推奨で1時間 約3.6GB)があり、太い矢印「圧縮」が左から右へ向かっている。束の大きさは目安で、縮尺どおりではない。

では、実際に使われている数字を見てみます。動画の1秒ぶんのデータ量は、ビットレートと呼ばれ、Mbps(1秒に何メガビットか)で表します。8Mbps なら、1秒で8メガビット、8ビットが1バイトなので1MB です。

YouTube のヘルプが、1080p の動画をアップロードするときに推奨している映像ビットレートは、標準フレームレート(24・25・30fps)で8Mbpsです(YouTube ヘルプ「YouTube にアップロードする動画におすすめのエンコード設定」)。

8Mbps なら、1時間で3,600MB、約3.6GBになります。

縮める前の計算(約746Mbps または約1,493Mbps。1時間で約336〜672GB)と、YouTube の推奨値で比べると、前提しだいで約93分の1から約187分の1です。おおまかに、百分の1から二百分の1ほどです。

どうやって、こんなに小さくしているのでしょうか。YouTube がアップロードに推奨する動画のコーデック(圧縮の方式)は H.264 です。H.264 の規格を解説した電波産業会の資料(2006年。情報源符号化部 H.264 | MPEG-4 AVC 規格の概要(電波産業会・PDF))は、前後のフレームを参照して予測し、その差分を符号化することで、符号量を減らすと説明しています。

パラパラ漫画で言えば、背景が動かないコマでは背景を描き直さず、動いたところだけ描き足すようなものです。前のコマとほとんど同じ部分を、毎回まるごと持たなくて済みます。

圧縮済みだから、ZIP にしても縮まない

ふつうの動画ファイル(MP4 など)は、作られた時点ですでに圧縮されています。縮む度合いは録画や書き出しの設定しだいで、上の数字は YouTube の推奨値の一例です。ZIP でさらに縮めようとしても、縮められるところがあまり残っていないので、ほとんど小さくなりません。

つまり、「ZIP にしても縮まない」のは、ZIP が悪いのではなく、動画がすでに圧縮された姿だからです。

動画を小さくしたいときは、ZIP で包むのではなく、動画そのものの画質(解像度やコマ数)を見直します。この方法は、あとの節で扱います。

動画のデータ量の目安|画質別に1時間で何GBか

画質別に1時間のデータ量を比べた棒グラフ。タイトルは「画質が上がるほど、1時間のデータ量は大きくなる」。360p(1Mbps)は0.45GB、480p(2.5Mbps)は約1.1GB、720p(5Mbps)は2.25GB、1080p(8Mbps)は3.6GB、1440p(16Mbps)は7.2GB、4K(35〜45Mbps)は約15.8〜20.3GB。YouTube のアップロード推奨(SDR・24・25・30fps)の映像ビットレートから換算した値。

回線の速さ(Mbps)を、1時間のデータ量(GB)に直す式は簡単です。

1時間のデータ量の換算

Mbps に 0.45 を掛けると、1時間のGB になります。

(Mbps ÷ 8 × 3,600秒 ÷ 1,000。8Mbps なら 8 × 0.45 = 3.6GB)

逆に、8Mbps の動画の1GBぶんは、1秒で1MB なので、1,000秒、約17分です。

表は、目的で使い分けます。動画をアップロードする側は YouTube の推奨値の表、Netflix で見る場合は Netflix の最大値の表を見てください。YouTube などほかのサービスで見るときの量は、この記事の表では分かりません。

YouTube が、通常の明るさ表現(SDR。HDR ではない動画)で標準フレームレート(24・25・30fps)の動画のアップロードに推奨する映像ビットレートを、この式で1時間に直すと次のとおりです。

画質推奨する映像ビットレート1時間のデータ量(換算)
360p1Mbps0.45GB
480p2.5Mbps約1.1GB
720p5Mbps2.25GB
1080p8Mbps3.6GB
1440p(2K)16Mbps7.2GB
2160p(4K)35〜45Mbps約15.8〜20.3GB

コマ数が多い高フレームレート(48・50・60fps)では、同じ YouTube のヘルプが1080p に12Mbps、つまり1時間で5.4GB を挙げています。

ただし、これはアップロードする動画の推奨値です。視聴する人に届く量とは別の数字です。YouTube のヘルプは、視聴時の量までは挙げていません。

視聴するときの量は、Netflix が「データ使用量の設定」として公表しています(Netflixのデータ使用量を管理する方法)。1台のデバイスでの、1時間あたりの最大値です。

設定と画質1時間あたりの最大データ量Mbps に直すと(自分の換算)
低:ベーシック画質0.3GB約0.7Mbps
中:標準画質0.7GB約1.6Mbps
高:標準画質1GB約2.2Mbps
高:高画質(HD)3GB約6.7Mbps
高:超高画質(UHD 4K)7GB約15.6Mbps

YouTube と Netflix で同じ4Kの数字が違うのは、測っているものが違うからです。YouTube の値は「アップロードするときの推奨」、Netflix の値は「視聴するときの最大」です。どちらが正しい、という話ではありません。

画素やコマが増えても、データ量は同じ倍率では増えない

画素が増えれば、そのぶんだけデータ量も増える。そう考えるのが自然ですが、YouTube の推奨値は、そう単純ではありません。

増えたもの増え方推奨ビットレートの増え方
720p → 1080p(解像度)画素数が2.25倍1.6倍(5Mbps → 8Mbps)
1080p → 4K(解像度)画素数が4倍約4.4〜5.6倍(8Mbps → 35〜45Mbps)
30fps 前後 → 60fps 前後(コマ数)コマ数が約2倍1.5倍(1080p で8Mbps → 12Mbps)

720p から1080p、コマ数の増加では、画素やコマの増え方ほどには増えません。一方、1080p から4Kでは、画素の増え方(4倍)を上回ります。画素やコマが増えた倍率が、そのままデータ量の倍率になるわけではありません。YouTube のヘルプは、その理由までは説明していません。

動画のデータ量が大きいと、回線・通信量・保存に何が起きるか

「量と速さは、別の数字」という図。左に水が3分の2ほどたまった水槽(データ量・1時間で使う量(GB))、中央に右向きの矢印が入った管(回線の速さ・1秒に届く量(Mbps))、右に再生マークの出たスマートフォンと、3分の2ほど埋まった細い棒(月の通信量・1か月に使える量)。

見ているあいだは、届く速さも関わる

動画を見るときは、1時間のデータ量だけでなく、届く速さも関わります。Netflix は、最高画質で見るために推奨するインターネットの接続速度として、720p は3Mbps以上、1080p は5Mbps以上、4K は15Mbps以上を挙げています(Netflix推奨インターネット接続速度)。

これは、Netflix が公表している1時間の最大データ量とは別の数字です。前者は「1秒あたりに推奨される速さ」、後者は「1時間で使う量の上限」です。

届く速さが足りないと、画質が落ちたり、動画が止まったりします。詳しくは、次の記事で解説しています。

スマホの通信量(ギガ)は、1時間の目安で減っていく

モバイル回線で動画を見ると、1時間のデータ量がそのまま月の通信量から減ります。Netflix の設定では、「自動」で1GBあたり約4時間、「データ使用量:少」で1GBあたり約6時間の視聴が目安です。「データ使用量:多」では、デバイスと接続速度によっては、20分で1GB以上になる場合があります。

仮に月に使える通信量が20GBなら、Netflix の最大値で計算すると、HD(3GB/時)で約6.7時間、4K(7GB/時)で約2.9時間です。「自動」なら1GBで約4時間の目安なので、これより長く見られる場合もあります。

動画を送る時間は、データ量を回線の速さで割って見積もる

動画を送るときは、データ量を速さで割れば、かかる時間の見積もりになります。1080p・1時間の動画(8Mbps の場合の3.6GB。28,800Mbit)を送る理論上の最短時間は、次のとおりです。

送る側の速さ(上り)理論上の最短時間
100Mbps288秒(約5分)
30Mbps960秒(約16分)
10Mbps2,880秒(約48分)

実際の速さは、この理論値より遅くなることがほとんどです。送る側の速さは、上りと下りで決まります。自分の回線の速さは、速度テストで測れます。

保存する量は、1時間の目安を掛け算する

1080p・1時間の動画(8Mbps の場合の3.6GB)を週に1本、1年ぶん(52本)残すなら、3.6GB × 52 ≒ 約187GBです。実際の量は撮影や録画の設定で変わるので、この掛け算は目安として使ってください。

動画のデータ量を減らしたいときの選択肢

動画のデータ量や通信量を減らすには、次のような方法があります。

  • 画質を下げる:Netflix なら、データ使用量の設定を「少」にすると、1GBあたり約6時間の視聴です
  • Wi-Fi のときだけ見る:Netflix の「Wi-Fiのみ」は、Wi-Fi 接続時だけストリーミングする設定です
  • 撮る・送る動画のコマ数や解像度を下げる:「画素やコマが増えても、データ量は同じ倍率では増えない」の表のとおり、解像度もコマ数も、下げるほど推奨ビットレートは小さくなります
  • 短くする:時間も掛け算の一つです。必要な部分だけ切り出せば、その分だけ小さくなります
  • 減らさずに、クラウドに置いて渡す:メールに添付できない大きさのときは、ZIP で小さくしようとせず、クラウドストレージ(共有の機能があるサービスもあります)に置いて渡す方法があります。保存容量の空きには注意してください

編集ソフトで書き出し直す手順は、ソフトごとに違うので、この記事では扱いません。ただし、ZIP で包んでも小さくならないことだけは、忘れないでください。

まとめ

この記事では、動画のデータ量が決まる仕組みと、画質別の目安を解説しました。

  • 動画のデータ量は、解像度(1コマの細かさ)・フレームレート(1秒のコマ数)・時間の掛け算で決まる
  • 縮めない場合は、フルHD・30fps で1時間約336〜672GB(色の持ち方しだい)。YouTube のアップロード推奨(1080p)は、その百分の1から二百分の1ほど
  • 圧縮済みの動画は、ZIP にしてもほとんど縮まない
  • 1時間の目安は、Mbps × 0.45 で GB になる。YouTube の推奨(アップロード用)は1080pで3.6GB、Netflix の最大値(視聴用)は HD で3GB
  • 解像度やコマ数を増やしても、データ量は同じ倍率では増えない(YouTube の推奨値では、720pから1080pで1.6倍、1080pから4Kで約4.4〜5.6倍)
  • 減らしたいときは、画質・コマ数・時間のどれかを見直す

動画が大きいのは、何十枚もの絵を毎秒並べているからです。それでも YouTube の推奨値で計算すると数GBで済むのは、圧縮のおかげです。数字の意味が分かれば、通信量や送る時間も、自分で見積もれるようになります。

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