「最近、ニュースなどで『IOWN(アイオン)』という言葉を耳にしませんか?」
「なんとなく凄そうだけど、IT用語は難しくて…」そう思っている方も多いはずです。
実はIOWNは、私たちの生活を激変させる可能性を秘めた、日本(NTT)発の次世代技術です。
もしこれが完全に普及すれば、スマートフォンの充電を気にしなくて済むようになったり、地球の裏側にいる人とまるで隣にいるかのように会話ができたりする未来がやってくるかもしれません。
目次
そもそもIOWN(アイオン)って何がすごいの?

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)をひとことで言うと、「電気の代わりに『光』を使って、通信の限界を突破する技術」です。
今までのインターネットは「電気」だった
これまでのコンピューターやインターネットは、情報を「電気信号」に変えて送っていました。
しかし、電気回路の処理速度には限界があり、大量のデータを処理すると「発熱」してしまうという弱点があります。
最近、AI(人工知能)の進化でデータ量が爆発的に増え、世界中のデータセンターで消費電力が急増していることが大問題になっています。
IOWNはすべてを「光」にする
そこで登場したのがIOWNです。通信回線だけでなく、コンピューターの中身や半導体チップの中まで、すべてを「光」のままやり取りしようという構想です。
これを「光電融合」と呼びます。
光は電気に比べて発熱が少なく、信号も弱まりにくいという特性があります。
私たちの生活を変える「3つの衝撃的なメリット」

すべてが「光」になると、具体的に何が変わるのでしょうか?
IOWNが掲げている目標数値は、今の常識では考えられないレベルです。
1. 電力効率が「100倍」に
これが最も注目されている点です。
同じ処理をするのに必要な電力が、今の100分の1で済みます。
- 私たちのメリット
スマートフォンのバッテリー持ちが劇的に長くなり、充電の手間から解放されるかもしれません。 - 地球へのメリット
AIを使うための莫大な電気代を抑え、環境に優しいデジタル社会が実現します。
2. 伝送容量が「125倍」に
一度に送れるデータの量が125倍になります。
- 私たちのメリット
2時間の映画なら「ダウンロード」という感覚すらなく、一瞬で再生できるようになります。
今のWi-Fiで感じる「重い」「遅い」というストレスは過去のものになるでしょう。
3. 遅延(タイムラグ)が「200分の1」に
通信のズレが、物理的な限界までゼロに近づきます。
- 私たちのメリット
離れた場所にいる人との会話も、全くズレを感じません。
オンラインゲームやVR(仮想現実)も、現実と区別がつかないほどリアルになります。
なぜ今、世界中がIOWNに注目しているのか?

「日本企業(NTT)が言っているだけの夢物語でしょ?」と思うかもしれません。
しかし、現状は違います。
世界の大手企業がこぞって参加しています。
GoogleやMicrosoftも仲間入り
IOWNを世界に広めるための組織「IOWN Global Forum」には、NTTだけでなく、Intel、Sony、Microsoft、Google、Ericssonなど、世界のトップ企業130社以上が参加しています。
これは、IOWNが日本独自の規格ではなく、世界標準の技術としての地位を固めた証拠です。
日米政府も後押し
日本とアメリカ政府は、次の通信規格「6G」を見据えて連携を強化しており、IOWNはその重要な基盤技術として位置づけられています。
また、半導体大国である台湾との間でも、既に国際的な光回線の接続(日台国際APN)が開通しています。
実用化はいつ?2025年大阪・関西万博で「未来」が証明された

「すごいのはわかったけど、まだ先の話でしょ?」
そう思う方もいるかもしれませんが、実は先日閉幕した大阪・関西万博(2025年)で、その実力は既に証明されました。
2023年 IOWN 1.0
既に始まっていた第一弾サービスに加え、2025年にはさらに技術が進化した「IOWN 2.0」フェーズに入りました。
2025年 大阪・関西万博での成果
万博はIOWN技術の実証実験場(リビングラボ)として機能しました。
- Perfumeとの遅延ゼロ共演
テクノポップユニットPerfumeとのコラボレーションでは、APNを活用してリアル会場とバーチャル空間、遠隔地を遅延なく融合させる没入型パフォーマンスが披露されました。 - もう一人の自分(Another Me)
来場者のデータを元にした分身(デジタルツイン)が、デジタル社会で活動する様子を体験できる展示も行われました。 - どこでも専用回線
放送局などが会場内の任意の場所から機材を接続するだけで、即座に高品質な専用回線を確保できる「オンデマンド光パス」機能の実証も行われました。
2030年頃
これらの実績を元に、本格的に私たちの家庭やスマホに技術が降りてくるのがこの時期を目指しています。
IOWNが普及すると、みんながもっと幸せになれるかも?

ここまでは技術の話をしてきましたが、最後に少し視点を変えて、「IOWNがある生活」が私たちの幸福度をどう上げるのか、想像してみましょう。
「待つ時間」というストレスの消滅
パソコンのロード時間、動画のバッファリング、会議の音声遅れ。
これらは小さなストレスですが、積み重なると私たちの時間を奪っています。
IOWNによってこれらが「ゼロ」になれば、私たちはもっとクリエイティブなことや、大切な人とのコミュニケーションに時間を使えるようになるはずです。
「距離」による諦めがなくなる
「東京に行かないと仕事がない」「田舎に帰りたいけど最先端の医療が受けられない」。そんな悩みもなくなるかもしれません。
IOWNの超低遅延技術があれば、地方に住みながら東京のオフィスにいるのと変わらない感覚で仕事ができたり、世界の名医の手術を地元で受けられたりします(遠隔手術)。
「住みたい場所に住みながら、世界と繋がる」という生き方が、当たり前になるかもしれません。
地球にも人にも優しい
AIやテクノロジーが進化するほど、電気を食って環境を壊す…というジレンマを、IOWNの「光技術」は解決してくれます。
「便利な生活」と「美しい地球」を両立できる未来。
それこそが、IOWNが目指す本当のゴールなのかもしれません。
まとめ:IOWNは未来をつくるインフラ
IOWNは単なる「速いインターネット」ではありません。
電気の限界を光で超え、私たちの生活スタイルや地球環境までをも良い方向に変える、巨大なプロジェクトです。
2025年の大阪・関西万博で私たちはその可能性の一端を目撃しました。
これから2030年に向けて本格普及していく「光の未来」に、引き続き注目していきましょう。
