インターネットを使う上で、自宅や会社のネットワークを支える「黒い箱」の正体、気になったことはありませんか?
「リピータハブ」という言葉を聞いたことがあるけれど、いまいち何なのか分からない…そんな方のために、今回はネットワーク初心者の方でも理解できるよう、リピータハブについて徹底解説します。
目次
リピータハブとは?

リピータハブは複数のコンピュータをつなぐための基本的なネットワーク機器です。
コンピュータ同士が通信するためには、何らかの方法で接続する必要があります。
リピータハブはその接続を可能にする装置の一つです。
例えば、4台のパソコンがあり、それぞれがインターネットにアクセスしたい場合、各パソコンをリピータハブにつなぐことで、すべてのパソコンが通信できるようになります。
リピータハブは、複数の機器を「つなぐ」ための橋渡し役として機能する基本的なネットワーク機器なのです。
リピータハブはリピータとハブが一体化した機器

「リピータ」と「ハブ」は本来別の機能ですが、一般的には一体化して「リピータハブ」と呼ばれています。
リピータは信号を増幅して遠くまで届かせる機能を持ち、ハブは複数の機器を接続する分岐点としての機能を持ちます。
これらの機能が組み合わさったものがリピータハブです。
電気信号は長い距離を伝わると弱くなりますが、リピータ機能がその信号を増幅します。
同時に、ハブ機能によって1つの入力信号を複数の出力ポートに分配します。
リピータハブは信号を「増幅」し、複数の機器に「分配」するという2つの役割を果たしています。
リピータハブの仕組み

リピータハブの動作原理はとてもシンプルです。
どこか1つのポートから入ってきたデータは、そのまま他のすべてのポートに送信されます。
これを「ブロードキャスト」方式と呼びます。
例えば、パソコンAからパソコンBへデータを送りたい場合、パソコンAからリピータハブに送られたデータは、パソコンBだけでなく、接続されている他のすべての機器にも送られます。
受け取った側は、自分宛てのデータだけを処理する仕組みになっています。
リピータハブは「聞いたことをみんなに伝える」という単純な仕組みで動作しており、特別な判断や管理機能はありません。
リピータハブとスイッチングハブの違い

リピータハブは古い世代のネットワーク機器で、現在はより高性能な「スイッチングハブ」が主流です。
リピータハブはすべてのポートにデータを送るため、ネットワーク上の通信量(トラフィック)が増えると効率が悪くなります。
一方、スイッチングハブは宛先を判断して、必要なポートにだけデータを送ります。
10人の人がいる部屋で、一人が「太郎さんへのメッセージがあります」と叫ぶと、太郎さん以外の9人も聞くことになりますが(リピータハブ方式)、それぞれのメッセージを直接本人に届ける(スイッチングハブ方式)方が効率的です。
スイッチングハブはリピータハブの進化版で、宛先を認識する「賢さ」があるため、より効率的にデータを伝送できます。
リピータハブのメリットとデメリット
リピータハブには単純さゆえのメリットもありますが、現代のネットワーク環境では大きなデメリットがあります。
構造がシンプルで安価という利点がある一方、すべてのデータを全ポートに送信するため、通信の衝突や遅延が起きやすくなります。
- 構造がシンプルで壊れにくい。
- 価格が安い
- 設定が不要で誰でも使える。
- 通信効率が悪い。
- ネットワークが混雑しやすい。
- セキュリティ面で弱点がある。
少人数の家庭や小規模なオフィスで、ごく基本的なネットワークを構築するなら使えますが、ほとんどの場合はスイッチングハブの方が適しています。
リピータハブは必要?今買うならスイッチングハブ!

現在の一般家庭でネットワーク機器を新たに購入するなら、リピータハブではなくスイッチングハブを選ぶべきです。
現代のインターネット利用環境では、動画視聴やオンラインゲームなど大容量データのやり取りが一般的になり、効率的なデータ転送が求められます。
価格差もほとんどなくなっています。
Amazon等のネット通販で「ネットワークハブ」と検索すると、ほとんどがスイッチングハブで、リピータハブを見つけるのが難しいほどです。
1,000円台からスイッチングハブは購入できます。
新規にネットワーク機器を購入するなら、リピータハブではなくスイッチングハブを選びましょう。
リピータハブから買い替えするタイミング

昔購入したリピータハブをまだ使っている場合、買い替えを検討する時期かもしれません。
インターネット回線の高速化や、家庭内で使うネット機器の増加に伴い、古いリピータハブがボトルネック(通信の障害)になっている可能性があります。
次のような症状があれば、リピータハブが原因かもしれません。
- インターネットの速度が遅く感じる
- 複数の機器を同時に使うと不安定になる
- 機器が認識されなくなることがある
ネットワークに問題を感じるようであれば、リピータハブからスイッチングハブへの買い替えで改善する可能性があります。
まとめ
リピータハブは、ネットワークの歴史において重要な役割を果たしてきたシンプルな接続機器です。
複数のコンピュータをつなぎ、信号を増幅して送る基本的な機能を持っています。
しかし、すべてのポートにデータを送信する非効率な仕組みのため、現在ではスイッチングハブに取って代わられています。
初心者の方がネットワーク機器を選ぶ際には、価格差もほとんどないことから、スイッチングハブを選択することをお勧めします。
もし古いリピータハブをまだ使用しているなら、ネットワーク環境改善のためにスイッチングハブへの買い替えを検討してみてはいかがでしょうか。