クラウドサービスの乗り換え|データの移行で確認する5つのこと

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「いま使っているクラウドサービス、別のものに替えられないか調べておいて」——そう言われて検索すると、出てくるのはデータ移行ツールの紹介や、システム担当者向けの手順書ばかりです。

読んでいるうちに、こう思ったのではないでしょうか。「そもそも、いま入れてあるデータは持ち出せるのだろうか」と。

実は、データ移行の成否は作業そのものより前の段階でほぼ決まります。データを書き出せる(エクスポートできる)ことと、書き出したものが次のサービスで使えることは、別の話だからです。

引っ越しにたとえると分かりやすくなります。荷物を箱に詰められることと、その箱が新しい家の玄関を通ることは、別々に確かめないといけません。

この記事で確認するのは、①データを取り出せるか ②取り出したものが次で開けるか ③何が移らないか ④ちゃんと移ったか ⑤旧いほうをいつ止めるかの5つです。専門の知識がなくても確かめられることを中心にまとめます。

なお、メールの移行だけは確かめることが大きく違うので、別の記事にまとめてあります。ここではファイルや表など、メール以外のデータを扱います。

データを取り出せる(エクスポートできる)かは、サービスごとに決まっている

同じ大きさの箱が2つ横に並んでいる図解。上に「データを取り出せるかは、サービスごとに決まっている」、左の箱は前面の開口部から書類が3枚まとめて出ていて下に「まとめて書き出せる」、右の箱は開口部がなく脇に書類が1枚だけ置かれ下に「1件ずつしか出せない」と書かれている。

最初に確かめるのは、たった1つです。いま使っているサービスに「データをまとめて書き出す機能」があるか

画面から1件ずつコピーして貼り付ける、という方法しか無いのであれば、それは実質「持ち出せない」と考えたほうが安全です。件数が増えれば人手では終わらないからです。

書き出す機能は、サービスによって呼び名が違います。サービスのヘルプで「エクスポート」「データのダウンロード」「一括ダウンロード」「バックアップ」の4語を順に検索してみてください。どれかで見つかれば、その機能があります。

この記事では例としてGoogleとMicrosoftの公式の案内を引きますが、確かめ方はどのサービスでも同じです。お使いのサービスの名前に置き換えて読んでください。

Googleの場合は「Google データ エクスポート」という専用の画面が用意されています。GoogleはGoogle データをダウンロードする方法で、メール・ドキュメント・カレンダー・フォトなどを書き出せると案内しています。

ただし、この画面を自分で開けるかどうかは、会社の契約のしかたで変わります。個人で使っているアカウントなら自分で操作できますが、会社がまとめて契約している場合は、管理者が許可していないと使えないことがあります。

そのときは、一人ひとりが自分の分を書き出すのか、管理者がまとめて書き出すのかを、先に決めておくことになります。誰の作業になるかが、ここで分かれます。

そのうえで、意外に見落とされる点が2つあります。

書き出す前に知っておくこと

期間を選べないことがある … Googleは同じページで「現時点では、エクスポートするデータの期間を指定することはできません」と書いています。「去年の分だけ」という取り出し方はできず、全部かゼロか、になります。

書き出しても、元のデータは消えない … 「重要: Google データをダウンロードしても、Google のサーバーからデータが削除されるわけではありません」とも書かれています。書き出しと解約は別の操作です。

そして、書き出しは「押したらすぐ終わる」ものではありません。日数の見当を付けておかないと、解約の日から逆算できません

会社でまとめて契約している場合について、Googleは組織のすべてのデータを書き出すでこう案内しています。

実際の書き出しが開始されるのは、書き出し処理の開始から 48 時間後になります。(中略)データの書き出しは通常 72 時間ほどで完了しますが、書き出すデータ量によっては最長で 14 日ほどかかる場合があります。

始まるまでに2日、終わるまでにさらに3日。合わせて1週間はみておく、というのがこの案内から読み取れる目安です。量が多ければ2週間かかることもあります。

⚠ これはGoogleが自社について書いている日数です。他のサービスの日数は、そのサービスのヘルプで確かめてください。ただ「数日で終わるとは限らない」という点は、逆算するうえで押さえておく価値があります

解約するとデータがどうなるか、書き出しと解約の順番については、こちらにまとめてあります。

では、探しても書き出す機能が見つからなかったときはどうすればよいのでしょうか。

書き出す機能が見つからなかったら

まず、サービスの窓口に「データの一括書き出しはできますか」と聞く。画面に出ていないだけで、申し込めば対応してくれることがあります。

次に、件数を数える。1件ずつ手で写すしかない場合、判断の分かれ目は件数です。数十件なら人手でも終わりますが、数千件なら現実的ではありません。

それでも出せないなら、乗り換えの判断材料が1つ決まります。「今のデータは持っていけないので、新しいサービスは新しい分だけを入れて、古い分は今のサービスを参照用に残す」という選び方になります。上司に報告するときは、この形で伝えると話が進みます。

取り出せることを確かめたら、次は「取り出したものが、移る先で使えるか」です。

書き出したデータが、次のサービスで開けるとは限らない

幅の広い平たい板と、それよりずっと小さい丸い輪が接している図解。上に「書き出せることと、次で開けることは別」、板の上端から書類が3枚のぞいていて下に「書き出したデータ」、丸い輪の下に「移る先の入口」と書かれている。

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。

冒頭で「荷物が新しい家の玄関を通るか」と書きました。上の図は、その玄関を丸い穴に、荷物を平たい板に描いたものです。板そのものは立派でも、穴の形に合わなければ入りません

書き出したデータは、必ず何らかのファイルの形式で出てきます。そしてその形式を、移る先のサービスが受け取れると決まっているわけではありません

Googleは先ほどのページで、形式の選び方についてこう書いています。

どの形式を選べばよいかは、サービス、データの種類、データの用途によって決まります。Google は、最も便利で移行しやすいと考えられる形式を選択しています。たとえば連絡先の場合は、メール プロバイダにごく一般的に使われている vCard として書き出します。

読み取ってほしいのは「最も便利で移行しやすいと考えられる」という書き方です。出す側が「たぶんこれなら通じるだろう」と選んでいるのであって、受け取る側が対応していると保証しているわけではありません

同じページには、書き出したファイルを開くときの注意も書かれています。ファイルをまとめる形式は .zip.tgz の2つから選ぶのですが、後者についてはこうあります。

Windows で tgz ファイルを開くには、別のソフトウェアが必要となる場合があります。

書き出しは成功しているのに、手元のパソコンでは開けない。これが「書き出せる」と「使える」が別だということの、いちばん分かりやすい例です。迷ったら .zip を選んでください。Googleも「zip ファイルはほとんどのパソコンで開くことができます」と書いています。

では、どうやって確かめればよいのでしょうか。順番はこうです。

  1. いまのサービスのヘルプで、書き出すとどの形式のファイルが出るかを調べる
  2. 移る先のサービスのヘルプで、その形式を受け入れる(インポートできる)と書いてあるかを調べる
  3. 書いていなければ、移る先の窓口に問い合わせる

2番目が肝心です。確かめる相手は、いま使っているサービスではなく、これから使うサービスのほうです。荷物が玄関を通るかどうかを知っているのは、引っ越し元ではなく引っ越し先だからです。

なお、会計や勤怠などの業務ソフトでも考え方は同じです。出てくるのはCSVのようなファイルで、それを次のソフトが受け取れるかどうかが分かれ目になります。

では、移る先が「受け取れない」と分かったらどうするか。ここで乗り換えの可否が決まります。

移る先が受け取れないと分かったら

①移る先を変えられないか見る。受け取れる形式はサービスごとに違います。候補が複数あるなら、ここが選定の基準になります。

②形式を変換してもらえないか聞く。移る先の窓口に「この形式のファイルがあるのですが」と現物を見せて相談します。移行の代行を用意しているサービスもあります。

③それでも駄目なら、過去の分は運ばない。新しいサービスは今日から先の分だけを入れ、過去の分は書き出したファイルのまま社内に保管します。「乗り換えられない」ではなく「過去の分は形を変えて残す」という判断です。

⚠ ①〜③のどれになるかで、必要な日数も費用も変わります。上司に報告するときは、②の返事を待ってからのほうが話が早いです。

移らないデータがある

左に吹き出しと鍵と鎖の輪が同じ大きさで横一列に並び、その右に大きな右向きの矢印、矢印の先の上に書類の束がある図解。上に「移らないデータがある」、3つのものの下に「元のサービスに残るもの」、書類の下に「移るもの」と書かれている。

書き出しがうまくいって、次のサービスにも読み込めた。それでも元のサービスに置き去りになるものがあります

本や書類にたとえるなら、運ばれるのは中身だけで、付箋やメモ書き、貸出カードは付いてこない、というイメージです。

置き去りになりやすいものを、次の3つの節に分けて見ていきます。

本文とは別に扱われるものがある(コメントと更新の履歴)

いちばん気づきにくいのが、コメントです。

資料に付けた「ここ直しました」「この数字は確認中です」というやりとりは、本文とは別のものとして保存されています。

Googleはファイルを作成、表示、ダウンロードするで、ファイルのコピーを作るときの操作をこう案内しています。

ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーション、動画からコメントをコピーする場合は、[コメントと提案をコピーする] をクリックします。

裏を返せば、同じサービスの中でコピーするときですら、明示的に選ばないとコメントは付いてきません。別のサービスへ移すなら、なおさら黙って付いてくるとは考えないほうが安全です。

「誰が、いつ、どこを直したか」という更新の履歴も、本文とは別に持たれている情報です。書き出したファイルには、その時点の姿だけが写っていると考えておくほうが安全です

この点が問題になるかどうかは、仕事の中身で決まります。

履歴が要るかどうかの目安

要らないことが多い … 完成した資料、配布済みの案内、単なる保管用のファイル。

要ることがある … 「いつ承認したか」を後から示す必要がある書類、複数人で直しながら作っている途中の資料。

後者に当たるものがあるなら、移す前に PDF などで別に残しておくと、あとで困りません。

持ち主(オーナー)を変えても、思ったとおりには渡らない

ファイルには「誰が開けて、誰が直せるか」という設定が付いています。これも中身とは別のものです。

この設定が書き出したデータに付いてくることはありますが、移る先がそれをそのまま読み取れるとは限りません。移った先では、設定を作り直す前提で考えておくほうが安全です。

そして、同じサービスの中で持ち主を変えるときですら、思ったとおりにいかないことがあります。Googleはファイルのオーナーを他のユーザーにするで、はっきりこう書いています。

フォルダのオーナーを他のユーザーにした場合にも、フォルダ内のファイルのオーナーは自分のままとなります。

フォルダごと渡したつもりでも、中のファイルは渡っていないということです。退職する人の担当を引き継ぐ場面などで、実際によく起きます。

同じページには、渡せる相手にも条件があると書かれています。

  • 「オーナー権限を譲渡できるのは、ファイルやフォルダの共有相手のみです」
  • 職場や学校のアカウントでは「ファイルやフォルダのオーナー権限は、組織内のユーザーにのみ譲渡できます」
  • 個人の Google アカウントから職場または学校のアカウントを使用しているユーザーには、ファイルのオーナー権限を譲渡できません

3つ目は、乗り換えの場面でとくに効いてきます。個人で使っていたものを会社のアカウントにまとめたい、という移し方は、この方法ではできません。書き出して読み込む形になります。

ここまでは同じサービスの中の話ですが、乗り換えのときに効くのは「渡したつもりで渡っていない」という点です。

退職する人の担当を引き継ぐとき、担当者のフォルダをまとめて別の人に渡し、そのうえで古いアカウントを消す——という順で作業すると、中のファイルは渡っていないまま消えることになります。移す前に、フォルダではなく中のファイルの持ち主が誰かを見てください。

配ってあった共有リンクは切れる

取引先に「こちらをご覧ください」とURLを送ったことはないでしょうか。あの共有リンクは、いま使っているサービスの中の住所です。

データを移しても、そのURLが新しいサービスを指すようになるわけではありません。元のファイルを消せば、相手の画面からも消えます

Googleはドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーション、動画を削除するで、こう書いています。

自分が所有する共有のドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーション、動画を削除すると、そのファイルは共同編集者の Google ドライブからも完全に削除され、共同管理者はそのファイルにアクセスできなくなります。共同編集者が引き続きファイルにアクセスできるようにするには、ファイルを削除する前に、オーナー権限を他のユーザーに譲渡してください。

自分の手元から消えるだけでなく、共有していた相手の手元からも消えると書かれています。乗り換えのときに困るのは、この「相手側」のほうです。

そこで、移す前に一度だけ棚卸ししておくと安全です。

  • 社外に配ったリンクはあるか(見積書、資料、写真の共有など)
  • 社内の別のところから貼られていないか(案内メール、掲示板、マニュアル)
  • あるなら、新しいリンクを配り直す相手を先に決めておく

配り直すときに送るのは、新しいサービスで作り直したリンクか、ファイルそのもの(添付)のどちらかです。相手が一度きりしか見ないものなら、添付で送ってしまうほうが後の手間がありません。

元のファイルをまだ消していないなら、間に合います。上の引用のとおり、相手の画面から消えるのはこちらが消したときです。配り直しが済むまで、旧いほうのファイルは消さないでください。

ここまでが「何が移らないか」です。次は、移したものが本当に移ったかを確かめます。

移したあとに、データを確かめる

上にふたの開いた箱と書類、その下にそろばんと書類のはさまったフォルダと虫めがねが同じ大きさで横一列に並んでいる図解。上に「移したあとに、データを確かめる」、3つのものの下にそれぞれ「数を数える」「中を開く」「文字化けを見る」と書かれている。

移し終わった直後は、いちばん気がゆるむところです。ですがここで確かめておかないと、旧いほうを止めたあとに気づくことになります

難しいことをする必要はありません。数を数える・中を開く・文字化けを見るの3つです。上の図の箱が移し終えたデータ、その下の3つがこれから使う道具だと思ってください。

移す前に数を控えて、移した後に数える

移す前に件数を控えておいて、移したあとに同じ数かを見ます。

フォルダの中のファイル数、表の行数など、数えられるものなら何でも構いません。1つでも数が合わなければ、そこから先を調べる理由になります

数が減る理由は、故障ばかりではありません。GoogleはGoogle データをダウンロードする方法で、書き出しについてこう注意しています。

重要: ダウンロードをリクエストしてから、アーカイブを作成するまでの間にデータに加えられた変更は、データファイルに含まれない場合があります。

書き出しには時間がかかるので、その間に足したものは入らないことがあるということです。同じページには「削除処理中のデータ(マイ アクティビティの項目、写真、ドキュメントなど)はアーカイブには含まれません」という記載もあります。

もうひとつ、数が合わない原因になりやすいのがファイルの分割です。Googleは「選択した上限サイズを超えるアーカイブは複数のファイルに分割されます」と書いています。1つ目だけを開いて「少ない」と判断しないよう気をつけてください

中を開いてみる(どの3つを開けばよいか)

数が合っていても、中身が空という場合があります。

全部を開く必要はありません。いちばん古いもの・いちばん新しいもの・いちばん容量の大きいものを1つずつ、実際に開いてみてください。

この3つを選ぶのには理由があります。

開くものそこで分かること
いちばん古いもの古いデータが途中で切られていないか
いちばん新しいもの書き出しの直前の変更が入っているか
いちばん大きいもの容量の上限に引っかかっていないか

資料に写真や添付が付いているなら、それも開いて表示されるかまで見ます。ファイル名だけ残って中身が失われていることがあるためです。

文字化けしていないか見る(ファイル名と人の名前)

最後は、日本語が文字化けしていないかです。

見るのは本文だけではありません。ファイル名と、人の名前や会社名が入っている欄を見てください。本文が正しくても、この2つが崩れることがあります。

実際、Googleは書き出しの形式について、ファイル名に関わる注意を明記しています。

注: tgz アーカイブの解凍には特殊なソフトウェアが必要になる場合があります。これらのファイル形式は、ファイル名に Unicode 文字を使用できないので注意が必要です。

この注は、tgz の解凍についての説明に続けて書かれています。ただ原文は「これらのファイル形式は」と複数で書いており、どの形式までを指すのかは読み取れません

ですので断定はしません。日本語のファイル名を使っているなら、書き出したあとに名前が崩れていないかを必ず見てください。確かめ方は後の節に書きます。

人の名前は、崩れても気づかれにくいのが厄介なところです。取引先の担当者名が1文字違っていても、画面上では違和感がありません。自分がよく知っている名前を数件選んで、目で確かめてください

確認した結果は、記録に残す

「移す前は何件だったか」「どのファイルを開いて確かめたか」を、メモでよいので残しておきます。

次の節で「旧いほうを止めてよいか」を決めるときに、そのまま判断の材料になります。

ここで確かめた3つに、前の節で出てきた宿題(コメントや履歴を別に残す・共有の設定を作り直す・リンクを配り直す)を足したものが、そのまま次の節のチェックリストになります。

解約するのは、データの確認が終わってから

閉じた南京錠の下に、チェックマークの入った丸が4つ横一列に並んでいる図解。上に「解約するのは、確認が終わってから」と書かれている。

最後は、解約のボタンを押すタイミングです。

「移行が終わったら解約」と考えがちですが、移行が終わった時点と、止めてよい時点は同じではありません

その前に、言葉を2つに分けておきます。「解約する」と「自動更新を止める」は別の操作で、データへの影響がまったく違います。

MicrosoftはMicrosoft 365 管理センターで Microsoft ビジネス サブスクリプションを取り消す(法人向けの契約についてのページです)で、自動更新を止めた場合をこう書いています。

継続請求をオフにすることにより、期間の終了時にサブスクリプションを更新できなくなります。サブスクリプションの残りの部分については、製品とサービスに引き続きアクセスできます。

つまり自動更新を止めても、契約の期間が終わるまでは今までどおり使えます。今月末に更新日が迫っているなら、まず自動更新を止めておけば、期間の残りを確認の時間に使えます。

いっぽう「解約」はこれと違います。同じページには、解約の前にやることがこう書かれています。

解約が有効になると、ユーザーはデータにアクセスできなくなります。サブスクリプションを解約する前に、ユーザーに OneDrive for Business または SharePoint Online のファイルを別の場所に保存するように伝えます。残された顧客データは 30 日後に削除され、解約後、180 日以内に削除されます。

注目してほしいのは、解約が有効になった時点でアクセスできなくなると書かれている点です。契約の期間が残っていても、解約してしまえば中を見に行けません。ここが自動更新を止める場合との違いです。

30日と180日という2つの数字は、消えるまでの幅を表しています。30日を過ぎたら消えることがあり、遅くとも180日で消える、という読み方です。31日目に消えていても、この案内どおりということになります。

なお、これはMicrosoftが自社の法人向け契約について書いている日数で、しかも解約を起点にした数字です。同じページでは、解約の手続きや返金の条件が契約の種類や購入経路で変わるとも説明されています。他のサービスにも同じ日数が当てはまると考えないでください

書き出したファイルの置き場所にも、期限があります。しかも個人で使う場合と、会社でまとめて書き出す場合とで日数が違います

どちらの案内か書き出したものが消えるまで
個人のアカウント向け「アーカイブは 7 日程度で期限切れになります」
会社でまとめて書き出す場合(管理者向け)「書き出されたデータは、書き出しから 60 日後に自動的に削除されます」

出典は前者がGoogle データをダウンロードする方法、後者が組織のすべてのデータを書き出すです。自分がどちらの立場かで見る数字が変わります。

個人向けのページには、さらにこんな注意も添えられています。

注: Google ドライブを使用していて、Google アカウントを削除する予定である場合は、アカウントを削除する前にアーカイブを別の保存領域に移動する必要があります。

書き出したデータを、そのサービス自身の中に置いたままにしないということです。引き払う家の物置に荷物を入れたまま鍵を返す、という形にならないよう気をつけてください。

以上をふまえると、止めてよいかどうかは次のように判断できます。

ここまでの節で確かめたことが、そのままチェックリストになります。この記事で調べてもらったものが、全部ここに並びます

この7つが終わっていれば、解約してよい

【移したデータの確認】

①数が合っている … 移す前に控えた件数と、移した後の件数が一致している。

②中が開ける … いちばん古いもの・新しいもの・大きいものを開いて、中身があった。

③文字化けしていない … ファイル名と、知っている人の名前が正しく出ている。

【移らなかったものの始末】

④要るコメントや履歴を、別に残した … 後から示す必要があるものだけで構いません。

⑤「誰が見られるか」を、移った先で作り直した … 社内で見えない人・見えてはいけない人がいないか。

⑥配ってあったリンクを、配り直した … 社外に出したものが残っていないか。

【書き出したファイルの置き場所】

⑦書き出したファイルが、旧いサービスの外にある … 手元のパソコンや社内の保管場所に置いてある。

1つでも残っていれば、まだ解約しない

7つのうち、確かめていないものが1つでもあるなら、解約のボタンはまだ押さないでください。

解約したあとでは、確かめること自体ができなくなります。Microsoftが書いているとおり、解約が有効になった時点でアクセスできなくなるからです。

更新日が迫っているなら、先に自動更新だけを止めて、期間の残りで7つを片づけるのが安全です。

期間が残っているうちに解約すると損に思えるかもしれませんが、残りの期間ぶんの料金と、データを取り戻せない事態とでは、重さが違います。急がないほうが安全です。迷ったら、まず自動更新だけを止めてください。

まとめ

この記事では、クラウドサービスを乗り換えるときにデータをどう移すかを、確認する順番にそって説明しました。

確認することどこで確かめるか
①データを取り出せるかいま使っているサービスの設定画面・ヘルプ
②取り出したものが次で開けるか移る先のヘルプ(その形式を受け入れると書いてあるか)
③何が移らないかコメント・履歴・持ち主(オーナー)と共有の設定・配ってあるリンク
④ちゃんと移ったか数を数える・中を開く・文字化けを見る
⑤いつ解約するか本文のチェックリスト7つが全部終わってから(③で出た宿題も含みます)

作業そのものは詳しい人に頼むことになっても、この5つは頼む前に確かめておけます。とくに②は、乗り換えができるかどうかを左右します。

社内に詳しい人がいない場合、どこまでを自分でやるかの目安は次のとおりです。

自分で確かめられること詳しい人・窓口に頼むこと
書き出す機能があるか(ヘルプを4語で検索)実際の書き出しと読み込みの作業
移る先がその形式を受け入れると書いてあるか形式が合わないときの変換・移行の代行
移す前の件数を控える/移した後に数える件数が合わないときの原因調べ
中を開く・文字化けを見る—(開くだけなので自分でできます)
配ってあるリンクの棚卸し—(社内の事情を知っている人にしか分かりません)

頼むときは、「①書き出せるか ②移る先が受け取れるか、を調べたうえで依頼したい」と伝えると話が早く進みます。この2つが決まらないと、頼まれた側も見積もりが出せません。

そして、いちばん強い味方は時間です。書き出しにも、確認にも日数がかかります。解約の期限から逆算して、早めに始めてください。

サービスをやめたあとにデータがどうなるか、クラウドに置くこととバックアップの違い、そしてメールを移す場合の確認事項は、それぞれこちらにまとめてあります。

参考: Google データをダウンロードする方法(Google アカウント ヘルプ)

参考: ファイルのオーナーを他のユーザーにする(Google ドライブ ヘルプ)

参考: 組織のすべてのデータを書き出す(Google Workspace 管理者 ヘルプ)

参考: Microsoft 365 管理センターで Microsoft ビジネス サブスクリプションを取り消す(Microsoft Learn)

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