「子どものスマホにだけ、ルーターで決めた利用時間の制限が効いていない」「ルーターの接続機器の一覧に、同じスマホらしい機器が何台も並んでいる」——そんなことはありませんか。
「設定は合っているはずなのに、なぜこのスマホだけ?」。ルーターの故障を疑う前に、スマホ側の設定を1つ見てください。会社や学校で「使う端末のMACアドレスを登録して」と言われ、登録したのにつながらない、という場合も同じ設定が関わっていることがあります。
実は、いまのスマホは、Wi-Fiごとに別のMACアドレスを名乗っています。これを「MACアドレスのランダム化」と呼びます。iPhoneでは「プライベートWi-Fiアドレス」、Androidでは「ランダムMAC」という名前で、最初からオンになっています。
この記事では、ネットワークに詳しくない方でもわかるように、ランダム化の仕組み、ランダム化で困る場面の見分け方、その Wi-Fi だけランダム化をオフにする手順(iPhone・Android・Windows・Mac)、オフにしてよい Wi-Fi の線引き、そしてオフにせずに済ませる方法までを、順に説明します。
目次
MACアドレスのランダム化とは?スマホがWi-Fiごとに番号を変える理由

MACアドレスは、Wi-Fiにつなぐ機器が名乗る番号です。ルーターはこの番号を見て、どの機器がつながってきたかを見分けています。
ところが、いつも同じ番号を名乗っていると困ることがあります。Appleは「デバイスがすべてのネットワークで常に同じWi-Fi MACアドレスを使っていると、時間の経過に伴い、ネットワークの事業者やその他のネットワーク観測者がそのアドレスをデバイスのネットワーク活動や位置情報に紐付けることがたやすくなります。」と説明しています(Apple製デバイスでプライベートWi-Fiアドレスを使う)。
そこで、スマホはつなぐWi-Fiごとに別の番号を使い分けます。お店ごとに別の会員番号で名乗れば、お店どうしが番号を突き合わせても同じ人だと結び付けにくくなる、というのと同じ考え方です。
ここで大事なのは、番号は「Wi-Fiごと」に変わるのであって、つなぐたびに変わるわけではないことです。Appleは「デフォルトでは、プライバシー対策を強化するため、デバイスはWi-Fiネットワークごとに異なるMACアドレスを使い分けます。」としています(同ページ)。Androidも、Googleの開発者向け資料によれば、既定では同じネットワークに同じ番号を使い続け、出荷時の設定にリセットするまで変えません(MAC アドレス ランダム化の動作)。
ただしiPhoneでは、そのWi-Fiの設定を削除したときや、ネットワーク設定をリセットしたときに番号が変わります。また、iOS 18以降では、WPA2以上の暗号化を使う新しいWi-Fiには「固定」(番号を変えない)が、暗号化が弱いか暗号化のない新しいWi-Fiには「ローテーション」(2週間ごとに番号を変える)が、既定で選ばれます(Appleの同じページ)。家のWi-FiがWPA2以上なら、ふつうは「固定」です。このあたりの細かい決まりと、ランダム化の目的は、MACアドレスの記事にまとめています。
設定画面での呼び名は、OSごとに違います。
| 機器 | 設定画面での名前 | 最初の状態 |
|---|---|---|
| iPhone・iPad | プライベートWi-Fiアドレス | オン(iOS 14以降) |
| Mac | プライベートWi-Fiアドレス | オン(macOS Sequoia 15以降) |
| Android | ランダムMAC(機種によって呼び名が違う) | オン(Android 10以降) |
| Windows | ランダムなハードウェア アドレス | Wi-Fiにつないでも自動では有効にならない(NECの案内) |
iPhone・iPadとMacの時期は、Appleの管理者向けの説明にある「「プライベートアドレス設定」は、iOS 14、iPadOS 14、watchOS 7、visionOS、macOS 15で導入され、デフォルトでオンになっています。」によります(プライベートWi-Fiアドレスとエンタープライズネットワークについて)。
Windowsについては、Microsoftの案内は「オンにする」手順として書かれていて、最初の状態は書かれていません。ルーターメーカーのNECは「Windowsでも疑似的にMACアドレスを割り振る機能(ランダムなハードウェア アドレス)を有していますが、Wi-Fi接続を行っても自動で有効にはなりません。」と案内しています(無線LAN端末のMACアドレスを自動で変更されないようにしたい)。なお、この機能の呼び名は、Microsoftの案内の中でも「ランダムなハードウェア アドレス」「ランダム ハードウェア アドレス」と揺れています。
ランダム化で困るのは、端末を番号で覚えているルーターやWi-Fiの機能

ふつうにインターネットを見るだけなら、ランダム化で困ることはほとんどありません。Appleも「プライベートWi-Fiアドレスを使っても、多くのWi-Fiネットワークへの接続方法や利用方法に変化はありません。」としています(Appleの案内)。
困るのは、ルーターやWi-Fiの側が、端末をMACアドレスで覚えている機能を使っているときです。スマホが覚えられた番号と違う番号を名乗ると、ルーターは「知らない機器が来た」と受け取ります。
Googleの開発者向け資料も、ネットワークごとに同じ番号を使い続ける理由として、この種の機能を挙げています。「たとえば、デバイスを記憶して、想定されるログイン画面の迂回をユーザーに許可する場合や、保護者による使用制限を有効にする場合があります。」(MAC アドレス ランダム化の動作)
家庭で出会いやすいのは、次の3つです。
ルーターの利用時間制限・フィルタリングが効かない
子どものスマホに「夜10時以降はインターネットを止める」といった制限をルーターで掛ける機能には、スマホをMACアドレスで見分けているものがあります。
TP-Linkは「保護者による制限・QoS・アクセスコントロールなどは端末のMACアドレスを対象に制御を行うため」と書き、プライベートアドレスやランダムMACアドレスを無効にするよう案内しています(保護者による制限/QoS/アクセスコントロールが効かないときは)。同社には「新しい端末の接続通知が頻繁に表示される場合や、保護者による制限をすり抜けてしまう場合」という案内もあり、制限を「すり抜ける」症状として扱っています。
NECも、子ども向けの利用時間制限「こども安心ネットタイマー」の案内に注意書きを置いています。ランダムMACやプライベートWi-Fiアドレスが有効な端末で「「見えて安心ネット」「こども安心ネットタイマー」の設定を行うと、Wi-Fi接続にその後失敗する場合やしばらく接続できていたインターネットの閲覧が行えなくなることがあります。」(「見えて安心ネット」「こども安心ネットタイマー」の使用方法が知りたい)
Apple自身も、iPhoneのユーザガイドで、プライベートアドレスを使えない場合の例に「ペアレンタルコントロールを使用したり」を挙げています(iPhoneでプライベートネットワークアドレスを使用する)。
効かなくなる主な道すじは2つあります。1つは、スマホ本来の番号を登録してしまった場合です。設定アプリの「情報」などに出ている番号は、ランダム化がオンのWi-Fiでは使われません。
もう1つは、登録したあとに番号が変わった場合です。そのWi-Fiの設定を削除してつなぎ直したり、ネットワーク設定をリセットしたりすると、iPhoneは別の番号を使い始めます。そのWi-Fiが「ローテーション」になっていれば、2週間ごとに変わります。
直すときは、次の順に進めます。
- STEP
ルーターの登録と、スマホの番号を見比べる
ルーターの設定画面で、制限の対象として登録してある番号を見ます。次に、子どものスマホで、そのWi-Fiで使っている番号を見ます(iPhoneはWi-Fiの名前の横の「i」を開いた画面の「Wi-Fiアドレス」。場所は「会社・学校のWi-Fiでランダム化が困るとき」の表にまとめています)。2つが違っていれば、ルーターはそのスマホを制限の対象として見分けられていません。
- STEP
スマホ側で「オフ」か「固定」を選ぶ
そのWi-Fiだけランダム化をオフにするか、オンのまま使います。オンのまま使うなら、iPhoneは「固定」にします(「ローテーション」になっていれば「固定」に変えます)。ただし、オンのままで使えるかはルーターのメーカーで違い、NECは「こども安心ネットタイマー」などについて、ランダム化を無効にしてから設定するよう案内しています。どちらを選ぶかは「ランダム化をオフにしてよいWi-Fi、しないほうがよいWi-Fi」で、切り替え方は「そのWi-Fiだけランダム化をオフにする方法」で扱います。2.4GHzと5GHzでWi-Fiの名前が分かれているなら、両方の名前で同じことをします。
- STEP
ルーター側で登録し直す
オフにしたスマホは、端末本来の番号でつながるようになります。オンのままなら、そのWi-Fiの詳細の画面に出ている番号が使われます。どちらの場合も、ルーター側の登録をその番号に直します。
Linksysも、iPhoneで「固定」か「オフ」を選んだあとに「Linksys ルーターで MAC フィルタリングまたは保護者による制限を再設定する事ができるようになります」としています(iOSモバイルデバイスでのプライベートWi-Fiアドレス機能の変更)。登録の画面の場所はルーターの機種で違うので、メーカーの案内で確かめてください。
- STEP
効いているかを確かめる
制限の時間になったら、そのスマホでインターネットが止まるかを確かめます。スマホの「プライベートWi-Fiアドレス」の設定は、Appleの案内によれば「いつでも変更できます」。子ども自身が設定を戻すこともありえます。また効かなくなったら、まずスマホの番号とルーターの登録を見比べるところから始めます。
登録した機器しかつながせない「MACアドレスフィルタリング」も、同じ理由で家族の端末をはじきます。こちらはMACアドレスの記事で扱っています。
接続機器の一覧に同じスマホが何台も出る・新しい機器として通知される
ルーターの管理画面やアプリには、つながっている機器の一覧があります。ここに、同じスマホらしい機器が2行、3行と並ぶことがあります。
TP-Linkは、その理由を「デバイスが異なるネットワーク(異なるバンドを含む)に参加するたびに、新しいデバイスとして識別され、異なるMACアドレスでクライアントリストにリストされます。」と説明しています(接続端末リストに同じ名前の端末が表示される場合)。
Androidは、Wi-Fiの名前(SSID)などをもとに、そのWi-Fiで使う番号を作ります(Googleの開発者向け資料)。2.4GHzと5GHzでWi-Fiの名前を分けているルーターで、スマホが両方につないだことがあれば、番号が2つになり、一覧に2台として並ぶことがあります。Wi-Fiの名前が1つだけなら、Androidではこの理由には当たりません。
新しい機器が来たら知らせてくれる機能も、知らない番号を新しい機器として知らせます。iPhoneについては、Appleが「デバイスがプライベートアドレスではじめて接続したときに通知が届きます。」と書いています(Appleの案内)。
一覧に出る名前も、分かりにくくなることがあります。Appleは「プライベートWi-Fiアドレスを使用する場合、デバイスはDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol) リクエストで汎用ホスト名を使用します。」としています(Appleの管理者向けの説明)。DHCPは、ルーターが機器にIPアドレスを配る仕組みです。ホスト名は、そのやりとりで機器が名乗る名前のことです。ルーターが一覧の名前をこのホスト名から付けている場合、iPhoneなどは名前から誰の端末かを見分けにくくなります。
一覧の機器が自分のスマホかどうかは、番号で確かめられます。一覧に出ている番号と、スマホの「そのWi-Fiで使う番号」(場所は「会社・学校のWi-Fiでランダム化が困るとき」の表)を見比べ、同じなら自分のスマホです。
一覧に知らない機器があったとき、それが家族のスマホなのか、本当に知らない機器なのかを見分ける手順は、次の記事にまとめています。
公衆Wi-Fiの自動ログインが効かない
カフェや駅のWi-Fiには、最初にログイン画面を通すと、次からは自動でつながるものがあります。この「覚えておく」仕組みにも、MACアドレスを使うものがあります。
公衆Wi-Fiサービスのギガぞうは「Android 10以降では、端末のMACアドレスを自動的に変更する機能があり、初期状態では有効になっております。」「この機能が有効な状態では、MACアドレス認証や自動再認証ができないことがあります。」と案内しています(Android 10以降でのMACアドレス認証ができない、自動再認証ができない・2020年1月時点の情報)。
iPhoneは、iOS 18以降では、暗号化のない新しいWi-Fiにつなぐと既定で「ローテーション」を選び、2週間ごとに別の番号に変えます(Appleの案内)。Appleは公衆Wi-Fiのログインには触れていませんが、番号で端末を覚えるWi-Fiなら、番号が変わったあとは知らない端末に見えるので、ログイン画面をもう一度求められることがあります。
Androidの場合は、2つに分けて考えます。Androidは既定では同じWi-Fiに同じ番号を使い続けるので、しばらく自動でつながっていたのに途中から毎回ログイン画面が出るなら、ランダム化のほかの原因も考えられます。最初から自動でつながらないなら、ギガぞうの案内のように、そのWi-Fiが端末本来の番号で覚える仕組みになっている場合があります。
ログイン画面そのものの仕組みと、画面が出ないときの対処は、次の記事で扱っています。
そのWi-Fiだけランダム化をオフにする方法(iPhone・Android・Windows・Mac)

ランダム化は、Wi-Fiごとにオン・オフを切り替えられます。困っているWi-Fiだけをオフにし、ほかのWi-Fiはオンのままにしておくのが基本です。
Appleは、つながらないときも「最新のソフトウェアアップデートをインストールしてから、もう一度やり直して、この機能を無効にするかどうかを判断してください。」としています(Appleの案内)。オフにする前に、OSを最新にしておきましょう。
iPhone・iPad(プライベートWi-Fiアドレス)
Appleの案内(iOS 18以降)に沿うと、次のとおりです。
- STEP
設定アプリで「Wi-Fi」を開く
設定アプリを開いて「Wi-Fi」をタップします。
- STEP
ネットワーク名の横の「i」をタップする
オフにしたいWi-Fiの名前の右にある、丸で囲んだ「i」のボタンをタップします。いまつながっていないWi-Fiなら、画面右上の「編集」から探します。
- STEP
「プライベートWi-Fiアドレス」を「オフ」にする
「プライベートWi-Fiアドレス」をタップし、「オフ」「固定」「ローテーション」の中から「オフ」を選びます。iOS 17以前は、「プライベートWi-Fiアドレス」のスイッチを切ります。
オフにすると、iPhoneは確認や警告を出します。どちらも、自分でオフにしたWi-Fiなら想定どおりのものです。
NECの手順では、「オフ」を選ぶと確認が出て、「トラッキングを許可」をタップするとオフになります(iPhone・iPad・iPod touch(iOS・iPadOS端末)でプライベート Wi-Fiアドレスを停止する手順)。オフにしたあとは、そのWi-Fiでプライバシーの警告が出ます。I-O DATAは「「プライベートWi-Fiアドレス」が「オフ」になっていると警告が表示されます。」としています(【Wi-Fiルーター】iPhoneをWi-Fi接続すると「プライバシーに関する警告」が表示される)。Appleも、この警告の例に「お使いのデバイスでネットワークのプライベートWi-Fiアドレスが無効になっている」を挙げています(Wi-FiルーターとWi-Fiアクセスポイントの推奨設定)。
Android(ランダムMAC)
Googleの開発者向け資料は「ユーザーは [設定] の [ネットワークの詳細] 画面のオプションを使用して、個々のネットワークに対して MAC ランダム化を有効または無効にできます。」としています(MAC アドレス ランダム化の動作)。画面の名前は機種とAndroidの版で違うので、ここではNECがGoogle Pixelで、バッファローが一例として案内している手順を並べます。
- STEP
「ネットワークとインターネット」→「インターネット」を開く
設定アプリを開き、「ネットワークとインターネット」→「インターネット」をタップします。古い版では「インターネット」が「Wi-Fi」になっています。
- STEP
オフにしたいWi-Fiを選ぶ
Wi-Fiの名前(または横の歯車)をタップして、そのWi-Fiの詳細を開きます。
- STEP
「プライバシー」で「デバイスのMACを使用」を選ぶ
下へスクロールして「プライバシー」をタップし、「デバイスのMACを使用」を選びます。機種によっては「詳細設定」の中にあります。「保存」や「接続」のボタンがあればタップします。
メーカーによっては、項目の名前がまったく違います。たとえばTP-Linkは、Androidの手順として「詳細設定」→「MACアドレスタイプ」で「端末のMAC」を選ぶ形を載せ、端末のメーカーによってメニューや表記に揺れがあると断っています(新しい端末の接続通知が頻繁に表示される場合や、保護者による制限をすり抜けてしまう場合)。見つからないときは、設定アプリの検索で「MAC」と入れてみてください。
この設定はWi-Fiの名前ごとです。ギガぞうも「上記の設定変更はご利用するSSIDごとに必要です。」としています。2.4GHzと5GHzでWi-Fiの名前が分かれているなら、両方の名前で切り替えます。
Windows(ランダムなハードウェア アドレス)
NECの案内のとおり、WindowsはWi-Fiにつないでもこの機能を自動では有効にしません。困るのは、以前自分でオンにした覚えがある場合です。
Microsoftは「ランダム ハードウェア アドレスを使うためのコントロールは 2 つあります。1 つはすべての Wi-Fi ネットワーク用、もう 1 つは指定した特定の Wi-Fi ネットワーク用です。」としています(Windows で Wi-Fi ネットワークに接続する)。両方を確かめます。
- Windows 11: 「設定」→「ネットワーク & インターネット」→「Wi-Fi」→「既知のネットワークの管理」で、そのWi-Fiを選び、「ランダム ハードウェア アドレス」をオフにします。すべてのWi-Fi用のスイッチは、「Wi-Fi」の画面にあります。
- Windows 10: 「設定」→「ネットワーク & インターネット」→「Wi-Fi」→「既知のネットワークの管理」で、そのWi-Fiを選び、「プロパティ」の「このネットワークにランダムなハードウェア アドレスを使用する」をオフにします。すべてのWi-Fi用の「ランダム ハードウェア アドレスを使用する」は、「Wi-Fi」の画面にあります。
Mac(プライベートWi-Fiアドレス)
macOS Sequoia 15以降のMacでは、Appleの案内によると、アップルメニューから「システム設定」を選び、サイドバーの「Wi-Fi」でネットワーク名の横の「詳細」ボタンをクリックします。「プライベートWi-Fiアドレス」の横のメニューから「オフ」を選びます(Appleの案内)。
NECの手順では、このあと確認が出るので「オフにする」を押し、最後に「OK」を押します(macOS(v26.x/v15.x)でプライベート Wi-Fiアドレスを停止する手順)。
ランダム化をオフにしてよいWi-Fi、しないほうがよいWi-Fi

Appleは「プライバシーを強化するため、対応しているすべてのネットワークで「プライベートアドレス」をオンのままにしてください。」としています(iPhoneのユーザガイド)。オフにするのは、困っているWi-Fiだけにします。
ランダム化が狙っているのは、Wi-Fiを運営する事業者や周りの観測者に、番号で行動を結び付けられにくくすることでした。それを踏まえると、Wi-Fiの種類ごとに次のように考えられます。
| Wi-Fi | オフにするか | 考え方 |
|---|---|---|
| 自宅のWi-Fi | 困っていればオフにしてよい | 番号を見るルーターを管理しているのは自分。利用時間制限などを使うなら、オフにするか、「オフにせずに済ませる方法」の囲みの手を試す。オフにするとiPhoneに警告が出る |
| 会社・学校のWi-Fi | 管理者の指示に従う | 登録した番号でつながせる仕組みがある。「会社・学校のWi-Fiでランダム化が困るとき」で扱う |
| カフェ・駅・ホテルなどの公衆Wi-Fi | 原則オンのまま | 番号を見るのは知らない事業者。自動ログインを使いたいときだけ、便利さとの引き換えを考える |
公衆Wi-Fiでも、事業者がオフを案内していることがあります。ギガぞうは、Android端末では、自動再認証を使うならランダム化を切るよう案内しています。オフにすると、そのWi-Fiには端末本来の番号がそのまま見えます。本来の番号は、オフにしたWi-Fiどうしで同じ番号になります。自動でつながる便利さと、番号で追われにくいこととの引き換えなので、よく使うWi-Fiかどうかで決めてください。
自宅のルーターの利用時間制限などは、ランダム化をオフにしなくても使えることがあります。iPhoneならそのWi-Fiを「オフ」ではなく「固定」にしておき、スマホがそのWi-Fiで使っている番号のほうを、ルーターに登録する方法です。オフにしないので、オフにしたことによるプライバシーの警告は出ません。
ルーターのメーカーにも、この形を案内しているところがあります。Linksysは「固定」について「このオプションをお勧めします。」としています(Linksysの案内)。I-O DATAも、MACアドレスで絞っている場合は「「固定」を選択し、MACアドレスフィルターには「プライベートWi-Fi アドレス」の下の「Wi-Fiアドレス」に表示されるMACアドレスを設定してください。」としています(I-O DATAの案内)。
TP-Linkは「デバイスがプライベートアドレスを使用している場合は、コントロールリストに追加することを忘れないでください。」と書いています(TP-Linkの案内)。Googleも、Androidについて「保護者による使用制限をネットワークに設定する場合は、両方の MAC アドレスを含めます。」としています(Android スマートフォンでネットワークの詳細設定を管理する)。ここでの「両方」は、端末本来の番号と、そのWi-Fiで使う番号のことです。
番号を見る場所は、「会社・学校のWi-Fiでランダム化が困るとき」の表の「そのWi-Fiで使う番号」の列です。
ただし、そのWi-Fiの設定を削除したり、ネットワーク設定をリセットしたりすると、iPhoneの番号は変わります。そのときは登録し直しが要ります。「ローテーション」のWi-Fiでは2週間ごとに変わるので、この方法は向きません。また、NECは「こども安心ネットタイマー」などについて、ランダム化を無効にしてから設定するよう案内しています。使っているルーターのメーカーの案内に合わせてください。
会社・学校のWi-Fiでランダム化が困るとき
会社や学校では、「使う端末のMACアドレスを登録してください」と求められることがあります。このとき迷いやすいのが、登録する番号がどれかです。
スマホには、番号が2か所に出ています。鳥取大学の案内が、両方の場所を並べています(MACアドレスの確認方法(iPhone/Android))。
| 機器 | 端末本来の番号 | そのWi-Fiで使う番号 |
|---|---|---|
| iPhone | 「一般」→「情報」の「Wi-Fiアドレス」 | 「Wi-Fi」でネットワーク名の横の「i」を開いた画面の「Wi-Fiアドレス」 |
| Android | 「デバイス情報」などの「Wi-Fi MACアドレス」 | そのネットワークの詳細にあるMACアドレスの欄(Googleの案内では「ランダム MAC アドレス」) |
iPhoneは、どちらも「Wi-Fiアドレス」という同じ名前で出るので取り違えやすいところです。鳥取大学は「プライベートWi-Fiアドレスが固定もしくはローテーションとなっている場合は、ランダムなMACアドレスが有効になっているため、その下の「Wi-Fiアドレス」の記載が利用されるMACアドレスとなります。」としています。ここでの「その下」は、「i」を開いた画面で「プライベートWi-Fiアドレス」の項目のすぐ下、という意味です。
Windowsのパソコンは、ランダムなハードウェア アドレスを自分でオンにしていなければ、コマンドプロンプトで「ipconfig /all」を実行し、Wi-Fiのアダプターの項目(「Wireless LAN adapter Wi-Fi」)にある「物理アドレス」を登録します。「物理アドレス」は有線LANなどのアダプターの数だけ並ぶので、項目を取り違えないようにします(ギガぞうもWindows 8/8.1の手順でこの項目を案内しています。MACアドレスの確認方法(iOS,Android,Windows10,macOS,Nintendo Switch))。コマンドの見方はipconfigの記事で説明しています。
どちらの番号を登録してもらうかは、大きく2つの方式に分かれます。管理する人が決めるときは、次の違いで比べます。
| 方式 | 登録する番号 | 番号が変わるとき | iPhoneの表示 |
|---|---|---|---|
| ランダム化はオンのまま(iPhoneは「固定」) | そのWi-Fiで使う番号 | iPhoneはそのWi-Fiの設定の削除・ネットワーク設定のリセットのとき。Androidは出荷時の設定にリセットするまで変わらない | オフにしたことによる警告は出ない |
| そのWi-Fiだけランダム化をオフ | 端末本来の番号 | オフのままなら変わらない | プライバシーの警告が出る |
どちらの方式でも、スマホを替えたときは登録し直しが要ります。ランダム化をオンのまま登録する方式では、2.4GHzと5GHzでWi-Fiの名前を分けていると、名前ごとに番号が違うことがあるので、つなぐWi-Fiの名前ごとに登録してもらいます。
使う人の側は、どちらの番号を登録するかについて、組織の決まりに従ってください。
端末をまとめて管理している組織向けには、Appleは「Wi-Fi MDM設定を使って、社内のWi-Fiネットワークについてはデバイスのプライベートアドレス設定を無効に切り替える。」という選択肢も挙げています(Appleの管理者向けの説明)。会社が配った端末で設定を変えられないときは、情報システムの担当者に相談してください。
まとめ
この記事では、MACアドレスのランダム化について、困る場面の見分け方と、その Wi-Fi だけオフにする方法を解説しました。
- いまのスマホは、Wi-Fiごとに別のMACアドレスを名乗る。つなぐたびに変わるわけではないが、iPhoneではWi-Fiの設定を削除したときなどに変わる
- 困るのは、ルーターやWi-Fiが端末を番号で覚えている機能を使うとき。利用時間制限、接続機器の一覧と通知、公衆Wi-Fiの自動ログインで起きやすい。直すときは、ルーターの登録とスマホの番号を見比べ、変えたらルーター側も登録し直す
- オフにするなら、困っているWi-Fiだけ。iPhone・Android・Windows・Macのどれも、Wi-Fiごとに切り替えられる
- 自宅のルーターなら、iPhoneを「固定」のままにしてそのWi-Fiで使う番号を登録し、オフにせずに済ませられることもある(ルーターのメーカーの案内に合わせる)
- 会社・学校で登録を求められたら、どちらの番号を登録するかは組織の決まりに従う。iPhoneは「Wi-Fiアドレス」が2か所にあるので取り違えに気をつける
「ルーターの設定は合っているのに、このスマホだけ」というときは、ルーターを疑う前に、スマホのWi-Fiの詳細を1度開いてみてください。
MACアドレスそのもの、接続機器の見分け方、公衆Wi-Fiのログイン画面、IPアドレスを配るDHCPの仕組みは、次の記事にまとめています。
参考: Apple製デバイスでプライベートWi-Fiアドレスを使う(Apple サポート)
参考: MAC アドレス ランダム化の動作(Android Open Source Project)
参考: Windows で Wi-Fi ネットワークに接続する(Microsoft Support)
参考: 無線LAN端末のMACアドレスを自動で変更されないようにしたい(スマートフォン・タブレットのランダムMAC・プライベート Wi-Fiアドレスを停止したい)(NEC Aterm)




