Wi-Fiが壁や2階で弱くなる理由|木造と鉄筋コンクリートの違い

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同じWi-Fiルーターを使っているのに、リビングでは快適で、2階の寝室では動画が止まる。そんな家は珍しくありません。

「置き場所が悪いのだろうか」「そろそろ買い替えどきなのだろうか」。原因の見当がつかないまま、何かを買い足すか迷っている方も多いはずです。

ですが、その前に確かめておきたいことがあります。Wi-Fiが弱くなる度合いは、家のつくりでかなりの部分が決まっているということです。

そして家のつくりは、あとから変えられません。だからこそ「どこまで届くのが当たり前なのか」を先に知っておくと、置き場所を変えるべきか、機器を増やすべきか、そもそもWi-Fiの問題ではないのかを、自分で切り分けられるようになります。

先に結論

Wi-Fiの電波は、何かを1つ通り抜けるたびに弱くなります。そして何を通り抜けるかが、家のつくりで決まっています

国際的な勧告に載っている住宅の目安では、戸建てで階を1つ上がると弱まり方はおよそ3〜5分の1集合住宅でコンクリートの壁を1枚通ると10〜20分の1です。

つまり距離だけでは決まりません

この記事では、ITやネットワークの知識がない方でもわかるように、家のつくりでWi-Fiの届き方がどれくらい変わるのか、その数字がどこから来てどこまで言えるのか、そして分かったあとに何ができるのかまでを解説していきます。

家のつくりで、Wi-Fiの届き方はどれくらい変わるのか

同じ距離でも、あいだにあるもので電波の届き方が変わることを表した図。上下に同じ組み合わせが2つ並び、どちらも左に濃紺のWi-Fiルーター、右にスマートフォンがあって、その間隔は同じ。上の組はあいだに何もなく、水色の太い矢印がルーターからスマートフォンまでまっすぐ届いている。下の組は途中に濃紺の縦長の板が1枚立っていて、板の手前までは太い矢印、板の向こう側は細い線の矢印になっている。図には「同じ距離でも、あいだにあるもので変わる」「あいだに何もない」「壁を1枚はさむ」と書かれている。

Wi-Fiの電波は、離れるほど弱くなります。これは想像しやすいと思います。

ただ、家の中で起きていることの多くは、距離だけでは説明がつきません。同じ5メートルでも、あいだに何も無い5メートルと、壁を1枚はさんだ5メートルでは結果がまるで違うからです。

電波は、壁や床を通り抜けるときに一部が跳ね返されたり、材料に吸われたりします。通り抜けた先に出てくるのは、残りだけです。

まるで、すりガラスを1枚はさむようなものです。光そのものは通りますが、向こう側は暗くなります。2枚重ねれば、もっと暗くなります。

では、1枚でどれくらい暗くなるのか。ここに数字を出している資料があります。国際電気通信連合(ITU)の無線通信部門がまとめている屋内の電波伝搬の勧告で、正式には Recommendation ITU-R P.1238(ITU) といいます。2025年9月に改訂された第13版が現行です。

この勧告は題名に「無線LAN(radio local area networks)」を含んでいて、まさに家やオフィスのWi-Fiを設計するための資料です。以降で出てくる数字は、断りのないかぎりこの勧告から引いています。

「弱くなる」を数で言うと

資料に出てくる単位は dB(デシベル) です。倍率をあらわす単位で、次のように読みます。

弱まり方どれくらいになるか
5 dBおよそ3分の1
7 dBおよそ5分の1
10 dB10分の1
20 dB100分の1
30 dB1000分の1

数が10増えるごとに、10分の1ずつになっていきます。足し算に見えて、実際は掛け算だと思ってください。だから 5 dB と 10 dB の差は「2倍」ではなく、3分の1と10分の1の差です。

この読み方さえ分かれば、あとは数字を見るだけです。

ただし、先にひとつお断りしておきます。電波がどれだけ弱くなるかと、実際に困るかどうかは別の話です。

10分の1になっても動画が普通に見られることはありますし、逆に十分な強さでも混み合いで遅くなることはあります。「何分の1になったら使えなくなる」という線引きは、この記事で引く数字からは出てきません。

ですから、この記事の数字は「あの部屋が弱いのは、うちの造りなら当たり前かどうか」を見当づけるためのものと考えてください。困っているかどうかは、最後の章で速度を測って判断します。

自分の家がどちらなのかを先に確かめる

このあとの数字は、戸建て集合住宅で分かれています。読み始める前に、自分がどちら側かを決めておいてください。

建物の構造が分からないときは、賃貸なら契約書や募集図面、分譲ならパンフレットに載っていることが多いはずです。「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造(RC造)」といった書き方をされています。

ただし、構造の名前は建物全体の骨組みを指すもので、部屋と部屋を仕切っている壁が何でできているかまでは決まりません。鉄筋コンクリート造でも、室内の間仕切りが軽い板でできていることはあります。名前は出発点で、答えではないと思ってください。

もうひとつ。これから引く勧告が住宅について値を持っているのは、戸建てと集合住宅の2つだけです。鉄骨造やアパートといった区分はありません。

ですから、途中で自分の家が当てはまらないと感じたら、構造の名前ではなく「あいだに何がはさまっているか」で読み替えてください。木でできた床なのか、コンクリートの板なのか。記事が言っているのは、突きつめればそこだけです。

戸建てで2階へ上がるとき、Wi-Fiはどれくらい弱くなるのか

階を1つまたぐときの弱まり方が床で変わることを表した図。左右に同じ組み合わせが2つ並び、どちらも下に濃紺のWi-Fiルーター、その上に濃紺の水平な板が1枚、さらに上にスマートフォンがある。板の下はどちらも同じ太さの水色の矢印だが、板の上は左の組では少し細い矢印、右の組では細い線の矢印になっている。図には「同じ1階ぶんでも、床で桁が変わる」「戸建ての床 7 dB(5.2 GHz)」「鉄筋コンクリートの床 20 dB(吊り天井つき)」と書かれている。

1階にルーターを置いて、2階で使う。回線の引き込み口が1階にあることが多いので、戸建てではよくある形です。

勧告は、階をまたぐときに足す弱まり方を住宅・オフィス・商業施設に分けて載せています。住宅のうち戸建ての値は次のとおりです。

周波数階を1つまたぐとどれくらいになるか
2.4 GHz5 dBおよそ3分の1
5.2 GHz7 dBおよそ5分の1

1階から2階へ上がるだけで、電波は3分の1から5分の1になります。これに加えて、距離のぶんも弱くなります。

ただし、この表の読み方には注意が必要です。勧告が「木造モルタル」と書き添えているのは、5.2 GHz の 7 dB のほうだけで、2.4 GHz の 5 dB には材質の但し書きがありません。

つまりここから言えるのは「戸建てで階を1つまたいだときの目安」までです。「木造なら何 dB」という形では、この勧告からは読み取れません。

いっぽう、鉄筋コンクリートの床については、同じ勧告が別のところで実測値を挙げています。

先に条件から書きます。この数字は「吊り天井のある鉄筋コンクリートの床」について、5.2 GHz で真上に向かって測った値で、しかも電波が外を回ってくる経路を除いたときのものです。勧告は住宅の値とは書いておらず、上の表(住宅・戸建て)とは別のところに載っています。

鉄筋コンクリートの床(吊り天井つき・5.2 GHz)

平均 20 dB(=100分の1)。

条件が違うので単純には比べられませんが、同じ 5.2 GHz どうしで並べると、戸建ての 7 dB(5分の1)に対して 20 dB(100分の1)です。同じ「1階ぶん」でも、床の材料が変われば桁が変わるということになります。

天井の中に何があるかで、さらに変わる

ここからは戸建てに限らない話です。同じ実測には、続きがあります。床そのものは同じでも、天井裏や床下に何が入っているかで数字が動くのです。

床の状態(5.2 GHz)弱まり方どれくらいになるか
鉄筋コンクリートの床(吊り天井つき)20 dB100分の1
そこに照明器具が入る30 dB1000分の1
床下に空調のダクトがある36 dBおよそ4000分の1

照明が入るだけで、さらに10分の1です。ダクトまで通っていれば、20 dB のときと比べて40分の1になります。

いずれも平均値で、勧告はばらつき(標準偏差)を 1.5〜5 dB と併記しています。ぴったりこの値になる、という数字ではありません。

そして勧告はこの3行がどんな建物の値なのかを書いていませんので、そのまま自宅に当てはめることはできません。それでも読み取れることが1つあります。「床」と一口に言っても、中に金属が入っているかどうかで結果が変わるということです。

Wi-Fiルーターのメーカーであるバッファローも、公式のよくある質問で壁越しに(部屋や天井を挟んで)無線通信することはできますか(バッファロー)という項目を設けており、金属は電波を反射または吸収すること、そして電波が通りそうな構造材でも密度や通過する量によって弱くなることを挙げています。

同社が挙げているのは、金属・コンクリート・土壁・断熱材・金属の素材が入ったガラス、そして木材です。木も名前が挙がっていることに注意してください。同社は木材についても、別に1行を割いて弱くなる場合があると書いています。

この中で、住んでいる人がいちばん気づきにくいのが断熱材です。近年の家は壁や床下に断熱材が入っていることが多く、外からは見えません。

見えないところに何が入っているかは、住んでいる人にも分かりません。だから最後は測るしかないのですが、その前提として「桁が変わりうる」ことを知っているかどうかで、受け止め方が変わります。

階を重ねても、青天井に弱くなるとは限らない

3階建ての家で、1階から3階へ。階を2つまたぐなら、足し算では2回ぶんです。

ただし、勧告はこの値が階数に比例するとは書いていません。ほかの周波数では「階数 × 4」のように式で示しているのに、住宅の 2.4 GHz と 5.2 GHz は数字が1つ置いてあるだけです。

むしろ勧告自身が、そこに釘を刺しています。階がいくつも重なった場合、隔たり方には上限がありうると書いているのです。

理由も添えられています。信号が建物の外側を回る別の経路を通って、たくさんの階をまっすぐ突き抜けるより少ない損失でたどり着くことがあるから、というものです。

窓から出て、外壁沿いに回り込み、上の階の窓から入ってくるような道だと考えてください。まっすぐ突き抜けるだけが道ではない、ということです。

ですから「3階建てだから絶望的だ」と決めつけなくてかまいません階については、足し算で出した数字が良いほうに外れることがあると勧告が言っています。

マンションで、Wi-Fiがコンクリートの壁1枚を通るとき

コンクリートの壁を1枚通ると電波が大きく弱くなることを表した図。左に濃紺のWi-Fiルーター、中央に厚みのある濃紺の縦長の板が1枚立ち、右にスマートフォンがある。板の手前は水色の太い矢印、板の向こう側は細い線の矢印になっている。図には「コンクリートの壁1枚で、10〜20分の1」「2.4 GHz は 10 dB、5.2 GHz は 13 dB」と書かれている。

集合住宅では、勧告の書き方が変わります。

同じ勧告(ITU-R P.1238)の同じ表——「階をまたぐときの弱まり方」の表です——の集合住宅の欄にだけ、「コンクリートの壁1枚あたり」という脚注が付いているのです。値は次のとおりです。

周波数コンクリートの壁1枚あたりどれくらいになるか
2.4 GHz10 dB10分の1
5.2 GHz13 dBおよそ20分の1

ここで、戸建ての数字と並べてみてください。

戸建てで階を1つまたぐより、集合住宅のコンクリートの壁1枚のほうが大きいのです(2.4 GHz で 5 dB 対 10 dB)。倍率でいうと、3分の1で済むところが10分の1になるということです。

玄関に近い部屋にルーターがあって、いちばん奥の部屋だけ電波が届かない。マンションでよくあるこの形は、あいだにコンクリートがはさまっていることで説明がつくことが多いのです。

ここは正直に書いておきます

勧告は、この「コンクリートの壁」がどこの壁なのかまでは書いていません。住戸と住戸を隔てる壁なのか、同じ家の中で部屋を仕切る壁なのかは、読み取れません。

それどころか勧告は別のところで、同じ階の中にある壁や家具の影響は、距離による弱まり方のほうに含めて扱っていると書いています。

ですから「うちは部屋を3つ通るから 10 dB が3回ぶん」という数え方は、この資料からは出てきません。使えるのは「コンクリートがはさまると、戸建ての階1つより大きく効く」という桁の感覚までです。

それに、鉄筋コンクリート造の建物でも、部屋どうしの間仕切りが軽い板でできていることはあります。「RCだから家じゅうの壁が10 dB」ではありません。

木造と鉄筋コンクリート、Wi-Fiの数字はどこまで言えるのか

ここまでの数字を、いちど1か所にまとめます。言えることと、言えないことを並べて置いておきます。

何を1つ隔てるか2.4 GHz5.2 GHz
戸建てで階を1つ(5.2 GHz は木造モルタル)5 dB7 dB
集合住宅のコンクリートの壁1枚10 dB13 dB
鉄筋コンクリートの床1枚(吊り天井つき)20 dB
木造の壁1枚勧告に値がありません

最後の行が、この記事でいちばん誠実に書いておきたいところです。木造の家の、部屋と部屋を仕切る壁が何 dB なのかは、この勧告に載っていません。

載っていないのは、書き忘れでも省略でもありません。勧告(ITU-R P.1238)は、同じ階の中の壁は距離による弱まり方に含めて扱うという立場だからです。だから「壁1枚あたり」という形の値を、そもそも持っていません。

ですから木造の家で「隣の部屋だけ弱い」ときは、数字で見当をつけるのではなく、測って比べるしかありません。この記事の数字が効くのは、階をまたぐときと、コンクリートがはさまるときです。

そしてもう1つ、階と壁で言えることの向きが違う点にも触れておきます。

  • … 重ねても青天井に弱くなるとは限らない、と勧告が書いている。足し算より良いほうに外れることがある
  • 重ねた場合については勧告が何も書いていない。良いほうに外れるとも、外れないとも言えない

階のほうだけ「安心してよい材料」があり、壁のほうは分からない、ということです。同じに扱わないでください。

他所で見かける数字と食い違ったら

この話題を調べていると、ここより大きな数字を見かけることがあります。同じ「鉄筋コンクリート」の話なのに、桁がひとつ違って見えることさえあります。

ですが、見るべきは「どちらが正しいか」ではなく「何を測った数字か」です。

この記事の 10 / 13 dB は、勧告が集合住宅の設計に使うために示している値で、周波数も、「コンクリートの壁1枚あたり」という単位も書いてあります(どこの壁かまでは書かれていませんが)。厚いコンクリートの壁を直接測れば、もっと大きな値が出ることもあるでしょう。どちらも嘘ではありません。

条件の書いていない数字とは、そもそも比べられません。数字が食い違っていたら、まず条件を探してください。

5GHzのWi-Fiは、家のつくりの影響をより強く受ける

同じ板を2つの周波数の電波が通り抜けたときの違いを表した図。中央に濃紺の縦長の板が1枚立ち、その左から水色の矢印が2本、同じ太さで板に向かっている。板の右側では、上の矢印は少し細くなっただけだが、下の矢印は細い線になっている。図には「同じものを通るのに、5GHzはよけいに弱くなる」「2.4 GHz」「5 GHz」と書かれている。

ここまでの表を、周波数の側から並べ直してみます。

隔てるもの2.4 GHz5.2 GHz
戸建てで階を1つ5 dB7 dB
集合住宅のコンクリートの壁1枚10 dB13 dB

どちらも、5 GHz のほうが数字が大きくなっています。勧告に載っているこの2つの例では、同じものを通り抜けるのに 5 GHz のほうがよけいに弱くなっているということです。

表の見出しが「5.2 GHz」となっているのは、勧告がその周波数で測っているからです。ルーターの設定画面や本体に書いてある「5 GHz」と別のものではありません。5 GHz 帯の中の、測定に使われた1つの周波数だと思ってください。

「5GHzは壁に弱い」という言い方はよく見かけますが、その中身がこれです。当サイトのWi-Fiの周波数2.4GHzと5GHzの違いは?選び方と使える場所でも、5 GHz は障害物に弱く届く範囲が狭いと書いてきました。その裏づけになる数字が、この2行です。

ここから出てくる使い分けは、次のようになります。

5 GHz が向く場面

ルーターと同じ部屋・同じ階で使うとき。隔てるものが少ないので、速さの利点がそのまま出ます。

5 GHz が不利になる場面

階をまたぐ・コンクリートの壁をまたぐとき。その部屋だけ 2.4 GHz を使ったほうが、結果として速いことがあります。

切り替え方は、機器を買い足すより簡単です。スマホのWi-Fi一覧に似た名前が2つ並んでいるなら、多くの場合それが 2.4 GHz と 5 GHz の入口です。遠い部屋のスマホだけ、もう一方につなぎ直せば済みます。

どちらが 2.4 GHz なのかの見分け方は、Wi-FiのSSIDとは?名前の確認方法と2つ表示される理由にまとめてあります。お金がかからないので、増やす前にここから試してください。

ただし、2.4 GHz にすれば必ず良くなるわけでもありません。2.4 GHz は電子レンジやBluetooth機器と同じ帯を使い、近所のWi-Fiとも重なりやすいためです。混み合いのほうが原因になっているときは、そちらを先に見ることになります。

なお、最近のルーターには 6 GHz 帯を使えるものがあります(Wi-Fi 6E や Wi-Fi 7 と書かれている機種です)。この帯についての住宅の値は、勧告の表に載っていません。表にあるのは 0.9・1.8〜2・2.4・3.5・5.2・5.8 GHz です。

ですからこの記事では、6 GHz が何 dB 弱くなるとは書けません。載っていないことを、載っているかのようには書かない——それがこの記事の立て方です。

家のつくりが分かったあと、Wi-Fiのためにできること

変えられないものと変えられるものを仕分けた図。中央に濃紺の縦長の板が1枚立ち、その左に濃紺の線で描かれた家の輪郭が1つ、右に濃紺のWi-Fiルーターが1台、小さなWi-Fiルーターが2台並んだもの、巻いたケーブルが1本が横一列に並んでいる。4つはすべて同じ濃紺で描かれている。図には「変えられないもの と 変えられるもの」「家のつくり」「置き場所」「台数」「有線」と書かれている。

ここまでの数字は、どれも変えられないものについてのものです。壁をこわすわけにはいきませんし、階をなくすこともできません。

ですが、変えられるものは3つあります。

  • 電波の出どころを動かす(置き場所を変える)
  • 電波の出どころを増やす(メッシュWi-Fiや中継機)
  • 電波を使わない道を作る(有線でつなぐ)

どれを選ぶかは、症状の出方で決まります。当サイトには打ち手ごとの記事があるので、当てはまるところから読んでください。

いまの症状まず見るところ
ルーターの近くは速いが、特定の部屋だけ遅い・動画やWeb会議が固まる置き場所と、あいだにあるもの
別の階や、いちばん奥の部屋がほぼつながらない出どころを増やす
ルーターのそばでも遅い家のつくりではない。回線側や機器を疑う
動かせない機器(テレビ・デスクトップ)だけ遅いその1台だけ有線にする

どの行に当てはまるかは、ルーターのすぐそばと、困っている部屋の2か所で速度を測って比べると決められます。数字そのものより、2か所の差を見るのがこつです。やり方と、用途ごとにどれくらい出ていればよいかはインターネット速度テストの結果の見方にまとめてあります。

1行目の「置き場所と、あいだにあるもの」は、電波干渉の記事の対策①(Wi-Fiルーターの置き場所を変える)が具体的です。お金がかからない打ち手はここに集まっています。

3行目には補足がいります。ルーターのすぐそばでも遅いなら、原因は家のつくりではありません。壁も床もはさんでいないのですから、この記事の数字は関係がなくなります。新しいルーターに買い替えても、壁や床の弱まり方そのものは変わりませんので、買う前にここを確かめてください。

逆に、そばでは十分に速いのに離れた部屋だけ遅いのなら、表の2行目です。この記事の数字が効いている状態なので、出どころを増やす打ち手が向きます。

なお、動かせない機器を有線LANに替えるのは、電波の話から完全に降りる方法です。壁の枚数も階も関係がなくなるので、テレビやデスクトップのように置き場所が決まっている機器には向いています。

それでもルーターの買い替えを考えている方は、年数だけで決めないことだけ覚えておいてください。替えどきの見分け方は別の記事にまとめてあります。

まとめ

この記事では、家のつくりでWi-Fiの届き方がどれくらい変わるのかを、国際的な勧告の数字をもとに解説しました。

  • Wi-Fiの電波は何かを1つ通り抜けるたびに弱くなる。距離だけでは説明がつかない
  • 戸建てで階を1つまたぐと 5 dB(2.4 GHz)/7 dB(5.2 GHz)=およそ3分の1〜5分の1。ただし勧告が「木造モルタル」と書いているのは 5.2 GHz の側だけで、「木造なら何 dB」という形では読み取れない
  • 吊り天井のある鉄筋コンクリートの床では 20 dB(=100分の1)。照明器具が入ると 30 dB、床下に空調ダクトがあると 36 dB。ただしこれは住宅の値として示されたものではなく、5.2 GHz で、外を回る経路を除いて測った値(いずれも平均で、ばらつきは 1.5〜5 dB)
  • 集合住宅ではコンクリートの壁1枚あたり 10 dB/13 dB戸建てで階を1つまたぐより大きい。⚠ ただし勧告はどこの壁なのかを書いておらず、同じ階の中の壁は距離の側に含めて扱っている。「部屋を3つ通るから3回ぶん」という数え方はできない
  • は重ねても青天井に弱くなるとは限らない。勧告が「上限がありうる」と書いており、理由に建物の外側を回る経路を挙げている=足し算より良いほうに外れることがあるいっぽう壁を重ねた場合については勧告が何も書いていないので、良いほうに外れるとも外れないとも言えない。この2つを同じに扱わない
  • 勧告に載っている住宅の2つの例では、同じものを通るのに 5 GHz のほうがよけいに弱くなっている(5→7、10→13)。階や壁をまたぐ部屋では 2.4 GHz が有利なことがある
  • 勧告に載っていないものが2つある。木造の壁1枚あたりの値と、6 GHz 帯(Wi-Fi 6E / 7)の住宅の値。木造で「隣の部屋だけ弱い」ときは、数字ではなく測って比べる
  • 家のつくりは変えられない。変えられるのは出どころを動かす・増やす・電波を使わない道を作るの3つ。ルーターのそばでも遅いなら、原因は家のつくりではない

「この家なら、この部屋が弱いのは当たり前だ」と分かるだけで、次に何を試すかは決めやすくなります。まずはルーターのそばと、困っている部屋。2か所を測るところからで十分です。

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